給料が下がったのに社会保険料が下がらないのはなぜ?3か月判定と4か月目

給料が下がった後も社会保険料が下がらない理由を、3か月判定と4か月目の改定タイムラインで示す図解 待遇/評価

給料が下がったのに、給与明細を見ると健康保険料や厚生年金保険料が前と同じ――。「会社の計算が間違っているのでは」と不安になる人もいるでしょう。

先に結論をいうと、給料が下がっても、社会保険料が翌月からすぐ下がるとは限りません。健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は、毎月の実支給額ではなく「標準報酬月額」という等級を基に計算されるからです。

途中で標準報酬月額を下げる「随時改定」には、原則として次の条件があります。

  • 基本給・時給・固定手当・契約時間などの固定的賃金が下がった
  • 変更後の給与を受けた月から3か月分を平均する
  • 平均から求めた標準報酬月額が、以前より原則2等級以上下がる
  • 3か月すべてで支払基礎日数の条件を満たす

すべてを満たすと、変更後の給与を初めて受けた月から数えて4か月目の標準報酬月額が下がります。会社が前月分の保険料を翌月給与から引く方式なら、給与明細で天引き額が下がるのはさらに1か月後です。

給料が下がった理由 随時改定の可能性 主な確認点
基本給・固定手当が下がった あり 3か月平均、2等級差、支払基礎日数
時給や日給の単価が下がった あり 単価変更後の支給月から判定
時給は同じで契約時間が短くなった あり 雇用契約上の所定時間の変更か
残業が減っただけ 原則なし 固定的賃金の変更がない
欠勤・一時的なシフト減で下がった 原則なし 基本給や契約時間自体が変わったか
固定給は下がったが平均は1等級差 原則なし 以前と変更後の等級

この記事では、2026年8月30日時点の制度に基づき、「3か月」はいつから数えるのか、何月の給与明細から下がるのか、残業だけ減った場合はどうなるのかを具体例で解説します。

なぜ給料が下がっても社会保険料はすぐ下がらない?

毎月の給料ではなく標準報酬月額で計算するから

会社員の健康保険料と厚生年金保険料は、毎月の給与額へ直接料率を掛けて計算するのではありません。給与などの「報酬月額」を一定の幅に区切り、その人が該当する標準報酬月額へ保険料率を掛けて計算します。

社会保険料=標準報酬月額×保険料率

たとえば、厚生年金では報酬月額が29万円以上31万円未満なら、標準報酬月額は30万円です。給料が30万円から29万5,000円へ下がっても同じ幅の中にいるため、標準報酬月額も厚生年金保険料も変わりません。

日本年金機構の厚生年金保険料の説明では、事業主が標準報酬月額に保険料率を掛け、事業主負担分と本人負担分を合わせて納める仕組みが案内されています。

標準報酬月額は通常、年に1回見直される

原則の見直しは「定時決定」です。毎年4月・5月・6月に支払われた報酬の平均を基に標準報酬月額を決め、9月分から翌年8月分まで使います。

このため、残業が減った、一時的に欠勤したなど、随時改定に当たらない給料減は毎月すぐ反映されません。4~6月の平均に表れれば、その年の9月分から下がる可能性があります。7月以降に残業が減った場合は、原則として翌年の定時決定まで反映されないこともあります。

公式の計算方法は日本年金機構「定時決定」で確認できます。

この記事でいう社会保険料に雇用保険料は含めない

ここで扱うのは、標準報酬月額を使う健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料です。雇用保険料は、原則としてその月に実際に支払われる賃金総額へ雇用保険料率を掛ける別の仕組みです。

そのため、給与明細では雇用保険料だけ先に下がり、健康保険料と厚生年金保険料は変わらないことがあります。所得税や住民税も計算・反映時期が別なので、控除欄を一括りにせず項目ごとに見てください。

社会保険料が途中で下がる「随時改定」の3条件

日本年金機構「随時改定(月額変更届)」によると、固定的賃金が変わった後に次の3条件をすべて満たすと、事業主は月額変更届を提出します。

  1. 昇給・降給などで固定的賃金が変わった
  2. 変動後3か月の報酬平均による標準報酬月額と従前の標準報酬月額に、原則2等級以上の差がある
  3. 3か月すべての支払基礎日数が17日以上である。社会保険上の短時間労働者は11日以上

