雇用保険に入った後でシフトが減っても、実際の勤務が1週だけ20時間未満になっただけで、すぐに資格を失うわけではありません。2026年の現行制度では、契約上の週所定労働時間が恒常的に20時間未満へ変わった日に資格を失うのが原則です。
一方、20時間以上へ戻る前提の一時的なシフト減なら、資格喪失の手続きは原則不要です。目安はおおむね6か月以内ですが、「6か月までは必ず加入できる」という一律の猶予ではありません。変更後の契約、減少理由、元の時間へ戻る予定を合わせて判断します。
| 勤務時間が減った状況 | 雇用保険の扱い |
|---|---|
| 週24時間契約のまま、閑散期の数週間だけ実働16時間 | 直ちには外れないのが原則 |
| 9月1日から週18時間契約へ恒常的に変更 | 9月1日に資格喪失。8月31日が資格の最終日 |
| 週20時間以上へ戻る予定で、おおむね6か月以内の一時短縮 | 資格を継続できる可能性が高い |
| シフト制で契約書に週の時間が書かれていない | 勤務実績などから平均を出し、雇用実態で判断 |
| 育児・介護のため一時的に週20時間未満 | 復帰条件を就業規則等で確認できれば継続できる場合あり |
この記事では2026年8月30日時点の制度を基に、資格喪失日、一時的なシフト減との違い、月単位・シフト制の時間計算、会社の届出、在職したまま失業給付を申請できる条件、2028年10月の改正まで解説します。
週20時間未満になったら雇用保険を外れる日はいつ?
恒常的な契約変更なら「20時間未満になった日」に資格喪失
厚生労働省の2026年8月版・雇用保険業務取扱要領では、労働条件の変更などにより1週間の所定労働時間が20時間未満となった場合、その日に被保険者資格を失う取扱いです。
たとえば、8月31日まで週24時間、9月1日から期間を定めず週18時間へ変更した場合は、8月31日が雇用保険に入っていた最後の日で、9月1日が資格喪失日です。退職していなくても、雇用保険上はこの変更を「離職」として扱います。
会社が手続きをした日や、離職票が自宅へ届いた日にさかのぼって資格を失うのではありません。基準になるのは、週20時間未満の労働条件へ変わった日です。
1週だけ実働19時間でも自動的には外れない
判定するのは、毎週のタイムカード上の実働時間だけではありません。週24時間契約の人が、祝日、欠勤、有給休暇、閑散期のシフト減などで一時的に19時間になっても、それだけで契約上の週所定労働時間まで19時間へ変わったとは限らないからです。
反対に、実際は働き続けていても、労働条件通知書や契約変更書で「今後は週18時間」と変更したなら、雇用関係を続けながら資格を失うことがあります。
週20時間は実働ではなく「所定労働時間」で判断する
まず雇用契約書・労働条件通知書の通常週を見る
雇用保険の一般的な加入要件は、31日以上の雇用見込みがあり、週所定労働時間が20時間以上であることです。ハローワーク公式の雇用保険FAQでも、本人や会社の希望で加入・脱退を選ぶ制度ではないと案内しています。
所定労働時間とは、就業規則、雇用契約書、労働条件通知書などで、通常の週に勤務することになっている時間です。残業時間は加えません。祝日や夏季休暇がある例外的に短い週だけを取り出して判定するものでもありません。
月単位なら「月の所定時間×12÷52」で換算する
大阪ハローワークの週所定労働時間に関する資料を基にすると、週単位で時間が決まっていない場合の主な計算方法は次のとおりです。
| 契約上の決め方 | 週所定労働時間の計算 | 例 |
|---|---|---|
| 月単位 | 月の所定時間×12÷52 | 月87時間なら約20.07時間 |
| 年単位 | 年の所定時間÷52 | 年1,040時間なら20時間 |
| 短期的・周期的に変動 | 周期内の加重平均 | 週16時間と24時間を交互なら平均20時間 |
| 時間未確定のシフト制 | 勤務実績から平均を算定 | 直前まで時間が決まらない場合 |
月86時間なら、86×12÷52=約19.85時間です。月87時間なら約20.07時間となります。ただし、特定の月だけ夏季休暇で短い、繁忙期だけ長いといった場合は、通常月を基に計算します。
契約と実態が大きく違うときは両方を確認する
厚生労働省の2026年6月改正版「シフト制労働者の雇用管理を適切に行うための留意事項」では、契約上の所定時間が決まっていない場合や、契約内容と勤務実態が大きく違う場合は、勤務実績を基に平均時間を算定して判断するとしています。
「週20時間」と契約書にあるのに、実際は長期間ほとんど勤務していない場合も、契約書の数字だけで必ず加入継続とは断定できません。逆に、契約上は時間が未確定でも、通常は週20時間以上働いている実態が続けば、加入対象と判断される場合があります。
