失業保険をもらっても、全員が健康保険の扶養から外れるわけではありません。配偶者など、一般的な「年間収入130万円未満」の基準が適用される60歳未満の人は、基本手当日額が3,611円以下なら扶養に残れる可能性があり、3,612円以上なら基本手当の受給中は扶養を外れます。
ここで見るのは、実際に90日分・120日分として受け取る総額ではありません。原則は基本手当日額×360日で、受給中の収入ペースを今後1年間の見込み収入に置き換えて判定します。一般的な130万円基準では、受給総額が130万円未満でも、日額3,612円以上なら受給中は扶養対象外になります。
扶養を外れる日は初回振込日ではありません。原則として、待期・給付制限後に基本手当の対象となる最初の日、つまり保険者が確認した支給対象開始日です。
| 基本手当日額 | 360日換算 | 健康保険の扶養 |
|---|---|---|
| 3,611円以下 | 129万9,960円以下 | ほかの要件を満たせば残れる可能性 |
| 3,612円以上 | 130万320円以上 | 受給期間中は原則として扶養対象外 |
| 60歳以上・一定の障害者で4,999円以下 | 179万9,640円以下 | ほかの要件を満たせば残れる可能性 |
| 同じ人で5,000円以上 | 180万円以上 | 受給期間中は原則として扶養対象外 |
| 19歳以上23歳未満(配偶者を除く) | 年間収入150万円未満が基準 | 失業給付の日額運用は保険者へ確認 |
3,611円・3,612円の境界は一般的な130万円基準の目安です。2025年10月以後、配偶者を除く19歳以上23歳未満には150万円の特例があるため、後半で別に説明します。
ただし、被扶養者の認定を行うのは、配偶者や家族が加入している協会けんぽ、健康保険組合、共済組合です。この記事の金額は一般的な基準であり、最終的には加入先へ確認してください。この記事では、2026年8月27日時点の公式情報を基に、日額の確認方法、扶養を外れる日、国民健康保険・国民年金への切替、受給終了後に戻る手続きまで順番に解説します。
失業保険をもらうと扶養から外れるかの結論
一般的な130万円基準では日額3,611円以下なら残れる可能性
日本年金機構「従業員の家族を被扶養者にするとき」は、雇用保険等の受給者について、日額3,611円以下なら収入要件を満たすと説明しています。
ただし、日額だけで扶養が確定するわけではありません。原則として年間収入が130万円未満であることに加え、同居なら収入が被保険者の収入の半分未満、別居なら被保険者からの仕送り額未満など、生計維持の条件も確認されます。失業給付以外にアルバイト代、年金、傷病手当金などがあれば、それらも含めて判定されます。
一般的な130万円基準では日額3,612円以上なら外れる
一般的な130万円基準では、基本手当日額が3,612円以上になると、360倍した見込み収入が130万円以上になるため、基本手当が支給される期間は原則として被扶養者になれません。日本年金機構も、3,612円以上の基本手当の支給が始まった場合には扶養削除の届出が必要と案内しています。
「90日分なら総額は130万円より少ない」という考え方ではありません。受給日数が90日でも150日でも、受給中の収入ペースを日額×360日で年換算して判断します。
60歳以上または一定の障害者は180万円基準
60歳以上の人、または障害厚生年金を受けられる程度の障害者は、一般的な年間収入基準が180万円未満です。360日で割ると5,000円となるため、一般には日額4,999円以下が範囲内、5,000円以上が扶養対象外の目安です。
年齢だけでなく、公的年金などほかの収入も合算されます。60歳以上の個別判定や障害の要件は、受給開始前に加入先の保険者へ確認してください。
健康保険組合ごとに必要書類や運用が異なる
