結論からいうと、会社から支給される通勤手当は、所得税が非課税になる範囲内でも、健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額には原則として含まれます。電車やバスの定期券を現物でもらう場合も、3か月分・6か月分をまとめて支給される場合も同じです。
ただし、「通勤手当1万円に対して毎月決まった保険料が上乗せされる」という意味ではありません。基本給、残業手当、役職手当、通勤手当などを合計した報酬月額を等級表へ当てはめ、その標準報酬月額に保険料率をかける仕組みです。通勤手当が増えても同じ等級内なら、健康保険・厚生年金の控除額は変わりません。
2026年8月27日時点の現行ルールでは、短時間労働者の月額8.8万円という加入判定で通勤手当を除きますが、加入後の保険料計算では含めます。この賃金要件は2026年10月に撤廃予定と案内されているため、実施後は加入判定そのものが変わります。
この記事では、2026年8月27日時点の公的資料に基づき、定期券や複数月支給、標準報酬月額の具体例、反映時期、テレワーク時の交通費まで整理します。
結論|通勤手当は標準報酬月額に原則含まれる
税金で非課税でも社会保険では「報酬」になる
日本年金機構「厚生年金保険の保険料」は、標準報酬月額の基礎となる給与に、基本給だけでなく残業手当や通勤手当なども含むと説明しています。通勤手当に関する日本年金機構のQ&Aでも、給与規程に定める通勤手当は労務の対償として受けるものと認められ、報酬に含める扱いです。
ここでいう「含まれる」とは、通勤手当だけに独立した社会保険料率をかけることではありません。会社から労働の対償として経常的・実質的に受け取る金銭や現物を合計し、一定の幅に区切られた標準報酬月額を決めます。その等級が上がったときに、健康保険・厚生年金などの控除額が上がります。
現金でも定期券でも扱いは同じ
給料と一緒に現金で1万円を受け取る場合だけでなく、会社から1万円相当の定期券を渡される場合も報酬です。日本年金機構は、名称を問わず、通勤手当や通勤定期券などを金銭または現物で受けるものとして標準報酬月額の対象に挙げています。
「会社が定期券を直接買った」「給与明細の課税支給額に入っていない」という理由だけで対象外にはなりません。
最初に5つの判定を分ける
| 判定する制度 | 通勤手当の基本的な扱い | 見る金額 |
|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金の保険料 | 原則として含む | 通勤手当を含む報酬から標準報酬月額を決定 |
| 所得税 | 一定限度まで非課税 | 交通手段・距離などに応じた非課税限度額 |
| 短時間労働者の月額8.8万円要件 | 撤廃が実施されるまでの現行判定では除く | 最低賃金に算入する賃金に相当する所定内賃金 |
| 最低賃金との比較 | 除く | 最低賃金の対象となる賃金 |
| 雇用保険料 | 原則として含む | その月に支払われた賃金総額 |
所得税が非課税か、社会保険へ加入するか、加入後の保険料はいくらかは、別々に判断します。
保険料負担を見て今後の働き方を考え始めた人は、退職を急がず、在職中に利用できる訓練も比較できます。

なぜ非課税の通勤手当まで社会保険料の基礎になるのか
所得税と社会保険では「収入」の定義が違う
所得税の非課税通勤手当は、通勤に必要な費用へ税負担を求めないための仕組みです。これに対して健康保険・厚生年金は、会社から継続的に受け取る報酬を基に、保険料や給付の基礎となる標準報酬月額を決めます。
そのため、電車・バス通勤で非課税限度額以内でも、社会保険上は原則として全額を報酬へ入れます。
「実費だから必ず対象外」でもない
自宅から契約上の勤務地である会社へ通う費用は、実際の定期代と同額を精算していても、通常は通勤手当として報酬に含みます。毎月の固定額、出勤日数に応じた実費相当額、定期券の現物支給という支払い方だけで、社会保険上の結論は変わりません。
一方、会社の業務命令で一時的に別の場所へ出張した交通費など、業務遂行に必要な費用を立て替えて精算しただけのものは、報酬ではない場合があります。名称が「交通費」か「通勤手当」かだけでなく、どこが契約上の勤務地で、何のための移動かを確認します。
会社負担分もあるため控除額だけで損とはいえない
厚生年金保険料は標準報酬月額に18.3%をかけ、原則として会社と本人が半分ずつ負担します。健康保険も原則労使折半です。本人の給与控除が増えるときは、会社負担も増えています。
標準報酬月額は将来の厚生年金額や一部の健康保険給付にも関係します。
標準報酬月額はどう決まる?
