雇用保険の週20時間に残業は含む?週18時間契約で実働20時間超が続く場合

雇用保険の加入・保険料

雇用保険の加入条件である「週20時間以上」に、通常は残業時間を足しません。

たとえば雇用契約書で週18時間となっている人が、繁忙期に3時間残業して実働21時間になったとしても、

18時間+残業3時間=雇用保険の週21時間

と単純に計算するわけではありません。

雇用保険で基準になるのは原則として1週間の所定労働時間だからです。

ただし、ここで終わりではありません。

契約書では週18時間なのに、

  • 毎週20時間以上働いている
  • 20時間以上の勤務が何か月も続いている
  • 会社から毎週追加勤務を求められている
  • 実際には週20時間以上働くことが通常になっている

といった場合は、契約書の「週18時間」だけで判断されないことがあります。

勤務実態から週20時間以上と判断され、過去に遡って雇用保険の加入対象になる可能性があります。

まず違いを整理すると次のとおりです。

働き方雇用保険の20時間判定
週18時間契約+たまに3時間残業原則18時間で判断
週18時間契約+繁忙期だけ20時間超原則18時間で判断
週18時間契約だが実際は毎週22時間勤務実態で判断される可能性あり
週18時間契約+20時間以上の状態が概ね6か月以上継続遡って加入対象になる可能性あり
契約書は18時間だが実際には20時間以上へ勤務条件を変更している変更時点から加入対象になる可能性あり

「契約書に18時間と書いてあるから絶対に雇用保険には入らない」とは限らない点が重要です。

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雇用保険の週20時間は「実働時間」ではなく「所定労働時間」

現在の雇用保険では、主に次の条件を満たす労働者が被保険者になります。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる

ここでいう「所定労働時間」とは、会社と労働者との間で通常働くことになっている時間です。

たとえば、

  • 月曜日4時間
  • 火曜日4時間
  • 木曜日5時間
  • 金曜日5時間

なら週所定労働時間は18時間です。

金曜日に仕事が終わらず3時間残業して、その週だけ21時間働いたとしても、通常の勤務時間まで21時間に変わったわけではありません。

この場合は基本的に週18時間契約のままです。

残業や休日出勤は週20時間に含めない

ハローワークの雇用保険被保険者資格取得届の説明でも、1週間の所定労働時間について、

  • 就業規則
  • 雇用契約書

などで通常の週に勤務すべき時間と説明されています。

残業や休日勤務は含めません。

たとえば次のケースです。

週18時間+残業4時間

契約上の勤務時間

週18時間

ある週の残業

4時間

実働時間

22時間

この1週間だけを見れば20時間を超えています。

しかし雇用保険の加入条件を、

18時間+4時間=22時間

として判断するわけではありません。

通常の週所定労働時間が18時間なら、基本的には20時間未満です。

「残業」と「所定外労働」は少し意味が違う

パートやアルバイトの場合は、一般的に「残業」と呼んでいる時間が必ずしも法律上の時間外労働とは限りません。

たとえば、

契約時間
1日4時間

実際の勤務
1日5時間

だった場合、契約より1時間多く働いています。

この1時間は「所定外労働」ですが、1日8時間を超えていないため、労働基準法上の法定時間外労働とは限りません。

雇用保険の週20時間を考えるときも、

契約時間を超えて働いた時間がある=すべて週所定労働時間へ足す

とはなりません。

重要なのは、その追加勤務が臨時なのか、それとも通常の働き方になっているのかです。

週18時間契約でも実働20時間超が続けば話が変わる

ここがこの記事で最も重要な部分です。

雇用契約書に週18時間と書かれていても、実際には毎週20時間以上働いている状態が続いている場合があります。

このようなケースでは、契約書だけを見て

「18時間だから雇用保険対象外」

と判断できないことがあります。

厚生労働省のシフト制労働者向け資料でも、労働契約書などの内容と実際の勤務時間にズレがある場合は、実際の勤務時間に基づいて平均労働時間を算定する取扱いが示されています。

つまり雇用保険では書類の数字だけではなく、実際の雇用実態が確認される場合があります。厚生労働省

実働20時間以上が概ね6か月続くと遡って加入する場合がある

大阪ハローワークは「1週間の所定労働時間」の具体例として、次のようなケースを紹介しています。

当初は、

  • 1日4時間
  • 週4日
  • 週16時間

で契約していました。

その後、同じ職場の従業員が退職したため週2日の追加勤務が発生。

結果として、

  • 1日4時間
  • 週6日
  • 実働週24時間

になりました。

契約書は週4日のままです。

欠員補充ができず、この状態が6か月を超えて続きました。

このケースでは、実際の勤務時間が週20時間以上である状態が概ね6か月以上続いていることから、週6日勤務を始めた日に遡って雇用保険を適用する必要があるとされています。都道府県労働局

週18時間契約ならどうなる?

