結論からいうと、会社を退職しただけで、最後の給料が退職日から自動的に7日以内に支払われるわけではありません。退職後に本人が請求しなければ、会社は原則として賃金規程などで決めた通常の給料日に支払います。一方、退職の効力が生じた後に給料を請求した場合は、労働基準法第23条により、通常の給料日がまだ先でも、原則として請求日の翌日を1日目とした7日以内に支払う必要があります。
つまり、退職後に請求した日から7日以内というルールであり、期間は請求日の翌日を1日目として数えます。
ただし、請求から7日以内に通常の給料日が来るなら、会社がその給料日を越えてよいわけではありません。すでに通常の給料日を過ぎている場合も、「請求されたので、ここからさらに7日待てる」という猶予にはなりません。通常の給料日と、退職後の請求による7日期限を比べ、先に来る日までに支払うと考えると整理しやすくなります。
この記事では、2026年8月27日時点の公式情報を基に、7日間の数え方、対象になる給料、退職金・賞与・未消化有休との違い、請求メールの例文、会社が払わないときの相談先を解説します。早く支払ってほしい人は、まず退職日、通常の給料日、会社へ請求した日が分かる記録を手元にそろえてください。
- 結論|退職後の給料は「請求した場合」と「請求しない場合」で支払日が変わる
- 退職後の通常の給料日はいつ?まず締め日と支払日を確認
- 労働基準法23条は何のための制度?対象となる「退職」も確認
- 「7日以内」はいつから数える?7月2日に請求した具体例
- 退職前に請求できる?確実にするなら退職の効力発生後に再送する
- 7日以内に支払いを求められる給料|退職金・賞与・有休買い取りとの違い
- 会社が「金額を計算できない・争いがある」と言った場合
- 退職後の給料を7日以内に払ってもらう請求方法
- 制服・備品・損害を理由に給料を止められる?合法な控除も確認
- 7日以内に振り込まれないときの対処法
- 請求できる期間と遅延利息|7日を過ぎても権利が即消滅するわけではない
- パート・アルバイト・契約社員・派遣社員も対象?ケース別の確認点
- 退職後の給料に関するよくある質問
- まとめ|早く必要なら退職後に記録が残る方法で請求する
結論|退職後の給料は「請求した場合」と「請求しない場合」で支払日が変わる
e-Gov法令検索「労働基準法」の第23条は、労働者の死亡または退職の場合に、権利者から請求があれば、使用者は7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還しなければならないと定めています。第2項では、賃金や金品に争いがある場合も、異議のない部分を同じ期間内に支払う・返還するよう定めています。
一方、第24条は、賃金を毎月1回以上、一定の期日に支払うことを原則としています。退職後の支払日は、この2つの規定を合わせて確認します。第23条の「異議のない部分」とは、会社も支払義務を認める争いのない部分です。
| 状況 | 支払時期の考え方 | 確認点 |
|---|---|---|
| 退職後に早期支払いを請求しない | 通常の給料日 | 雇用契約書・賃金規程の締め日と支払日 |
| 退職後に請求し、通常の給料日が7日期限より後 | 請求日の翌日から7日以内 | 請求が会社へ届いた日を残す |
| 退職後に請求し、通常の給料日の方が先 | 通常の給料日まで | 7日間が通常期限を延ばす制度ではない |
| 通常の給料日をすでに過ぎている | すでに支払遅延の可能性 | 第23条の請求で新たな猶予が付くわけではない |
| 金額の一部に争いがある | 異議のない部分は通常給料日と7日期限の早い方まで | 争点と認めている金額を分ける |
福島県「退職後の賃金支払い」も、退職後に請求した場合は、所定の給与支払日にかかわらず、使用者が請求から7日以内に賃金を支払う義務を負うと説明しています。ポイントは「退職したこと」だけではなく、「退職後に請求したこと」です。
「退職日から7日」ではなく「退職後の請求から7日」が基本
たとえば6月30日に退職し、会社へ何も請求しなかった人の通常の給料日が7月25日なら、基本は7月25日の支払いです。6月30日から7日以内に自動で振り込まれなくても、その一点だけで第23条違反とはいえません。