総支給額と標準報酬月額は同じ金額ではない
標準報酬月額は、毎月の報酬をそのまま1円単位で使うのではなく、報酬月額の幅ごとに区切った等級へ当てはめた金額です。たとえば厚生年金では、報酬月額が23万円以上25万円未満なら標準報酬月額24万円、25万円以上27万円未満なら26万円となります。
したがって、通勤手当が1,000円増えても、合計額が同じ等級の範囲内なら健康保険・厚生年金の保険料は変わりません。逆に少額の増加でも、ちょうど等級の境目を越えれば控除額が変わります。
報酬へ含める主なもの
| 原則として含めるもの | 原則として含めないもの |
|---|---|
| 基本給、残業手当、役職手当、家族手当 | 出張旅費など実費弁償に当たるもの |
| 通勤手当、定期券、住宅手当 | 年3回以下で支給される賞与(標準賞与額で別計算) |
| 食事・住宅など一定の現物給与 | 慶弔見舞金など労働の対償でない臨時的なもの |
名称や給与明細上の課税・非課税欄だけで分類せず、支給の実態で判断します。自社独自の手当や精算金がどちらか不明なら、給与担当者または管轄の年金事務所へ確認してください。
具体例|23万8,000円+通勤手当1万2,000円の場合
通勤手当を含めると標準報酬月額は26万円
基本給と諸手当の合計が23万8,000円、毎月の通勤手当が1万2,000円なら、社会保険上の報酬月額は次のとおりです。
23万8,000円+1万2,000円=25万円
2026年度の厚生年金保険料額表では、25万円以上27万円未満の報酬月額は、標準報酬月額26万円の等級です。通勤手当を誤って除いた23万8,000円だけなら標準報酬月額24万円ですが、正しくは26万円となります。
厚生年金の本人負担は月1,830円の差
日本年金機構の2026年度保険料額表によると、一般の被保険者の厚生年金本人負担は、標準報酬月額24万円で2万1,960円、26万円で2万3,790円です。
2万3,790円-2万1,960円=1,830円
この例では、通勤手当を含めることで等級が24万円から26万円へ上がり、厚生年金の本人負担は月1,830円増えます。ただし、通勤手当の全額1万2,000円に9.15%を単純にかけた金額ではありません。等級差2万円に本人負担率9.15%をかけた結果です。
2026年度・協会けんぽ東京支部なら合計差は月2,838円の例
2026年度の協会けんぽ東京支部は健康保険料率9.85%で、2026年4月分から子ども・子育て支援金率0.23%が加わります。40歳未満、労使折半、介護保険なしとして標準報酬月額24万円と26万円を単純比較すると、健康保険と支援金の本人負担差は1,008円です。
| 本人負担の比較 | 標準報酬24万円 | 標準報酬26万円 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 厚生年金 | 21,960円 | 23,790円 | 1,830円 |
| 健康保険+子ども・子育て支援金 | 12,096円 | 13,104円 | 1,008円 |
| 合計 | 34,056円 | 36,894円 | 2,838円 |
これは協会けんぽの2026年度保険料率を使った東京支部・40歳未満の例です。40歳から64歳までは介護保険料率1.62%が加わるため、この等級差による本人負担はさらに162円増え、合計差は概算3,000円です。健康保険組合の加入者、他県の協会けんぽ加入者、端数処理や会社の控除時期によって実額は異なります。
転職後の手取りを比べるときは、求人票の基本給だけでなく通勤手当、加入する健康保険、標準報酬月額の等級も確認しましょう。訓練後の初任給と生活費の考え方は次の記事で整理しています。

定期券・3か月分・6か月分をまとめてもらう場合
複数月分は月割りして各月の報酬へ入れる
日本年金機構の複数月分通勤手当のQ&Aでは、数か月分を一括支給した場合、対象月数で割った1か月当たりの額を各月の報酬へ算入するとしています。
たとえば、4月に6か月分の定期代7万2,000円を支給された場合は、4月だけに7万2,000円を足すのではありません。
7万2,000円÷6か月=1か月当たり1万2,000円
4月から9月まで、各月の報酬へ1万2,000円ずつ含めます。会社が現金で払っても6か月定期券を渡しても、月割りの考え方は同じです。
定期券の有効期間と対象月を確認する
途中入社、経路変更、休職、退職による払戻しがあるときは、対象期間、会社が認定した月額、払戻し分を給与担当へ確認します。
給与明細に7万2,000円と一括表示されても、社会保険の算定上は月額1万2,000円へ割り振られます。
在宅勤務で定期代から実費払いへ変わった場合
定期代を廃止し、出社日数に応じて通常の勤務地までの交通費を払う制度へ変わっても、通勤に対する支給なら原則として報酬に含まれます。
ただし、通勤手当の単価や支給方法という固定的賃金の仕組みが変わったか、単に出社日数が変動したかによって、随時改定の扱いは変わります。
通勤手当はいつ保険料へ反映される?
