情報の基準日:2026年8月31日時点の制度内容をもとに解説しています。
専門実践教育訓練給付金は、看護師・介護福祉士などの養成課程、専門学校の職業実践専門課程、専門職大学院、高度なIT講座など、厚生労働大臣が指定した中長期の講座を受ける人に、受講費用の一部を支給する制度です。
最初から受講料が80%引きになる制度ではありません。受講中は原則として費用の50%、修了後に資格取得と就職の条件を満たすと合計70%、さらに受講前より賃金が5%以上上がると合計80%まで段階的に追加されます。年間上限があるため、支払額の80%を必ず受け取れるわけでもありません。
先に確認する4項目
- 雇用保険の加入期間が初回2年以上、再受給は原則3年以上あるか
- 離職者は、原則として資格喪失後1年以内に受講を始められるか
- 申し込むコース自体が「専門実践教育訓練」の指定講座か
- 受講開始の原則2週間前までに、ジョブ・カード作成と受給資格確認を終えられるか
専門実践教育訓練給付金の条件と支給額を先に確認
| 確認項目 | 基本的な条件 |
|---|---|
| 対象者 | 雇用保険の被保険者、または原則として離職後1年以内の人 |
| 雇用保険の加入期間 | 初めて教育訓練給付金を受ける人は2年以上、受給歴がある人は原則3年以上 |
| 対象講座 | 受講開始日に専門実践教育訓練として指定されている講座 |
| 受講中・修了時 | 教育訓練経費の50%、年間上限40万円 |
| 資格取得・就職後 | 合計70%、年間上限56万円 |
| 賃金が5%以上上昇 | 2024年10月1日以降に開始した講座は合計80%、年間上限64万円 |
| 受講前の手続き | 訓練前キャリアコンサルティングと受給資格確認を原則2週間前までに行う |
「初めて」とは、専門実践教育訓練給付金だけでなく、教育訓練給付金を初めて受ける場合を指します。過去に一般教育訓練給付金や特定一般教育訓練給付金を受けた人は、初回2年の扱いにならない可能性があります。
公式確認:厚生労働省「Q&A~専門実践教育訓練給付金~」と専門実践教育訓練給付金・教育訓練支援給付金の案内で、対象者、支給率、期限、必要書類を確認できます。
50%・70%・80%は3段階で支給される
受講中は50%を6か月ごとに申請する
基本給付は、本人が教育訓練施設へ支払った入学料と受講料の50%です。年間上限は40万円で、受講開始日から6か月ごとの支給単位期間が終わるたびに申請します。
たとえば4月1日に受講を開始した場合、最初の支給単位期間は9月30日までです。申請期間は翌日の10月1日から10月31日までとなります。修了日を含む最後の期間は、修了日の翌日から1か月以内に申請します。
資格取得と就職で合計70%になる
専門実践教育訓練を修了し、講座の目標資格を取得したうえで、修了日の翌日から原則1年以内に雇用保険の一般被保険者などとして就職すると、受講費用の20%が追加されます。在職したまま受講した人も、修了後1年以内に資格を取得すれば追加給付の対象になり得ます。
資格取得と就職の両方を満たした日の翌日から、原則1か月以内に追加給付を申請します。資格試験に合格しても、免許登録が必要な資格は登録日や免許取得日が資格取得日になる場合があります。
賃金が5%以上上がると合計80%になる
2024年10月1日以降に受講を開始した人は、70%の条件を満たしたうえで、訓練修了後の賃金が受講開始前より5%以上上昇すると、さらに10%が追加されます。年間上限は、50%分40万円、資格取得・就職分16万円、賃金上昇分8万円の合計64万円です。
ここで比較するのは、単純な月給の額ではなく、雇用保険の計算に使う賃金日額です。受講開始前と修了後の給与明細、賃金台帳、出勤簿などが必要になるため、転職後も書類を保管してください。
賃金上昇分は、資格取得と就職の両方を満たした日の翌日から6か月を経過した日を起算日として、6か月以内に申請します。70%分の申請とは期限が異なるため、受給資格通知と勤務先の証明書類を分けて管理してください。