シフト表、タイムカード、給与明細、契約更新時の書面をそろえ、契約と実態のどちらが通常の働き方を表しているかを会社とハローワークに確認してください。
一時的なシフト減なら直ちに雇用保険を外れない
目安はおおむね6か月以内と「20時間以上へ戻る予定」
東京ハローワークの被保険者Q&Aでは、週20時間未満への変更が臨時的・一時的な場合、資格喪失手続きは不要としています。一般的な目安はおおむね6か月以内です。
ただし、大切なのは期間だけではありません。次の事情を合わせて確認します。
- 週20時間以上の元の労働条件へ戻ることが前提になっている
- 戻る時期や条件を会社が説明できる
- 期間限定の繁閑差、事業縮小、本人の一時的事情など、短縮理由が明確である
- 労働条件通知書、覚書、就業規則、シフト作成方針などで確認できる
「とりあえず様子を見る」「忙しくなれば戻すかもしれない」だけで、半年間の加入が保証されるわけではありません。戻る見込みがなくなり、恒常的に20時間未満となることが明らかになった時点で、資格喪失の確認が必要です。
育児・介護の短時間勤務には長い例外がある
育児や介護のため週20時間未満へ短縮しても、20時間以上へ復帰する前提を就業規則などの書面で確認できる場合は、一般的な6か月の目安を超えて資格を継続できることがあります。育児は子が小学校へ就学する時期まで、介護は介護の必要がなくなるまでが対象になり得ます。
一時的なシフト減で現在の仕事を続けるなら、空いた時間を学び直しに使う方法もあります。パートや契約社員のまま利用できる訓練と、夜間・土日・オンラインの選択肢を確認できます。

資格を失うと会社は離職票の手続きをする
資格喪失届は翌日から数えて10日以内
厚生労働省の雇用保険手続き一覧では、会社は被保険者でなくなった事実があった日の翌日から起算して10日以内に、資格喪失届を提出することになっています。
これは、本人の手元へ離職票が10日以内に届くという意味ではありません。会社の作成、ハローワークの処理、会社から本人への交付に時間がかかるため、必要なら会社へ発送予定日も確認してください。
退職していなくても離職証明書が作られる
週所定労働時間が20時間未満になった場合は「喪失原因2」で手続きをします。本人が離職票を希望しないと明確に申し出ない限り、会社は離職証明書も提出する取扱いです。59歳以上の人は、希望の有無にかかわらず離職証明書が必要です。
離職票には、契約変更前までの賃金、被保険者期間、資格喪失の理由などが記載されます。交付されたら、労働条件の変更日、賃金額、勤務日数、離職理由に間違いがないかを給与明細や契約書と照合してください。
会社が手続きしない場合は本人から確認できる
会社が「退職していないから手続きは不要」と説明する、資格喪失日が分からない、雇用保険料だけ引かれ続けている場合は、まず会社へ資格喪失届の提出日と離職票の要否を確認します。解決しないときは、雇用契約書、労働条件通知書、シフト表、給与明細を持ってハローワークへ相談してください。
在職したまま失業保険を申請できる場合がある
週20時間以上の仕事を探す意思と能力が必要
秋田労働局の「雇用契約の変更により資格を喪失された方へ」では、週20時間未満の契約で今の事業所に残りながら、失業給付の受給手続きを相談できると案内しています。
ただし、自動的にもらえるわけではありません。原則として次の条件を確認されます。
- 基本手当の受給資格に必要な雇用保険の加入期間がある
- 週20時間以上の雇用保険対象の仕事へ就く意思がある
- その仕事に就ける能力・状態である
- ハローワークで求職申込みをし、求職活動を行う
- 現在の勤務日、勤務時間、収入を正しく申告する
「今の週18時間の仕事だけを続け、別の仕事は探さない」という状態では、週20時間以上の仕事へ就く意思を確認できないため、基本手当の対象にはなりません。65歳以上で資格を失った人は、原則として基本手当ではなく高年齢求職者給付金の確認になります。
契約変更後の労働条件通知書を持参する
受給手続きを相談するときは、離職票だけでなく、週20時間未満になったことが分かる変更後の労働条件通知書も持参します。在職中の勤務は失業認定日に申告し、1日の労働時間と収入によって、その日の不支給、繰越、減額などの扱いが変わります。
雇用保険の資格を失っても、利用できる職業訓練がなくなるわけではありません。基本手当を受けられる人と受けられない人では、確認する訓練と給付制度が変わります。

資格喪失までの加入期間はすぐ消えない
週20時間未満になって資格を失っても、それまで加入していた期間が資格喪失日にすべて消えるわけではありません。資格喪失から1年以内に、今の会社で週20時間以上へ戻る、または別の会社で雇用保険へ再加入した場合は、原則としてそれまでの加入期間を通算できます。