入社時は資格取得時決定で見込額を使う
入社して社会保険の資格を取得するときは、雇用契約や給与規程に基づく1か月分の報酬見込額から標準報酬月額を決めます。通勤手当も月額換算して含めるため、最初の給与がまだ出ていなくても、会社が届け出た見込額に反映されます。
遠距離通勤で定期代が高い、入社後に通勤経路が確定したなどの事情があるときは、資格取得届の報酬月額へどの金額を入れたか会社へ確認しましょう。
毎年の定時決定は4月・5月・6月の報酬が基本
日本年金機構「定時決定」によると、原則として4月、5月、6月に支払われた報酬の平均を基に標準報酬月額を決め、同年9月から翌年8月まで適用します。各月へ月割りした通勤手当も、この報酬に含まれます。
4月から6月に残業が多かった、昇給した、通勤経路が変わった場合は平均額へ影響します。ただし、支払基礎日数が不足する月や休業がある場合には別の算定方法があるため、単純な3か月平均にならないことがあります。
通勤手当が変わっても毎回すぐ保険料が変わるわけではない
年の途中に固定的賃金が変わり、固定的賃金の増減と、その後3か月の平均報酬による等級の増減が同じ方向で、従前の標準報酬月額より原則2等級以上変わるなどの要件を満たすと、4か月目から標準報酬月額を改定する「随時改定」が行われます。詳しい要件は日本年金機構「月額変更届」で確認できます。
通勤経路の変更、運賃改定、会社の通勤手当単価の変更などは、固定的賃金の変動となる可能性があります。ただし、変更後3か月のすべてで支払基礎日数が一般の被保険者は17日以上、特定適用事業所等に勤務する短時間労働者は11日以上あり、2等級以上の差が出るなど、すべての条件を満たさなければ随時改定にはなりません。
残業代だけが増えた場合のように、固定的賃金の変動がなければ、平均報酬が2等級以上変わっても通常は随時改定の対象になりません。また、固定的賃金が増えたのに3か月平均による等級が下がった場合や、その逆の場合も対象外です。通勤手当の固定額が変わり、残業代を含む3か月平均が同じ方向に2等級以上動くと対象になり得ます。
2026年4月の通勤手当非課税限度額改正との関係
改正されたのは所得税の非課税ルール
国税庁「令和8年4月以後の通勤手当の非課税限度額」によると、2026年4月1日から、マイカー・自転車などで通勤する人の距離区分に65km以上が新設され、一定の駐車場費用について月5,000円を上限に加算する仕組みが設けられました。
電車・バスなど交通機関を利用する人は、国税庁の通勤手当Q&Aで、最も経済的かつ合理的な経路・方法による運賃等について月15万円が非課税限度額とされています。
社会保険で通勤手当を含める扱いは変わっていない
2026年4月の改正は所得税の非課税範囲の変更であり、標準報酬月額の報酬から通勤手当を外す改正ではありません。税金がかからない額が増えても、健康保険・厚生年金では会社から受ける通勤手当を原則として全額含めます。
給与明細の「非課税通勤費」が増え、所得税の対象額が下がる一方で、社会保険の算定額は変わらないこともあります。「非課税額」と「社会保険対象額」の欄が違うのは、必ずしも給与計算ミスではありません。
パートの8.8万円・106万円の壁では通勤手当をどう扱う?
