プログラマーの給料が安いと、「努力が足りないのか」「この仕事を続けても生活は楽にならないのか」と不安になります。
でも、今の給与が低いことと、プログラマーという職種の上限は別の話です。担当工程、会社の評価制度、案件の選び方が変わるだけで、同じ経験が別の会社で異なる金額に評価されることはあります。
私は28歳で未経験からプログラマーになり、SES企業で働きました。1年目は月給4万円昇給した一方、2年目の最初の昇給は2,000円。退職を申し出すと6万円の昇給を提示され、その後の転職活動では年収450万〜500万円の提示がありました。これは個人の体験であり、誰でも同じように上がるという意味ではありません。ただ、社内の評価だけで自分の市場価値を決めないことの大切さは実感しました。
先に結論
- 年収と実働時間、担当業務を数字にして「本当に低いか」を判断する
- 成果と希望額を示し、期限を決めて昇給・配属変更を交渉する
- 在職中に求人と選考で外部評価を確かめ、転職か学び直しを選ぶ
プログラマーの給料が安いかは「手取り」だけで決めない
手取りは税金や社会保険料、住民税の状況で変わります。他社と比べるときは、手取りではなく次の4つを並べます。
- 額面年収:基本給、賞与、固定残業代、各種手当を分ける
- 時間単価:年収を実際に働いた時間で割り、長時間労働で見かけの給与が増えていないか見る
- 担当範囲:監視、テスト、実装、設計、顧客調整、リーダー業務のどこまで担うか
- 比較条件:地域、経験年数、技術分野、企業規模、雇用形態が近い求人と比べる
厚生労働省の職業情報提供サイト job tagの「プログラマー」では、令和6年賃金構造基本統計調査を加工した年収は574.1万円、ハローワーク求人の令和6年度平均は月32.9万円と表示されています。ただし、これは「プログラマー等」に対応する職業分類の集計で、平均年齢や経験の異なる人を含みます。自分の適正年収をそのまま示す数字ではありません。
生活がもう苦しいなら、退職前に固定費を確認する
貯金が少ない状態で先に辞めると、給料を上げるための転職で「早く決めないと生活できない」と焦りやすくなります。心身の安全に問題がなければ、月の最低生活費、貯金で持つ月数、退職後の手続きを先に書き出します。

給料が上がりにくい5つの原因
1.実装以外の工程を経験できない
同じ仕様の修正や定型テスだけが続き、設計、データベース、クラウド、運用改善、顧客調整へ範囲が広がらないと、次の求人で語れる材料が増えません。「在籍年数」ではなく「一人で説明・再現できる業務」が増えているかを見ます。
2.評価基準が曖昧
「評価会議で決まった」という説明だけで、昇格条件や賃金テーブルが分からないと、努力の向きが定まりません。次の評価日、必要な成果、昇給幅の目安を上司に確認し、言葉だけではなく記録に残します。
3.SESの契約単価と自分の給与を同じものと考えている
客先が支払う金額は、社会保険料の会社負担、待機・営業・教育・管理の費用、会社の利益を含むため、そのまま給料にはなりません。一方で、担当する業務や責任が増えても長期間給与が変わらないなら、利益配分と評価制度の両方を確認すべきです。SESだから必ず低賃金とは限りません。
4.固定残業代と賞与を外すと基本給が低い
求人票の月給が高く見えても、数十時間分の固定残業代が含まれることがあります。転職先を比べるときも、基本給、固定残業の時間と金額、超過分の支給、賞与の算定基礎を分けて確認します。
5.社内の比較だけで判断している
同僚や上司と比べて給料が高くても、同じ業務を募集する他社より低いことはあります。反対に、インターネット上の高年収事例だけを見て、実際は地域と経験に見合った給与を「低すぎる」と誤解することもあります。近い条件の求人を10〜20件並べると、感情と相場を分けやすくなります。
SESから抜け出す方法1:成果を数字にして給料交渉する
給料交沙は「生活が苦しいから上げてほしい」ではなく、会社に対する貢献と役割の変化を材料にします。
- 以前は指示が必要だったが、今は一人で完了できる業務
- バグ削減、処理時間短縮、自動化、手順書整備などの成果
- 後輩支援、レビュー、顧客対応など増えた責任
- 求人と公的統計から確認した近い条件の賃金範囲
「次回評価までに何を満たせば、いくらの昇給を検討できるか」まで質問します。漠然と「もう少し待って」と言われたら、1〜3か月など自分側の期限を決め、同時に転職準備を進めます。
引き留めの大幅昇給があっても、残るかは別に判断する
私の場合、最初は2,000円の昇給だったのに、退職を申し出した後に6万円の昇給が提示されました。その金額は有難かった反面、評価の納得感は戻りませんでした。残るかどうかは、今回の金額だけでなく、次回以降の評価基準、配属、労働時間、上司との信頼が改善するかで決めます。
SESから抜け出す方法2:在職中に転職活動をして市場価値を確かめる
転職活動を始めることと、転職を決めることは別です。応募しても条件が合わなければ、今の会社に残る選択ができます。在職中に動くと、焦って初めての内定を受けるリスクも下げられます。
私は同業種で5社の面接を受け3社から内定をもらい、年収450万〜500万円が提示されました。このとき初めて、社内の「まだ経験が浅い」という評価と、他社が出す条件が一致しないと分かりました。
会社名より「何を担当できるか」を比べる
SESから自社開発や社内SEへ移れば自動的に成功するわけではありません。自社開発でも運用だけに固定されることはあり、SESでも設計から改善まで経験できる案件はあります。
面接では、入社後半年の担当、コードレビューの方法、設計へ進む条件、待機時の給与、評価と配属を決める人を確認します。「年収が高い会社」ではなく、次の転職でも説明できる仕事が増える会社を選びます。
SESから抜け出す方法3:不足スキルだけを学び直す
現在の経験で応募できる求人があるなら、学校に通い直す前に応募したほうが早い場合があります。特に実務経験がある人は、プログラミングの初歩からやり直すより、求人で足りないと判明した部分に絞るほうが効率的です。
- 実装経験はあるが、Gitとチーム開発の説明が弱い
- 業務系Javaの経験はあるが、Web・クラウドの求人に移りたい
- テスト中心だったため、設計・実装・データベースの作品を作りたい
- 心身や家庭の事情で退職し、生活と就職準備を立て直す必要がある
公的職業訓練のプログラミングコースは、未経験者にとって学習と就職活動の入口になります。ただし、受講すれば自動的に高給のエンジニアになれる制度ではありません。通学期間、対象者、就職先、作品制作、地域の求人を確認してから選びます。

