情報の基準日:2026年8月31日時点の制度内容をもとに解説しています。
視能訓練士の養成課程には、教育訓練給付金を使える講座があります。ただし、視能訓練士の学校なら全部同じ金額が戻るわけではありません。
高校卒業相当から3年以上学ぶルートと、大学・短大・看護師養成所などで2年以上学び所定科目を修めた人が1年以上学ぶルートでは、専門実践教育訓練給付金の最終上限が変わります。1年課程は最大64万円、3年課程は最大192万円です。
最初に確認する3点
- 自分が1年・3年以上のどちらの国家試験受験資格ルートに入るか
- 入学する学科・入学年度が専門実践の指定を受けているか
- 雇用保険の加入期間など本人側の支給要件を満たすか
この記事では、視能訓練士を目指す社会人が「自分はいくら受け取れるか」を、養成ルート、指定期間、学費、修了後の条件に分けて判断できるように解説します。
結論|視能訓練士は1年なら最大64万円、3年なら最大192万円
| 養成課程 | 主な対象者 | 基本給付50%の上限 | 資格取得・就職等で70%の上限 | 賃金上昇で80%の上限 |
|---|---|---|---|---|
| 1年課程 | 大学等で2年以上+所定科目を履修した人 | 40万円 | 56万円 | 64万円 |
| 3年課程 | 高校卒業相当から目指す人 | 120万円 | 168万円 | 192万円 |
| 4年制課程 | 視能訓練士課程のある大学等 | 原則120万円 | 原則168万円 | 原則192万円 |
| 一般教育訓練の場合 | 一般の指定を受けた講座 | 20%・上限10万円 | ||
「最大80%」は修了だけでもらえる割合ではありません。受講中・修了時の基本給付は50%です。資格取得と就職などで合計70%、さらに訓練前より賃金が5%以上上がると合計80%になります。割合計算のほかに年単位の上限があります。

視能訓練士の専門実践は9講座
厚生労働省の資格別集計を確認すると、2026年4月1日時点で視能訓練士を目標とする専門実践教育訓練は9講座です。指定講座は資格名だけでなく、学校、学科、課程、受講開始日ごとに管理されています。
講座指定は4月1日と10月1日に見直されます。学校案内に「給付金対象」と書かれていても、自分の入学回が指定期間に入っているとは限りません。受講開始前に厚生労働省の講座検索で現行情報を確認してください。
学校名ではなく学科・入学回を見る
同じ学校でも、視能訓練士学科だけが対象、3年制だけが対象、特定年度の入学生だけが対象という場合があります。「学校全体が対象」と考えず、指定番号まで照合します。
検索画面で確認する5項目
- 給付区分:専門実践か、ほかの区分か
- 講座名:入学する視能訓練士学科と一致するか
- 訓練期間:12か月・36か月・48か月など
- 訓練経費:給付計算に使う対象額
- 指定番号・指定期間:受講開始日に有効か
資格コード表と指定済み講座は別物
厚生労働省の資格コード表には、高卒者向け36か月、大学等で2年以上修業し所定科目を履修した人向け12か月、4年制養成課程が示されています。しかし、コード表に載っている課程がすべて現時点で指定されているわけではありません。