80%の条件:厚生労働省「教育訓練給付金の支給申請手続について」に、賃金5%上昇の追加給付と申請資料が掲載されています。
最大80%でも実際の支給率が80%未満になることがある
「最大80%」には年間上限があります。受講料が高い講座ほど、支払額に対する実際の給付割合は80%を下回ることがあります。
| 例 | 50%分 | 資格取得・就職 | 賃金5%上昇 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 1年・費用80万円 | 40万円 | 16万円 | 8万円 | 64万円 |
| 2年・費用170万円 | 80万円 | 32万円 | 16万円 | 128万円 |
| 3年・費用300万円 | 120万円 | 48万円 | 24万円 | 192万円 |
1年80万円の例では80%に当たる64万円を受け取れます。2年170万円の80%は136万円ですが、年間上限により合計128万円です。3年300万円の例では合計192万円となり、支払額に対する割合は64%です。
また、10年の間に複数回の専門実践教育訓練を受ける場合、2024年10月1日以降の受講開始分を基準とする10年間の合計上限は原則192万円です。法令上最短4年の専門職大学などには4年目相当分の上乗せがありますが、過去の受講歴や収入による条件があります。
対象者は在職者と離職者で開始日の見方が違う
在職者は受講開始日に雇用保険へ加入しているか確認
会社員、パート、契約社員など雇用形態の名称だけでは決まりません。受講開始日に雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者であり、必要な支給要件期間があるかを確認します。
初回は2年以上、受給歴がある人は原則3年以上です。転職前後の雇用保険の空白期間が1年以内なら、前職と現職の加入期間を通算できる場合があります。
離職者は原則として資格喪失後1年以内に開始する
離職者は、雇用保険の被保険者資格を喪失した日から受講開始日までが原則1年以内であることが必要です。一般的には離職日の翌日が資格喪失日です。申込日ではなく、学校が証明する受講開始日で判定されます。
妊娠、出産、育児、疾病、負傷などで受講を始められない期間がある場合、適用対象期間を最大20年まで延長できることがあります。自動では延長されないため、ハローワークで申請が必要です。
過去に受給した人は2つの「3年」を確認する
再受給では、今回の受講開始日前までに新たな支給要件期間が原則3年以上必要です。さらに、前回の教育訓練給付金の支給日から今回の受講開始日前日までに3年以上経過している必要があります。
過去に給付を受けた講座の受講開始日より前の雇用保険加入期間は、今回の判定に再利用できません。加入期間が曖昧な人は、受講料を支払う前に支給要件照会を行うのが安全です。
対象資格と講座は6種類に分かれる
| 指定講座の類型 | 主な例 |
|---|---|
| 業務独占・名称独占資格の養成課程 | 看護師、介護福祉士、保育士、美容師、調理師、歯科衛生士、社会福祉士など |
| 専門学校の職業実践専門課程等 | 企業連携により実務知識を学ぶ専門課程 |
| 専門職大学院等 | ビジネス・MOT、法科大学院、教職大学院など |
| 職業実践力育成プログラム | 大学・大学院・短期大学等の社会人向け実践課程 |
| 第四次産業革命スキル習得講座等 | 高度IT、データサイエンス、AIなどの認定課程 |
| 専門職大学等の課程 | 専門職大学・専門職短期大学・専門職学科 |
資格名が一覧にあっても、同じ資格のすべての学校・コースが対象になるわけではありません。講座ごとに指定番号と指定期間があり、受講開始日が指定期間内に入っている必要があります。
特定一般教育訓練給付金にも介護・IT・運輸などの講座があるため、資格名だけで区分を決めないでください。短期講座なのか、養成課程なのか、検索結果に表示された給付区分まで確認します。

