会社から突然「来月から給料を下げる」と言われたら、その場で同意しなければならないのでしょうか。
結論からいうと、給料の引下げへの同意は拒否できます。会社が、労働契約や就業規則で約束した基本給・固定手当を、本人の同意も適法な変更手続もなく一方的に下げることは原則としてできません。
ただし、拒否しただけで必ず元の給料が維持されるとは限りません。変更後の就業規則に合理性があり、労働者へ周知されている場合や、既存の賃金制度に基づく評価、実際の職務変更を伴う降格などでは、個別に同意していなくても給料が下がることがあります。
また、「最低賃金以上なら自由に下げられる」「懲戒なら月給の10%まで引ける」も誤解です。最低賃金は下限にすぎず、懲戒減給の10%ルールは、就業規則や処分理由を無視して会社が自由に使える枠ではありません。
| 給料が下がった理由 | 主な判断 | 最初に見る資料 |
|---|---|---|
| 「業績が悪いから」と突然一律カット | 同意または合理的な就業規則変更がなければ無効の可能性 | 労働条件通知書、旧新の就業規則 |
| 減額同意書へ署名した | 署名だけで必ず有効とは限らないが、自由意思による同意かを個別判断 | 同意書、説明資料、面談記録 |
| 就業規則・賃金規程を変更した | 変更の合理性と周知が必要 | 変更前後の規程、説明資料 |
| 評価・降格で等級が下がった | 既存制度の根拠、評価の公正さ、実際の職務変更を確認 | 賃金表、評価表、辞令、仕事内容 |
| ミスや遅刻への懲戒減給 | 懲戒根拠と処分の相当性、労基法91条の上限を確認 | 就業規則、懲戒通知、勤怠 |
| 減額後に最低賃金を下回った | 合意があっても最低賃金未満の部分は無効 | 給与明細、年間所定労働時間 |
この記事では、2026年8月31日時点の公式情報を基に、同意を断る方法、就業規則変更の判断、懲戒減給の上限、最低賃金の計算、差額請求、退職時の失業給付の扱いまで解説します。
結論|同意なしの減給は原則不可だが、例外もある
厚生労働省掲載の労働契約法第8条は、労働者と使用者が合意することで労働条件を変更できると定めています。給料も重要な労働条件なので、個別の労働契約を変更するなら労使の合意が原則です。
一方、第9条は、会社が労働者の合意なく就業規則を変更し、労働条件を不利益に変えることを原則として認めていません。ただし第10条により、変更に合理性があり、変更後の就業規則が周知されているときは、個別同意がなくても変更が適用される場合があります。
そのため、「同意していないから必ず無効」「就業規則を変えたから必ず有効」のどちらも正確ではありません。
拒否できるのは「同意すること」
会社から減額同意書を渡されたとき、内容に納得できなければ、その場で署名する義務はありません。金額、開始日、期間、理由、根拠規程、元の給料へ戻す条件を確認し、書類の写しを受け取ってから判断できます。
ただし、就業規則変更が労働契約法10条の要件を満たす場合は、本人が同意書への署名を拒んでも適用される可能性があります。拒否と変更の有効性は別問題です。
減額後の給料を黙って受け取らない
厚生労働省「知って役立つ労働法」は、引き下げられた給料をただ黙って受け取ると、同意があったとみなされるおそれがあるため、気になる場合は会社へ問い合わせるよう案内しています。
減額後も働き続ける場合は、なるべく早く「現時点では減額へ同意していない」「従前条件との差額を確認してほしい」とメールなど記録が残る方法で伝えてください。給料を受け取ること自体を拒む必要はありません。
給料を下げる4つのルート|自分はどれか確認する
1.本人との個別合意
会社が理由と条件を説明し、本人が自由な意思で同意すれば、将来に向けて給料を変更できます。ただし、就業規則に月給30万円と定めているのに、個別合意だけで25万円へ下げるなど、就業規則の基準を下回る労働条件は認められないことがあります。