同じ人が7月2日に第23条に基づく請求を会社へ届けた場合は、7月3日を1日目として7月9日までが目安になります。ただし、通常の給料日が7月6日なら、7月9日まで待てるのではなく、もともとの支払日である7月6日までに支払う必要があります。
退職後の通常の給料日はいつ?まず締め日と支払日を確認
「退職したのに給料が入っていない」と感じたときは、未払いと決める前に、賃金の対象期間と支払日を確認します。給料明細、労働条件通知書、雇用契約書、就業規則の賃金規程に「毎月末日締め、翌月25日払い」などと書かれています。
月末締め・翌月25日払いの例
6月30日に退職した場合、6月1日から30日までの給料は、通常なら7月25日に支払われます。7月25日の時点では会社に在籍していなくても、退職日まで働いた分の賃金を受け取る権利はなくなりません。
6月15日に退職した場合も、6月1日から15日までの賃金がなくなるわけではありません。ただし、月途中退職時の基本給の日割り方法は、暦日数、所定労働日数、月平均所定労働日数など会社の規程によって異なることがあります。この記事の7日ルールは支払時期の話であり、基本給の日割り計算を一律に決めるものではありません。
「当月払い」では退職後に差額精算が生じることもある
月末締め当月25日払いのように、月末までの予定額を先に支給する会社では、25日以後の欠勤や月途中退職について後日差額を精算することがあります。最後の振込額だけを見ず、どの勤務期間に対する支払いか、基本給・残業代・手当・控除の内訳を給与明細で確認してください。
通常の給料日を過ぎていたら、請求前から問題になり得る
通常の給料日が7月6日なのに7月7日になっても支払われていなければ、会社は本来の支払期日を過ぎています。7月7日に第23条の請求をしたからといって、会社がそこから7日間支払いを遅らせてよいわけではありません。会社へ連絡するときは、「通常の支払日を過ぎていること」と「退職後の賃金を請求すること」を分けて記載します。
まだ退職日を決めておらず、給料の空白と次の準備を同時に考えている人は、辞める前にハローワークで何を相談できるか確認しておくと、退職後の選択肢を整理しやすくなります。

労働基準法23条は何のための制度?対象となる「退職」も確認
労基法23条は、退職した労働者や死亡した労働者の遺族が、会社に残る賃金や本人の金品を長期間留め置かれないようにするための規定です。会社の通常の給与計算サイクルよりも早く精算を求められる点に意味があります。
ここでいう退職には、自己都合退職だけでなく、定年、契約期間満了、会社からの解雇など、労働契約が終了する場合が含まれます。「円満退職ではない」「引継ぎが不十分だった」「退職代行を利用した」という理由だけで、すでに働いた分の賃金がなくなるわけではありません。
権利者は原則として退職した本人
本人が退職した場合の権利者は、原則として退職した本人です。家族が代わりに会社へ連絡すると、本人の意思や代理権の確認を求められることがあります。本人が請求できるなら、本人名義のメールや書面で行う方が、誰の請求か明確になります。
業務委託は契約名だけでなく実態を確認
労基法23条は労働者を保護する規定です。請負・フリーランス・業務委託として働く人の報酬支払日は、基本的に契約内容や別の法令で確認します。ただし、契約書に「業務委託」と書かれていても、仕事の指示、時間・場所の拘束、報酬の性質などから実質的に労働者と判断される場合があります。判断が難しいときは相談窓口へ資料を持参してください。
「7日以内」はいつから数える?7月2日に請求した具体例
広島県「退職した場合も賃金は通常の支払日に支払われるのか」は、退職後に請求した場合、請求日の翌日から7日以内に支払ってもらえると説明しています。実務では、会社へ請求が届いた日の翌日を1日目として、暦日で数える形を基本にします。
| 日付 | 出来事 | 数え方 |
|---|---|---|
| 6月30日 | 退職 | この日だけで7日期限は自動開始しない |
| 7月2日 | 会社に請求が到達 | 請求日 |
| 7月3日 | 請求日の翌日 | 1日目 |
| 7月4日 | 2日目 | |
| 7月5日 | 3日目 | |
| 7月6日 | 4日目 | |
| 7月7日 | 5日目 | |