大学・大学院・専門学校から選ぶ場合
大学・大学院・専門学校では、学校全体ではなく、厚生労働大臣が指定した課程やコースが対象です。同じ学校でも学科、履修方法、受講開始時期によって対象外になることがあるため、希望する課程の指定番号まで確認してください。
国内の大学・大学院・専門学校
進学先の種類によって、対象になる課程、訓練期間、年間上限の考え方が異なります。専門学校・大学院と4年制大学は分けて確認できます。


海外MBAを検討している場合
海外MBAは、海外の学校へ通うだけで対象になる制度ではありません。対象となる実施施設・講座の指定状況と、受講開始前に必要な手続きを先に確認してください。

医療資格の養成課程から選ぶ場合
医療資格は、資格名が同じでも、学校や課程ごとに指定の有無が異なります。修業年限、入学時期、昼間・夜間の別、指定期間を照合したうえで、受講開始前の受給資格確認へ進んでください。
看護・リハビリテーション




視覚・歯科・医療技術




栄養分野

指定講座検索システムで確認する手順
- 厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システムを開く
- 給付制度で「専門実践教育訓練」を選ぶ
- 資格・分野、地域、通学・通信などの希望条件を入力する
- 講座詳細で指定番号、実施方法、訓練期間、受講費用、目標資格を確認する
- 受講開始予定日が指定期間内か、学校とハローワークの両方で確認する
オンライン講座や夜間・土日の講座も指定されています。ただし、「オンライン対応」と「教育訓練支援給付金の対象」は別です。教育訓練支援給付金は、働きながら受けられる夜間・通信制などを原則対象外としています。
指定状況:厚生労働省「専門実践教育訓練の指定講座を公表しました(令和8年10月1日付け指定)」では、資格養成課程、専門学校、大学、高度IT、オンライン・夜間・土日講座の類型別内訳を確認できます。指定は更新されるため、申込み時点では検索システムを使ってください。
受講開始前にジョブ・カードと受給資格確認が必要
専門実践教育訓練給付金は、講座修了後に初めて制度を知って申請する流れではありません。原則として受講開始日の2週間前までに、次の手続きを終えます。
- 希望講座の指定番号、受講開始日、費用を確認する
- 訓練対応キャリアコンサルタントの訓練前キャリアコンサルティングを受ける
- 就業目標と能力開発計画を整理したジョブ・カードを作成する
- 受給資格確認票、ジョブ・カード、本人確認書類などを用意する
- 住所を管轄するハローワークで受給資格確認を行う
受給資格確認は、来所のほか代理人、電子申請、郵送を利用できる場合があります。ただし、教育訓練支援給付金の受給資格確認は本人の来所が必要です。手続き方法を混同しないよう、予約時に希望する給付金名まで伝えてください。
ジョブ・カード:厚生労働省「マイジョブ・カード」で様式と作成方法を確認できます。訓練前キャリアコンサルティングの窓口は、管轄ハローワークへ確認してください。
受講中・修了後は申請期限を4段階で管理する
| 手続き | 原則の期限 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 受給資格確認 | 受講開始日の2週間前まで | 受講前に対象者と講座を確認 |
| 6か月ごとの支給申請 | 各支給単位期間の末日の翌日から1か月以内 | 50%分を受講中に申請 |
| 修了時の支給申請 | 修了日の翌日から1か月以内 | 最後の支給単位期間を精算 |
| 資格取得・就職の追加給付 | 両方を満たした日の翌日から原則1か月以内 | 合計70%へ再計算 |
| 賃金上昇の追加給付 | 資格取得・就職の両方を満たした日の翌日から6か月経過後、6か月以内 | 合計80%へ再計算 |
受講中は、受講証明書、領収書、教育訓練経費等確認書などが必要です。資格取得・就職後は、資格証明書や雇用保険の加入を確認できる資料が加わります。80%の申請では、受講前後の賃金台帳・給与明細と出勤簿・タイムカードなどを使います。
期限を過ぎた場合の扱いには時効や提出方法の規定も関係します。「もう申請できない」と自己判断せず、必要書類を持って管轄ハローワークへ早急に相談してください。
教育訓練支援給付金は受講費とは別の生活支援
教育訓練支援給付金は、専門実践教育訓練給付金を受ける離職者のうち、昼間通学制の講座を受けるなど一定の条件を満たす人に、失業状態の日について生活費を支給する制度です。受講料の50%・70%・80%とは別に判定されます。
| 主な条件 | 2026年8月31日時点の扱い |
|---|---|
| 年齢 | 受講開始時に45歳未満 |
| 雇用状態 | 受講開始日・受給資格確認時に一般被保険者ではなく、失業状態にある |
| 講座 | 修了見込みのある昼間通学制。夜間・通信制などは原則対象外 |
| 支給額 | 基本手当日額に相当する額の60% |
| 基本手当との関係 | 基本手当の残日数がある期間は支給されない |
| 開始期限 | 2027年3月31日以前に専門実践教育訓練を開始 |
欠席日は原則支給されず、ある2か月の出席率が8割未満になると、それ以後は支給されません。途中退学、成績不良、休学などで修了見込みがなくなった場合も支給停止となります。
専門実践教育訓練給付金本体には45歳未満という年齢条件はありません。45歳の線引きがあるのは教育訓練支援給付金です。2つを混同しないでください。
一般・特定一般との違いは受講期間と手続きに表れる
| 区分 | 基本給付 | 受講前手続き | 主な講座 |
|---|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 20%・上限10万円 | 原則として専門実践のような訓練前面談は不要 | 資格・技能講座など |
| 特定一般教育訓練 | 40%、条件により最大50% | 訓練前キャリアコンサルティングと受給資格確認 | 早期再就職・キャリア形成につながる講座 |
| 専門実践教育訓練 | 50%、条件により最大80% | 訓練前キャリアコンサルティングと受給資格確認 | 中長期の資格養成、専門学校、大学、高度ITなど |
3区分の対象者、加入期間、上限額を一度に比較したい場合は、教育訓練給付金クラスターの親記事で確認できます。

