教育訓練給付金を不正受給するとどうなる?返還+最大2倍納付・具体例

教育訓練給付金の不正受給と訂正・返還の違いを確認する流れ 教育訓練給付金

教育訓練給付金の不正受給とは、偽りその他の不正な行為により、給付を受けた、または受けようとすることです。給付金をまだ受け取っていなくても、他人に講座を受けさせて自分名義で申請する、実際より高い受講料を申告するなどの不正な申請は処分対象になり得ます。

受給済みの場合は、不正に受け取った額の返還に加え、その額の2倍以下の納付を命じられることがあります。合計負担は最大で不正受給額の3倍相当です。さらに、以後の教育訓練給付が支給されない、詐欺罪など刑事責任を問われる可能性もあります。

一方、単純な記入ミスや、申請後に初めてキャッシュバックが確定したことだけで、直ちに不正受給と決まるわけではありません。誤りや過払いに気づいたら隠さず、申請先のハローワークへすぐ連絡し、訂正・再計算・返還の方法を確認することが重要です。

状況 基本的な考え方 取る行動
申請前に記入ミスへ気づいた まだ正しい内容へ直せる 訂正方法を確認してから提出
申請後に申告漏れへ気づいた 審査中でも放置しない 申請先へ連絡し、追加資料を提出
受給後に返金・補助が判明した 過払いの再計算が必要な可能性 返還金明細書等を用意して申告
虚偽と分かって申請した 未支給でも不正受給処分の対象になり得る 追加の虚偽説明をせず直ちに相談
「間違い」と「偽りを承知した申請」は分けて考えますが、最終判断はハローワークが事実関係を確認して行います。

受給資格や申請条件を勘違いしているだけか確認したい人は、制度全体を先に整理してください。

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教育訓練給付金の不正受給に当たる具体例

他人に受講させて自分名義で申請する

教育訓練給付金は、受給資格を持つ本人が指定講座を受講し、本人が支払った教育訓練経費の一部を受ける制度です。家族や友人に講座を受けさせ、雇用保険期間がある自分の名義で申請することはできません。

厚生労働省の申請注意事項は、受講申込者が他者に講座を受講させ、申込者名義で支給申請した場合、実際に給付を受け取ったかどうかにかかわらず不正受給になると示しています。

修了試験の解答を受け取って申請する

修了に必要な試験について、学校や販売代理店から解答の提供を受けて受験した場合は、修了証明書が交付されても実質的に修了したとは扱われません。その事情を知りながら、虚偽の修了証明書を使って申請すると不正受給になります。

受講料を水増しして申請する

実際に支払った額が20万円なのに、30万円の領収書を使って30万円を教育訓練経費として申告するなど、本人負担を意図的に高く見せる申請は不正です。対象外のパソコン代、試験料、交通費を受講料へ付け替えることも避けます。

割引・現金還付・物品提供を隠す

学校や販売代理店から受講料の一部が戻る、パソコン等が無償提供されるなど、実質的な還元がある場合は、その内容を反映した教育訓練経費で申請する必要があります。還付を知りながら差し引かず、額面どおりの受講料で申請すると不正受給になり得ます。

会社補助や手当を隠す

会社から受講料に充てる補助や手当を受けた場合は、本人の実質負担を確認します。補助の存在を意図的に申告せず、全額を自分で負担したように申請してはいけません。給与、貸付、立替払いなど支払いの性質が分からない場合は、会社の証明と契約書を持って確認します。

就職・資格・賃金上昇の証明を偽る

特定一般や専門実践の追加給付では、資格取得、雇用保険の被保険者となる就職、賃金上昇などを証明します。資格登録日、雇用日、賃金額などを偽った書類で追加分を申請することも、不正な申請です。

調査で虚偽の説明を続ける

ハローワークから受講状況や支払いについて確認されたとき、事実と異なる説明や文書を追加すると問題が大きくなります。厚生労働省は、不正行為があるのに調査・質問へ虚偽の陳述をした場合も納付命令の対象になり得ると案内しています。

不正受給の具体例:厚生労働省「教育訓練給付金支給申請書記載に当たっての注意事項(専門実践教育訓練給付金版)」で、他人受講と修了試験の解答提供に関する具体例を確認できます。

単純ミス・過払い・不正受給の違い

一文字の誤記が直ちに不正受給になるわけではない

口座番号、講座指定番号、受講開始日などを誤って記入しても、誤りに気づいて訂正し、正しい資料を提出するなら、通常はまず補正や事実確認の問題です。ただし、誤りだと分かった後も訂正せず、虚偽の内容を維持すれば扱いが変わり得ます。

