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この記事は、SESエンジニアとして月100時間の残業で限界が来て退職を切り出した時に「給料を上げる」と引き止められ、3週間迷った末に断って退職代行ガーディアンで抜けた筆者が、実体験と公的データをもとに解説しています。同じ提案を受けて判断に迷っている人が、後悔せずに動くための材料だけをまとめました。
「辞めます」と伝えた瞬間、上司から「給料を上げるから残ってくれ」「ボーナスも見直す」と返されて、頭が真っ白になっていないだろうか。
受け入れるべきか、そのまま辞めるべきか。判断材料がないまま、24時間以内の返事を求められて追い込まれている人は多い。
結論から言うと、退職を切り出した後のカウンターオファーは原則として信用しないほうが安全だ。なぜそう言えるのか、信用できない3つの理由と、受け入れて残った人に半年後に起こりやすいこと、そして交渉してみたい人と、もう動く気力がない人それぞれの選択肢を整理する。
10分で読み終わる頃には、自分が今どの選択肢を取るべきかが言語化できる状態になる。
- なぜ「給料を上げる」と言われたら警戒すべきか|信用できない3つの理由
- 受け入れて残った人の末路|半年後に起こりやすい3つのこと
- それでも交渉してみたい人へ|成功する条件と失敗する条件
- 「もう関係は壊れている」を直視するチェックリスト
- もう辞めると決めた人が最短で抜ける手順|民法627条と退職代行
- 退職代行3社の比較|状況別の選び方
- 退職代行を使ったあとの流れ|申し込みから退職完了まで
- 退職後の生活設計|お金まわりの全体像
- 転職を見据えるなら|引き止めを断った後の動き方
- 退職代行を使ったあとの心理変化|筆者の場合
- 引き止めで迷っている人に伝えたい3つの事実
- よくある質問
- まとめ|あなたが今、迷うべきは1つだけ
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なぜ「給料を上げる」と言われたら警戒すべきか|信用できない3つの理由
カウンターオファーを受け取って一番つらいのは、「自分は会社に必要とされていたのか」という気持ちが揺れることだ。
ただ、その揺れが判断を鈍らせる。冷静に構造を見ると、辞表を出した後の昇給提示には3つの構造的な問題がある。
理由1|普段から払えるなら、辞めると言う前に払っていた
給料は本来「市場価値×成果」で決まる。あなたが普段から十分な仕事をしていたなら、辞表を出す前から提示される金額だったはずだ。
辞めると言った瞬間に出てくる金額は、市場価値ではなく「あなたが抜けた時の補充コスト」を会社が見積もった金額に近い。中途採用1人を埋めるには、求人広告・面接工数・教育期間を含めて年収の3〜6ヶ月分が消えると言われている。それより安く済むなら昇給したほうがコスパがいい、という経営判断だ。
つまり、提示された金額は「あなたの価値」ではなく「あなたを今すぐ補充できないコスト」の見返りであることが多い。
理由2|辞めると言った時点で、あなたへの評価軸が変わる
経営者目線では、一度辞表を出した人は「いつまた辞めるか分からないリスト」に入る。これは感情論ではなく、人材マネジメントの実務上ほぼ自動でそう扱われる。
経営の経験がある人から、こんな本音を聞いたことがある。
これは大事な話で、経営者は基本みんなそう思っている。だからスキルがない人が給料を上げたいなら、スキルをつけて転職するか、起業するしかない。
— 経営経験のある方の独自調査より
辞めると言ったあなたへの提示は、長期投資ではなく短期的な離脱防止の意味合いが強い。半年後の人事評価で巻き戻されたり、昇進候補から外れたりする例は珍しくない。
理由3|「関係はもう一方通行」になりやすい
辞表を出した側と出された側の関係は、対等ではなくなる。あなたは「会社をやめようとした人」、上司は「引き止めた側」という固定された役回りに入る。
退職交渉を扱った経験がある人から、こんな話を聞いた。
実際に交渉して残った人が、半年後に別の理由で辞めさせられて、大事な人がいなくなって現場は火の車になっていた。それが日本のよくあるパターン。
— 元人事担当者の独自調査より
短期では給料アップでも、中期で配置転換や評価ダウンで巻き戻されることがある。給料を上げるという言葉だけでは、その後の関係性までは保証されない。