関東信越厚生局の健康保険Q&Aも、失業給付を年間収入へ含めたうえで、過去の収入、現時点の収入、将来の見込みから各保険者が判断するとしています。協会けんぽの一般基準を満たしていても、健康保険組合や共済組合から追加資料を求められることがあります。
失業保険が健康保険の扶養判定では収入になる理由
税金と健康保険では収入の範囲が違う
雇用保険の基本手当は所得税では非課税です。しかし、健康保険の扶養認定では生活費に充てられる継続的な収入として扱われます。「非課税だから扶養判定にも入らない」と考えると、扶養削除の時期を誤るおそれがあります。
健康保険の収入には、失業等給付のほか、公的年金、傷病手当金、出産手当金など、税法上は非課税となる給付も含まれます。給与明細や課税証明書だけでは確認できないため、受給資格者証や給付額が分かる通知の提出を求められます。
過去1年間ではなく認定日以後の見込み収入を見る
退職前に高い給与を受け取っていたから、必ず扶養に入れないというわけではありません。健康保険は、原則として被扶養者に該当する時点と、その日以後の年間見込み収入を確認します。反対に、今年の受給総額が少なくても、受給中の日額を年換算して基準を超えれば、その期間は扶養対象外です。
税法上の配偶者控除は別に判定する
国税庁「配偶者控除Q&A」は、雇用保険法上の求職者給付を、控除対象配偶者の合計所得金額に含める必要はないと明記しています。したがって、失業給付によって健康保険の扶養を外れても、それだけを理由に所得税の配偶者控除まで外れるわけではありません。
さらに、配偶者の勤務先が支給する家族手当・扶養手当は会社の賃金規程で決まります。健康保険の扶養と税法上の扶養、会社手当の三つは、同じ「扶養」という言葉でも別制度です。
退職後は健康保険だけでなく、住民税や国民年金の手続きも続きます。全体の順番を先に確認しておくと、加入の空白や届出漏れを防ぎやすくなります。
基本手当日額はどこを見れば分かる?
雇用保険受給資格者証の「基本手当日額」を確認する
ハローワークで受給資格が決定すると、雇用保険受給資格者証が交付されます。確認するのは「賃金日額」ではなく「基本手当日額」です。紙の受給資格者証では、通常は第1面の基本手当日額欄を見ます。
マイナンバーカードで失業認定を受ける人には、受給資格者証の代わりに受給資格通知が交付されることがあります。最新処理状況版だけでは日額が分かりにくい場合があるため、支給金額と支給日数、または全件版を確認し、不明ならハローワークへ問い合わせてください。
賃金日額と基本手当日額を取り違えない
賃金日額は、原則として離職前6か月の賃金合計を180で割った金額です。基本手当日額は、そこへ年齢・賃金水準に応じた給付率を掛けて算定した1日当たりの給付額です。扶養判定で使うのは後者です。
厚生労働省「基本手当、再就職手当Q&A」によると、基本手当日額は離職前の賃金のおよそ50~80%、60~64歳は45~80%で、年齢別の上限があります。自分で月給の半分と決めず、交付書類の確定額を使ってください。
振込額を28日で割る方法は最終確認に向かない
失業認定は原則4週間ごとですが、初回、アルバイトをした日、就職した日などがあると支給日数は28日にならないことがあります。銀行の振込額を一律28日で割ると誤るため、受給資格者証または受給資格通知を優先します。
基本手当日額だけでなく、受給資格、給付日数、認定までの全体像も整理しておくと、健康保険へ提出する日付を確認しやすくなります。

日額3,611円と3,612円の違いを計算例で確認
日額3,611円なら年換算129万9,960円
3,611円×360日=1,299,960円です。130万円未満に収まるため、失業給付以外の収入がなく、生計維持要件も満たすなら、受給中も扶養に残れる可能性があります。
日額3,612円なら年換算130万320円