| 7月8日 | 6日目 | |
| 7月9日 | 7日期限の目安 | 7日目 |
7営業日ではなく、土日祝日を含む暦日
「会社の営業日を7日」という意味ではありません。途中に土日祝日があっても日数へ含めます。会社の給与担当者や銀行が休みだからというだけで、当然に7営業日まで延びると考えない方が安全です。休日に期限がかかりそうなら、会社には前営業日までに受け取れる方法を確認しておきます。
個別の到達時刻、郵便の受領日、休日が最終日に当たる場合などで争いがあるときは、自己判断で期限を断定せず、労働基準監督署などへ請求書と送付記録を示して確認してください。
メールを送った日と会社へ届いた日がずれる場合
メールは通常、会社のメールサーバーへ到達した日時が記録になります。郵便は、普通郵便では到達日を証明しにくいため、追跡できる方法や配達証明付きの内容証明郵便を検討します。請求期限を計算するときは、自分が文書を作成した日ではなく、会社が請求を受けた日を確認することが重要です。
退職前に請求できる?確実にするなら退職の効力発生後に再送する
労基法23条は「労働者の死亡又は退職の場合」の規定です。まだ在籍中の人が「退職したら7日以内に払ってください」と事前連絡することはできますが、退職後の第23条請求としていつから期限が動くかについて、会社と認識が食い違うおそれがあります。
期限を明確にしたいなら、退職の効力が生じた後に、改めて証拠が残る方法で請求してください。6月30日付退職で、その日の終わりまで在籍するなら、7月1日以後に送ると整理しやすくなります。即時解雇など、日中に契約終了の効力が生じた場合も、退職日と効力発生時刻を確認したうえで請求します。
最終出社日と退職日は同じとは限らない
有給休暇を消化してから退職する場合、最後に会社へ出勤した日と、労働契約が終わる退職日は異なります。最終出社後も在籍している間は、まだ「退職後」ではありません。退職届、退職証明書、会社とのメールなどで正式な退職日を確認します。
会社へ事前に計算準備を依頼することはできる
退職前に、人事・給与担当へ「退職後に第23条に基づく請求を予定しているため、勤怠と控除額の確認をお願いします」と伝えること自体は可能です。事前準備を依頼したうえで、退職後に正式な請求を再送すれば、請求日と支払期限をめぐる行き違いを減らせます。
退職前の期間を使って学び直しを始めたい場合は、在職中に利用できる職業訓練・教育訓練と、退職後に利用する制度を分けて確認してください。

7日以内に支払いを求められる給料|退職金・賞与・有休買い取りとの違い
7日以内の対象を考えるときは、「会社から受け取るお金」という名称だけでなく、労働の対償として支払義務が確定した賃金かどうかを確認します。基本給だけでなく、すでに発生した残業代や各種手当も、賃金に当たることがあります。
| 項目 | 7日以内の対象の目安 | 確認資料 |
|---|---|---|
| 退職日までの基本給・時給 | 対象 | 雇用契約書、賃金規程、勤怠 |
| すでに発生した残業・休日・深夜割増賃金 | 対象 | 勤怠記録、シフト、業務記録 |
| 支給条件を満たした通勤手当・資格手当など | 賃金性と条件を確認 | 就業規則、手当規程 |
| 歩合給・インセンティブ | 支払義務が確定した部分を確認 | 賃金規程、実績資料 |
| 賞与 | 支給条件・査定・在籍要件による | 賞与規程、過去の運用 |
| 退職金 | あらかじめ定めた支払時期が基本 | 退職金規程 |
| 未消化有休の買い取り | 自動的な請求権とは限らない | 就業規則、個別合意 |
| 旅行積立金・社内預金・保証金 | 本人の権利に属する金品なら返還対象 | 積立規約、給与明細 |
群馬労働局「賃金支払いに関する事項のあらまし」は、退職した労働者から賃金請求があれば所定支払日にかかわらず請求日から7日以内に支払うこと、退職手当はあらかじめ定めた支払時期に支払うこと、争いがある場合も異議のない部分を7日以内に支払うことを示しています。
退職金は一律に7日以内ではない
就業規則や退職金規程に「退職後1か月以内」「退職日の翌月末」など、支給時期があらかじめ定められている退職金は、その時期によるのが基本です。支払時期の定めがない場合には、請求日から7日以内の扱いを確認します。「給料」と「退職金」を請求書で分けて書くと、期限の混同を防げます。