受け入れて残った人の末路|半年後に起こりやすい3つのこと
カウンターオファーを受け入れて残った人を追跡したデータは少ないが、海外調査では「半年〜1年以内に再度退職する人が多い」とする報告が複数ある。日本でも現場の感覚としては似た傾向がある。
ここでは、受け入れた人が後から経験しやすい3つのパターンを整理する。
パターン1|結局、半年〜1年後に再度退職する
給料が上がっても、辞めたいと感じた本当の理由(人間関係・労働時間・評価制度)はそのまま残っていることが多い。お金で覆い隠した不満は、半年もすれば再び表面化する傾向がある。
2回目の退職を切り出した時には、もう「給料を上げる」とは言われない。1度目で会社側のカードは切られているからだ。
パターン2|給与アップは初回賞与までで、その後は据え置き
「年収を50万円上げる」と言われても、書面化されないケースが少なくない。最初の月給だけ上がって、ボーナスや昇給では巻き戻されるパターンがある。
家族経営の中小企業で長く働いた人から、こんな声を聞いた。
家族経営の有限会社はやめておいた方がいい。家族がいるだけで役員になっていて、社員の給与が全く上がらないのに役員報酬が異様に高い。
— 中小企業勤務経験者の独自調査より
役員と現場の給与構造が見えた瞬間、その会社で頑張る理由は急速に消える。給料アップ提示の背景には、こうした組織構造があることも少なくない。
パターン3|役職据え置きで「使い捨てポジション」化する
「給料は上げるが、ポジションはそのまま」というケースもある。次の昇進機会がいつ来るかは曖昧なまま、目先の数万円で残ることになる。
「これが日本の給料が上がらない原因では」と感じる声は、複数寄せられている。会社の中で給料を上げるルートが限られているからこそ、辞表という最後のカードを切らないと交渉が始まらない構造そのものが、すでに不健全だ。
それでも交渉してみたい人へ|成功する条件と失敗する条件
とはいえ「交渉せずに辞めるのはもったいない」と感じる人もいる。実際、交渉して給料が上がった事例も存在する。
ある会社員から、こんな声を聞いた。
給料交渉したら上がりました。ダメ元でもやった方がいいと思うけど、それでダメなら転職すればいい。
— 30代会社員の独自調査より
交渉が成功しやすい条件と失敗しやすい条件は、ある程度パターン化できる。自分がどちらに当てはまるかを冷静に見ておきたい。
交渉が成功しやすい3つの条件
- 退職を切り出す前に、市場価値の根拠(同業他社のオファー額や求人相場)を持っている
- 上司との関係が悪化していない
- 業界全体に「払う原資」がある(IT・コンサル・専門職など)
交渉が失敗しやすい3つの条件
- 退職届を出した後の値上げ交渉(カードを使い切ってからの逆転は難しい)
- 感情論ベース(「他の人はもらってる」型)の交渉
- 業界全体の給与水準が低い、もしくは家族経営で原資配分が偏っている
転職を経験したある人から、業界相場のゆがみについてこんな声があった。
前の会社に「給料が低い、550万にしてほしい」と言ったら、「管理職にならないと無理だからあと10年後」と言われた。転職先企業に希望年収を「550万」と伝えたら、「もっといけるよ」と返ってきた。日本って、業界によりけりかもだが、なんで転職時にしか融通が効かないのか。
— 30代転職経験者の独自調査より
同じスキル・同じ年齢でも、社内交渉で動かない金額が、転職市場では普通に動く。社内昇給で待つより、転職活動で相場を確認したほうが早いケースは多い。
あなたが今、どのタイプかで取るべき動きが変わる
カウンターオファーを受けた人は、3つのタイプに分かれる。自分がどこに近いかで、次の一手が変わる。
- タイプA|まだ辞表を出していないが、近いうちに切り出すつもりの人
退職届より先に、市場価値の根拠(他社オファー or 求人相場)を持って交渉に入るのが最善。退職カードを切る前に話したほうが交渉余地が残る。 - タイプB|すでに辞表を出して、引き止めの提示を受けている人
多くの場合、引き止めを断って退職手続きに移ったほうが、半年後の自分にとって良い結果になりやすい。一度関係性が変わった会社に残ると、評価軸が戻らないことが多いからだ。 - タイプC|もう交渉する気力も、自分で「断る」と言う気力も残っていない人
退職代行のような外部サービスを使うことで、自分の口から再度「辞めます」と言わずに済む選択肢がある。