たとえば次のケースを考えてみましょう。

契約上は、

  • 1日6時間
  • 週3日
  • 週18時間

です。

ところが人手不足によって毎週追加勤務が入り、

  • 月曜日6時間
  • 火曜日6時間
  • 水曜日6時間
  • 金曜日4時間

という働き方が続いているとします。

実働は週22時間です。

1~2週間だけなら臨時的な所定外労働として扱われる可能性が高いでしょう。

一方、毎週22時間勤務する状態が何か月も続いていれば、

「本当に通常の勤務時間は18時間なのか」

という問題が出てきます。

概ね6か月以上、週20時間以上の勤務実態が続いている場合は、雇用保険の適用対象として確認される可能性があります。

「6か月働かないと加入できない」という意味ではない

ここは間違えないようにしてください。

「実働20時間以上が概ね6か月」という取扱いは、

6か月経過するまで絶対に雇用保険へ加入できない

という意味ではありません。

契約書が変更されていなくても、会社と労働者の間で実際には勤務条件を変更したと考えられる場合があります。

大阪ハローワークの別の具体例では、

  • 契約書は1日4時間・週4日
  • 3か月経過後から週6日勤務へ変更
  • 契約書だけ変更されていなかった

というケースについて、会社と労働者の間で契約が変更されたと考えることが妥当なら、週6日勤務を始めた日から雇用保険を適用するとしています。都道府県労働局

つまり、

「実態として勤務条件そのものを変更したケース」

と、

「一時的な残業だったものが長期間続いているケース」

では考え方が少し違います。

週18時間契約でも最初から毎週22時間働く予定なら?

たとえば求人では週18時間となっていたものの、入社直後から会社に

「毎週あと4時間出てもらいます」

と言われ、実際に毎週22時間働いているケースです。

しかも翌月以降も22時間勤務することが決まっています。

この場合、

「契約書に18時間と書いてあるから雇用保険には入れない」

と単純には判断できません。

契約書と勤務実態が一致していないためです。

会社と本人との間で週20時間以上働くことが実質的な労働条件になっているのであれば、勤務実態をもとに判断される可能性があります。

「6か月経過するまで待ってください」と決まっているわけではありません。

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繁忙期だけ20時間を超えた場合は?

一方で、短期間だけ勤務時間が増えるケースは別です。

たとえば通常は、

週18時間

で働いている人が、12月の繁忙期だけ、

週23時間

働いたとします。

1月から再び週18時間に戻る予定です。

このような一時的な増加まで含めて「週20時間以上」とするわけではありません。

通常の週に勤務する時間が18時間なら、原則として週所定労働時間は18時間です。

重要なのは、

たまたま20時間を超えたか

ではなく、

20時間以上働く状態が通常の働き方になっているか

です。

毎週2時間だけ残業して20時間になる場合は?

特に判断に迷いやすいケースです。

契約上

週18時間

毎週の残業

2時間

実働

週20時間

という状態です。

数週間だけなら、通常は週18時間契約のままと考えられます。

ただし毎週必ず2時間追加勤務する状態が長期間続いているなら、

「本当に週18時間契約なのか」

を確認する必要があります。

たとえば会社が最初から毎週2時間の追加勤務を予定してシフトを作っているのであれば、単なる突発的な残業とは言いにくくなります。

契約書だけ18時間にして実際には毎週20時間以上働かせている場合は、ハローワークが勤務実態を確認したうえで判断する可能性があります。

シフト制なら契約書に「週18時間」と書いていないこともある

アルバイトやパートでは、

「勤務日はシフトによる」

とだけ書かれているケースもあります。

週所定労働時間が明確に決まっていない場合は、勤務実績をもとに平均の所定労働時間を計算することがあります。

厚生労働省の2026年改訂資料でも、

  • 契約上の勤務時間が明確でない
  • シフトが直前にならないと決まらない
  • 契約書と実際の勤務時間にズレがある

といった場合は、実際の勤務時間に基づいて平均労働時間を算定するとされています。厚生労働省

シフト制だから雇用保険に入らないという制度ではありません。

週20時間「ちょうど」なら加入条件を満たす

雇用保険の基準は、

20時間以上

です。

つまり、

  • 週19時間 → 20時間未満
  • 週19時間30分 → 20時間未満
  • 週20時間 → 20時間以上
  • 週21時間 → 20時間以上

となります。

31日以上の雇用見込みなど、ほかの要件も満たせば週20時間ちょうどでも加入対象になります。ハローワーク

週18時間契約なのに20時間以上働き続けている人が確認するもの

自分が該当しそうなら、まず勤務時間を確認してみましょう。

確認に使えるのは次のようなものです。

  • 雇用契約書
  • 労働条件通知書
  • シフト表
  • タイムカード
  • 勤怠システム
  • 給与明細
  • 会社から追加出勤を依頼されたメールやメッセージ

たとえば6か月分のシフト表を見て、

毎週18時間前後なのか

毎週21~23時間になっているのか

では状況が大きく違います。

単発の残業ではなく恒常的に20時間以上働いているなら、一度会社へ雇用保険の加入状況を確認してよいケースです。

会社から「契約が18時間だから加入できない」と言われたら?