賞与は名前だけで判断しない
賞与も労働の対償として支払われ、就業規則などによって金額や支給義務が具体的に確定していれば賃金に当たり得ます。一方、「支給日に在籍していること」「業績と査定により支給すること」などの条件を満たさず、請求権がまだ確定していない賞与まで、退職後7日以内に必ず受け取れるわけではありません。
未消化の年次有給休暇は自動的に現金化されない
退職時に残った有休の日数へ時給を掛け、当然に最後の給料へ上乗せできる制度ではありません。会社に買い取り規程や個別合意がある場合は、その条件と支払時期を確認します。退職日までに有休を取得した日の賃金が未払いである場合は、単なる「残日数の買い取り」とは分けて確認してください。
会社が「金額を計算できない・争いがある」と言った場合
退職者から請求を受けた会社が、残業時間や手当の金額に異議を述べることはあり得ます。しかし、労基法23条第2項は、争いがある場合も異議のない部分を期間内に支払うよう定めています。基本給20万円は認めているが、残業代3万円だけを争っているなら、「合計23万円が決着するまで全額を保留する」という処理は問題になります。
請求書では「異議のない部分」の支払いも明記する
自分で正確な総額を計算できない場合でも、退職日までに発生した賃金を請求する意思を示せます。勤務期間、基本給、残業をした日など、分かる範囲を記載し、「金額に異議がある場合も、異議のない部分は期限内に支払ってください」と添えます。
勤怠締めが終わっていないことだけで全額を止めない
会社が「給与計算の締めがまだ」「担当者が休み」と説明した場合は、いつ、どの部分を、いくら支払うのかを書面で回答してもらいます。法律上の期限は、会社の給与ソフトや社内承認の日程に合わせて自動的に延びるものではありません。少なくとも会社が認めている基本給や確定済み手当を切り分けるよう求めます。
未払い残業代は根拠資料を保存する
タイムカード、勤怠システムの画面、シフト表、業務メール、パソコンのログ、入退館記録、日報などを保存します。会社の個人情報や顧客情報を無断で持ち出さず、自分の労働時間と賃金条件を確認するために必要な範囲で記録してください。
退職後の給料を7日以内に払ってもらう請求方法
請求方法に特別な様式はありません。口頭でも請求の意思は伝えられますが、後から「請求を受けていない」「日付が違う」と争われるおそれがあります。最初はメールや会社指定の連絡フォームなど記録が残る方法で送り、反応がなければ追跡できる郵便や内容証明郵便を検討します。
請求前にそろえるもの
- 正式な退職日が分かる退職届の写し、退職証明書、会社とのメール
- 給与の締め日・支払日が分かる雇用契約書、給与明細、就業規則
- 未払い対象期間のシフト、勤怠、業務記録
- 会社の人事・給与担当部署と送付先
- 普段の給与振込口座
- 請求メール、送信記録、郵便追跡番号を保存する場所
そのまま使える請求メール例文
件名:退職に伴う賃金支払いの請求(氏名)
株式会社○○
人事・給与ご担当者様私は、○年○月○日付で退職した○○です。退職日までに発生した未払い賃金について、労働基準法第23条第1項に基づき、本メール到達日の翌日から7日以内に、これまで使用していた本人名義の給与口座へお支払いください。
対象は、○年○月○日から退職日までの基本給、各種手当および時間外・休日・深夜労働に対する賃金です。金額または一部項目に異議がある場合も、異議のない部分は同条第2項の期間内にお支払いください。
なお、通常の給料日の方が先に到来する場合は、その給料日までにお支払いください。
支給額・控除額の内訳が分かる給与明細と、振込予定日のご回答もお願いします。
氏名:○○○○
退職日:○年○月○日
連絡先:○○○○
口座番号をメールへすべて書く必要がなければ、「従来の給与口座」と記載する方が安全です。口座変更が必要な場合は、会社の安全な提出方法を確認します。マイナンバー、インターネットバンキングの暗証番号、カード番号を送ってはいけません。
請求期限を日付で書く場合は到達日を確認
7月2日に会社へ届いたことを確認できるなら、「7月9日まで」と具体的に書けます。到達日が確定していない段階で誤った日付を断定するより、「本請求到達日の翌日から7日以内」と記載し、配達完了後に期限を確認する方法もあります。