現行の加入判定では8.8万円に含めない
厚生労働省「社会保険加入の要件」が示す2026年8月27日時点の現行ルールでは、短時間労働者について週の所定労働時間20時間以上、学生ではないこと、所定内賃金月額8.8万円以上などの加入要件があります。この月額8.8万円を判定する所定内賃金には、通勤手当を含めません。
たとえば所定内賃金8万8,500円、通勤手当1万円なら、合計支給は9万8,500円でも、8.8万円要件で見る賃金は8万8,500円です。ただし、正社員の4分の3以上働く場合など、別の基準で加入対象になることがあります。
加入した後の保険料計算では通勤手当を含める
日本年金機構の短時間労働者向け案内は、加入要件の賃金月額と、資格取得届に記載する報酬月額の扱いが異なることを示しています。加入要件の8.8万円判定からは通勤手当を除きますが、加入後の標準報酬月額には通勤手当を含めます。
つまり、「社会保険へ入るかを決める入口」と「入った後の保険料を決める基礎」は別です。会社から説明を受けるときは、どちらの金額を示しているのか確認してください。
8.8万円要件は2026年10月に撤廃予定
厚生労働省は、所定内賃金月額8.8万円以上の賃金要件を2026年10月に撤廃予定と案内しています。2026年8月27日時点ではまだ予定であり、撤廃が実施される前の加入判定へ先回りして適用するものではありません。
撤廃後も、週20時間以上、学生ではないこと、2か月を超えて雇用される見込み、対象企業の規模などの要件は残ります。「通勤手当込みで8.8万円を超えたか」を考える必要はなくなりますが、誰でも自動的に加入するわけではありません。
テレワーク・在宅勤務の交通費は含まれる?
契約上の勤務地が会社なら出社交通費は原則通勤手当
雇用契約上の勤務地が会社の事業所で、自宅からその事業所へ出社するための交通費を支給される場合、出社日数に応じた実費でも原則として通勤手当に当たり、報酬へ含まれます。テレワークの日が増えて定期券支給から都度精算へ変わっただけで、当然に実費弁償へ変わるわけではありません。
契約上の勤務地が自宅なら一時出社の実費は対象外となる場合がある
日本年金機構のテレワーク時の交通費Q&Aでは、労働契約上の勤務地が自宅であり、会社の命令により一時的に事業所へ出社した交通費を実費精算する場合、原則として実費弁償として報酬に含めないとしています。
同じ「在宅勤務者の出社交通費」でも、契約上の勤務地が会社か自宅かで扱いが分かれます。雇用契約書、テレワーク規程、勤務地変更通知、精算方法を一緒に確認しましょう。
在宅勤務手当は使い道と精算方法で判断する
毎月一律の在宅勤務手当を自由に使える形で支給される場合は、報酬に含まれるのが原則です。会社のパソコン購入費や通信費を従業員が立て替え、領収書に基づき実費精算するだけなら、報酬に含まれない場合があります。
「テレワーク手当」という名称だけで一律に判断せず、余った金額を返すのか、領収書が必要か、労働の対償として定額支給されるのかを見ます。
雇用保険・最低賃金・扶養との違い
雇用保険料も通勤手当を含むが計算方法が違う
神奈川労働局の労働保険対象賃金表では、通勤手当は非課税分や定期券の現物支給を含め、労働保険料の対象賃金に算入するとしています。
ただし、雇用保険料は原則としてその月の賃金総額に雇用保険料率をかけます。健康保険・厚生年金のように標準報酬月額の等級へ当てはめる方法ではありません。そのため、通勤手当が少し増えたとき、雇用保険料は変わっても健康保険・厚生年金は同じ等級のまま、ということがあります。
最低賃金との比較では通勤手当を除く
厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」では、通勤手当、家族手当、精皆勤手当などを最低賃金の対象となる賃金から除いて計算します。
総支給額が最低賃金を上回って見えても、通勤手当を除いた基本給などで時間額を計算すると下回る場合があります。社会保険では含めるのに最低賃金では除く、という違いを押さえてください。
130万円の扶養判定は加入する保険者へ確認する
