週20時間未満なのに雇用保険料が引かれているのはなぜ?返金されるケースと確認先

雇用保険の加入・保険料

「週20時間も働いていないのに、給与明細を見ると雇用保険料が引かれている」

この場合、すぐに会社のミスとは限りません。

2026年9月現在、雇用保険は原則として週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上雇用される見込みがある人が加入対象です。

ポイントは「実際に何時間働いたか」ではなく、まず契約上の所定労働時間を見ることです。

そのため、

  • 契約では週25時間だが今月はシフトが少なく週18時間だった
  • 一時的に週20時間未満になっている
  • 近いうちに週20時間以上へ戻ることが決まっている

といった場合は、週20時間未満しか働いていなくても雇用保険の資格が続き、保険料が引かれることがあります。

一方で、

契約そのものが週15時間などへ変更され、今後も20時間未満で働くことになった

のであれば原則として雇用保険の資格喪失手続きが必要です。

その後も雇用保険料が引かれ続けているなら、会社の手続きや給与計算が間違っていないか確認したほうがよいでしょう。

まず違いを整理すると次のようになります。

状況雇用保険料が引かれていてもおかしくない?
契約は週20時間以上だが実働が一時的に20時間未満おかしくない場合がある
一時的なシフト減で20時間未満になった資格を継続する場合がある
シフト制で週によって時間が変わる平均などで判断される場合がある
契約を週20時間未満へ継続的に変更した原則として資格喪失
資格喪失後も雇用保険料を引かれている確認が必要
給与計算の設定ミスで引かれていた訂正・返金の対象になる可能性がある

順番に見ていきます。

雇用保険の週20時間に休憩時間は含む?拘束時間ではなく所定労働時間で計算
雇用保険の加入条件である「週20時間以上」に、休憩時間は含みません。2026年9月現在、雇用保険では原則として「1週間の所定労働時間が20時間以上」であることが加入条件の一つです。この所定労働時間は、始業時刻から終業時刻までの拘束時間-休憩...

「週20時間未満」は実際に働いた時間だけで判断しない

最も多い勘違いが、

「今週は18時間しか働いていないから雇用保険料は引かれないはず」

というものです。

雇用保険の加入条件で見るのは原則として1週間の所定労働時間です。

所定労働時間とは、雇用契約書や労働条件通知書などで通常働くことになっている時間です。

たとえば、

  • 1日5時間
  • 週5日
  • 週25時間

という契約のパートがいたとします。

今月は会社の都合でシフトが少なく、

1週目 15時間
2週目 20時間
3週目 18時間
4週目 20時間

しか働かなかったとしても、契約上の所定労働時間が週25時間のままであれば、単純に「週20時間未満だから雇用保険から外れる」とはなりません。

そのため給与から雇用保険料が引かれていても、それだけで誤徴収とはいえません。

一時的に週20時間未満になっても雇用保険から外れないことがある

契約上の勤務時間が一時的に20時間未満へ変更された場合も、すぐに資格喪失しないケースがあります。

東京ハローワークは、週20時間以上の労働条件へ戻ることを前提とした臨時的・一時的な変更については、資格喪失手続きが不要になる場合があると案内しています。

たとえば、

「仕事が少ないので3か月だけ週15時間。その後は週25時間に戻す」

というケースです。

このような場合は実際には週20時間未満でも、雇用保険の被保険者資格が続いていることがあります。

被保険者である以上、給与から雇用保険料が引かれること自体は不自然ではありません。

つまり、

20時間未満になった=翌月から雇用保険料0円

とは限らないということです。

シフト制では契約書だけで判断できないこともある

シフト制のパートやアルバイトは少し複雑です。

「週○時間」と契約書にはっきり決まっていない職場もあります。

厚生労働省のシフト制に関する留意事項では、労働契約書などに所定労働時間の基本的な考え方が定められている場合はそれに基づいて判断します。

一方、

  • シフトが直前まで決まらない
  • 契約書に具体的な労働時間が書かれていない
  • 契約内容と実際の勤務時間が大きく違う

といったケースでは、実際の勤務時間を基に平均労働時間を算定する場合があります。

そのため、

「契約書には週15時間と書いてあるから絶対に雇用保険対象外」

とも言い切れません。

実際には毎週25時間前後働いているなど、契約と実態が大きく違う場合はハローワークへ確認したほうが確実です。

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契約そのものが週20時間未満になったら原則として資格喪失