ここで大切なのは、単に「手取りが大きく下がった」「給与総額が3か月続けて下がった」だけでは足りない点です。固定的賃金の変更が出発点になり、等級差と日数も確認します。

条件1:固定的賃金が下がった

固定的賃金とは、勤務実績によって毎月増減するのではなく、契約や給与規程などであらかじめ金額・単価・計算の基礎が決まっている賃金です。次の変更は随時改定のきっかけになり得ます。

  • 基本給の降給
  • 月給・日給・時給の単価変更
  • 日給制から月給制など給与体系の変更
  • 住宅手当・役職手当・通勤手当など固定手当の減額や廃止
  • 歩合給の単価や歩合率の変更
  • 雇用契約上の1日・週・月の所定労働時間の変更

時給が同じでも、「1日8時間」から「1日6時間30分」へ契約時間が変われば固定的賃金の変動に当たります。日本年金機構も契約時間が変更された場合の取扱いを示しています。

条件2:3か月平均で原則2等級以上下がった

固定給が下がっても、変更後3か月に支払われた報酬全体の平均が以前より原則2等級以上下がらなければ、随時改定は行われません。

平均に含めるのは基本給だけではありません。残業手当、通勤手当、住宅手当、家族手当、役職手当、年4回以上支払われる賞与、一定の現物給与なども含めます。税金や社会保険料を引いた後の手取り額ではなく、対象となる税引き前の報酬で計算します。

たとえば基本給が下がっても、残業代が増えて3か月平均が十分に下がらなければ対象外です。固定的賃金は下がったのに、非固定的賃金の増加によって平均の等級が上がった場合も、変動方向が逆なので随時改定されません。

なお、標準報酬月額の上限・下限をまたぐ一部のケースには、1等級差でも対象になる例外があります。「必ず2等級差」とは限りませんが、一般的な給与帯では原則2等級差と考えてください。

条件3:3か月すべてで支払基礎日数を満たした

一般の被保険者は、3か月すべてで支払基礎日数が17日以上必要です。特定適用事業所などで4分の3基準を満たさず「短時間労働者」として加入している人は11日以上です。

パートだから全員11日基準になるわけではありません。正社員の所定労働時間・日数の4分の3以上働くパートなどは、基本的に17日基準で判定します。

日給・時給制は実際に給与の対象となった出勤日数が基本で、有給休暇も含まれます。月給・週給制は原則として暦日数です。欠勤控除がある月給制では、就業規則等で定めた日数から欠勤日数を引くなど、給与形態によって数え方が変わります。

随時改定では、3か月のうち1か月でも基準未満なら通常の3か月平均で月額変更届を出せません。基準未満の月だけを外して残り2か月で平均するものではありません。

3か月・4か月目とはいつ?給与明細で下がる月

4月支給分から固定給が下がった例

4月に支給された給与から固定給が下がった場合は、次の順番です。

行うこと
4月支給 固定給変更後の1か月目
5月支給 2か月目
6月支給 3か月目。3か月平均・等級差・日数を判定
7月分 条件を満たせば標準報酬月額を改定
8月支給給与 前月分を翌月控除する会社なら、明細の保険料が下がる

4月・5月・6月で判定→7月分から改定→翌月控除なら8月の給与明細で減額

「4か月目から下がると聞いたのに、7月給与の保険料が同じ」という場合、会社が7月給与から引いているのは6月分の保険料かもしれません。健康保険料・厚生年金保険料は、前月分を当月給与から控除する会社が一般的です。

ただし、会社によって当月分を当月給与から控除する場合もあります。就業規則、給与規程、前月と当月の明細、給与担当者への確認で控除方式を確かめてください。

勤務条件が4月に変わっても初回支給が5月なら5月から数える

「4月に降給したから4・5・6月」と機械的に数えるのではありません。起点は原則として、変更後の報酬を初めて受けた月です。

たとえば月末締め・翌月25日払いの会社で、4月勤務分から固定給が下がり、その給与が5月25日に支給されるなら、5月・6月・7月を判定し、条件を満たせば8月分から改定します。前月分を翌月控除する会社なら、明細で下がるのは9月支給給与です。

給与計算期間の途中で単価が変わり、初回給与が新旧単価の混在した月になる場合は、変更後の報酬を1か月分受けた月から数える扱いになることがあります。自分で起算月を決めず、給与担当者へ「月額変更届の変動月は何月支給分か」を確認しましょう。

収入が下がった時期に在職中の学び直しも検討できる

社会保険料が下がるまでの数か月は手取りの落ち込みを感じやすい時期です。すぐ退職するのではなく、働きながら受けられる夜間・オンライン・短時間の職業訓練も含めて、収入を維持しながら次の選択肢を準備できます。

働きながら学びやすい職業訓練とは?対象者・5,000円・申込方法
「働きながら学びやすい職業訓練」は、パート、アルバイト、派遣社員など、非正規雇用で働く人がキャリアアップや職業転換を目指すための職業訓練です。2026年度は、事務・IT・デジタル分野などのeラーニングコースが案内されています。受講期間中は2...

