派遣社員に適用される最低賃金は、原則として実際に働く場所である派遣先の事業場の最低賃金です。自宅の住所や派遣会社の本社・支店がある都道府県ではありません。派遣先に地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の両方が適用される場合は、本人も特定最低賃金の対象であれば高い方を使います。
ただし、賃金を支払い、不足額へ対応する雇用主は派遣元です。「基準となる場所は派遣先」「給与の支払責任は派遣元」と分けると混乱しません。
| 確認事項 | 答え |
|---|---|
| どこの最低賃金を使う? | 派遣先の事業場 |
| 賃金を支払う会社は? | 雇用主である派遣元 |
| 不足額を最初に確認する相手は? | 派遣元の給与・派遣担当者 |
| 派遣先の産業に特定最低賃金がある場合 | 本人も適用対象なら地域別と比べて高い方 |
この記事では、2026年8月27日時点の厚生労働省・労働局の情報に基づき、別の県へ派遣される場合、派遣先が変わる場合、複数勤務地、研修・待機、テレワーク、時給・日給・月給の確認方法まで解説します。
結論|最低賃金の基準は派遣先、支払責任は派遣元
派遣先の事業場に適用される金額を使う
厚生労働省「派遣労働者への適用」は、派遣労働者には派遣先の最低賃金が適用されると明記しています。派遣元の所在地にかかわらず、派遣先事業場に適用される金額を確認する必要があります。
最低賃金制度の派遣労働者向け解説にも、派遣先が別の都道府県にある例と、派遣先に特定最低賃金が適用される例が掲載されています。
賃金を払うのは雇用主である派遣元
派遣社員は派遣元と労働契約を結び、派遣先の指揮命令を受けて働きます。厚生労働省の派遣元向け資料では、雇用主、賃金の支払い、社会保険・労働保険、有給休暇、休業手当は派遣元、勤務先と仕事上の指揮命令は派遣先と整理されています。
最低賃金を下回ったときも、派遣先へ直接給与差額を請求するのではなく、まず雇用主である派遣元へ計算根拠と差額を確認します。派遣先の時給水準を基準にするからといって、派遣先が給与の支払者になるわけではありません。
最低賃金法13条が派遣先基準を定めている
最低賃金法13条は、派遣中の労働者について、派遣先の事業と同種の事業に使用される労働者とみなして地域別最低賃金を適用する仕組みを定めています。特定最低賃金についても同法18条に派遣労働者の扱いがあります。
職業訓練後に正社員・契約社員・派遣のどれを選ぶか迷う人は、雇用主と勤務先が分かれる派遣の仕組みも含めて比較してください。

派遣元・派遣先・自宅のどこで決まるか
派遣会社の本社や登録支店の所在地では決まらない
派遣会社へ登録した支店がA県、派遣会社の本社がB県、派遣先がC県なら、原則としてC県の最低賃金を使います。給与明細を発行する部署が別の県にあっても結論は変わりません。
住民票や自宅住所の都道府県でも決まらない
自宅がA県で、県境を越えてB県の派遣先へ通勤する場合はB県です。厚生労働省の最低賃金FAQも、派遣元と派遣先が別の県なら、派遣先事業場がある都道府県の最低賃金を確認するよう案内しています。
同じ県内でも特定最低賃金で差が出ることがある
派遣元と派遣先が同じ都道府県でも、派遣先が鉄鋼業、電子部品製造業など特定最低賃金の対象産業なら、地域別最低賃金より高い額が適用される場合があります。「同じ県だから派遣元の案内額でよい」とは限りません。
請負・業務委託は派遣と同じルールとは限らない
求人に「常駐」「客先勤務」とあっても、契約が労働者派遣とは限りません。請負会社に雇用され、請負会社の指揮命令で働くなら、派遣先という関係自体がありません。業務委託で個人事業主として契約している場合は、最低賃金法の労働者に当たるかが別問題です。契約名だけでなく、雇用契約と指揮命令の実態を確認してください。
地域別最低賃金と特定最低賃金のどちらを使うか
最初に派遣先の地域別最低賃金を確認する
地域別最低賃金は、雇用形態や呼び名にかかわらず、原則としてその都道府県の事業場で働くすべての労働者へ適用されます。派遣先の都道府県と働いた日を確認し、厚生労働省の地域別最低賃金全国一覧で時間額と発効日を見ます。
次に派遣先の産業の特定最低賃金を確認する