3,612円×360日=1,300,320円です。わずか1円の日額差ですが、130万円未満という基準を超えます。このため、3,612円ちょうども扶養対象外側です。「3,612円以下なら大丈夫」ではありません。
90日分の総額が少なくても判定は変わらない
日額3,612円を90日受け取る総額は325,080円です。実額だけを見ると130万円よりかなり少ないものの、健康保険では受給中の収入ペースを360日換算するため、原則として受給期間中は扶養を外れます。所定給付日数が少ないことは、通常この日額判定を変えません。
退職前の月給から見た概算
2026年8月以後の60歳未満の計算式で、離職前6か月の月給が毎月同じだったと単純化すると、概算は次のようになります。賞与は通常含めませんが、残業代や通勤手当など賃金に含まれる支給があれば実額は変わります。
| 平均月給の例 | 賃金日額の概算 | 基本手当日額の概算 | 扶養の目安 |
|---|---|---|---|
| 12万円 | 4,000円 | 3,200円 | 日額基準内 |
| 13万5,000円 | 4,500円 | 3,600円 | 日額基準内 |
| 13万6,000円 | 約4,533円 | 約3,626円 | 日額基準超 |
| 15万円 | 5,000円 | 4,000円 | 日額基準超 |
これは扶養判定の見通しを立てるための概算です。端数処理、年齢、賃金の内訳で変わるため、実際の手続きでは確定した基本手当日額を使います。
扶養から外れる日は初回振込日ではない
受給資格決定後には待期7日がある
ハローワークインターネットサービス「雇用保険Q&A」によると、離職票を提出して求職申込みをした受給資格決定日から、失業状態の日が通算7日に達するまでが待期です。正式表記は「待期」であり、検索でよく使われる「待機」とは表記が異なります。
待期中は基本手当が支給されません。日本年金機構は、待期期間中でも収入要件を満たせば被扶養者として認定できると案内しています。ただし、ほかの収入や保険者独自の確認があるため、退職翌日から自動的に認定されるとは限りません。
自己都合退職では給付制限が付く場合がある
正当な理由のない自己都合退職では、7日間の待期満了後に原則1か月の給付制限が付く場合があります。基本手当が実際に支給されない給付制限中は、収入などの条件を満たせば一時的に扶養へ入れる保険者が多くあります。たとえば、JFE健康保険組合の失業給付Q&Aは、待期・給付制限期間中の認定と、支給開始時の削除日を示しています。
ただし、サカタインクス健康保険組合の扶養認定フローのように、待期・給付制限期間を含む受給手続中は認定しない運用もあります。給付制限中は保険者によって扱いが異なります。また、教育訓練等を受けて給付制限が解除されると基本手当の対象日が早まるため、「自己都合だから1か月は必ず扶養のまま」と決めず、受給資格者証の処理状況と加入先の案内を確認してください。
外れる日は基本手当の最初の支給対象日
給付制限がない人は待期満了後、給付制限がある人はその満了後に、基本手当の支給対象となる日が始まります。日額が基準以上なら、その最初の日を扶養削除日とするのが一般的です。
初回の失業認定は数週間後、口座への振込みはさらにその後です。入金日を待ってから連絡すると、扶養削除日を遡ることになりかねません。受給開始予定日が分かった段階で、配偶者の勤務先へ連絡します。
カレンダーで確認するときは三つの日付を分ける
- ハローワークで受給資格が決定した日
- 待期・給付制限が終わり、基本手当の対象となった日
- 失業認定後に銀行へ振り込まれた日
扶養判定で中心になるのは2です。具体的な年月日は離職理由、就労日、訓練による制限解除などで動くため、自己計算だけでなくハローワークと保険者の双方へ確認してください。
2026年8月の基本手当日額改定で扶養はどうなる?