また、厚生労働省の就業規則変更Q&Aは、賃金などの不利益変更への同意について、署名の有無だけでなく、不利益の内容・程度、署名に至った経緯、事前の情報提供や説明、自由意思に基づいたかを慎重に判断する必要があると説明しています。
2.就業規則の不利益変更
個別同意を得ず、賃金規程や就業規則を変更する場合は、次の事情を総合して合理性を判断します。
- 労働者が受ける不利益の程度
- 給料を変更する必要性
- 変更後の内容が相当か
- 労働組合や労働者との交渉状況
- 代償措置、経過措置など変更に関する事情
厚生労働省の労働契約ポータルも、合理的で周知された就業規則変更なら、労働者と合意せず労働条件を変更できる場合があると示しています。
就業規則を労基署へ届け出た、過半数代表者から意見を聴いた、社内説明会を開いたという事実だけで、減給の合理性が自動的に認められるわけではありません。
3.既存の評価制度・賃金表による変更
あらかじめ周知された評価制度や賃金表があり、評価結果に応じて等級や給料が上下する仕組みなら、その制度に基づく減額は、毎回新しい同意が必要な「契約変更」とは異なる場合があります。
ただし、評価基準が不明、事実と違う評価、特定の人だけへの恣意的な運用、減額幅が制度上の範囲を超える場合は別です。評価表、面談記録、賃金表、異議申立手続を確認します。
4.懲戒処分としての減給
ミス、無断欠勤、規律違反などを理由に「罰」として減給する場合は、就業規則に懲戒事由と処分の種類・程度が定められ、労働者へ周知されていることが前提です。さらに、処分には客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。
懲戒減給には、後述する労働基準法91条の金額上限もあります。
理由別|給料を下げられたときの判断
「会社が赤字だから全員10%カット」
業績悪化だけで、会社が明日から自由に基本給を下げられるわけではありません。厚生労働省「突然の給与カット通告は、労基法に違反しますか?」は、合意がなく、合理的な就業規則変更もないまま労働条件通知書より少ない給料を払えば、賃金の一部不払いになる可能性があると説明しています。
会社の経営資料、減額の対象者、期間、減額幅、役員報酬削減など他の回避策、回復条件、経過措置が示されているかも確認材料になります。
人事評価が低いから基本給を下げる
評価で給料が変動することを賃金規程が明確に定め、基準どおり公正に評価されたなら、減額が直ちに違法とはいえません。一方、評価制度に減給の根拠がない、基準を後から作った、説明と評価結果が食い違う場合は、会社へ根拠を確認してください。
降格して役職手当を外す
実際に管理職から外れ、責任や権限も変わり、賃金規程で役職者だけを支給対象としているなら、役職手当がなくなる場合があります。
反対に、肩書だけを下げて同じ仕事・責任を続けさせる、規程にない理由で手当だけ外す、制裁目的で賃金だけ下げる場合は、通常の人事異動ではなく労働条件変更や懲戒減給として検討する必要があります。厚生労働省のモデル就業規則の解説も、職務内容や責任を変えず賃金だけ下げる降格処分には、減給制裁の規制が及び得ることを示しています。
欠勤・遅刻した時間分を引く
実際に働かなかった時間分の賃金を、契約や規程に従って払わない「ノーワーク・ノーペイ」の処理は、通常は懲戒減給ではありません。ただし、遅刻5分に対して30分分を一律に引くなど、働かなかった時間を超えて差し引く部分は別問題です。
欠勤控除に加えて罰として減給するなら、超過部分は懲戒処分として根拠と上限を確認します。
給料の減額を告げられても、その場で退職を決める必要はありません。辞める前に会社への確認、相談先、失業給付や職業訓練の選択肢を整理しておくと、手続きの取りこぼしを防げます。

「10%までなら減給できる」は誤解|懲戒減給の上限
労働基準法第91条は、就業規則で懲戒として減給を定める場合に、次の2つの上限を設けています。
- 1回の事案:平均賃金1日分の半額まで