自分は1年課程?3年課程?受験資格ルートを確認
高校卒業相当から目指す人は3年以上
大学へ入学できる資格がある人は、指定された学校・養成所で3年以上、視能訓練士に必要な知識と技能を修得するのが基本です。3年制専門学校のほか、4年制大学などがあります。
大学等で2年以上+所定科目なら1年以上
大学や短期大学などで2年以上修業し、英語、心理学、保健体育、生物学、物理学、数学など所定の科目を修めた人は、指定養成所で1年以上学ぶルートがあります。短大を卒業しただけ、大学に2年以上在籍しただけで自動的に該当するわけではありません。
看護師・保育士養成施設なども対象になり得る
法令上、一定の看護師養成所や保育士養成施設などで2年以上修業し、指定科目を履修した人も1年ルートの対象になり得ます。出願前に成績証明書とシラバスを学校へ提出し、科目の読み替えを確認してください。
4年制大学は直接受験資格を得るルート
視能訓練関連の指定課程がある4年制大学を卒業して国家試験受験資格を得るルートもあります。一般の4年制大学を卒業しただけでは、視能訓練士の受験資格にはなりません。
受験資格と給付指定は別に確認する
国家試験を受けられる指定養成課程であることと、教育訓練給付金の指定講座であることは別です。受験資格ルートに合っていても、入学予定の講座に有効な給付指定がなければ支給されません。
専門実践の給付額はどう決まる?
修了までの基本給付は50%
専門実践教育訓練では、教育訓練経費の50%が6か月ごとに支給されます。年間上限は40万円です。支給単位期間ごとに受講状況の確認と申請が必要です。
資格取得・就職などで合計70%
講座修了後1年以内に目標資格を取得し、雇用保険の被保険者となる就職をするなどの条件を満たすと、20%が追加され合計70%です。年間上限は56万円になります。
賃金が5%以上上がると合計80%
2024年10月1日以降に受講を開始し、資格取得・就職等の条件を満たしたうえで、訓練前より賃金が5%以上上がると10%が追加され、合計80%です。年間上限は64万円です。
上限より学費が低ければ割合計算
1年課程の対象経費が60万円なら、80%は48万円で、64万円満額にはなりません。逆に対象経費が100万円なら80%は80万円ですが、1年上限の64万円までです。

1年課程はいくら戻る?計算例
対象経費100万円の場合
| 到達段階 | 割合計算 | 上限適用後 | 自己負担 |
|---|---|---|---|
| 修了・50% | 50万円 | 40万円 | 60万円 |
| 資格取得・就職等・70% | 70万円 | 56万円 | 44万円 |
| 賃金上昇・80% | 80万円 | 64万円 | 36万円 |
対象経費70万円の場合
修了時は35万円、資格取得・就職等で49万円、賃金上昇まで満たすと56万円です。この例では1年上限64万円より割合計算が低いため、実際の対象経費に各割合を掛けた金額になります。
1年ルートは学費以外の1年分も比較する
3年課程より給付上限は低い一方、条件を満たして1年課程へ進めれば、学費だけでなく働けない期間や生活費も短縮できる可能性があります。「もらえる額」だけでなく「資格取得までの総支出」で比較してください。
3年・4年課程はいくら戻る?計算例
3年課程・対象経費300万円
| 到達段階 | 割合計算 | 上限適用後 | 自己負担 |
|---|---|---|---|
| 修了・50% | 150万円 | 120万円 | 180万円 |
| 資格取得・就職等・70% | 210万円 | 168万円 | 132万円 |
| 賃金上昇・80% | 240万円 | 192万円 | 108万円 |
4年制でも原則256万円ではない
専門実践には、法令上の最短修業年限が4年の講座で4年目相当の支給を認める仕組みがあります。しかし、視能訓練士には3年以上で受験資格を得るルートがあります。4年制大学だから自動的に最大256万円とは判断できません。
4年制は給付以外の価値も比較する
学士取得、一般教養、学生生活、就職先とのつながりなど、4年制には給付額以外の利点があります。一方、社会人の再進学では追加1年分の学費と生活費が大きいため、給付後の総負担を比較します。

対象経費に含まれるもの・含まれないもの
基本は本人が払った入学料と受講料
専門実践の教育訓練経費は、本人が教育訓練施設へ支払った入学料と受講料が中心です。学校の総納付額と講座検索に表示される対象経費が同じとは限りません。
実習費・設備費・教材費は明示書を見る
視能訓練士課程では、検査機器を使う演習、臨地実習、教材などの費用があります。名目だけで対象・対象外を決めず、学校が交付する教育訓練明示書の対象経費を確認します。
交通費・機器・試験・免許費用は別予算
通学交通費、実習先への移動費、パソコンなどの機器、国家試験受験料、免許申請費用は通常の教育訓練経費に含まれません。遠方の実習や国家試験会場への移動・宿泊も見込みます。

本人側の支給要件
初めて専門実践を使う人は原則2年以上
専門実践教育訓練給付金を初めて利用する場合、受講開始日までの雇用保険の被保険者期間は原則2年以上です。過去に教育訓練給付を受けた人は原則3年以上など、前回受給との間隔も確認します。
在職中でも利用できる
教育訓練給付金は退職者専用ではありません。在職のままでも本人と講座の条件を満たせば利用できます。ただし、昼間授業・実習と勤務を両立できるかは別に判断します。
離職者は受講開始日まで原則1年以内
離職者は、原則として雇用保険の資格喪失日の翌日から受講開始日までが1年以内である必要があります。妊娠、出産、育児、疾病などで適用対象期間を延長できる場合があります。
過去の受給歴は申告して確認する
別資格の一般教育訓練を使った経験でも、再受給の判定に関係します。記憶だけで判断せず、ハローワークで支給要件を照会してください。