一方、雇用保険へ入らない期間が1年を超えると、原則として前の加入期間を通算できません。また、途中で基本手当などの受給資格決定を受けた場合は、前の期間を新しい受給資格へ再利用できないことがあります。
受給手続きを今すぐ行わない場合も、離職票、雇用保険被保険者証、契約変更書は保管してください。基本手当を受けられる期間は原則として資格喪失日から1年間なので、求職を始める時期が遅いと所定給付日数を残す可能性があります。
週20時間未満になった5つの具体例
例1:週24時間契約のまま1か月だけ実働16時間
閑散期のシフト減で、翌月から週24時間へ戻る予定が確認できるなら、直ちに資格喪失するケースではありません。契約書、シフト表、会社からの説明メールを保存しておきます。
例2:9月1日から期間を定めず週18時間へ変更
恒常的な契約変更なので、9月1日に資格を失います。会社は資格喪失届と、原則として離職証明書を提出します。現在の職場に残っても、週20時間以上の別の仕事を探すなら、離職票を使った受給手続きを相談できます。
例3:月80時間契約へ変更
月80時間×12÷52=約18.46時間です。週20時間未満となるため、この契約変更が恒常的なら、変更日に資格喪失となります。「月80時間は週20時間くらい」と概算せず換算してください。
例4:週20時間契約だが実働15時間前後が半年続く
契約書だけを見れば20時間ですが、長期間の実態が通常の働き方になり、20時間以上へ戻る予定もないなら、一時的な減少とは言い切れません。いつから恒常的な変更になったかを、更新書面、シフト実績、会社の説明から確認します。
例5:育児のため週18時間へ短縮
子が小学校へ就学するまでに週20時間以上へ復帰する前提を、就業規則や短時間勤務の合意書で確認できれば、資格を継続できる場合があります。「育児だから必ず継続」ではなく、復帰条件を書面で確認できるかが重要です。
社会保険の週20時間とは別に確認する
雇用保険と、健康保険・厚生年金の社会保険は別制度です。どちらにも「週20時間」という条件が出てきますが、社会保険には会社規模、賃金、学生かどうか、正社員の4分の3以上働くかなど別の判定があります。
雇用保険を外れたから健康保険・厚生年金も同じ日に必ず外れる、とは限りません。会社には「雇用保険」と「健康保険・厚生年金」を分けて、資格喪失日を確認してください。
2つの仕事の時間は通常は合算しない
たとえばA社で週12時間、B社で週9時間働き、合計21時間でも、65歳未満の通常の制度では2社の時間を足して加入要件を判定しません。各勤務先で判断します。
例外は、65歳以上の雇用保険マルチジョブホルダー制度です。厚生労働省の制度Q&Aでは、選んだ2社がそれぞれ週5時間以上20時間未満、合計20時間以上、各社で31日以上の雇用見込みがある場合、本人の申出により特例加入できるとしています。自動加入や過去への遡及ではありません。
会社へ確認する5つの手順
- 変更前後の契約書を並べる
週・月・年のどの単位で所定時間が決まっているか、変更の開始日、終了予定日を確認します。 - 一時的か恒常的かを文書で聞く
20時間以上へ戻る予定日、戻る条件、短縮理由をメールや書面で残します。 - 直近のシフトと給与明細を保存する
契約書に時間がない場合や、契約と実態が違う場合の判断材料になります。 - 資格喪失届と離職票を確認する
資格喪失日、会社の提出予定日、離職票の交付方法を確認します。 - 説明が合わなければハローワークへ持参する
契約書、労働条件通知書、シフト表、タイムカード、給与明細、会社とのやり取りをそろえます。
勤務時間が戻らず退職も考えている場合は、退職日を先に決める前に職業訓練の相談をしておくと、雇用保険の加入期間とコースの募集時期を一緒に確認できます。

2028年10月から加入基準は週10時間以上へ変わる
2026年8月時点では週20時間以上が基準ですが、成立済みの改正により、2028年10月1日から雇用保険の適用対象は原則として週所定労働時間10時間以上へ拡大されます。厚生労働省の改正概要にも施行日と変更内容が示されています。
施行日前から同じ会社で週10時間以上20時間未満の契約で働き続けている人は、原則として2028年10月1日付で新たに加入対象となる予定です。被保険者期間の月数を数える基準も、2028年10月1日以後の離職では11日・80時間から6日・40時間へ変わります。
ただし、31日以上の雇用見込みや学生等の適用除外までなくなるわけではありません。厚生労働省の改正法通達を基に、施行前後に会社の案内を確認してください。2028年9月30日までは、この記事で説明した週20時間基準で判断します。
雇用保険が週20時間未満になったときのよくある質問
Q1.週20時間ちょうどなら加入を続けられる?