受給資格の勘違いと虚偽申告は別

雇用保険の加入期間が足りると思って申請したものの、審査で不足と分かった場合は、通常は支給要件を満たさない申請として判断されます。一方、過去の受給歴を聞かれて意図的に隠す、離職日や加入記録を偽るといった行為は別です。

過払いは原因と対応を分けて確認する

学校の返金や会社補助が申請後に確定し、結果として給付額が多くなった場合は、過払い分の返還が必要になることがあります。過払いが生じたことと、不正受給処分を受けることは同じではありません。いつ事実を知り、知った後にどう申告したかが重要です。

考え方 必要な対応
申請書の日付を1日書き間違えた まず記入ミスとして確認 正しい根拠資料を出して訂正
申請後に5万円の返金が決まった 教育訓練経費の再計算が必要 返金資料を速やかに提出
返金を知りながら隠した 不正受給になり得る 隠し続けず申請先へ申告
他人受講を本人受講として申請 公式に示された不正受給例 未支給でも直ちに相談

不支給理由と不正受給の違いを整理したい場合は、前の記事で支給要件ごとの判断を確認できます。

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不正受給すると返還+最大2倍の追加納付

受け取った額の全部または一部を返還する

雇用保険法は、偽りその他不正の行為で失業等給付を受けた人に対し、政府が支給額の全部または一部の返還を命じられると定めています。教育訓練給付金も失業等給付に含まれます。

不正受給額の2倍以下を追加で納付することがある

返還とは別に、不正受給額の2倍に相当する額以下の納付を命じられることがあります。「2倍を返せば終わり」ではなく、元の不正受給額の返還と追加納付が別にあります。

合計は最大3倍相当になる

不正受給額 返還 追加納付の上限 合計負担の最大
10万円 10万円 20万円 30万円
40万円 40万円 80万円 120万円
100万円 100万円 200万円 300万円
単純化した上限例です。追加納付額は個別の処分で決まり、必ず一律3倍になるという意味ではありません。

返還・納付命令:e-Gov法令検索「雇用保険法」第10条の4で、返還命令と不正受給額の2倍以下の納付命令を確認できます。

受け取る前でも不正申請は処分対象になり得る

「受けた」だけでなく「受けようとした」場合も含む

現行の雇用保険法は、偽りその他不正の行為で教育訓練給付を受けた人だけでなく、受けようとした人も給付制限の対象としています。審査で発覚して振込が0円だったとしても、「お金を受け取っていないから不正ではない」とは言えません。

申請を取り下げれば必ず処分されないとは限らない

虚偽申請後に取り下げた場合の扱いは、提出内容、経緯、発覚時期などを基に判断されます。自分で取り下げ書だけを作るのではなく、申請先へ事実を伝えて指示を受けてください。

学校へ連絡しただけでは申請訂正にならない

学校が領収書や修了証明書を訂正しても、ハローワークへ提出済みの申請内容が自動で変わるわけではありません。申請先にも連絡し、差替えや追加提出の方法を確認します。

将来の教育訓練給付金にも影響する

不正行為の日以後は教育訓練給付が支給されない

雇用保険法は、不正な行為で教育訓練給付を受けた、または受けようとした日以後、教育訓練給付を支給しないと定めています。今回の申請だけが0円になる問題ではありません。

受講開始日前の加入期間が使えなくなることがある

厚生労働省の申請注意事項は、不正に係る受講開始日前の被保険者だった期間がなかったものとみなされ、以後一定期間は別の教育訓練でも給付を受けられなくなると案内しています。

永久に一切受けられないという意味ではない

現行法には、不正行為の日以後に新たに教育訓練給付を受けられる人となった場合は、給付制限にかかわらず支給できる規定があります。ただし、いつ新たな受給資格を満たすかは加入記録や処分内容で変わるため、自己計算せずハローワークへ確認してください。

将来の給付制限:e-Gov法令検索「雇用保険法」第60条の5で、不正行為後の教育訓練給付の制限と、新たに受給資格を満たした場合の扱いを確認できます。

2回目の通常要件と、不正受給後の給付制限は別です。通常の再受給条件はこちらで整理しています。

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刑事責任や調査の対象になることもある

詐欺罪として処罰される可能性がある

厚生労働省の申請注意事項は、偽りの記載による不正受給について、返還・納付命令だけでなく、詐欺罪として刑罰に処せられることがあると案内しています。行政上の返還だけで必ず終了するとは限りません。