一方で今まで、

週25時間

だった契約を、

週15時間

へ変更し、今後もその働き方を続けることになった場合は話が変わります。

2026年9月現在は原則として週の所定労働時間が20時間未満になると雇用保険の被保険者ではなくなります。

会社は雇用保険被保険者資格喪失届を提出する必要があります。

ハローワークの案内でも、所定労働時間が20時間未満になった場合は「喪失原因2」による資格喪失になるとされています。

重要なのは、

会社そのものを辞めていなくても資格喪失する

という点です。

たとえば、

週25時間で勤務
↓
10月1日から契約変更
↓
週15時間で同じ会社に勤務

という場合でも、雇用保険上は資格喪失の手続きが必要になることがあります。

週20時間未満になった後も保険料が引かれていたら返金される?

ここからが本題です。

本来は雇用保険の被保険者ではなかった期間について給与から雇用保険料が控除されていたのであれば、会社側で資格や給与計算を確認し、誤りであれば訂正する必要があります。

厚生労働省は、雇用保険の保険料について「被保険者でない者の賃金は除く」としています。

そのため、

「資格を失った後も何か月も雇用保険料を引き続けていた」

というケースなら確認が必要です。

ただし給与明細だけを見て、

「返金してください」

と判断するのではなく、先にいつ雇用保険の資格を失ったことになっているのかを確認しましょう。

返金される可能性があるケース① 資格喪失後も給与計算の設定が残っていた

比較的分かりやすいのが給与計算上のミスです。

たとえば、

7月31日まで 週25時間
8月1日から 週15時間

へ契約変更したとします。

会社も雇用保険の資格喪失手続きを行いました。

ところが給与システムの設定を変更し忘れ、

8月
9月
10月

の給与からも雇用保険料を控除していたとします。

雇用保険の資格を失っているにもかかわらず単純な給与計算ミスで控除していたのであれば、会社へ訂正を求めるケースです。

返金方法は、

  • 次回給与で返す
  • 別途振り込む
  • 給与計算を修正する

など会社によって異なります。

給与担当者へ、

「雇用保険の資格喪失日はいつになっていますか。資格喪失後も給与明細で雇用保険料が控除されています」

と確認すると話が早いでしょう。

返金される可能性があるケース② 会社が資格喪失手続きを忘れていた

もう一つ考えられるのが、会社側の手続き漏れです。

本来は週20時間未満になった時点で資格喪失手続きが必要だったにもかかわらず、会社が何もせず雇用保険料を引き続けていたケースです。

たとえば、

4月から契約を週15時間に変更
↓
会社が資格喪失手続きをしていない
↓
9月になっても雇用保険料が引かれている

というケースです。

この場合はまず、

本当に4月から雇用保険の資格を失う条件だったのか

をハローワークで確認します。

資格喪失日が遡って訂正されることになれば、その結果に合わせて会社側でも給与計算や労働保険料の処理を見直すことになります。

雇用保険では取得・喪失の訂正手続きも用意されています。

返金される可能性があるケース③ 最初から加入条件を満たしていなかった

採用時から、

  • 週15時間勤務
  • 31日以上の雇用予定

という契約だったにもかかわらず、会社が誤って雇用保険へ加入させてしまったケースも考えられます。

2026年9月現在、通常の労働者で週の所定労働時間が20時間未満なら原則として雇用保険の適用対象外です。

そのため本当に加入資格がなかったのであれば、会社からハローワークへ資格取得の取消しや訂正について確認することになります。

その結果「この期間は被保険者ではなかった」と確定すれば、給与から控除していた雇用保険料についても会社側で訂正が必要になります。

ただし次のケースとの違いには注意してください。

会社が雇用保険に入れていなかった|退職後に遡って加入できる?
会社が雇用保険に入れていなかった場合でも、要件を満たせば退職後に遡って加入できる可能性があります。原則2年、保険料を天引きされていた場合の例外、確認請求、必要書類、離職票・失業手当の進め方を解説します。