内容証明郵便は支払いを強制する判決ではない
内容証明郵便は、いつ、どのような文書を送ったかを残す手段です。送れば自動的に口座へ入金される制度でも、未払い額を国が確定する手続でもありません。それでも、請求の事実と内容を証明しやすくなるため、メールを無視される場合や金額が大きい場合には有用です。
制服・備品・損害を理由に給料を止められる?合法な控除も確認
会社から借りた制服、社員証、パソコン、携帯電話、鍵などは、指定された方法で速やかに返却します。しかし、返却が遅れたことと、すでに発生した賃金を支払うことは、原則として分けて考えます。「備品を返さない限り給料は全額払わない」と一方的に全額を留保する対応は、賃金全額払いの原則との関係で問題になります。
損害賠償の主張と給与天引きは同じではない
会社が、備品の紛失や業務上のミスによる損害を主張することはあります。ただし、損害賠償請求が可能か、従業員がどの範囲を負担するかという問題と、会社が最終給与から自由に差し引けるかという問題は別です。会社が示した損害額を、そのまま給料全額と一方的に相殺できるとは限りません。
厚生労働省「賃金の額や支払方法などは、労基法等で規制されているのでしょうか?」は、会社に労働者への損害賠償請求権があっても賃金と一方的に相殺することはできず、賃金を支払ったうえで別に損害賠償を請求するという整理を示しています。労働者が自由な意思で相殺へ同意したと客観的に認められる場合などは扱いが異なり得るため、退職時に署名を求められても、その場で判断せず内容を確認してください。
税金・社会保険料などの控除は残る
退職後に7日以内の支払いを請求しても、総支給額がそのまま手取りで振り込まれるとは限りません。所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料など、法令に基づく控除が行われることがあります。また、法令以外の控除についても、適法な賃金控除の労使協定があるか、項目と根拠を確認します。
退職月の社会保険料が2か月分に見える場合や、1月から4月の退職で住民税がまとめて控除される場合もあります。金額が少ないから直ちに未払いと決めず、給与明細で「総支給額」と「控除額」を分けて確認し、会社へ計算根拠を尋ねてください。
会社へ返す物と、会社から返してもらう物を一覧にする
会社の備品を追跡可能な方法で返し、送付票・伝票・内容物の写真を保存します。同時に、会社へ預けた保証金、社内預金、積立金、本人所有の書類や私物があれば、返還対象として一覧にします。給料と金品の返還を一通の書面で請求する場合も、それぞれの項目を分けてください。
会社との精算を進めながら、次に転職するか、いったん職業訓練でスキルを付けるか迷っている人は、生活費、希望職種、訓練期間を並べて判断すると整理しやすくなります。

7日以内に振り込まれないときの対処法
期限を過ぎても入金がなければ、まず請求が会社へ到達した日、通常の給料日、登録口座、会社からの回答を確認します。単純な振込口座の誤りと、支払拒否を分けるためです。そのうえで、期限を明示して再請求し、解決しなければ公的窓口へ資料を持参します。
1|会社へ書面で再確認する
「○月○日に送った請求が到達し、翌日から7日目の○月○日を過ぎています。支払日、支払額、控除内訳を○月○日までに回答してください」と連絡します。会社が一部だけ争っているなら、認めている金額を質問し、その部分の支払いを改めて求めます。
2|証拠を時系列でまとめる
- 雇用契約書・労働条件通知書・就業規則の賃金部分
- 直近の給与明細と通帳・入出金履歴
- 退職日が分かる書類
- 勤怠記録、シフト、残業を示す資料
- 最初の請求、到達記録、会社の返信
- 自分が考える未払い対象期間と概算額
3|労働基準監督署へ相談する
厚生労働省「労働基準行政の相談窓口」は、賃金、労働時間、解雇などの法令違反について相談したい場合の窓口として、労働基準監督署を案内しています。会社所在地を管轄する監督署へ、資料をそろえて相談します。
監督署は労基法違反を扱う行政機関で、個人の代理人として会社と示談したり、民事上の金額を最終確定して回収したりする機関ではありません。支払額の争いが大きい場合は、行政相談と民事上の回収方法を分けて検討します。