3つのうちどれが正解という話ではなく、今の自分の体力と状況に合わせて選ぶものだ。特にタイプCに近い人は、自分の意思を伝える行為そのものに体力を使い果たしているケースが多い。
| サービス名 | 料金 | 運営 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 退職代行ガーディアン | 19,800円 | 労働組合 | 有給交渉や引き止め対策を会社と交渉してほしい人 |
| 弁護士法人ガイア | 25,300円〜 | 弁護士法人 | 未払い賃金やパワハラなど法的トラブルも合わせて対応したい人 |
| 退職代行モームリ | 22,000円 | 民間企業 | 費用を抑えたい・シンプルに退職だけしたい人 |
「もう関係は壊れている」を直視するチェックリスト
引き止め提示を受け入れるかどうかで迷っている人は、関係性の変化を冷静に見たほうがいい。下のチェックリストでYESが3つ以上なら、関係修復は難しい段階に入っている可能性が高い。
- ✓ 辞めると言った後、上司や同僚の態度が前と微妙に違う
- ✓ 給料アップの提示が口頭のみで、書面化を渋られている
- ✓ 「なぜ辞めたいのか」を聞かれず、引き止めの言葉だけ繰り返される
- ✓ 同じ部署で過去に引き止めを受けた人が、半年以内に退職している
- ✓ 残るかどうかを考えただけで、動悸・不眠・食欲不振が出る
同じ会社の人に相談しても、背中を押されることは構造的に少ない。残ってほしい立場の人ばかりだからだ。これは性格の問題ではなく、利害関係のある人に相談していることそのものが原因にある。
判断材料は社外で集めたほうが、結果的に冷静な答えが出やすい。
もう辞めると決めた人が最短で抜ける手順|民法627条と退職代行
「会社の許可がないと辞められない」と思っている人は多いが、これは法律的に間違っている。日本の民法では、労働者には退職の自由が明確に保障されている。
民法627条1項|いつでも退職の申し入れができる
民法627条1項には次のように書かれている。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法 第627条1項
つまり、無期雇用であれば申し入れから2週間で雇用契約は終了する。会社の承認は法的には必要ない。退職代行が「最短即日対応」をうたえるのは、この条文と有給消化を組み合わせて2週間の出社をゼロにしているからだ。
労働基準法5条|強制労働の禁止
労働基準法5条では、暴行・脅迫・監禁などによる労働の強制を禁じている。「辞めさせない」「損害賠償を請求する」と過度に脅して引き留める行為は、この条文に抵触する可能性が指摘されている(最終的な判断は労働基準監督署や弁護士の領域)。
自分で言える人と、もう言えない人の二択
退職を進める手段は、大きく2つに分かれる。
- 自分で言える人:直属の上司に対面 or メールで「退職届を提出します」と伝えて、退職届を提出する。理由は「一身上の都合」だけで法律上十分。
- 自分で言える気がしない人:退職代行サービスに依頼する。あなたは一切連絡しなくていい。業者から会社へ「以後の連絡は当方経由で」と伝えてくれる。
判断基準はシンプルだ。辞表の文言を考えただけで動悸がするなら、それは限界のサインなので外部の力を借りていい。
▼ 筆者の体験
私自身、退職を切り出した時に部長から「給料は上げる、ボーナスも見直す、何が不満なのか言ってくれ」と返された側だ。3週間迷った。けれど半年前にも同じ部署で別の同僚が同じことを言われて、結局辞めていったのを思い出して、断る決心をした。
ただ、自分から再度「辞めます」と言いに行く気力はもう残っていなかった。最終的に退職代行ガーディアンに日曜の夜に申し込み、月曜の朝には会社と二度と話さずに済んだ。あのとき自分で連絡を入れていたら、また3時間説得されて潰れていたと思う。
退職代行3社の比較|状況別の選び方
退職代行サービスは大きく分けて「労働組合運営」「民間業者」「弁護士」の3種類がある。料金だけで選ぶと、交渉が必要な場面で動けないケースがあるので注意が必要だ。
| サービス名 | 料金 | 運営 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 退職代行ガーディアン | 19,800円 | 労働組合 | 有給交渉や引き止め対策を会社と交渉してほしい人 |