「会社が雇用保険に入れていなかった=返金」とは限らない

これは反対のパターンです。

給与から雇用保険料は毎月引かれていたのに、会社がハローワークへ資格取得届を提出していなかったとします。

この場合、

「雇用保険に入っていなかったのだから全部返金」

とは限りません。

実際には加入条件を満たしていたなら、本来は雇用保険に加入させるべきだったからです。

厚生労働省によると、会社が資格取得届を出していなかった場合でも、一定の範囲で過去に遡って加入できます。

さらに給与明細などで雇用保険料を天引きされていたことが確認できる場合、2年を超えて遡及できる制度もあります。

つまり、

週25時間働いていた
↓
給与から雇用保険料は引かれていた
↓
会社が加入届を出していなかった

という場合は、

返金して終わりではなく、過去に遡って正しく加入させる

という処理になる可能性があります。

給与明細は捨てずに残しておきましょう。

返金されないケース① 実働だけが週20時間未満

たとえば契約上は週24時間なのに、

今週16時間
翌週18時間

しか働かなかったというだけなら、雇用保険料が引かれていてもおかしいとは限りません。

雇用保険は原則として所定労働時間で判断するためです。

「毎週のタイムカードが20時間を下回っている」

という理由だけで返金対象とは判断できません。

まず雇用契約書や労働条件通知書を確認してください。

返金されないケース② 一時的なシフト削減

会社の都合で、

「3か月間だけ週15時間にする。その後は週25時間に戻す」

といった一時的な変更をした場合も、雇用保険の資格が継続することがあります。

この場合は雇用保険の被保険者のままなので、給与から保険料が引かれていても直ちに誤りではありません。

「今は週20時間未満だから返してください」

とはならない可能性があります。

返金されないケース③ シフト制で平均すると加入対象だった

シフト制では、

第1週 15時間
第2週 25時間
第3週 18時間
第4週 27時間

のように週ごとの勤務時間が変わることがあります。

このような働き方で契約上の労働時間を一律に判断できない場合、勤務実態などを基に確認されることがあります。

一部の週だけを取り出して、

「20時間未満だった」

と判断しないようにしましょう。

まず給与明細より「雇用保険の資格」を確認する

雇用保険料が正しく引かれているか調べるときは、金額より先に自分が現在も被保険者なのかを確認するのが早いです。

確認する順番は次のようになります。

1.雇用契約書・労働条件通知書を見る

まず、

「週何時間働く契約になっているか」

を確認します。

たとえば、

週4日×5時間=20時間

なら加入条件を満たす可能性があります。

一方、

週3日×5時間=15時間

へ正式に契約変更されているなら、資格喪失手続きがされているか確認します。

2.会社の給与・人事担当に資格喪失日を聞く

会社には、

「私の雇用保険は現在も加入中になっていますか」

「資格喪失している場合、何月何日付ですか」

と確認しましょう。

「週20時間未満になったのだから保険料を返してください」

と最初から決めつけるより、資格の状態を確認したほうが話が進みます。

3.マイナポータルで雇用保険の加入記録を確認する

雇用保険の加入状況はマイナポータルから確認する方法もあります。

厚生労働省も、マイナンバーカードがあればマイナポータルで雇用保険の加入記録を確認できると案内しています。

会社から説明された資格取得日や資格喪失日に疑問がある場合は確認してみましょう。

4.分からなければハローワークへ確認する

雇用保険の加入状況そのものについて判断する窓口はハローワークです。

労働者本人が、自分の雇用保険の加入手続きが適正に行われているか確認する制度もあります。

会社へ問い合わせても、

「よく分からない」

「会社では加入扱いになっています」

としか回答されない場合は、ハローワークへ相談したほうが確実です。

厚生労働省では「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会票」を利用して本人が加入状況を照会できる仕組みを設けています。

ハローワークに持っていくとよいもの

週20時間未満になった時期や資格喪失日について相談するなら、できるだけ資料を持参しましょう。

特に確認しやすいのは次の資料です。

  • 雇用契約書
  • 労働条件通知書
  • 契約変更通知書
  • シフト表
  • タイムカード
  • 給与明細
  • 雇用保険被保険者証
  • 雇用保険資格取得等確認通知書
  • 会社から勤務時間変更を伝えられた書面やメール

たとえば、

「4月から週15時間になりました」

だけでは、その変更が一時的なのか継続的なのか分かりません。

「4月1日から週15時間へ契約変更」と記載された労働条件通知書があれば判断しやすくなります。

会社に返金を求めても対応してくれない場合は?