申請はいつ?入学前からの手順
1.受験資格ルートを学校に判定してもらう
1年課程を希望する人は、成績証明書、卒業証明書、必要に応じてシラバスを学校へ提出します。不足科目があれば、願書提出前に対応できるか確認します。
2.講座検索で入学回を確認する
講座名、訓練期間、訓練経費、指定番号、指定期間を控え、学校の明示書と照合します。「申請予定」「前年度は対象」ではなく、受講開始日に有効な指定を見ます。
3.ハローワークで支給要件を確認する
転職歴、離職期間、過去の給付利用歴を含め、本人側の要件を確認します。入学金を支払う前に行うのが安全です。
4.訓練前キャリアコンサルティングを受ける
専門実践では、原則として訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを作成します。予約枠を考え、合格後すぐに動きます。
5.受講開始日の原則2週間前までに手続きする
受給資格確認は受講開始日の原則2週間前までです。学校への出願・合格手続きと、ハローワークの受給資格確認は別に進めます。
学校選びで見るべき項目
給付後の実質学費
学校の対象経費から、修了50%、資格取得・就職等70%、賃金上昇80%の各ケースを引きます。最良ケースだけでなく、50%で止まった場合の自己負担も比較します。
臨地実習の時期と地域
視能訓練士養成では臨地実習があります。実習が平日日中か、遠方になる可能性があるか、交通・宿泊費は誰が負担するかを確認します。
1年課程の授業密度
1年課程は短期間で資格を目指せる一方、授業・演習・実習・国家試験対策が集中します。アルバイトや在職継続が現実的か、週の時間割と出席要件で判断します。
国家試験合格率の分母
学校の合格率は、新卒のみか既卒を含むか、受験者数が何人かを確認します。入学者のうち標準年限で卒業し受験できた人数も重要です。
働きながら通える?
1年課程でも昼間通学が中心
期間が短いから働きやすいとは限りません。講義、検査機器の演習、臨地実習が詰まるため、フルタイム勤務との両立が難しい課程もあります。
実習は勤務時間と重なりやすい
授業に夜間枠があっても、病院や眼科診療所での実習は平日日中になることがあります。休職、時短、勤務日変更を実習開始前に調整します。
完全オンラインだけでは完結しない
視能検査機器を扱う演習や臨地実習が必要です。一部オンライン授業があっても、完全オンラインだけで国家試験受験資格を得られるとは考えないでください。
退職して昼間課程へ進む場合
一定の要件を満たす離職者が昼間通学制の専門実践教育訓練を受ける場合、教育訓練支援給付金の対象になることがあります。これは学費ではなく、受講中の生活費を支える別制度です。
年齢、離職状態、受講開始日、初回受給、昼間通学、失業認定など条件があります。退職日や入学先を決める前にハローワークで確認してください。