給料が下がった理由別|社会保険料が変わらないケース

残業代が減っただけ

基本給、時給、固定手当、契約時間などが変わらず、残業時間だけ減った場合は、原則として随時改定のきっかけになりません。残業代は勤務実績で変わる非固定的賃金だからです。

たとえば月給30万円のうち残業代が毎月6万円あった人が、残業ゼロになって総支給24万円へ下がっても、固定的賃金が変わっていなければ月額変更届の対象にならないことがあります。

ただし、残業の「時間」が減ったのではなく、残業単価・割増率・計算方法や手当制度そのものが変更された場合は、固定的賃金の変動として扱われる可能性があります。

欠勤控除や一時的なシフト減

病気や家庭事情で欠勤し、その月だけ給与が下がった場合も、基本給や契約条件自体が変わっていなければ通常は随時改定のきっかけになりません。

会社の都合で一時的にシフトが減った場合も同様です。一方、雇用契約書で週5日から週3日へ変更した、1日8時間から6時間へ変更したなど、契約上の所定時間・日数が変わったなら固定的賃金の変動になり得ます。「実際の勤務が減っただけ」か「契約自体が変わったか」を分けてください。

固定給は下がったが2等級差がない

標準報酬月額は幅のある等級です。基本給が下がっても同じ等級内なら変化せず、隣の等級へ1つ下がっただけでも随時改定は原則行われません。

厚生年金の標準報酬月額が30万円だった人を例にすると、次のようになります。

変更後3か月の報酬平均 新しい標準報酬月額 従前との差 随時改定
29万円以上31万円未満 30万円 変化なし 対象外
27万円以上29万円未満 28万円 1等級 原則対象外
25万円以上27万円未満 26万円 2等級 他の条件も満たせば対象

「給料が2万円下がれば2等級」のような単純換算はできません。等級ごとの報酬月額の幅と、以前の標準報酬月額によって必要な差が変わります。

固定給の低下と平均額の方向が一致しない

基本給が下がった一方で残業代や歩合給が増え、3か月平均から求めた標準報酬月額が上がった場合は、固定的賃金の変動方向と等級の変動方向が一致しません。この場合も随時改定の対象外です。

逆に、基本給が上がったのに残業が減り、平均の等級が下がった場合も対象になりません。固定給だけ、総支給額だけのどちらか一方を見るのではなく、両方の方向を確認します。

3か月のうち1か月だけ日数が足りない

固定給が下がり、3か月平均で2等級差があっても、3か月のうち1か月の支払基礎日数が17日未満なら、一般の被保険者は通常の随時改定を行いません。短時間労働者の11日基準でも、3か月すべてで条件を満たす必要があります。

欠勤が多かった月がある人は、出勤日数ではなく会社が月額変更届で使う支払基礎日数を給与担当者へ確認してください。

標準報酬月額30万円から26万円ならいくら下がる?

ここでは2026年度の東京都・協会けんぽ加入者を例に、標準報酬月額が30万円から26万円へ2等級下がった場合を計算します。標準報酬の区分と厚生年金の本人負担額は、日本年金機構の2026年度厚生年金保険料額表で確認できます。

2026年度の東京都の健康保険料率は9.85%、子ども・子育て支援金率は0.23%です。厚生年金保険料率は18.3%で、原則として会社と本人が半分ずつ負担します。

40歳未満の本人負担例

本人負担 標準報酬月額30万円 標準報酬月額26万円 差額
健康保険料 14,775円 12,805円 1,970円減
子ども・子育て支援金 345円 299円 46円減
厚生年金保険料 27,450円 23,790円 3,660円減
合計 42,570円 36,894円 5,676円減

この例では、標準報酬月額の改定後に本人負担が月5,676円下がります。2026年4月分から始まった子ども・子育て支援金は、被用者保険では原則として労使折半です。標準報酬月額30万円なら本人負担の目安は月345円です。