まずハローワークで、

その期間に雇用保険の被保険者だったのか

を確認してください。

ここが確定していない状態では、

「保険料を引かれた」

という給与上の問題なのか、

「雇用保険の資格自体が間違っている」

という問題なのかが分かりません。

ハローワークで資格関係を確認し、本来被保険者ではない期間まで給与から控除されていることが分かった場合は、その結果を会社の給与担当者へ伝えて訂正を求めます。

それでも会社が対応しない場合や、給与からの控除についてトラブルになっている場合は、労働基準監督署や総合労働相談コーナーへ相談する方法があります。

厚生労働省の総合労働相談コーナーでは賃金を含む幅広い労働問題について無料で相談を受け付けています。

「雇用保険料が引かれている=加入している」とも限らない

これも注意したいポイントです。

給与明細に、

「雇用保険 ○○円」

と書かれていたとしても、それだけでハローワーク上の資格取得手続きが完了している証明にはなりません。

労働局も、会社が労働保険料を納付していたとしても、資格取得届をハローワークへ提出していなければ個々の労働者が雇用保険へ加入したことにはならないと案内しています。

そのため、

「毎月雇用保険料を払っているから大丈夫」

と思い込まず、加入記録そのものを確認することも大切です。

特に失業給付を受ける直前になって加入漏れが分かると、手続きが複雑になります。

こんな場合はどうする?ケース別に整理

最後に代表的なケースをまとめます。

状況まず確認すること返金の可能性
契約週25時間、実働週18時間契約上の所定労働時間原則これだけでは返金とはいえない
一時的に週15時間になった20時間以上へ戻る予定資格継続なら返金なし
契約を週15時間へ変更した資格喪失日資格喪失後の控除なら確認が必要
資格喪失済みなのに毎月控除給与計算ミスの有無返金・訂正の可能性あり
最初から週15時間契約資格取得手続きの有無誤加入なら訂正の可能性あり
保険料だけ引かれ加入届なし本来加入要件を満たしていたか返金ではなく遡及加入になる場合あり
会社が説明してくれないハローワークの加入記録ハローワークへ照会
2028年10月、週10~19時間のパートはいつ雇用保険に入る?今働いている人の資格取得日
2028年10月1日から、雇用保険の加入基準が「週20時間以上」から「週10時間以上」に変わります。2028年9月30日までの現行ルールで、週20時間未満になったときの資格喪失日を確認したい場合はこちらです。現行の週20時間基準で資格を外れ...

2028年10月からは週20時間の基準が変わる

この記事は2026年9月時点の制度を基にしています。

現在は原則として週の所定労働時間20時間以上が雇用保険の加入要件です。

ただし制度改正により、2028年10月1日から週10時間以上へ対象が拡大される予定です。

そのため2028年10月以降は、週15時間勤務でも雇用保険に加入する人が出てきます。

「週20時間未満なのに雇用保険料が引かれている」という疑問についても、2028年10月以降は現在と判断基準が変わる点に注意してください。

まとめ|週20時間未満なら「実働時間」より先に資格状況を確認する

週20時間未満しか働いていないのに雇用保険料が引かれていても、すぐに会社のミスとは限りません。

まず確認するのは、実際に働いた時間ではなく週の所定労働時間と現在の雇用保険の資格状況です。

契約上は週20時間以上で、一時的にシフトが減っているだけなら雇用保険の資格が続いている場合があります。

一方で、

契約そのものを継続的に週20時間未満へ変更したのに、その後も雇用保険料を引かれている

のであれば確認が必要です。

確認する順番は、

雇用契約書を見る
↓
会社に資格喪失日を聞く
↓
マイナポータルやハローワークで加入記録を確認する
↓
資格喪失後の誤控除なら会社へ給与の訂正を求める

で構いません。

また、

「保険料を引かれているのに会社が雇用保険へ加入させていなかった」

という場合は、単純な返金ではなく過去へ遡って加入できる可能性があります。

そのため給与明細、雇用契約書、シフト表は捨てずに残しておきましょう。

参考資料