4|総合労働相談コーナーや夜間・休日の電話相談を使う
厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」では、職場のトラブルについて情報提供や相談を無料で受け付けています。どの窓口へ相談すべきか分からない段階でも利用できます。
平日夜間や土日祝日に相談したい場合は、厚生労働省「労働条件相談ほっとライン」を利用できます。日本語窓口は0120-811-610で、2026年8月27日時点の受付時間は平日17時から22時、土日祝日9時から21時です。窓口は法令や相談先の案内を行いますが、会社へ直接指導する機関ではない点も確認してください。
5|支払督促・少額訴訟・労働審判などを検討する
会社が支払いを拒み、行政相談だけで解決しない場合は、支払督促、少額訴訟、通常訴訟、労働審判、労働組合による交渉などが候補になります。請求額、争点、証拠、費用と時間によって適切な手段が変わるため、法テラス、弁護士、司法書士、労働組合などへ個別に相談します。
6|会社が倒産した場合は立替払制度を確認
厚生労働省「未払賃金立替払制度の概要と実績」は、企業倒産によって賃金が支払われないまま退職した労働者に、未払賃金の一部を立替払いする制度を案内しています。通常の請求とは要件、対象期間、上限、手続が異なるため、倒産状態なら早めに労働基準監督署や労働者健康安全機構へ確認します。
請求できる期間と遅延利息|7日を過ぎても権利が即消滅するわけではない
第23条の7日間は、会社が請求後に支払うべき期間です。7日を過ぎた瞬間に労働者の賃金請求権が消える期限ではありません。ただし、放置すると証拠が失われたり、消滅時効が進んだりするため、早めに請求と相談を行います。
厚生労働省「賃金請求権の消滅時効は、どのように変更されたのでしょうか?」は、2020年4月1日以降に支払期日が到来する賃金について、時効期間を5年へ延長しつつ、当分の間3年としていると説明しています。起算点は原則として各賃金支払期日なので、古い月の給料から順に期限が進みます。
退職金の時効は通常賃金と同じではない
退職金請求権の時効は5年です。ただし、そもそも退職金制度があるか、支給要件を満たすか、いつ請求権が発生するかを退職金規程で確認する必要があります。通常の給料、未払い残業代、退職金を一つの期限としてまとめないでください。
退職後の遅延利息を一律の率・起算日で断定しない
厚生労働省「退職労働者の賃金に係る遅延利息関係の施行について」が示すように、遅延利息は通常の支払期日、退職後の請求期限、会社が約束した支払日、支払いが遅れた理由や適用除外などによって起算点や扱いが変わります。「退職日の翌日から必ず同じ率」と単純計算せず、請求日と所定支払日を示して専門窓口へ確認してください。
パート・アルバイト・契約社員・派遣社員も対象?ケース別の確認点
パート・アルバイト
雇用されて働くパート・アルバイトも対象です。時給だから退職後は次の給料日まで必ず待たなければならない、学生だから請求できない、というものではありません。退職の効力発生後に、対象期間、勤務時間、時給、交通費などを示して請求します。
契約社員・有期雇用
契約期間満了で更新せずに退職した場合も対象になります。雇い止めをめぐる争いがある場合でも、すでに働いた分のうち双方が認めている賃金は別に整理します。契約終了日と最終出社日が違う場合は、正式な終了日を確認してください。
派遣社員
派遣社員へ賃金を支払う使用者は、通常は勤務先の派遣先ではなく雇用契約を結ぶ派遣元です。勤務実績は派遣先で管理されていても、給料の請求先を派遣元の人事・給与担当へ確認します。
解雇・即日退職・退職代行を利用した場合
解雇や即日退職でも、実際に働いた分の賃金は残ります。ただし、解雇が有効か、退職日がいつか、欠勤期間をどう扱うかなど別の争点が加わることがあります。退職日について会社と本人の認識が違うなら、まず書面で確認し、少なくとも異議のない勤務期間の賃金を請求します。
退職後の精算が落ち着いたら、次の仕事で同じ状況を繰り返さないために、労働条件、仕事内容、通勤、訓練で身に付けた技能の活かし方を優先順位にしておくことが役立ちます。

退職後の給料に関するよくある質問
Q1.退職したら自動的に7日以内に給料が入りますか?