制度の概要と0.23%の支援金率はこども家庭庁「子ども・子育て支援金制度」で確認できます。事業主だけが負担する「子ども・子育て拠出金」とは別です。

40歳以上65歳未満は介護保険料も変わる

40歳以上65歳未満の協会けんぽ加入者には介護保険料も加わります。2026年度の介護保険料率1.62%を含めると、同じ例の本人負担合計は標準報酬月額30万円で4万5,000円、26万円で3万9,000円となり、月6,000円下がります。

健康保険料率は都道府県や健康保険組合で異なり、端数処理も会社によって差が出ます。正確な金額は協会けんぽの2026年度都道府県別保険料率または加入する健康保険組合の保険料額表で確認してください。

将来の給与を上げる方法まで比較する

社会保険料が下がれば手取りの減少は一部和らぎますが、給料そのものが元に戻るわけではありません。職種変更を考える場合は、訓練後の初任給だけでなく、未経験で入りやすい仕事、資格手当、夜勤・交替勤務、昇給の見込みまで比較すると現実的です。

職業訓練修了後の初任給はいくら?求人票の賃金の見方
訓練修了後の初任給を、求人票の基本給・手当・固定残業代・試用期間に分けて読み解きます。

随時改定されない場合はいつ社会保険料が下がる?

4~6月の平均を使う定時決定で9月分から

残業代だけ減った、1等級しか下がらないなど、随時改定の条件を満たさない場合は、原則として次の定時決定を待ちます。

  1. 4月・5月・6月に支払われた報酬を平均する
  2. 平均から新しい標準報酬月額を決める
  3. 9月分から翌年8月分まで使う

前月分を翌月給与から引く会社なら、9月分の新しい保険料が給与明細へ出るのは10月支給給与です。

ただし、4~6月に支払基礎日数が少ない月がある場合、短時間労働者、休職者、年間を通じて春だけ繁忙期になる人などには別の計算があります。「春の残業が多かったから自由に年間平均を選べる」という制度ではなく、業務の性質上、毎年同じ差が生じることなどの条件と事業主の申立て・本人同意が必要です。

残業減が7月以降なら翌年9月まで変わらないこともある

固定給は同じままで7月から残業がなくなった場合、その年の定時決定はすでに4~6月の報酬で決まっています。別の固定的賃金の変更がなければ、翌年4~6月の平均を使う翌年9月分まで、現在の標準報酬月額が続く可能性があります。

「実際の月給より標準報酬月額が高い」状態が長く続く代表例です。違法な二重取りとは限りませんが、以前の等級、4~6月の報酬、固定給の変更日を会社へ確認してください。

産休・育休から復帰して給料が下がった人には特例がある

産前産後休業・育児休業の終了後に短時間勤務などで報酬が下がった人には、通常の随時改定より条件が緩い終了時改定があります。

  • 本人が申し出て、会社が変更届を提出する
  • 固定的賃金の変動がなくても対象になり得る
  • 以前の標準報酬月額と1等級以上の差で対象になり得る
  • 休業終了日の翌日が属する月以後3か月を確認し、4か月目から改定する
  • 3か月のうち少なくとも1か月は、一般17日以上・短時間労働者11日以上が必要

育児休業終了時改定は、休業終了時に3歳未満の子を養育している人が対象です。通常の随時改定と日数条件が異なるため、「3か月すべて17日以上でないから無理」と自己判断しないでください。

申請方法は日本年金機構「育児休業等終了時報酬月額変更届」産前産後休業終了時報酬月額変更届で確認できます。

保険料は低い等級、将来の年金は以前の等級で計算できる場合

3歳未満の子を養育するため給与が下がった場合は、「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」を利用できることがあります。保険料は実際に下がった標準報酬月額で計算しながら、将来の厚生年金額の計算では子を養育する前の高い標準報酬月額を使う制度です。

自動適用ではなく申出が必要です。対象期間や添付書類は日本年金機構「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」で確認してください。

保険料が下がると手取り以外に何が変わる?