基本手当日額は2026年8月1日に改定された
厚生労働省「令和8年8月1日からの基本手当日額等」では、賃金日額と基本手当日額の上下限・計算式が改定されています。受給中の人にも8月1日以後の対象日から新しい金額が反映され、認定日に返される受給資格者証で新日額を確認できます。
2026年8月以後の基本手当日額の公式計算式では、全年齢の基本手当日額の下限が2,562円、年齢別上限は7,450円から9,110円とされています。
扶養の3,612円基準は据え置き
雇用保険の給付額が改定されても、健康保険の一般的な年間収入基準130万円は自動的には変わりません。つまり、扶養判定の3,612円基準は変わっていません。日額3,611円以下と3,612円以上の境界は従来どおりです。
一般的な130万円基準の対象者は、改定前に扶養へ残れた人でも、新しい基本手当日額が3,612円以上になれば、8月以後の扱いを保険者へ確認する必要があります。境界付近の人は、古い受給資格者証の数字だけで判断しないでください。
2026年4月の労働契約ベース認定とは別に考える
日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者認定」では、2026年4月以後、労働契約に定められた賃金から見込む年間収入が基準未満で、ほかの収入が見込まれない場合の認定方法が案内されています。
失業給付は給与以外の収入です。この新しい扱いがあるから、日額3,612円以上の失業給付を受けても扶養に残れる、という意味ではありません。パート給与と失業給付が重なる場合も、加入先へ両方を申告します。
扶養から外れるときの手続きと必要書類
配偶者の勤務先を通じて被扶養者異動届を出す
配偶者が会社員で、その健康保険の扶養に入っている場合は、まず配偶者から勤務先の人事・総務へ連絡します。協会けんぽでは、勤務先が健康保険被扶養者(異動)届を日本年金機構へ提出します。健康保険組合・共済組合の場合は、それぞれの様式と期限に従います。
日本年金機構「家族を被扶養者から外すときの届書」では、被扶養者の追加・削除や国民年金第3号被保険者関係届の様式、記入例を確認できます。
受給資格者証または受給資格通知の写しを用意する
一般に、氏名、基本手当日額、支給開始日、所定給付日数などを確認できる面の写しを求められます。給付制限中だけ扶養へ入る場合は、離職票、受給資格者証、給付制限期間が分かる書類などを追加で求められることがあります。
保険者によっては専用の雇用保険受給状況申立書・誓約書があります。ネット上の一般的な添付書類だけを郵送せず、勤務先または保険者から指定されたものをそろえてください。
資格確認書などが交付されていれば返却する
有効期限内の資格確認書、高齢受給者証、限度額適用認定証などが交付されている場合は、勤務先を通じて返却します。マイナ保険証を使っている人も、資格情報は扶養削除日から切り替わるため、旧資格のまま受診しないよう注意が必要です。
扶養削除日を証明する書類を受け取る
国民健康保険へ加入する際は、健康保険資格喪失証明書、扶養削除証明書など、旧健康保険の資格を失った日が分かる書類を求められます。自治体によって書類名が異なるため、先に国保窓口へ必要書類を確認すると二度手間を防げます。
扶養から外れた後の健康保険はどうする?
原則は国民健康保険へ切り替える
再就職先やパート先の健康保険に入らない人は、住所地の市区町村で国民健康保険の加入手続きをします。厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退」は、国保の被保険者になったときは14日以内に市区町村へ届け出るよう案内しています。保険料は前年所得、世帯の加入人数、自治体の料率などで変わります。失業給付そのものは非課税ですが、退職前年の給与が国保料に反映されるため、初年度の負担が大きく感じられることがあります。
国保加入日は窓口へ行った日ではなく、原則として扶養を外れた日に遡ります。届出が遅れても、その期間の保険料がなくなるわけではありません。
勤務先の社会保険に入る場合は国保ではない
失業認定中に短時間の仕事を始め、その勤務先で健康保険・厚生年金の加入条件を満たした場合は、勤務先の社会保険へ加入します。この場合、雇用保険上も就職の申告や基本手当の停止・再就職手当の確認が必要になるため、勤務条件が決まった時点でハローワークへ申告してください。
任意継続には退職翌日から20日以内の期限がある
協会けんぽ「任意継続」では、退職日までに継続2か月以上加入していること、退職日の翌日から20日以内に申出書を提出することが加入条件です。
退職後、待期・給付制限中だけ配偶者の扶養へ入り、数週間・数か月後に失業給付開始で外れた場合、その時点では任意継続の20日期限を過ぎていることがあります。扶養を外れた時点で初めて任意継続を選べるとは限りません。