契約内容と実態が一致しているなら、週18時間契約という判断が基本です。

ただし実際には毎週20時間以上働く状態が続いているのであれば、

「契約書が18時間だから対象外です」

だけで終わるとは限りません。

会社に、

「契約上は週18時間ですが、実際には毎週20時間を超えています。現在の勤務実態でも雇用保険の対象外でしょうか」

と確認してみましょう。

解決しない場合は、事業所を管轄するハローワークの雇用保険適用担当へ相談できます。

ハローワークでは本人から雇用保険の加入状況を確認する仕組みも用意されています。ハローワーク

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「2か月連続で20時間以上なら加入」と聞いたけど?

ネットで調べると、

「2か月連続で週20時間以上働くと加入する」

という説明を見かけることがあります。

ここは健康保険・厚生年金と雇用保険を混同しないように注意が必要です。

短時間労働者の健康保険・厚生年金では、契約上20時間未満でも、実労働時間が連続する2か月で週20時間以上となり、その状態が続く見込みなら3か月目の初日に資格を取得するという取扱いがあります。

雇用保険の記事でこの「2か月ルール」をそのまま使うのは適切ではありません。

雇用保険は雇用保険の所定労働時間と勤務実態によって判断します。

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2028年10月から20時間基準は10時間へ変わる

この記事は2026年時点の制度を前提としています。

雇用保険は2028年10月1日から加入要件となる週所定労働時間が、

週20時間以上

から

週10時間以上

へ変更される予定です。

現在は週18時間契約で雇用保険の対象外となる人でも、2028年10月以降は制度上の扱いが変わります。厚生労働省の2026年改訂資料にもこの変更が明記されています。厚生労働省

よくある質問

週18時間契約で毎週3時間残業しています。雇用保険に入れますか?

毎週実働21時間だから自動的に加入するわけではありません。

雇用保険の基準は週所定労働時間なので、通常は残業を含めません。

ただし毎週20時間以上勤務する状態が長期間続いている場合や、実質的に勤務条件が20時間以上へ変更されている場合は、勤務実態をもとに判断される可能性があります。

1週間だけ20時間を超えたら加入しますか?

通常は加入しません。

一時的な残業によって20時間以上になっただけなら、所定労働時間が20時間になったわけではありません。

半年間ずっと週20時間以上働いています

契約書が週20時間未満でも確認したほうがよいケースです。

大阪ハローワークの資料では、実際の勤務時間が週20時間以上の状態が概ね6か月以上続いている場合、20時間以上になった初日に遡って雇用保険を適用する具体例が示されています。

会社が契約書を変更してくれません

契約書だけで判断されるとは限りません。

シフト表やタイムカードなどから契約内容と雇用実態にズレがある場合、ハローワークが実際の勤務状況を確認して判断することがあります。

残業代をもらっていなければ20時間に含まれますか?

残業代が支給されているかどうかと、雇用保険の週所定労働時間の判定は別の問題です。

雇用保険では「通常の週に勤務すべき時間」が何時間なのかを確認します。

まとめ|残業は原則含まないが「毎週20時間超」なら契約書だけで判断しない

雇用保険の週20時間には、原則として残業や休日勤務を含めません。

週18時間契約の人がある週だけ22時間働いても、それだけで雇用保険へ加入するわけではありません。

ただし、

契約では週18時間なのに、実際には毎週20時間以上働く状態が続いている

場合は話が変わります。

特に、

  • 毎週20時間以上勤務している
  • 実態として勤務条件が変更されている
  • 20時間以上の状態が何か月も続いている
  • 契約書とシフト表が一致していない

場合は、勤務実態によって雇用保険の適用が判断される可能性があります。

大阪ハローワークの資料では、所定外労働によって週20時間以上の勤務が概ね6か月以上続いたケースについて、20時間以上働き始めた日まで遡って雇用保険を適用する例も示されています。

「週18時間契約だから関係ない」と決めつけず、恒常的に20時間以上働いているなら雇用契約書と実際のシフトを見比べてみましょう。

参考資料