報告命令や質問へ虚偽回答しない

雇用保険法には、必要な報告や文書提出をしない、虚偽の報告・文書提出をする、職員の質問へ虚偽の陳述をするといった行為への罰則があります。調査連絡を無視したり、さらに架空資料を作ったりしないでください。

資料を消したり作り直したりしない

申込書、領収書、カード明細、返金連絡、メール、受講記録、提出控えをそのまま保管します。都合の悪い資料を削除する、日付を合わせて作り直すと、事実確認が難しくなります。

学校や販売代理店に勧められても申請者本人が確認する

「家族名義で申請できる」は誤り

「受給資格のある親の名義を使える」「受講者と申請者が違っても大丈夫」と案内されても従わないでください。教育訓練給付金は実際に受講した本人の制度です。

「パソコン無料でも受講料全額が対象」を鵜呑みにしない

現金、商品券、パソコン、タブレットなど名称や形を問わず、受講料の実質的な還元に当たるものは確認が必要です。学校から「領収書は定価で出す」と言われても、教育訓練経費等確認書へ事実を記載し、申請先へ相談してください。

学校が虚偽証明をした場合は連帯納付の対象になり得る

指定教育訓練実施者が虚偽の届出・報告・証明を行い不正受給に関与した場合、受給者と連帯して返還・納付を命じられることがあります。学校が関与していても、申請者本人の不正申請が無かったことにはなりません。

学校側の禁止行為:厚生労働省「教育訓練給付金の講座指定等に関するQ&A」で、不正受給を誘発する還元や虚偽説明などの例を確認できます。

割引・還付・会社補助を正しく申告する方法

申込時の割引は割引後の額で確認する

通常価格30万円から5万円割引され、25万円を支払う契約なら、基本となる教育訓練経費は25万円です。定価へ給付率を掛けません。

領収書発行後の返金は返還金明細書を受け取る

いったん30万円を支払った後に5万円が返金される場合は、学校へ返還金明細書の発行を依頼します。支給申請前なら申請書類へ反映し、支給申請後なら申請先へ追加提出します。

物品提供は価格と教育訓練経費への反映を確認する

受講者全員にパソコンを無償提供し、返却不要とする企画などは、実質還元に当たる可能性があります。学校の広告だけで判断せず、教育訓練明示書、領収書、教育訓練経費等確認書の金額が整合しているか確認します。

会社補助は目的と支給時期を書面で残す

会社からの支払いが受講料補助、貸付、立替払い、資格手当のどれかにより扱いが変わります。就業規則、補助申請書、給与明細、貸付契約を用意し、入学料・受講料へ充てる額を確認します。

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申請前に誤りへ気づいたときの5手順

1.誤っている項目を特定する

氏名、指定番号、受講日、修了、支払額、割引、還付、会社補助、資格取得、就職、賃金のどこが事実と違うかを書き出します。

2.正しい根拠資料をそろえる

学校発行の明示書・領収書・修了証明書、カード明細、返還金明細書、会社資料など、正しい内容を確認できるものを集めます。

3.提出前なら勝手に修正液を使わない

OCR様式や学校発行書類は訂正方法が決まっている場合があります。申請書の作り直しが必要か、学校書類の再発行が必要かを確認します。

4.申請先のハローワークへ事実を伝える

「何が誤りか」「正しい内容は何か」「まだ提出前か」「給付を受け取ったか」を順に伝えます。曖昧に「取り消したい」とだけ伝えず、事実関係を説明してください。

5.訂正後の控えを残す

差し替えた申請書、追加提出した資料、連絡日、担当窓口、返還方法を記録します。口頭連絡だけで終わったと思い込まず、手続きが完了したか確認します。

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申請後・受給後に気づいたときの対処

審査中なら申請先へすぐ連絡する

支給決定前なら、申請日、講座名、指定番号、誤った項目、正しい金額を伝え、補正・差替え・取下げのどれが必要か確認します。学校にも連絡しますが、ハローワークへの連絡を省略しません。

振込後なら使い切る前に返還方法を確認する

給付額の過払いに気づいたら、返還額や納付方法が決まるまで該当額を確保しておきます。自分の判断で国の口座を探して振り込まず、正式な通知・納付書に従います。

学校から後日返金されたら証明を受け取る

返金日、返金額、理由、対象講座が分かる返還金明細書を学校へ依頼します。返金が一部教材や対象外費用だけに関係する場合も、内訳をハローワークへ示して判断を受けます。

不正受給処分に事実誤認があるなら通知を確認する

処分内容や認定された事実に不服がある場合は、通知書に記載された不服申立ての案内を確認します。支給・不支給や給付制限に関する処分は、原則として処分を知った日の翌日から3か月以内に雇用保険審査官へ審査請求できます。