協会けんぽ「任意継続の加入条件」も20日以内の提出を明記しています。天災などやむを得ない正当な理由が認められる例外はありますが、扶養に入っていたことだけで期限後申請が当然に認められるとは考えない方が安全です。
会社都合・雇い止めなどは国保料軽減を確認する
特定受給資格者・特定理由離職者の一部は、国民健康保険料の計算で前年の給与所得を30%とみなす軽減の対象になることがあります。厚生労働省の非自発的失業者向け軽減資料で概要を確認できます。
自動適用ではなく申告が必要な自治体があります。雇用保険受給資格者証の離職理由コードを持って、市区町村へ対象期間と必要書類を確認してください。
国保・任意継続・家族の扶養は、申請期限と保険料の決まり方が違います。退職後の健康保険と年金をまとめて確認してから、加入先を決めてください。

配偶者は国民年金第3号から第1号への変更も確認する
20歳以上60歳未満の被扶養配偶者が対象
日本年金機構「第1号被保険者、第3号被保険者とは」によると、第3号被保険者は、厚生年金に入る人に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者です。失業給付の収入により健康保険の扶養を外れ、第3号の要件も失えば、第1号への種別変更と保険料負担が必要になります。
扶養されている子や親は健康保険の被扶養者にはなれても、国民年金第3号ではありません。年金の変更が必要になるのは、原則として被保険者の配偶者です。
健康保険と年金の届出経路が異なる場合がある
日本年金機構「第3号被保険者が被扶養配偶者でなくなった場合」は、配偶者が加入する保険が協会けんぽか、健康保険組合・共済組合かによって届出経路が異なることを案内しています。
勤務先が健康保険の扶養削除と第3号非該当を同時に処理する場合もあれば、本人が市区町村で第1号への変更を求められる場合もあります。「会社が全部やってくれる」と決めず、受付先と処理結果を確認してください。
手続きが遅れても未納のまま放置しない
鹿児島市の2026年版案内では、失業給付を受けた日から14日以内の第1号への変更を案内しています。期限を過ぎても手続きはできますが、資格変更日に遡って保険料が発生することがあります。
支払いが難しい場合は、失業を理由とする国民年金保険料の免除・納付猶予を相談できます。日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」によると、失業等の事実を確認できる場合は、失業した本人の前年所得にかかわらず特例審査の対象になります。ただし、保険料免除では世帯主・配偶者、納付猶予では配偶者の所得審査が残ります。離職票や受給資格者証などを準備し、市区町村または年金事務所へ確認してください。
退職後に必要になるお金は健康保険料だけではありません。失業給付が入る前の生活費、住民税、国民年金を一緒に並べておくと、扶養を外れる期間の不足額を把握できます。

失業保険の受給終了後は扶養へ戻れる?
原則として最後の支給対象日の翌日から再申請する
基本手当日額が基準以上でも、扶養を外れるのは原則として受給している期間です。基本手当の支給が終了し、ほかの収入も基準内なら、最後の支給対象日の翌日から再び被扶養者として申請できるのが一般的です。
「受給期間満了日」と「所定給付日数を受け終わった日」が一致しないことがあります。就労による先送り、認定日の変更、受給期間延長などがあれば、書類に記載された実際の受給終了日を確認してください。
扶養には自動で戻らない
受給終了後も、扶養へ自動的には戻りません。国保から配偶者の健康保険へ情報が移るわけではないため、配偶者の勤務先を通じて被扶養者異動届を再提出し、受給終了日が分かる受給資格者証・受給資格通知などを添付します。
保険者が申請期限を定め、遅れた場合は受付日からの認定とすることもあります。終了日が分かったら、勤務先へすぐに申し出てください。
国保の脱退と第3号への変更も行う
新しい扶養認定日が確定したら、市区町村で国民健康保険の脱退手続きをします。保険料は資格喪失月などを基に再計算され、納め過ぎがあれば精算されます。20歳以上60歳未満の配偶者は、国民年金第1号から第3号への変更も確認します。
アルバイト・年金などほかの収入があれば再判定
失業給付が終わっても、アルバイトの契約収入、公的年金、事業収入などを合計して基準を超えるなら扶養へ戻れません。失業給付の終了証明だけでなく、今後の収入見込みを示す雇用契約書や給与明細を求められる場合があります。
扶養判定で迷いやすいケース
アルバイトをしながら失業保険を受ける