健康保険の被扶養者認定は、所得税の非課税判定や短時間労働者の8.8万円要件とは別です。日本年金機構の2026年4月以降の被扶養者認定案内では、労働契約から見込む年間収入の「賃金」に諸手当を含め、通勤手当の金額が不明確な場合はこの認定方法を使えないことがあると示しています。通勤手当は原則として年間収入に含め、契約内容や他の収入も含めた最終的な扱いを、配偶者などが加入する健康保険組合または協会けんぽへ確認してください。
給与明細と標準報酬月額を確認する手順
手順1|支給項目を全部並べる
給与明細の基本給、残業手当、役職手当、住宅手当、通勤手当、現物支給を確認します。課税支給額だけを転記せず、社会保険上の報酬に入る項目をすべて並べてください。
6か月定期券など一括支給なら、支給額、対象期間、1か月当たりの換算額を書き出します。複数路線、駐車場代、マイカー手当があるときは、会社が認定した各金額も確認します。
手順2|会社に標準報酬月額と決定理由を聞く
給与担当へ「現在の健康保険・厚生年金の標準報酬月額はいくらですか」「資格取得時、定時決定、随時改定のどれで決まりましたか」「通勤手当はいくらを月額換算していますか」と質問します。
標準報酬月額が総支給額と同額でないこと自体は誤りではありません。等級の範囲、適用開始月、会社の給与控除が当月分か前月分かを照合します。
手順3|保険料額表で等級と本人負担を照合する
厚生年金は日本年金機構の年度別保険料額表、健康保険は加入する協会けんぽ支部または健康保険組合の保険料額表を使います。40歳から64歳までの人は介護保険料、2026年4月分以降は子ども・子育て支援金も確認してください。
給与明細の控除額が表と1か月ずれているときは、会社が翌月控除を採用している可能性があります。等級変更の適用月と実際の給与控除月を分けて聞きましょう。
手順4|合わなければ資料を示して訂正を依頼する
通勤手当が二重に計上されている、6か月分全額が1か月へ入っている、経路変更後も古い金額のままなど、具体的な違いを一覧にします。会社へ給与明細、定期券の対象期間、標準報酬月額の等級表を示し、届出内容の確認と必要な訂正を依頼します。
回答が得られない場合は、勤務先を管轄する年金事務所へ相談できます。健康保険料率や給付は、加入している協会けんぽ支部または健康保険組合へ確認してください。
給与計算の仕組みを調べて仕事として学びたい人は、経理・給与事務を目指せる職業訓練の内容も確認できます。

標準報酬月額が上がると保険料以外に何が変わる?
将来の老齢厚生年金額へ反映される
厚生年金の加入期間と標準報酬は、将来受け取る老齢厚生年金の計算に使われます。通勤手当を含めて標準報酬月額が正しく決まることは、保険料負担を増やす面だけでなく、年金記録を正しく積み上げる面もあります。
会社へ「通勤手当を外して保険料を安くしてほしい」と頼み、法律上必要な報酬を低く届け出てもらうことはできません。誤った低い等級のままなら、将来の年金額にも影響します。
傷病手当金や出産手当金の計算にも関係する
健康保険の傷病手当金や出産手当金の日額は、支給開始前の標準報酬月額の平均などを基に計算します。標準報酬月額が高いほど必ず得になると単純にはいえませんが、正しく届け出られた標準報酬は休業時の所得保障にもつながります。
保険料の増加だけを見て通勤手当を外すのではなく、会社負担、将来の年金、休業時の給付を合わせて考えましょう。
手取りへの影響は社会保険だけで決まらない
通勤手当の変更で所得税の課税対象、雇用保険料、住民税、扶養認定が同じ方向へ一斉に変わるとは限りません。標準報酬月額の等級が変わる時期と、税金の年単位の計算時期も異なります。
転居や転職では、手取りだけでなく、通勤時間、会社負担の定期代、在宅勤務日数も並べて判断しましょう。
よくある質問
Q1.非課税通勤手当なら社会保険料はかかりませんか?
いいえ。所得税の非課税限度額と、社会保険の報酬の範囲は別です。非課税限度額以内でも、会社から支給される通勤手当は健康保険・厚生年金の標準報酬月額に原則として全額含まれます。
Q2.通勤手当が増えたら翌月から保険料も必ず上がりますか?
必ずではありません。合計報酬が同じ標準報酬月額の等級内なら控除額は変わりません。等級が変わる場合も、定時決定または随時改定の要件と適用時期に従うため、単純に翌月から上がるとは限りません。
Q3.会社から定期券を現物でもらう場合も含まれますか?