- 複数事案の合計:1賃金支払期の賃金総額の10分の1まで
これは「会社は理由を問わず月給の10%まで自由に下げられる」という規定ではありません。懲戒規定、周知、処分理由、手続き、処分の相当性を満たしたうえでの金額上限です。
月給30万円・平均賃金1万円の例
| 判定 | 計算 | 上限 |
|---|---|---|
| 1回の規律違反 | 平均賃金1万円×1/2 | 5,000円 |
| その給与期間の複数処分合計 | 賃金総額30万円×1/10 | 3万円 |
規律違反が1件なら、3万円ではなく5,000円が上限です。複数の規律違反があっても、その給与期間に実際に減らせる合計は3万円を超えられません。
長崎労働局の減給制裁Q&Aも、1回の額と1賃金支払期の合計額の両方に上限があると説明しています。
減給後でも最低賃金を下回ることはできない
本人が給料の引下げへ同意した場合や、就業規則変更が有効な場合でも、最低賃金を下回る部分は無効です。ただし、最低賃金以上であることは、労働契約上の減給まで有効にする理由にはなりません。
月給者の計算式
最低賃金の対象となる月給額×12か月÷年間総所定労働時間
または、月平均所定労働時間が分かる場合は、対象月給額を月平均所定労働時間で割って確認します。実際に適用されるのは勤務先の地域別最低賃金と、対象業種であれば特定(産業別)最低賃金です。両方が適用される場合は、金額の高い方と比較します。
厚生労働省「最低賃金制度とは」と都道府県別最低賃金一覧で、勤務地の額と発効日を確認してください。全国加重平均や審議会の目安額が、そのまま全員へ適用されるわけではありません。
最低賃金の計算から除く賃金
最低賃金特設サイト「最低賃金の対象となる賃金」によると、次の賃金は原則として最低賃金との比較から除きます。
- 賞与など1か月を超える期間ごとに支払う賃金
- 臨時に支払う賃金
- 所定労働時間を超える労働に対して支払う賃金
- 所定労働日以外の労働に対して支払う賃金
- 深夜労働の賃金のうち、通常の労働時間の賃金計算額を超える部分
- 精皆勤手当
- 通勤手当
- 家族手当
総支給20万5,000円でも最低賃金を割る例
次は説明用の仮定です。実際の最低賃金は勤務地と発効日で確認してください。
- 適用最低賃金:時給1,200円と仮定
- 月平均所定労働時間:160時間
- 減額後の基本給:18万円
- 通勤手当:1万5,000円
- 家族手当:1万円
- 総支給:20万5,000円
通勤手当と家族手当は比較から除くため、対象額は18万円です。
18万円÷160時間=時給1,125円
仮定した最低賃金1,200円を75円下回ります。必要な対象月給額は1,200円×160時間=19万2,000円なので、この条件では少なくとも月1万2,000円の不足です。
神奈川労働局の月給制計算例でも、精皆勤手当・家族手当・通勤手当を除いて時間額へ換算しています。
給料が下がった後も在職を続けながら転職準備をしたい場合は、夜間・オンライン・短時間の職業訓練も選択肢になります。

すでに同意書へサインしたら取り消せる?
署名したから必ず有効、いつでも簡単に取り消せる、のどちらとも一律にはいえません。
厚生労働省の労働条件引下げに関する裁判例では、賃金・退職金の不利益変更への同意について、自由意思に基づいて行われたと認める合理的な理由が客観的にあるかという観点からも判断すると整理されています。
次の事情を時系列で整理してください。
- 減額幅と生活への影響
- 一時的な減額か、期限のない減額か
- 署名前に金額・期間・理由を説明されたか
- 考える時間や相談する機会があったか
- 署名しなければ解雇すると迫られたか
- 同意書や説明資料の写しを受け取ったか
サイン済みの場合は、自己判断で文書を破棄したり無断欠勤したりせず、同意書と説明経緯を持って総合労働相談コーナーや専門家へ相談してください。
減給が無効なら差額はいくら請求できる?