標準報酬月額が下がると毎月の本人負担は減ります。一方で、標準報酬月額を基に計算する給付や将来の年金額へ影響することがあります。

  • 厚生年金の将来の受給額
  • 健康保険の傷病手当金
  • 健康保険の出産手当金
  • 高額療養費の所得区分

傷病手当金・出産手当金は原則として支給開始日前12か月の標準報酬月額の平均を使うため、1か月下がっただけで直ちに全額が同じ割合だけ下がるわけではありません。高額療養費も標準報酬月額が区分境界をまたいだ場合に影響します。

社会保険料だけで退職を決めるのではなく、給料低下が一時的か継続的か、元の条件に戻る見込み、使える休業・給付、転職後の給与を並べて判断してください。

すぐ転職するか、職業訓練を挟むか|退職後に迷ったときの判断基準
退職後に「すぐ転職するか、職業訓練を挟むか」で迷うときは、先に結論を出そうとしなくて大丈夫です。大事なのは、今すぐ求人に応募して内定を狙える材料があるかを確認することです。前職の経験を活かせる求人があり、応募書類や面接で話せる実績があるなら...

給与明細で確認する6項目

給料が下がったのに社会保険料が変わらないときは、次の順番で確認すると原因を切り分けられます。

  1. 何が下がったか:基本給・時給・固定手当・契約時間か、残業・欠勤・一時的なシフトか
  2. 変更後の給与を初めて受けた月:勤務条件の変更月ではなく、給与の支給月を確認
  3. 変更後3か月の報酬平均:基本給だけでなく残業・通勤手当などを含める
  4. 以前と変更後の標準報酬月額:原則2等級以上下がっているか
  5. 支払基礎日数:3か月すべてで17日以上、短時間労働者は11日以上か
  6. 保険料の控除方式:当月分を当月控除か、前月分を翌月控除か

今の標準報酬月額はどこで確認する?

給与明細に標準報酬月額が記載されている会社もあります。記載がなければ給与・社会保険担当者へ確認してください。厚生年金の標準報酬月額は「ねんきんネット」の各月の年金記録からも確認できます。

日本年金機構のねんきんネット確認案内では、各月の標準報酬月額や標準賞与額を確認できます。ただし、届出後に記録へ反映されるまで時間がかかることがあります。

会社へはこの6点を聞く

給与担当者へ問い合わせるときは、感情的に「保険料が高すぎる」と伝えるより、次のように具体的に聞くと確認が進みます。

「○月支給分から基本給(時給・契約時間)が下がりました。現在の標準報酬月額、月額変更届の変動月、3か月平均、従前との等級差、届出予定の有無、給与明細へ反映する月を教えてください。社会保険料は当月分控除と前月分控除のどちらでしょうか」

契約変更通知、雇用契約書、給与明細、勤怠記録をそろえておくと、固定的賃金の変更月と支払基礎日数を確認しやすくなります。

退職を決める前に制度と訓練の時期を確認する

減給を理由に転職や退職を考えている場合、退職日を決める前に、雇用保険の加入期間、離職理由、失業保険の受給開始時期、職業訓練の募集日程を確認してください。退職後では変更できない日付や、在職中にしか集めにくい書類があります。

仕事を辞める前に職業訓練の相談はできる?ハローワークで聞くこと
退職後に職業訓練を受けたいと思っても、仕事を辞める前にハローワークへ相談していいのか迷います。まだ在職中なのに相談していいのか。退職日が決まっていなくても聞けるのか。雇用保険や給付金の話まで確認できるのか。ここが分からないと、「辞めてからで...

会社が月額変更届を出していないときの対処法

随時改定の条件を満たした場合、月額変更届を提出するのは被保険者本人ではなく事業主です。日本年金機構の月額変更届の手続きでは、事実発生後速やかに事務センターまたは年金事務所へ提出するとされています。

  1. 給与担当者へ、固定給変更月と月額変更届の判定結果を確認する
  2. 対象外なら、固定的賃金・等級差・支払基礎日数のどれが満たせないかを聞く
  3. 対象なのに未提出なら、提出予定日と給与精算月を確認する
  4. 説明と給与明細が合わない場合は、事業所を管轄する年金事務所へ相談する

相談時には、変更前後の雇用契約書・給与通知書、3か月分以上の給与明細、勤怠記録、会社へ確認した内容を持参します。届出が遅れて標準報酬月額が遡って訂正されると、会社と本人の保険料差額が後の給与で精算されることがあります。精算方法は会社へ確認してください。

よくある質問

給料が1か月だけ下がったら社会保険料も下がりますか?

基本給など固定的賃金の変更がなく、一時的な欠勤・残業減で1か月だけ下がった場合は、通常の随時改定にはなりません。固定的賃金が変更されても、変更後3か月の平均などを確認するため、翌月すぐに下がるものではありません。

残業代が毎月5万円減ったのに保険料が同じなのはなぜですか?