はい。現金で受け取る通勤手当だけでなく、会社が購入して渡す定期券も現物給与として報酬に含まれます。課税支給欄に表示されないことだけを理由に対象外にはなりません。
Q4.6か月定期代を一括でもらった月だけ保険料が上がりますか?
通常は一括支給額を対象月数で割り、各月の報酬へ入れます。7万2,000円を6か月分として支給したなら、1か月当たり1万2,000円です。支給月だけに7万2,000円全額を算入する扱いではありません。
Q5.徒歩や自転車でもらう通勤手当も含まれますか?
会社から通勤のために手当を受け取るなら、交通手段を問わず社会保険上は原則として報酬に含まれます。所得税の非課税限度額は通勤距離や交通手段で異なりますが、その違いを社会保険へそのまま当てはめません。
Q6.通勤手当を除くと月8.8万円未満です。社会保険に入りませんか?
撤廃が実施されるまでの現行の8.8万円要件では通勤手当を除きますが、週の労働時間、雇用見込み、学生か、企業規模、正社員の4分の3以上働くかなども確認が必要です。厚生労働省は、8.8万円要件を2026年10月に撤廃予定と案内しています。
Q7.106万円の壁がなくなれば通勤手当は保険料から外れますか?
外れません。撤廃予定なのは短時間労働者の加入判定に使う月額8.8万円の賃金要件です。社会保険へ加入した後、通勤手当を報酬へ含めて標準報酬月額を決める扱いは別であり、撤廃が実施された後も原則として続きます。
Q8.在宅勤務で月1回だけ出社する交通費も含まれますか?
契約上の勤務地が会社なら、出社日数に応じた交通費でも通常は通勤手当として含みます。契約上の勤務地が自宅で、業務命令による一時出社の実費を精算する場合は、実費弁償として含めないことがあります。
Q9.出張交通費も標準報酬月額に含まれますか?
業務上の出張に必要な交通費を実費精算したものは、通常は労働の対償ではなく実費弁償として扱われます。ただし、毎月一律に支給され自由に使える手当などは実態により報酬となるため、名称だけで判断しません。
Q10.通勤手当は最低賃金の計算にも入りますか?
入りません。最低賃金との比較では通勤手当を除外します。社会保険料の基礎には含むため、同じ給与明細でも最低賃金の確認と社会保険の確認では使う賃金項目が違います。
Q11.給与明細から自分の標準報酬月額が分かりますか?
保険料額表と控除額から推測できますが、健康保険料率、介護保険、端数処理、控除月のずれがあるため断定はできません。会社へ現在の標準報酬月額と適用開始月を確認するのが確実です。
Q12.通勤手当を含め忘れていたら会社に訂正してもらえますか?
まず会社へ、支給額、対象期間、現在の標準報酬月額を示して届出内容の確認を求めます。誤りがあれば会社が日本年金機構へ必要な訂正手続きを行います。遡って保険料の差額が調整される可能性もあるため、給与担当と年金事務所へ確認してください。
保険料や通勤費を理由に退職を考えている場合でも、先に雇用保険、生活費、職業訓練の相談時期を整理すると選択肢を残せます。

まとめ|非課税でも通勤手当は報酬へ含める
通勤手当は、所得税が非課税になる範囲内でも、健康保険・厚生年金の標準報酬月額には原則として含まれます。現金支給、定期券の現物支給、複数月分の一括支給でも基本は同じで、一括支給分は対象月数で割って各月へ算入します。
ただし、通勤手当が増えた金額へ直接保険料率をかけるのではありません。基本給や各種手当との合計を等級へ当てはめるため、同じ等級内なら健康保険・厚生年金の控除額は変わりません。入社時、4月から6月を基にした定時決定、固定的賃金の変動後に要件を満たす随時改定のどれで決まったかを確認しましょう。
撤廃が実施されるまでの現行の月額8.8万円要件では通勤手当を除きますが、加入後の標準報酬月額には含めます。8.8万円要件は2026年10月に撤廃予定でも、通勤手当の社会保険上の扱いがなくなるわけではありません。給与明細と計算が合わないときは、会社へ標準報酬月額、通勤手当の月額換算、適用開始月を確認し、必要に応じて年金事務所や加入先の健康保険へ相談してください。