必要書類や返還金明細書の位置づけはこちらの記事で確認できます。

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ハローワークへ伝える内容

伝える項目 内容
本人情報 氏名、被保険者番号、住所、連絡先
講座情報 学校、講座名、指定番号、受講開始日
申請状況 未提出、提出済み、審査中、支給決定、振込済み
誤り 提出内容と正しい事実の違い
金額 支払額、割引、還付、補助、受給額
判明経緯 いつ、何を見て誤りに気づいたか
手元資料 領収書、明細、学校・会社からの連絡

相談例

「8月20日に○○講座の支給申請をしました。申請後の8月25日に学校から5万円のキャッシュバックを受けることが確定しました。申請書には30万円と記載していますが、実質負担は25万円になります。まだ振込前です。追加提出する書類と訂正方法を教えてください」のように、時系列と金額を具体的に伝えます。

不正受給を防ぐチェックリスト

  • 実際の受講者と申請者が同じである
  • 本人が課題・試験を行い、修了基準を満たした
  • 学校発行の証明書に虚偽がない
  • 指定教育訓練実施者の正しい領収書を使っている
  • 割引後の本人負担額を申告している
  • 現金・商品券・ポイント等の還元を確認した
  • 無償提供や返却不要の物品を確認した
  • 会社・自治体の補助を申告した
  • 申請時点の未払い額を含めていない
  • 資格取得・就職・賃金の資料は事実どおりである
  • 申請後の返金・補助も申請先へ連絡する
  • 調査や質問へ事実どおり回答する

教育訓練給付金の不正受給に関するよくある質問

1円でも間違えたら不正受給ですか?

金額の誤りだけで自動的に不正受給と決まるわけではありません。なぜ誤ったか、いつ気づいたか、気づいた後に訂正したかなど、事実関係が確認されます。少額でも放置せず訂正してください。

まだ振り込まれていなければ問題ありませんか?

いいえ。偽りその他不正の行為で給付を「受けようとした」場合も給付制限の対象です。虚偽申請に気づいたら、支給前でも申請先へ連絡します。

申請を取り下げれば不正受給になりませんか?

取り下げだけで必ず処分対象外になるとは言えません。虚偽申請の内容や経緯をハローワークが確認します。事実を隠したまま形式だけ取り下げないでください。

家族名義のクレジットカードで払うのも不正ですか?

家族カードによる支払いと、家族が講座を受講して別人名義で申請することは別問題です。カード名義と本人負担を証明する追加資料が必要になる場合があるため、支払い前に学校とハローワークへ確認してください。

学校が「全額を申請してよい」と言ったら大丈夫ですか?

学校の説明だけで不正申請が正当化されるわけではありません。還付や無償提供がある事実を教育訓練経費等確認書へ記載し、判断が難しければ申請前にハローワークへ確認します。

受給後にキャッシュバックされたらどうしますか?

学校から返還金明細書を受け取り、支給申請をしたハローワークへ速やかに連絡します。実質負担を基に給付額を再計算し、過払いがあれば指定された方法で返還します。

匿名で相談できますか?

一般的な制度説明は匿名で聞ける場合がありますが、自分の申請訂正や返還処理には本人特定が必要です。申請済みなら被保険者番号や申請日を用意して、申請先へ相談してください。

不正受給処分に納得できない場合はどうしますか?

処分通知の理由と認定事実を資料で照合します。事実誤認や法令適用に不服がある場合は、通知の教示に従い、原則として処分を知った日の翌日から3か月以内に雇用保険審査官へ審査請求します。

まとめ|誤りに気づいた時点で隠さず申告する

教育訓練給付金は、他人受講、虚偽の修了、受講料の水増し、還付や物品提供の未申告などにより、給付を受けた場合だけでなく受けようとした場合も不正受給処分の対象になり得ます。

受給済みなら、不正受給額の返還に加えて最大2倍以下の追加納付があり、合計は最大3倍相当です。将来の教育訓練給付が制限され、刑事責任を問われる可能性もあります。

申請内容の誤り、後日の返金、会社補助の申告漏れに気づいたら、資料を消したり説明を重ねたりせず、申請先へ事実と時系列を伝えてください。訂正、再計算、返還、不服申立てのどれが必要かは、正式な案内に従います。

制度・相談先:厚生労働省「教育訓練給付金の支給申請手続きについて」は、受給要件と支給申請について住居所を管轄するハローワークへ問い合わせるよう案内しています。

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