専門実践教育訓練給付金でよくある質問
働きながらでも利用できますか?
利用できます。受講開始日に雇用保険の被保険者で、必要な加入期間があり、指定講座と受講前手続きの条件を満たせば対象になり得ます。夜間・土日・オンラインの指定講座もあります。
45歳以上は対象外ですか?
専門実践教育訓練給付金本体に「45歳未満」という条件はありません。45歳未満の条件があるのは、離職者の生活を支援する教育訓練支援給付金です。
オンライン講座も最大80%ですか?
オンライン形式でも、そのコースが専門実践教育訓練の指定講座で、本人が受給条件と追加給付の条件を満たせば対象になり得ます。学校名や講座名だけでなく、指定番号と指定期間を確認してください。
受講前に費用を用意する必要がありますか?
必要です。給付金は本人が実際に支払った入学料・受講料を基に、6か月ごとの申請後に支給されます。受講時点で自動的に50%引きになるわけではありません。最初の支給までの授業料と生活費を準備してください。
資格試験に不合格でも50%分は受け取れますか?
受講中の50%分と、資格取得・就職後の追加給付は別に判定されます。講座の受講証明や修了認定など各支給期間の条件を満たしていれば基本給付の対象になり得ますが、資格取得が必要な70%・80%の追加給付は受けられません。再試験時の扱いは資格取得期限と講座の指定内容をハローワークへ確認してください。
退職後に失業保険と一緒に受けられますか?
専門実践教育訓練給付金は受講費の支援なので、雇用保険の基本手当を受ける人も対象になり得ます。一方、教育訓練支援給付金は基本手当の残日数がある期間には支給されません。受講費の給付、基本手当、教育訓練支援給付金を分けて確認してください。
まとめ|学校へ申し込む前にハローワークで確認する
専門実践教育訓練給付金は、指定講座を受講する在職者・離職者に、受講費の50%を6か月ごとに支給し、資格取得・就職で合計70%、賃金5%以上上昇で合計80%まで追加する制度です。ただし、年間40万円・56万円・64万円の上限があり、80%が最初から一括で振り込まれるわけではありません。
利用を考えている人は、講座名だけで判断せず、指定番号、受講開始日、雇用保険の加入期間、離職日、過去の受給歴をそろえてください。そのうえで訓練前キャリアコンサルティングを受け、原則2週間前までに受給資格確認を行います。入学金や受講料を支払う前に、管轄ハローワークで自分の条件を確認するのが安全です。