基本手当日額が3,611円以下でも、アルバイト収入などを合算すると年間見込みが130万円以上になる場合があります。また、週の所定労働時間や雇用見込みによっては、アルバイト先の社会保険へ加入するケースもあります。
ハローワークには働いた日と収入を失業認定申告書へ正しく記載し、健康保険の保険者にも契約内容・見込み収入を伝えてください。
19歳以上23歳未満の子が失業給付を受ける
日本年金機構の19歳以上23歳未満の被扶養者認定案内によると、配偶者を除く19歳以上23歳未満の被扶養者は、2025年10月以後、年間収入150万円未満が一般的な基準です。学生であることは要件ではありません。ただし、失業給付の日額をどの境界額で運用するか、必要資料や端数の扱いは保険者へ確認してください。
単純計算では150万円÷360日から日額4,167円付近が境になりますが、「中央の一律基準として日額4,167円なら必ず外れる・残れる」と断定せず、加入する協会けんぽ支部、健康保険組合、共済組合の回答を優先します。
高年齢求職者給付金・再就職手当を受ける
65歳以上の離職者に支給される高年齢求職者給付金や、早期再就職時の再就職手当は、一時金として支給されます。基本手当のような継続的な日額収入と同じ方法で扱うかは、保険者によって判断が分かれます。たとえば、ライオン健康保険組合と富士フイルムグループ健康保険組合では、一時金の収入範囲に関する公表内容が異なります。
「一時金だから必ず収入に入らない」「失業給付だから必ず日額換算する」と自己判断せず、給付名、金額、支給日、算定の基になった基本手当日額が分かる書類を保険者へ提示してください。
受給期間を延長している
妊娠、出産、病気、けがなどで今すぐ働けず、基本手当の受給期間を延長して実際には給付を受けていない期間は、現在の収入状況を基に扶養認定を申請できる場合があります。受給期間延長通知書などを添え、将来受給を始める際には改めて報告します。
教育訓練で給付制限が解除される
一定の教育訓練等を受けることで自己都合退職の給付制限が解除されると、基本手当の開始日が当初の想定より早まる場合があります。一般的な130万円基準で日額が3,612円以上なら、扶養を外れる日も早まる可能性があるため、訓練開始前にハローワークと保険者へ確認します。
公的職業訓練は、失業給付の有無だけでなく、受講開始時の雇用保険状況や求職申込みなど複数の条件で対象が決まります。

扶養を外れる手続きが遅れた・申告しなかった場合
受給開始日に遡って扶養を削除される可能性がある
日額基準を超える失業給付の開始後も扶養の資格を使い続けると、後日の被扶養者資格確認で判明し、受給開始日に遡って扶養認定を取り消されることがあります。「今はもう受給が終わっているから、そのままでよい」とはなりません。
すでに受給終了している場合も、受給開始日、終了日、基本手当日額が分かる書類を用意し、配偶者の勤務先と保険者へ事情を伝えてください。扶養削除と再認定を同時に処理する場合があります。
旧資格で受診した医療費の返還が発生することがある
扶養削除日以後に旧資格で医療機関を受診していると、旧保険者が負担した医療費の7~9割などを返還するよう求められる場合があります。その後、同じ期間に加入すべき国保などへ療養費を請求できることがありますが、一時的な立替えと複数の手続きが必要です。
協会けんぽ「保険者間調整」では、資格喪失後に以前の資格で受診した場合、国保との間で返納金の支払いを省略できる場合がある手続きを案内しています。対象になるかは新旧の保険者へ確認してください。
国保料・国民年金保険料も遡る可能性がある
扶養削除日から新しい健康保険の資格取得日まで空白があれば、国保加入を遡って処理します。第3号でなくなった配偶者は国民年金第1号の期間も遡り、保険料または免除申請の確認が必要です。早めに申し出るほど、書類と支払いの整理がしやすくなります。
扶養を外れる前に確認するチェックリスト
- 受給資格者証・受給資格通知で基本手当日額を確認した
- 日額を360倍し、ほかの収入も保険者へ申告した
- 待期・給付制限後の最初の支給対象日を確認した
- 初回振込日を扶養削除日と取り違えていない
- 配偶者の勤務先から必要な異動届と添付書類を聞いた
- 扶養削除日が分かる証明書の発行方法を確認した
- 国保料と、退職時点で選べるなら任意継続保険料を比較した
- 20歳以上60歳未満の配偶者は国民年金の変更も確認した
- 受給終了後に扶養へ戻るための書類と期限を聞いた
求職期間が長くなりそうな場合は、毎月の保険料だけでなく、失業給付の残日数、訓練中に受けられる給付、家族全体の収入条件を一緒に確認します。職業訓練受講給付金などは世帯収入・資産要件があるため、配偶者が働いている人も個別確認が必要です。
よくある質問
Q1.失業保険は非課税なのに、なぜ健康保険では収入になる?