プログラミング以外のIT職種も比較する
コードを書く仕事が合わないと感じるなら、無理にプログラマーの年収だけを追わず、インフラ、テスト・品質保証、テクニカルサポート、Web制作なども比べます。年収だけでなく、仕事内容、求人数、通勤圏、経験の活かしやすさを並べます。

今の会社に残るか転職するかの判断基準
| 確認項目 | 残る余地がある | 転職準備を急ぐ |
|---|---|---|
| 評価基準 | 次の条件と時期を説明できる | 質問しても基準が分からない |
| 給与 | 責任と成果に応じて見直される | 年数と責任が増えても長期間変わらない |
| 案件・工程 | 半年後に経験を広げる道筋がある | 同じ定型作業から移る方法がない |
| 健康 | 休息と睡眠を確保できる | 不眠、動悸、食欲低下などが続く |
| 外部評価 | 他社と大きな条件差がない | 同等の仕事でより良い条件が複数ある |
健康面に問題が出ているときは、年収比較より受診や休養を優先します。「年収を上げるために限界まで頑張る」のではなく、安全に次の選択肢を作ることが目的です。
30日で進める行動プラン
1週目:給与と実績を一枚にまとめる
直近12か月の額面年収、月ごとの実働時間、担当工程、使用技術、数字で説明できる改善を書き出します。ソースコードや顧客情報など、守秘義務のある情報は持ち出しません。
2週目:近い条件の求人を10〜20件比べる
応募条件、担当業務、基本給、固定残業、賞与、リモート条件、転勤、待機時の扱いを表にします。この段階で、現在の経験で応募できる仕事と、足りないスキルが分かります。
3週目:職務経歴書を作り、3〜5社で反応を見る
「開発をした」ではなく、課題、自分の役割、行動、結果の順に書きます。書類が通らないなら、求人選びと説明のどちらが原因かを切り分けます。
4週目:交渉、転職、学び直しを決める
現職の改善条件と他社の条件を並べ、「年収」「実働時間」「次に身につく経験」の3軸で決めます。学び直すなら、先に就職先を定め、その求人に必要な訓練だけを選びます。

プログラマーの給料に関するよくある質問
給料が上がらないのは自分のスキル不足ですか?
スキル不足の場合もありますが、評価制度、配属、求人とのミスマッチが原因の場合もあります。他社の求人と選考で、今の経験に値段がつくかを確かめると切り分けやすくなります。
「3年は我慢すべき」ですか?
3年という年数だけで決める必要はありません。半年後にできる仕事が増えるか、年収は見直されるか、健康を維持できるかで判断します。年数だけが増え、職務経歴書に書ける業務が増えない状態は見直しが必要です。
給料交渉で会社と気まずくなりませんか?
感情的に他人と比べるのではなく、増えた役割、成果、次の評価条件の確認として話します。希望が通らないこともありますが、理由と次の条件が分かれば残るかどうかの材料になります。
次を決めずに辞めてもいいですか?
不眠、動悸、食欲低下などが続くなら、転職活動より受診と休養を優先します。安全に働ける状態なら、基本的には在職中に求人を比較し、生活費と手続きの見通しを作ってから判断するほうが選択肢を保ちやすいです。
経験者でも職業訓練に通う意味はありますか?
現在の経験で目標求人に応募できない理由が明確で、訓練内容がその不足を埋めるなら検討できます。初心者向けの内容が中心なら、実務経験者には遠回りになることがあります。先に目標求人とカリキュラムを照合します。
まとめ:今の給与で自分の価値を決めない
プログラマーの給料が安くてつらいとき、選択肢は「我慢する」か「今すぐ辞める」の二つではありません。
まず年収、実働時間、担当工程、成果を数字にします。次に近い条件の求人を並べ、現職で改善できるかを交渉します。改善の道筋がなければ在職中に転職活動を行い、応募に足りないスキルが明確なときだけ学び直します。
私の体験で最も大きかったのは、転職したこと自体ではなく、社内の評価と市場の評価を分けて考えられるようになったことです。今日はまず、給与明細と12か月分の実働時間を開き、現在地を一枚にまとめてください。



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