20時間「以上」が要件なので、ほかの加入要件も満たせば週20時間ちょうどは対象です。19時間59分なら20時間未満です。
Q2.1週間だけ19時間になったら会社へ届け出る?
通常は、1週の実働だけで資格喪失届を出しません。契約上の所定時間が20時間以上のままか、一時的な減少かを確認します。
Q3.6か月以内なら必ず資格を継続できる?
必ずではありません。おおむね6か月は一時的変更の目安であり、20時間以上へ戻る前提と具体的な見込みが必要です。最初から恒常的な週18時間契約なら、6か月の猶予はありません。
Q4.自分から短時間勤務を希望した場合も外れる?
変更理由が本人の希望でも、恒常的に週20時間未満となれば原則として資格を失います。育児・介護の書面上の復帰前提がある場合は例外を確認します。
Q5.会社が勝手にシフトを減らした場合は?
契約が週20時間以上のままなら、シフト減だけで直ちに資格喪失とは限りません。会社が契約自体を変更したのか、期間限定で勤務を減らしたのかを書面で確認してください。契約どおり働かせてもらえない問題と雇用保険の資格判定は分けて考えます。
Q6.退職していないのに離職票が出るのはおかしくない?
おかしくありません。雇用保険では、週所定労働時間が20時間未満となって資格を失う場合も離職として扱います。雇用契約が続いていても、給付手続きに使う離職票が交付されます。
Q7.資格喪失後も雇用保険料が引かれていたら?
資格喪失日と、給与明細の保険料がどの賃金期間を対象にしているかを会社へ確認してください。資格のない期間の賃金から誤って控除した疑いがあり、会社の説明で解決しない場合は、資料を持ってハローワークへ相談します。
Q8.週18時間の仕事を続けながら失業保険をもらえる?
必要な加入期間があり、週20時間以上の別の仕事へ就く意思・能力があって求職活動を行うなら、受給手続きを相談できます。勤務日、時間、収入の申告が必要で、働き方によって支給額や支給日が変わります。
Q9.2社の勤務を合計して週20時間なら加入できる?
65歳未満は通常、2社の時間を合算しません。65歳以上は、各社週5時間以上20時間未満、2社合計20時間以上などを満たせば、マルチジョブホルダー制度を本人から申請できる場合があります。
Q10.資格を外れた後、同じ会社で週20時間へ戻ったら?
再び週20時間以上となり、31日以上の雇用見込みなども満たせば、会社が資格取得手続きをします。資格喪失から1年以内の再加入なら、受給資格決定を受けていないなどの条件の下で前の加入期間を通算できるのが原則です。
まとめ
- 恒常的に週所定労働時間が20時間未満へ変わった日が資格喪失日
- 1週の実働が20時間未満になっただけでは自動的に外れない
- 一時的な変更はおおむね6か月以内と、20時間以上へ戻る前提を確認する
- 会社は資格喪失日の翌日から10日以内に届出し、原則として離職票も手続きする
- 在職中でも週20時間以上の仕事を探すなら失業給付を相談できる場合がある
- 資格喪失から1年以内に再加入すれば、それまでの加入期間を通算できるのが原則
- 2028年10月1日から加入基準は週10時間以上へ拡大予定
週20時間以上へ戻る見込みがなく、今の働き方を見直すなら、すぐ転職する場合と職業訓練を挟む場合を、求人・不足スキル・生活費の3点で比較してから決める方法があります。