国家試験・免許申請にかかる費用
第56回の受験手数料は15,800円
2026年2月19日に実施された第56回視能訓練士国家試験の受験手数料は15,800円です。試験地は東京都と大阪府でした。居住地によっては交通費と宿泊費も必要です。
第56回の合格率は96.1%
第56回は804人が受験し、773人が合格、全体の合格率は96.1%でした。新卒は778人受験、766人合格で98.5%です。合格基準は168点満点中101点以上でした。
免許申請の登録免許税は9,000円
国家試験に合格しただけでは、有資格者として業務に就けません。住所地の保健所などを経由して免許申請を行い、登録を受けます。登録免許税は9,000円で、診断書などの取得費用も別にかかります。
試験不合格でも基本給付が直ちに消えるとは限らない
専門実践の基本給付50%は、指定講座を所定の基準で受講・修了したことが中心です。一方、資格取得・就職等に連動する追加20%は、期限内に資格を取得できなければ受けられません。
状況別|どの課程を選ぶ?
高校卒業後に社会人経験を経た人
3年制の専門実践指定講座を優先して探し、最大192万円を前提に学費と3年分の生活費を分けて計算します。
大学・短大で2年以上学んだ人
1年課程の出願資格に該当する可能性があります。所定科目を履修済みかを学校に判定してもらい、その後に12か月講座の給付指定を確認します。
看護師・保育士養成施設の修了者
1年ルートの対象になり得ますが、施設の種類、修業年数、履修科目を個別確認します。資格を持っているだけで自動的に1年課程へ入れるわけではありません。
学士取得も重視する人
4年制大学を検討し、給付上限だけでなく学位、学費総額、1年長い在学期間、就職支援を比較します。
退職して最短で資格取得したい人
1年課程の要件を満たすなら時間面の利点が大きい一方、生活費を短期に集中して用意する必要があります。支援給付金の対象可否も同時に確認します。
よくある失敗
失敗1|視能訓練士の学校なら全部対象と思う
給付指定は講座単位です。学科名、期間、指定番号、受講開始日を一致させます。
失敗2|短大卒なら必ず1年課程へ入れると思う
2年以上の修業に加え、所定科目の履修確認が必要です。
失敗3|最大80%で資金計画を作る
修了だけなら基本50%です。追加給付を受けられない場合も計算します。
失敗4|4年制なら最大256万円と思う
視能訓練士には3年以上の受験資格ルートがあり、4年分の上限が自動適用されるわけではありません。
失敗5|学校の総納付額すべてに割合を掛ける
明示書に記載された教育訓練経費を使います。交通費や試験料などは別です。
失敗6|1年課程なら働きながら余裕だと思う
授業・演習・実習が集中します。時間割と実習期間を先に確認します。
失敗7|入学後にハローワークへ行く
専門実践は受講開始前の受給資格確認が必要です。原則2週間前の期限から逆算します。
よくある質問
視能訓練士の教育訓練給付金はいくらですか?
専門実践なら、1年課程は最大64万円、3年課程は最大192万円です。実額は対象経費、修了、資格取得・就職、賃金上昇の条件で変わります。
専門実践の対象講座は何件ですか?
厚生労働省の2026年4月1日時点の資格別集計では9講座です。入学前に現行の講座検索で確認してください。
高卒からは何年かかりますか?
指定された学校・養成所で3年以上学ぶのが基本です。3年制専門学校や4年制大学などがあります。
大卒なら1年で取得できますか?
大学などで2年以上修業し、所定科目を履修していることが必要です。卒業しただけでは足りない場合があります。
看護師なら1年課程へ入れますか?
一定の看護師養成所で2年以上修業し、所定科目を修めた人は対象になり得ます。学校の個別判定を受けてください。
3年制なら必ず192万円ですか?
いいえ。専門実践の指定、本人の受給資格、対象経費、修了、資格取得・就職、賃金上昇の条件によって変わります。
4年制大学なら256万円ですか?
原則として自動的に256万円にはなりません。講座検索の支給対象期間とハローワークの回答を確認してください。
一般教育訓練ならいくらですか?
一般教育訓練に指定された講座なら20%・上限10万円です。入学する講座の給付区分を検索結果で確認します。
夜間課程は対象ですか?
夜間かどうかだけでは決まりません。夜間課程として給付指定があるか、臨地実習を勤務と両立できるかを確認します。
オンラインだけで取得できますか?
機器演習や臨地実習が必要です。完全オンラインだけで国家試験受験資格を得られるとは考えないでください。
国家試験に落ちたら返還ですか?
適正に受講・修了して得た基本給付が、不合格だけで直ちに全額返還になるわけではありません。ただし資格取得に連動する追加給付は受けられません。
おすすめ校はどこですか?
一律のおすすめはありません。受験資格ルート、給付指定、対象経費、実習、修了可能性、国家試験実績、給付後の総負担で比較してください。
まとめ|受験資格ルートを先に決め、指定番号を確認する
視能訓練士の専門実践教育訓練給付金は、1年課程なら最大64万円、3年課程なら最大192万円です。4年制でも最大256万円になるとは限りません。
高校卒業相当からは3年以上が基本ですが、大学・短大・看護師養成所などで2年以上学び所定科目を修めた人には1年ルートがあります。まず学校に受験資格を判定してもらい、次に現行講座検索で入学回の指定番号・期間・経費を確認し、最後にハローワークで本人側の支給要件を確認してください。