| 弁護士法人ガイア | 25,300円〜 | 弁護士法人 | 未払い賃金やパワハラなど法的トラブルも合わせて対応したい人 |
| 退職代行モームリ | 22,000円 | 民間企業 | 費用を抑えたい・シンプルに退職だけしたい人 |
カウンターオファー対策で選ぶならガーディアンが無難
引き止めを受けた人が代行を使うなら、労働組合運営のガーディアンが選びやすい。理由は3つ。
- 有給消化や退職日の交渉が法律上可能(民間業者は交渉が弁護士法に抵触するため不可)
- 料金は19,800円で追加料金なし、料金体系が分かりやすい
- LINEで24時間受付、相談から退職完了まで一貫対応
筆者自身もここを使ったが、申し込んだ翌朝には会社からの連絡が止まっていた。引き止めの3時間説得を回避できたのが、振り返って一番大きかった。
使わなくていい人
- 自分で上司に「辞めます」と再度言える精神的な余力がまだある人
- 会社と良好な関係を保ったまま辞めたい人(推薦状などが必要なケース)
- 有給を全て使い切って、引き継ぎを完璧にしてから辞めたい人
必要のない人にまで売り込むつもりはない。自分で言える状態なら、自分で言ったほうが後の心残りは少ない。ただ「再度言える気がしない」「考えただけで動悸がする」状態なら、それは限界のサインなので外部の力を借りていい。
| サービス名 | 料金 | 運営 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 退職代行ガーディアン | 19,800円 | 労働組合 | 有給交渉や引き止め対策を会社と交渉してほしい人 |
| 弁護士法人ガイア | 25,300円〜 | 弁護士法人 | 未払い賃金やパワハラなど法的トラブルも合わせて対応したい人 |
| 退職代行モームリ | 22,000円 | 民間企業 | 費用を抑えたい・シンプルに退職だけしたい人 |
退職代行を使ったあとの流れ|申し込みから退職完了まで
「申し込んだあと何が起きるのか分からない」のが一番不安なポイントだ。実際の流れは思っているよりシンプルで、平日3日間で大半が片付く。
1日目|LINEで申し込み・ヒアリング
LINEを友だち追加して、会社情報・自分の状況・希望退職日を伝える。所要15〜30分。料金の支払いは銀行振込かクレジットカード。深夜でも返信が来る業者が多い。
2日目|代行業者から会社へ連絡
朝イチで業者から会社に電話が入る。本人は一切連絡しなくていい。会社からあなたへの直接連絡は、業者が「以後の連絡は当方経由で」と伝えて止めてくれる。
3〜14日目|退職手続き・有給消化
有給があれば全消化、なければ即日退職扱い。離職票・源泉徴収票・年金手帳などは郵送で受け取る。会社に出向く必要はない。私物が残っている場合は郵送で返してもらう。
申し込み前にメモしておくと当日が早い7項目
勢いで申し込む前に、以下を確認しておくと当日のやり取りがスムーズになる。スマホのメモにコピーして埋めておくだけでいい。準備が間に合わない人はそのまま連絡してしまっても、業者がヒアリングしてくれる。
- ✓ 会社の正式名称・所在地・代表者名
- ✓ 直属の上司の氏名と部署
- ✓ 雇用形態(正社員・契約・派遣)と入社年月
- ✓ 有給の残日数(給与明細か社内システムで確認)
- ✓ 会社から借りているもの(PC・制服・社員証・健康保険証)
- ✓ 私物が会社にあるか(ある場合は郵送依頼の準備)
- ✓ 退職金・未払い残業代の有無
退職後の生活設計|お金まわりの全体像
退職した瞬間に収入が止まるわけではない。制度を知っていれば、数ヶ月の生活費はカバーできる範囲に収まることが多い。辞める前に知っておけば、退職後の不安は半分以下になる。
下記はあくまで一般的な目安で、最終的な金額や条件はハローワーク・市区町村窓口で確認してほしい。
失業給付(雇用保険)の目安と申請窓口
自己都合退職の場合、ハローワークに申請してから所定の待機期間を経て、原則90〜150日間の基本手当を受けられる。給付額は退職前6ヶ月の平均給与の約50〜80%。月給25万円なら、月額およそ15万円前後が目安だ。
2025年4月の雇用保険法改正により、自己都合退職でも「教育訓練を受講中」であれば給付制限が短縮される制度が始まっている。退職後にスキルアップを考えている人は、申請窓口(ハローワーク)で対象講座と要件を確認しておくと、空白期間を短くできる可能性がある。