所得税と健康保険で収入の定義が異なるためです。失業等給付は所得税では非課税ですが、健康保険では被扶養者の生活を支える収入として年間見込みへ含めます。
Q2.基本手当日額3,612円ちょうどでも扶養から外れる?
一般的な130万円基準では外れます。3,612円×360日=1,300,320円となり、130万円未満ではないからです。基準内は3,611円以下です。
Q3.失業保険の総額が130万円未満なら扶養に残れる?
総額ではなく、基本手当日額を360倍した見込み収入で判断するのが一般的です。一般的な130万円基準では、90日分の合計が少なくても日額3,612円以上なら受給中は原則として扶養対象外です。19歳以上23歳未満の非配偶者は150万円特例を別に確認します。
Q4.ハローワークの7日間の待期中は扶養に入れる?
基本手当が支給されない待期中は、ほかの収入や生計維持などの要件を満たせば認定される可能性があります。加入先の保険者へ離職票などを提出し、認定日を確認してください。
Q5.自己都合退職の給付制限中は扶養に入れる?
実際に基本手当が支給されない期間は、一時的に認定される場合があります。ただし、教育訓練による給付制限解除やほかの収入がある場合は変わるため、保険者へ確認が必要です。
Q6.扶養を外れるのは初回振込日から?
原則として違います。待期・給付制限後、基本手当の支給対象となる最初の日が基準です。振込みは失業認定後になるため、実際の入金より前に扶養を外れることがあります。
Q7.60歳以上はいくらまで扶養に入れる?
年間収入180万円未満が一般的な基準なので、失業給付は日額4,999円以下が目安です。5,000円以上は年換算180万円以上になります。公的年金なども合算し、保険者の認定を受けます。
Q8.扶養を外れたら国民健康保険と国民年金の両方に入る?
勤務先の社会保険へ入らない人は、通常は国民健康保険へ加入します。さらに20歳以上60歳未満の被扶養配偶者は、第3号から第1号への国民年金の変更も必要です。
Q9.健康保険の扶養を外れたら配偶者控除も受けられない?
自動的には外れません。失業等給付は非課税で、配偶者控除の合計所得金額に含めません。退職前の給与やほかの所得を含めて、税法上の条件を別に判定します。
Q10.受給開始後に任意継続へ切り替えられる?
任意継続は原則として退職日の翌日から20日以内の申請が必要です。給付制限中だけ扶養に入り、その後に外れた時点では期限を過ぎていることが多いため、通常は国保などを検討します。
Q11.失業保険が終わったら自動的に扶養へ戻る?
自動では戻りません。受給終了日が分かる書類を添えて、配偶者の勤務先から再認定を申請します。認定後は国保の脱退と、該当する配偶者は第3号への変更も行います。
Q12.扶養を外れる手続きを忘れ、すでに受給が終わった場合は?
受給開始日に遡って扶養削除となる可能性があります。勤務先・保険者へ受給資格者証を提出し、削除期間と再認定日を確定してください。旧資格で受診していれば、医療費返還と新しい保険への請求も確認します。
まとめ
失業保険を受ける人が健康保険の扶養から外れるかは、原則として基本手当日額で判断します。配偶者など一般的な130万円基準が適用される60歳未満では、3,611円以下が基準内、3,612円以上は基本手当の受給中に扶養を外れるのが一般的です。19歳以上23歳未満の非配偶者は150万円特例、60歳以上・一定の障害者は180万円基準を別に確認します。
確認するのは、受給総額ではなく日額、最初の支給対象日、最後の支給対象日の三つです。初回振込日を基準にすると手続きが遅れるため、受給資格者証が交付された時点で配偶者の勤務先と保険者へ連絡してください。
扶養を外れた後は、国民健康保険または勤務先の健康保険へ切り替え、20歳以上60歳未満の配偶者は国民年金第1号への変更も確認します。受給終了後も自動では戻らないため、終了日の翌日を目安に再認定を申請し、健康保険と年金の空白を作らないようにしましょう。