いいえ。退職後に請求しなければ、原則として会社が定めた通常の給料日に支払われます。7日以内の支払いを求めるなら、退職の効力が生じた後に会社へ請求し、到達日を記録してください。
Q2.7日間は退職日と請求日のどちらから数えますか?
退職日から自動的に数えるのではなく、退職後の請求を会社が受けた日を基準にします。請求日の翌日を1日目として数えるのが基本です。
Q3.7日間に土日祝日は含まれますか?
7営業日ではなく、土日祝日を含む暦日として数えます。会社の営業日だけを7日数えるものではありません。最終日が休日に当たるなど個別の期限に疑問があれば、前倒しの支払いを会社へ求め、監督署へ確認してください。
Q4.通常の給料日が7日以内に来る場合はいつまでですか?
通常の給料日の方が先なら、その給料日までです。第23条の7日間は、もともとの支払期日を後ろへ延ばす猶予期間ではありません。
Q5.退職前に7日以内の支払いを請求できますか?
事前に支払準備を依頼することはできます。ただし、第23条は退職の場合の規定なので、期限を明確にするため、退職の効力発生後に正式な請求を再送するのが安全です。最終出社日ではなく正式な退職日を確認してください。
Q6.メールやLINEでの請求でも有効ですか?
特別な様式はありませんが、誰が、いつ、何を請求し、会社へいつ届いたかが分かる形で残します。メールは送信済み画面と会社の返信を保存し、反応がなければ追跡可能な郵便や内容証明郵便を検討します。
Q7.会社が給与計算を終えていない場合も7日以内ですか?
社内の計算日程だけで法律上の期限が当然に延びるわけではありません。会社が認める基本給など、異議のない部分を切り分けて期限内に支払うよう求めます。
Q8.残業代の金額に争いがある場合は全額待つ必要がありますか?
いいえ。残業代の一部に争いがあっても、基本給など異議のない部分は原則として保留できません。会社が認める金額と争う金額を回答してもらい、異議のない部分の支払いを求めます。
Q9.制服や会社のパソコンを返していないと給料は止められますか?
借用品は速やかに返す必要がありますが、備品返却と賃金支払いは原則として別の問題です。返却物を追跡できる方法で送り、会社が全額を留保した場合は、その根拠を確認して監督署へ相談してください。
Q10.パート・契約社員・派遣社員も対象ですか?
雇用されるパート、アルバイト、契約社員も対象です。派遣社員は原則として雇用主である派遣元へ請求します。業務委託は、労基法上の労働者に当たるかを実態から確認します。
Q11.退職金やボーナスも必ず7日以内ですか?
一律ではありません。退職金は退職金規程であらかじめ定めた支払時期が基本です。賞与は支給日在籍要件、査定、支給義務が確定しているかによって変わります。
Q12.7日を過ぎても払われない場合はどこへ相談しますか?
会社所在地を管轄する労働基準監督署、総合労働相談コーナー、労働条件相談ほっとラインへ相談できます。雇用契約書、給与明細、勤怠、退職日が分かる書類、請求と到達の記録をそろえてください。回収手続が必要なら法テラスや法律専門職にも相談します。
まとめ|早く必要なら退職後に記録が残る方法で請求する
退職後の最後の給料は、何もしなくても退職日から7日以内に振り込まれる制度ではありません。請求しない場合は通常の給料日、退職後に請求した場合は原則として請求日の翌日から7日以内です。ただし、通常の給料日の方が先なら、その日を過ぎてよいわけではありません。
早期支払いを求めるときは、正式な退職日を確認し、退職の効力発生後にメールや書面で請求します。7月2日に会社へ届けば7月3日を1日目として7月9日が目安です。退職前に連絡していた場合も、退職後に再送して期限を明確にしてください。
金額に争いがあっても、異議のない部分は切り分けて請求できます。備品の返却、退職金、賞与、未消化有休の買い取り、税金・社会保険料の控除は、それぞれ通常の給料とは扱いが異なります。期限を過ぎたら記録を時系列にまとめ、会社への再請求と公的窓口への相談を早めに進めましょう。