特定最低賃金は、都道府県ごとに特定の産業・労働者を対象として設定されます。特定(産業別)最低賃金全国一覧で、派遣先の所在地、産業名、時間額、発効日を確認してください。
両方が当てはまるなら高い方
地域別最低賃金が1,150円、本人に適用される特定最低賃金が1,220円なら、必要なのは1,220円以上です。特定最低賃金の方が地域別最低賃金より低く表示されている場合は、地域別最低賃金を使います。
業種名だけで特定最低賃金の対象と断定しない
特定最低賃金には、産業の範囲だけでなく、18歳未満・65歳以上、雇入れ後一定期間未満で技能習得中の人、軽易な業務など、個別の適用除外が定められている場合があります。除外範囲は最低賃金ごとに異なります。対象外でも地域別最低賃金は残るため、「特定最低賃金の対象外=最低賃金なし」にはなりません。
全国加重平均は自分の判定額ではない
2026年度の中央最低賃金審議会の答申で示された全国加重平均1,176円の見込みは、目安どおりに各地域が改定したと仮定した平均です。派遣社員全員に1,176円が適用されるわけではありません。各都道府県の決定額が発効するまでは現在の適用額を使い、発効後は新額へ切り替えます。
別県へ派遣される場合の具体例
派遣元1,100円・派遣先1,200円なら1,200円が基準
金額を仮定して計算します。派遣元の県が最低賃金1,100円、派遣先の県が1,200円で、派遣社員の時給が1,150円なら、派遣元の県では上回っていても派遣先基準では50円不足します。
| 項目 | 仮の金額 | 判定への使用 |
|---|---|---|
| 派遣元所在地の最低賃金 | 1,100円 | 使わない |
| 派遣先所在地の最低賃金 | 1,200円 | 使う |
| 実際の時給 | 1,150円 | 50円不足 |
月150時間なら不足額は7,500円
(1,200円 − 1,150円)× 150時間 = 7,500円
実際には、最低賃金の対象になる賃金、働いた日、時間外・深夜割増、欠勤などを分けて確認します。不足額の計算は給与明細とタイムカードを基に行い、派遣元へ提示してください。
特定最低賃金1,250円が適用されればさらに変わる
同じ派遣先に本人も対象となる1,250円の特定最低賃金があれば、1,200円ではなく1,250円が基準です。時給1,150円なら1時間100円不足し、150時間で15,000円の差になります。派遣先の県だけでなく産業まで確認する理由はここにあります。
派遣求人の時給を比較するときは、表示額だけでなく、勤務地、仕事内容、交通費、固定残業代、所定時間までそろえて見ます。職業訓練後の求人賃金を見る方法は次の記事で整理しています。

派遣先が変わる・複数現場で働く場合
新しい派遣先で働く日から適用額を確認する
A県の派遣先からB県の派遣先へ変われば、新しい派遣先での就業に適用される最低賃金も確認し直します。派遣契約が更新された日ではなく、どの派遣先でいつ働いたかが重要です。新しい派遣先の額が高い場合、派遣元は不足しない賃金を支払う必要があります。
同じ給与締め期間に複数派遣先があるときは時間を分ける
月の前半はA県、後半はB県など複数の派遣先で働いた場合は、勤務日・時間を派遣先別に分けて確認します。最低賃金法は「その派遣先」を基準にしますが、複数派遣先をまたぐ月給の具体的な按分は賃金構成によって変わります。一律に全時間へ最も高い額を掛ける法定計算と決めつけず、派遣元または労働基準監督署へ確認してください。
同じ時給で契約するなら高い派遣先でも下回らないか確認
どの派遣先でも共通の時給が設定されている場合は、その時給が各派遣先の最低賃金以上かを一つずつ確認します。高い地域・産業の派遣先だけ下回ることがあるためです。派遣先が低い地域へ変わっても、労働契約で約束した時給を派遣元が当然に引き下げられるという意味ではありません。
最低賃金の改定日をまたぐ月も日付で分ける
最低賃金は都道府県ごとの発効日から変わります。給与締め日や次の契約更新日まで旧額でよいわけではありません。締め期間の途中で新額が発効したら、発効日以後の労働は新額以上である必要があります。
時給・日給・月給ごとの確認方法
時給制は時給をそのまま比較
最低賃金の対象となる時給 ≧ 派遣先に適用される最低賃金
深夜・残業の割増込みの時給表示は、通常時間の賃金部分と割増部分を分けます。手取り額ではなく、税金・社会保険料を引く前の対象賃金で確認します。