対象条件・例外・最終判断は管轄のハローワーク窓口で確認すること。雇用保険の被保険者期間が一定以上あることが基本要件で、加入期間が短い場合は対象外になるケースもある。
健康保険の選択肢は3つ
退職すると会社の健康保険から抜ける。選択肢は次の3つ。
- 国民健康保険に切り替え(市区町村の窓口で手続き/退職後14日以内が原則)
- 任意継続(退職前の健康保険に最大2年間継続加入/退職後20日以内に協会けんぽや健保組合へ申請)
- 家族の扶養に入る(年間収入の見込みが一定額未満の場合/詳細は扶養者の勤務先または健保組合へ確認)
どれが安いかは収入と家族構成によって変わる。一般的には前年の収入が高い人は任意継続のほうが安く、低い人は国保が安いと言われるが、自治体によって保険料の計算方法が異なる。退職前に市区町村窓口でシミュレーションしておくと迷わない。
住民税の落とし穴
退職後に忘れがちなのが住民税だ。住民税は前年の所得に対して課税されるため、退職して収入がゼロになっても請求が来る。給与天引き(特別徴収)から自分で納付する普通徴収に切り替わり、市区町村から納付書が届く。
退職前の年収が300万円なら年間およそ12万円前後が目安だが、自治体・控除状況により変動する。失業給付と並行して支出が発生するため、生活費の試算には住民税の年額を必ず入れておきたい。
転職を見据えるなら|引き止めを断った後の動き方
引き止めを断って辞めた後、待っているのは「次にどう動くか」だ。在職中に転職活動をしておくか、退職してから動くかで、選び方が変わる。
在職中転職と退職後転職、それぞれの利点
- 在職中転職の利点:収入が途切れない/焦らずに条件交渉ができる/面接の都合がつきにくい点はあるが、足元が安定する
- 退職後転職の利点:時間的余裕がある/面接日程を自由に組める/ただし生活費・社会保険料の試算は事前に必要
カウンターオファーを断って辞めた人の多くは「もう一度同じ社内で交渉する体力はないが、社外で動く体力はある」状態にある。在職中の有給消化期間を使って、転職活動を並行で動かすのが現実解になりやすい。
転職市場では「あなたの価値」が普通に動く
社内昇給では動かなかった金額が、転職市場では普通に動くことは珍しくない。前述の「社内では10年後、転職先では『もっといける』と言われた」声は、業界・職種が違っても同じ構造で起きやすい。
引き止めの提示金額が、自分の市場価値の上限ではない。転職エージェントに登録すれば、自分のスキルがいくらで売れるかを無料で確認できる。「相場を知るだけ」のつもりで動いても、判断材料が一気に増える。
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退職代行を使ったあとの心理変化|筆者の場合
引き止めを断って退職代行で抜けた後、何が起きたか。きれいな後日談だけにせず、罪悪感の部分まで含めて正直に書く。
最初の1週間|「本当に辞めたのか」が実感できない
月曜の朝、目覚まし無しで起きた。天井を見て「あ、今日から行かなくていいのか」と気づいて、しばらく動けなかった。嬉しいとか安心とかじゃなく、ただ空っぽだった。3日目くらいから急に食欲が戻って、自分がどれだけ追い込まれていたか初めて分かった。
1ヶ月後|罪悪感はゼロではない
「挨拶なしで辞めた」「給料アップの提示まで断って辞めた」ことへの後ろめたさは、少し残った。でも、あの状態で自分から再度連絡を入れていたら、99%引き留められていた。そう考えると、代行を使った判断は間違っていなかった。後悔はしていない。ただ、元同僚に対して申し訳なさがゼロかと聞かれたら、ゼロではなかった。
半年後|あのとき動いてよかった
転職先が決まって、残業時間は月20時間以下になった。前職で「給料を上げる」と言われた時の年収提示額より、転職先のオファーのほうが上だった。これが業界相場と社内交渉の差なのだと、後から実感した。
在職中は比較対象がないから異常に気づけない。辞めてから初めて、自分がいた環境の異常さが見えた。
引き止めで迷っている人に伝えたい3つの事実
「辞めたい」と思いながら、引き止め提示で動けなくなっている人には共通する思い込みがある。実際のデータと法律から、その思い込みを修正する。
事実1|「3年は続けろ」に強い根拠はない
「石の上にも三年」は慣用句であって、キャリアの法則ではない。厚労省の調査では、新規大卒就職者の3年以内離職率は約32.3%で、3人に1人が3年以内に辞めている事実が示されている。