同意も有効な就業規則変更もなく、約束した給料より少ない額しか支払われなかった場合は、差額賃金の問題になります。
月給30万円から27万円へ下げられた例
- 従前の月給:30万円
- 減額後の月給(税・社会保険料などの控除前):27万円
- 1か月の差額:3万円
- 6か月分:3万円×6か月=18万円
減給が無効なら、18万円が差額請求の対象になり得ます。ただし、就業規則変更や評価処分の有効性、各手当の支給条件などで結論は変わります。
賃金請求権は各給料日から原則3年
厚生労働省の賃金請求権Q&Aによると、賃金請求権の消滅時効は法律上5年へ延長されましたが、当分の間は3年です。
「減給を言い渡された日から全額まとめて3年」ではなく、原則として毎月の給料支払期日から、それぞれの差額について時効が進みます。古い月から順に期限が来るため、早めに確認してください。
会社へ確認する前に保存する証拠
- 労働契約書、労働条件通知書
- 減額前後の給与明細、銀行の入金記録
- 変更前後の就業規則、賃金規程、賃金表
- 減給通知書、同意書、会社の説明資料
- メール、社内チャット、録音、面談メモ
- 評価表、評価基準、評価面談の記録
- 降格辞令、役職・仕事内容・責任が分かる資料
- 勤怠、シフト、年間所定労働日数・時間
就業規則は、労働者が必要なときに確認できる状態へ周知する必要があります。会社が見せてくれない場合は、規程名と確認したい条項を指定して書面で閲覧を求めてください。厚生労働省の就業規則の閲覧Q&Aでも、会社は労働者が見ようと思えばいつでも見られる状態にする必要があると案内しています。
減給へ同意しないときの伝え方
まず根拠と計算方法を文書で聞く
○月分からの基本給・手当の減額について、根拠となる労働契約、就業規則または賃金規程の条項、変更理由、適用開始日、減額期間および計算方法を書面でお知らせください。変更前後の規程と説明資料の写しもお願いします。
同意していないことを記録へ残す
現時点では、通知された賃金減額に同意していません。従前の労働条件に基づく支払いと、すでに減額された分の差額確認をお願いします。本連絡後も就労し、支給された給料を受領しますが、それによって減額へ同意する趣旨ではありません。
感情的な言葉を加えず、何へ同意していないのか、どの資料を求めるのか、差額をどうしてほしいのかを分けて書きます。メールの送信履歴や会社の返信を保存してください。
署名欄が「受領」と「同意」のどちらか確認する
通知を受け取ったことの確認欄と、減額へ同意する欄は意味が違います。会社から署名を求められたら、文言を読み、同意なのか単なる受領確認なのかを確認します。不明なままその場で署名せず、写しをもらって検討してください。
減給を理由に退職すると会社都合になる?85%未満が境界
ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲」では、賃金が従前の賃金に比べて85%未満へ低下し、その低下を予見できず、減額を理由として離職した場合、特定受給資格者に該当する可能性があります。
以下は、毎月決まって定期的に支給される賃金だけを単純化して比較した例です。残業手当など、業務の繁閑によって変動する賃金は、通常この85%判定の賃金から除いて比較します。
| 減額例 | 従前比 | 数値条件の見方 |
|---|---|---|
| 30万円→24万円 | 80% | 85%未満に該当 |
| 30万円→25万5,000円 | 85% | 「85%未満」ではない |
| 30万円→27万円 | 90% | 数値条件に届かない |
ただし、85%未満になっただけで自動的に「会社都合」になるわけではありません。何を賃金へ含めるか、いつの賃金と比較するか、低下を予見できたか、減額が離職理由になったかをハローワークが資料で確認します。労働局の離職区分確認資料では、出来高払制など契約上通常生じる賃金変動、懲戒や疾病による欠勤、60歳以上の定年退職後に同じ事業主へ再雇用されたことによる低下などは、この基準に該当しないとされています。
退職前に減額通知、減額前後の給与明細、労働契約書、就業規則、会社とのやり取りを保存してください。離職票の離職理由に納得できない場合は、受給手続きの際に資料を示して申し出ます。
会社との交渉後も賃金回復が難しく、退職を考える場合は、すぐ別の求人へ移るか、職業訓練で技能を補ってから職種を変えるかを比較できます。

相談先の使い分け|労基署・労働局・労働審判
| 困っていること | 主な相談先 |
|---|---|
| 個別同意や就業規則変更が有効か分からない | 総合労働相談コーナー |
| 約束した給料が不足している、最低賃金を下回る、懲戒減給の上限超過 | 労働基準監督署 |
| 会社との話合いを第三者に手伝ってほしい | 労働局の助言・指導、あっせん |
| 差額支払いなど強制力のある解決を求めたい | 労働審判、訴訟、弁護士・法テラス |
厚生労働省の総合労働相談コーナーは、賃金の引下げを含む幅広い労働問題について、無料・予約不要で相談を受け、必要に応じて助言・指導やあっせんを案内しています。
労働基準法違反の疑いがあれば担当部署へ取り次がれます。一方、就業規則変更の合理性や同意の有効性は民事上の争いを含むため、労基署だけで最終決着するとは限りません。
会社との交渉や相談を続けながら次の仕事を考える人は、次の求人の基本給・固定手当・昇給制度と、訓練後に狙える初任給を比べてください。

給料を下げられたときによくある質問
Q1.口頭で「来月から給料を下げる」と言われただけでも有効ですか?