日給制は1日の所定労働時間で割る
最低賃金の対象となる日給 ÷ 1日の所定労働時間
日給9,000円、所定7時間30分なら時間額は1,200円です。休憩時間は所定労働時間へ含めません。一部の特定最低賃金で日額と時間額の両方が定められている場合は、日給者には日額も確認します。
月給制は1か月平均所定労働時間で割る
最低賃金の対象となる月給 ÷ 1か月平均所定労働時間
厚生労働省の最低賃金チェック方法は、時給・日給・月給・出来高払いごとの換算式を示しています。月ごとの所定時間が異なる場合は、年間総所定労働時間を12で割った平均を使います。
派遣料金やマージン率とは比較しない
派遣先が派遣会社へ払う「派遣料金」は、派遣社員本人の賃金ではありません。派遣料金には派遣会社の社会保険料負担、教育訓練費、諸経費、利益なども含まれます。派遣料金を労働時間で割って最低賃金と比較せず、給与明細に記載された本人の賃金を換算します。
最低賃金に含める手当・含めない手当
基本給と通常の職務手当などは原則含める
最低賃金の判定には、基本給のほか、職務手当、資格手当、地域手当など、除外項目に当たらない通常労働の対価を原則として算入します。基本給だけが最低賃金を下回っていても、算入できる手当を足した時間額が基準以上なら、最低賃金は満たします。
通勤・家族・精皆勤手当は除外する
厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」では、臨時に支払う賃金、賞与など1か月を超える期間ごとの賃金、時間外・休日・深夜の割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当を除外しています。
固定残業代は不足を埋められない
通常賃金と明確に区分された固定残業代は、時間外労働などへの対価なので最低賃金の対象から除きます。「時給換算すると高い」と説明されても、固定残業代込みの総額をそのまま割ってはいけません。通常賃金部分だけで派遣先の最低賃金以上である必要があります。
| 原則算入するもの | 除外するもの |
|---|---|
| 基本給 | 通勤手当 |
| 職務・資格・地域手当 | 家族・精皆勤手当 |
| 通常労働の対価となる月額手当 | 固定残業代・時間外手当 |
| 深夜勤務の通常賃金部分 | 深夜割増部分 |
| ― | 賞与・臨時の賃金 |
勤務地だけでなく、賃金内訳が曖昧な派遣求人にも注意が必要です。入社前に避けたい求人票の特徴は次の記事で確認できます。

研修・待機・移動・テレワークの注意点
派遣先での必須研修や指示待ちは労働時間
派遣先の指示で参加が義務づけられた研修、業務開始前の説明、派遣先で自由に利用できない手待ち時間は、労働時間に当たるのが原則です。研修という名称だけで無給や最低賃金未満にはできません。自由参加で不参加による不利益もない研修は、労働時間に当たらない場合があります。
派遣元で行う派遣前研修は基準事業場を個別確認
派遣元の事務所で派遣開始前に行う研修やガイダンスを、無条件に派遣先の最低賃金で計算するとは限りません。最低賃金法13条は「派遣中」の労働者を派遣先基準とするため、派遣中の業務なのか、派遣元自身の業務・研修なのかで扱いが変わり得ます。ただし使用者が義務づけた労働時間なら賃金は必要です。
研修期間だから地域別最低賃金を下回ってよいわけでもありません。最低賃金の減額には、都道府県労働局長の個別許可を受ける制度がありますが、会社が「研修中」「試用期間中」と呼ぶだけでは減額できません。
会社指示で自由利用できない移動は労働時間になり得る
厚生労働省の日雇派遣の労働条件資料は、集合場所から就業場所への移動でも、指揮監督下にあり自由利用が保障されない場合は労働時間として把握し、賃金を支払う必要があると説明しています。通常の自宅から派遣先までの通勤時間とは分けてください。
次の派遣先が決まらない自宅待機は休業手当の問題もある
派遣元との雇用契約が続いているのに仕事を用意できず、自宅待機を命じられた場合は、最低賃金の時給計算だけではなく休業手当の問題になります。派遣元について「使用者の責に帰すべき事由」があるかを判断し、該当すれば平均賃金の60%以上の休業手当が必要です。勤務中の手待ち時間と、派遣契約終了後の休業を混同しないでください。