合わない環境に3年いるより、早期に転職して成長できる環境に移った人のほうが、結果的に評価されるケースもある。リクルートワークス研究所の調査でも、20代で転職した人の多くが「転職してよかった」と回答している傾向が示されている。
事実2|退職理由に「一身上の都合」以上の説明は不要
退職届に書く理由は「一身上の都合」の一言で、法律上の手続きとしては十分とされている。上司に詳しい理由を聞かれても、答える法的義務はない。退職代行を使えば、この会話そのものが発生しない。
会社側が「理由を言わないと受理しない」と言っても、民法627条の規定では申し入れから2週間で雇用は終了する扱いになる。「受理の有無」と「契約終了」は法的には別の話だ。
事実3|退職後の空白期間は思ったほど不利になりにくい
「ブランクがあると転職できない」と思い込んでいる人は多い。実際には、20代であれば3〜6ヶ月程度のブランクは面接でほとんど問題にならないことが多い。
面接官が気にするのは「なぜ辞めたか」と「次に何をしたいか」であって、空白の長さそのものではない傾向がある。体調を崩して退職した場合は「体調回復のため」と正直に伝えれば、自己管理能力として受け取られるケースもある。
筆者自身、退職後に2ヶ月のブランクがあったが、転職活動で一度もそこを突っ込まれなかった。聞かれたのは「次にどんな仕事がしたいか」だけだった。ブランクを恐れて限界まで我慢するほうが、心身の回復に時間がかかって結果的にブランクが長くなる。動くなら早いほうがいい。
よくある質問
Q. 引き止めで給料アップを提示されたら、受け入れた方がいいですか?
A. 個別事情で変わりますが、辞表を出した後の昇給提示は短期離脱防止の意味合いが強く、半年〜1年後に再度退職する人が多い傾向にあります。受け入れる場合は、提示内容を必ず書面化してもらい、評価軸が変わらないかを継続的に確認することをおすすめします。
Q. 退職代行を使うのは違法ではないですか?
A. 違法ではありません。民法627条で退職の自由が保障されており、本人の代わりに退職の意思を伝える行為自体は合法とされています。ただし、有給消化日数や退職日の「交渉」ができるのは労働組合または弁護士に限られ、民間業者は意思の伝達にとどまる点に注意が必要です(最終的な可否は弁護士の判断領域)。
Q. 会社から本人に直接連絡が来ませんか?
A. 業者が「今後の連絡は当方経由で」と伝えるため、多くのケースで本人への連絡は止まります。万が一来ても出る必要はありません。心配な場合は申し込み時に「直接連絡を止めてほしい」と明示しておくと安心です。
Q. 退職代行を使うと転職に不利になりますか?
A. 通常、転職先が退職代行の利用を知る経路はほぼ用意されていません。離職票にも記載されず、前職への問い合わせも個人情報保護の観点から内容開示が制限されるのが一般的です。
Q. 有給は全部使えますか?
A. 労働組合か弁護士の代行業者であれば、有給消化日数の交渉が可能です。民間業者は交渉ができないため、有給消化を確実にしたいなら労働組合運営のガーディアンが選びやすい選択肢です。
Q. 料金以外にお金はかかりますか?
A. ガーディアンは19,800円の追加料金なしです。弁護士系は退職金や残業代の請求を依頼すると成功報酬が別途発生する場合があります。最終的な金額は申し込み時に必ず確認してください。
Q. 即日で退職できますか?
A. 有給が2週間以上残っていれば、業者から連絡を入れた翌日から会社に行かない形で実質的に即日退職と同じ状態になります。有給がない場合も、民法627条により申し入れから2週間後に雇用契約は終了する扱いになります。
まとめ|あなたが今、迷うべきは1つだけ
「給料を上げるから残ってくれ」と言われた時、本当に迷うべきは「いくらに上がるか」ではない。「半年後の自分が、その金額で残った自分を許せるか」だ。
給料アップで本当に解決する不満なら、最初から伝えていればよかった。辞めると言った時点で関係はすでに変わっている。1度目の引き止めを断り切れずに残った人の多くは、半年後に2度目の退職を切り出して、今度は引き止められないまま辞めていく。それを先に経験した人の声は、複数寄せられている。
動くなら、まずは社外で「自分の市場価値」と「使える制度」を確認するところから始まる。退職届を出すかどうかはその後でいい。判断に迷っている段階なら、無料相談だけでも先に確保しておくと、引き止めに押し切られそうになった時の逃げ道になる。