口頭通知だけで直ちに有効になるわけではありません。個別合意なのか、就業規則変更なのか、評価・降格なのか、懲戒なのかで要件が違います。理由、金額、開始日、期間、根拠条項を書面で確認してください。
Q2.同意書への署名を断れば元の給料を払ってもらえますか?
個別合意による変更なら、同意を断ることはできます。ただし、合理的かつ周知された就業規則変更などが有効なら、署名がなくても変更される場合があります。異議を記録し、変更根拠を確認してください。
Q3.会社が赤字なら減給を受け入れるしかありませんか?
赤字だけで自由に減給できるわけではありません。個別同意、または合理的で周知された就業規則変更などの根拠が必要です。必要性、不利益の大きさ、経過措置、交渉状況を確認します。
Q4.最低賃金以上なら基本給をいくら下げても合法ですか?
いいえ。最低賃金は下限です。最低賃金以上でも、同意や有効な就業規則変更などがなければ、従前の労働契約との差額が未払いになる可能性があります。
Q5.会社は月給の10%まで自由に減給できますか?
できません。10%は懲戒減給について、複数事案の総額を1賃金支払期の賃金総額の10分の1までとする上限です。1件の上限は平均賃金1日分の半額で、懲戒の根拠や相当性も必要です。
Q6.役職を外されたら役職手当も必ずなくなりますか?
賃金規程上の支給条件を外れ、実際の職務・責任も変わるなら、手当がなくなる場合があります。同じ仕事と責任を続けるのに手当だけ外された場合は、根拠と目的を確認してください。
Q7.パート・アルバイトも一方的な時給引下げを拒否できますか?
雇用形態にかかわらず、労働条件変更は合意が原則です。合理的な就業規則変更などの例外はありますが、最低賃金を下回る時給へ同意しても、その部分は無効となり、最低賃金額と同じ定めをしたものとみなされます。
Q8.減額後の給料を受け取ったら同意したことになりますか?
受領だけで必ず同意になるとは限りません。ただし、黙示の同意を主張されるおそれがあるため、納得していない場合は早めに書面で異議を伝え、会社の返信も保存してください。
Q9.同意を断ったら解雇されますか?
同意を拒んだだけで、解雇が自動的に有効になるわけではありません。厚生労働省の解雇ルールが示すとおり、解雇には客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。解雇を示唆された場合は、発言記録と通知書を保存して早めに相談してください。
Q10.就業規則を会社が見せてくれない場合はどうしますか?
メールなどで、就業規則と賃金規程の変更前後、減給根拠となる条項の閲覧・写しを求めます。確認できない状態が続く場合は、その記録を持って労基署や総合労働相談コーナーへ相談してください。
Q11.減給が85%未満なら必ず会社都合退職ですか?
必ずではありません。賃金比較、予見可能性、離職理由などをハローワークが確認します。30万円から24万円は数値上80%ですが、それだけで自動決定されないため、減額通知と給与明細を持参してください。
Q12.相談したことを理由に不利益な扱いを受けませんか?
個別労働紛争解決制度の助言・指導やあっせんを利用したことを理由に、会社が解雇その他の不利益な取扱いをすることは禁止されています。相談前後の会社の対応も記録してください。
まとめ|拒否だけで終わらせず、根拠・差額・最低賃金を確認する
給料の引下げへの同意は拒否できます。会社が個別同意も適法な変更根拠もなく、約束した基本給や固定手当を一方的に下げることは原則としてできません。
ただし、合理的で周知された就業規則変更、既存の評価制度、実際の職務変更を伴う降格、懲戒処分では結論が変わります。最低賃金以上かだけで判断せず、次の順番で確認してください。
- 減額前の労働条件と給与明細を保存する
- 変更理由、開始日、期間、根拠条項を書面で聞く
- 同意していなければ早めに異議を記録する
- 従前との差額と最低賃金を計算する
- 解決しなければ労基署・労働局・労働審判を使い分ける
退職を選ぶ場合も、減額通知や給与明細を捨てず、離職理由の確認に使ってください。次の会社で同じ問題を避けるには、求人の総支給額だけでなく、基本給、固定手当、評価制度、試用期間、昇給条件まで書面で確認することが大切です。