在宅派遣は自宅住所ではなく所属する事業場を見る
厚生労働省のテレワークQ&Aでは、テレワーク場所にかかわらず、労働者が属する事業場の都道府県の最低賃金を使うとしています。派遣先の指揮命令で在宅勤務する派遣では、就業条件明示書などに記載された所属する派遣先事業場を確認します。所属先が曖昧な特殊な契約は、派遣元と労働局へ確認してください。
最低賃金と派遣の同一労働同一賃金は別制度
最低賃金はすべての賃金問題を解決する基準ではない
派遣先の最低賃金を上回っていても、派遣社員の賃金がすべて適法・妥当と決まるわけではありません。最低賃金は下限を保障する制度であり、職務、能力、経験、賞与、手当、福利厚生などの待遇を判断する仕組みとは別です。
派遣元は二つの待遇決定方式のどちらかを確保する
厚生労働省の派遣労働者の同一労働同一賃金案内によると、派遣元には「派遣先均等・均衡方式」または「労使協定方式」のいずれかによる待遇確保が求められます。労使協定方式では、同種業務・同一地域の一般労働者の平均賃金と同等以上などの要件があり、最低賃金より高い水準が必要になることがあります。
派遣先社員の時給と自動的に同額になる制度でもない
「派遣先の最低賃金が適用される」と「派遣先の正社員・パートと同じ時給になる」は別の話です。自分がどちらの待遇決定方式の対象か、賃金の決め方、昇給、賞与、通勤手当などについて、派遣元へ説明を求めて確認します。
自分の最低賃金を確認する5ステップ
1|派遣元との労働条件通知書を確認する
雇用主名、時給・日給・月給、手当、所定労働時間、固定残業代、給与締め日を確認します。登録しただけで雇用契約が始まっていない期間と、派遣元に雇用されている期間も分けます。
2|就業条件明示書で派遣先事業場を特定する
派遣先の名称、事業所所在地、就業場所、業務内容、派遣期間、就業時間を確認します。実際の勤務地が書類と違う、複数拠点を行き来する、在宅勤務が混ざる場合は、派遣元へどの事業場に所属する扱いかを書面で聞きます。
3|地域別と特定最低賃金の発効日を見る
派遣先都道府県の地域別最低賃金と、派遣先産業の特定最低賃金を公式一覧で確認します。金額だけでなく発効日、対象産業、適用除外も記録します。
4|給与明細から対象外手当を除いて時間額へ換算する
通勤・家族・精皆勤手当、固定残業代、賞与などを除き、時給・日給・月給に合う公式式で換算します。派遣料金や手取り額を使わないでください。
5|派遣先別・発効日前後で勤務時間を分ける
派遣先の変更や最低賃金の改定をまたぐ場合は、タイムカード・シフト表を基に日付と時間を分けます。自分で確定できない月給・複数現場の計算は、派遣元の給与担当へ計算表を求めます。
最低賃金を下回っていたときの対処法
派遣元へ計算根拠と差額を確認する
連絡先は、派遣元の担当者、給与担当、相談窓口です。「派遣先○県の最低賃金○円が○月○日から適用されると確認しました。給与の対象賃金と時間額換算、差額の計算根拠を書面で教えてください」と伝えます。
証拠になる書類を保存する
労働条件通知書、就業条件明示書、雇用契約書、給与明細、タイムカード、シフト、派遣先変更のメール、振込記録、最低賃金の公式一覧を保存します。派遣先の所在地と業務内容が分かる書類は、地域別・特定最低賃金を判断する資料になります。
最低賃金との差額は請求できる
最低賃金に満たない賃金の合意をしても、不足部分は有効になりません。最低賃金額と同様の定めをしたものとして扱われるため、雇用主である派遣元へ不足差額を求められます。「本人が同意した」「派遣元所在地の最低賃金は満たす」という説明だけで不足は解消しません。
解決しなければ労働局・労働基準監督署へ相談する
最低賃金の金額・計算は、都道府県労働局の賃金課室または労働基準監督署へ相談できます。契約、派遣先、待遇説明など派遣制度の問題もあれば、都道府県労働局の需給調整事業担当へ相談します。一般的な入口は総合労働相談コーナー、夜間・休日は労働条件相談ほっとラインです。
今の派遣条件を確認したうえで、次は何を優先して仕事を選ぶか整理したい人は、給与だけでなく雇用形態、仕事内容、休日、通勤、将来の働き方を並べて判断してください。

派遣社員の最低賃金に関するよくある質問
Q1.派遣社員は派遣元と派遣先どちらの最低賃金ですか?