残業時間の減少だけでは固定的賃金が変わっていないため、随時改定の契機にならないからです。4~6月の平均に反映されれば定時決定で9月分から下がる可能性があります。7月以降の残業減なら、翌年の定時決定まで続く場合があります。

時給は同じで週5日から週3日になった場合は?

雇用契約上の所定労働日数・時間を変更したなら、固定的賃金の変動に当たる可能性があります。実際のシフトが一時的に減っただけなら原則として契機になりません。契約書や労働条件通知書を確認してください。

通勤手当が減った場合も随時改定されますか?

通勤手当は社会保険上の報酬に含まれ、固定的に支給される通勤手当の変更は随時改定の契機になり得ます。ただし、変更後3か月平均で原則2等級以上下がることなど、ほかの条件も必要です。

賞与が減ったら毎月の社会保険料も下がりますか?

年3回以下の賞与は標準賞与額に対して別に保険料を計算するため、通常は毎月の標準報酬月額を下げる理由にはなりません。年4回以上支給される賞与などは報酬として標準報酬月額の計算に含まれることがあります。

4月から給料が下がったら何月の明細で保険料が下がりますか?

4月支給給与が変更後の1か月目なら、4~6月を判定し、条件を満たせば7月分から改定します。前月分を翌月給与から控除する会社なら8月支給給与、当月控除なら7月支給給与に反映するのが基本です。

1等級だけ下がった場合はずっと変わりませんか?

通常の随時改定は原則対象外ですが、次の定時決定で新しい等級が反映される可能性があります。標準報酬月額の上限・下限をまたぐ一部には、1等級差でも随時改定となる例外があります。

会社が月額変更届を出したか自分で確認できますか?

まず給与・社会保険担当者へ提出日と改定月を確認します。厚生年金の標準報酬月額は、反映後にねんきんネットでも確認できます。会社の説明と契約書・明細が一致しない場合は、管轄の年金事務所へ相談してください。

育休復帰後の時短勤務でも2等級差が必要ですか?

育児休業終了時改定は通常の随時改定とは別で、本人の申出などの条件を満たせば1等級以上の差で対象になり得ます。固定的賃金の変更がなくても対象になる可能性があるため、会社へ申出書の提出を確認してください。

2026年10月の8.8万円要件撤廃で保険料の下がり方も変わりますか?

日本年金機構の短時間労働者への適用拡大案内によると、月額8.8万円以上という短時間労働者の加入要件は2026年10月に撤廃予定です。ただし、これは社会保険へ加入するかどうかの要件です。加入後の標準報酬月額を随時改定する3か月・2等級差などの仕組みとは別です。2026年8月30日時点では公式情報も「予定」としているため、施行時点の案内を確認してください。

まとめ

給料が下がったのに社会保険料が下がらない最大の理由は、健康保険料・厚生年金保険料が毎月の実支給額ではなく標準報酬月額で決まるためです。

  • 固定的賃金が下がった後、3か月平均で原則2等級以上下がるなどの条件を満たすと随時改定
  • 変更後の給与を初めて受けた月から数えて4か月目の標準報酬月額から下がる
  • 前月分を翌月控除する会社では、給与明細への反映がさらに1か月後に見える
  • 残業減・一時的な欠勤・シフト減だけでは原則として随時改定されない
  • 随時改定されない場合は、通常4~6月平均を使う定時決定で9月分から見直す
  • 育休・産休終了後には1等級差などで使える特例がある

まず、固定給が変わった支給月、3か月平均、現在との等級差、支払基礎日数、会社の控除方式を確認してください。条件を満たしているのに変わらないときは、月額変更届の提出状況を会社へ聞き、必要に応じて年金事務所へ相談しましょう。

草尾雄太

中卒・引きこもり8年を経て、ブラック企業勤務、職業訓練、ハローワーク、失業保険、退職代行を実際に経験。
現在はフリーランスエンジニアとして働きながら、「辞めたいのに辞められない」「制度が分からず動けない」と悩む人に向けて、厚労省などの公的データと自身の実体験をもとに、退職・職業訓練・失業保険に関する情報を発信しています。
詳しいプロフィールはこちら / 退職代行を使った体験談

草尾雄太をフォローする
待遇/評価
シェアする
草尾雄太をフォローする
タイトルとURLをコピーしました