派遣先の事業場に適用される最低賃金です。派遣元の本社・登録支店の所在地や自宅住所では決まりません。
Q2.給与を払うのも派遣先ですか?
いいえ。雇用主である派遣元が賃金を支払います。基準額は派遣先、支払責任と不足差額への対応は派遣元です。
Q3.派遣元の県の最低賃金を上回っていれば問題ありませんか?
派遣先の最低賃金より低ければ問題があります。派遣元所在地の金額を上回っているだけでは足りません。
Q4.派遣元の最低賃金の方が高い場合は給料を下げられますか?
派遣先の低い最低賃金は法的な下限を示すだけです。すでに労働契約で約束した時給を当然に下げられるという意味ではありません。契約変更の説明と本人の合意などを確認します。
Q5.派遣先に特定最低賃金があれば必ず適用されますか?
産業、業務、年齢、技能習得期間、軽易業務などの適用範囲を確認する必要があります。本人も対象なら、地域別最低賃金と比べて高い方を使います。
Q6.派遣先が月の途中で変わったらどうなりますか?
勤務日・時間を派遣先別に分け、それぞれの事業場に適用される最低賃金を確認します。月給や複雑な手当がある場合は、派遣元または労基署へ計算方法を確認してください。
Q7.派遣先での研修時間も最低賃金の対象ですか?
参加が義務で、派遣先の指揮命令下にある研修は労働時間となり、賃金が必要です。任意参加で不参加の不利益がない研修は労働時間でない場合があります。
Q8.派遣元での研修も派遣先の最低賃金ですか?
派遣中の業務なのか、派遣元自身の研修・業務なのかで基準事業場が変わり得ます。一律に派遣先基準とは断定できないため、研修場所、指揮命令、派遣期間を示して労働局へ確認してください。
Q9.在宅勤務なら自宅の県の最低賃金ですか?
原則として自宅住所ではなく、労働者が属する事業場の都道府県です。在宅派遣では、就業条件明示書に記載された所属する派遣先事業場を確認します。
Q10.通勤手当や固定残業代を時給へ足せますか?
通勤手当と、通常賃金から明確に区分された固定残業代は最低賃金の判定から除外します。総支給額をそのまま所定時間で割らないでください。
Q11.派遣料金が高ければ最低賃金も満たしていますか?
派遣料金は派遣先が派遣元へ支払う金額で、本人の賃金とは別です。給与明細の対象賃金を時給換算して確認します。
Q12.最低賃金を下回ったら派遣先・派遣元どちらへ言いますか?
まず雇用主である派遣元へ、派遣先所在地、適用額、勤務時間、給与明細を示して差額を確認します。解決しなければ労働局の賃金課室・需給調整事業担当や労働基準監督署へ相談してください。
まとめ|派遣先の最低賃金を調べ、派遣元へ確認する
派遣社員の最低賃金は、原則として派遣先の事業場を基準にします。派遣元所在地、自宅住所、給与計算部署の場所ではありません。派遣先の地域別最低賃金と特定最低賃金を調べ、本人に両方が適用されるなら高い方を使います。
一方、給与を支払い、不足差額へ対応するのは雇用主である派遣元です。派遣先が変わる月、複数勤務地、研修、待機、テレワークでは基準事業場と時間を分け、労働条件通知書・就業条件明示書・給与明細・勤怠記録をそろえて確認してください。
最低賃金を満たすかだけで派遣求人の良し悪しは決まりません。同一労働同一賃金の方式、昇給、賞与、交通費、派遣期間後の働き方も派遣元から説明を受け、自分の優先順位に合うか判断しましょう。

