教育訓練休暇給付金をもらった後に退職したら?失業保険が出る条件と例外

教育訓練休暇給付金を受給した後に退職した場合の失業保険の条件と例外を、カレンダーと書類で確認する図 教育訓練支援給付金・休暇給付金

教育訓練休暇給付金をもらって学び直したあと、会社を辞めることになった。これまで雇用保険に入っていたのに、退職後の失業保険は受けられないのか。生活費をどう確保すればよいか、気になるところです。

教育訓練休暇給付金を受給すると、休暇開始前の加入期間は、失業保険の受給資格の判定で原則使えなくなります。ただし、その後に必要な被保険者期間を満たせば基本手当を受けられます。また、休暇中や休暇終了後の一定期間内に倒産・解雇などで離職した人には、特例があります。

まず確認するのは、休暇の開始日・終了日、復職後の勤務と賃金、実際の離職理由です。「長年加入していたから大丈夫」「給付をもらったから失業保険は絶対に出ない」と決めつけず、この3点をそろえてハローワークへ相談してください。

2026年9月6日確認。この記事は、教育訓練休暇給付金を実際に受給した後、65歳未満で離職する人の基本手当を中心に説明します。受講料を補助する「教育訓練給付金」や、職業訓練の月10万円の給付金とは別の制度です。

教育訓練休暇後の退職は、加入期間と離職理由で判断する

退職後の失業保険が受けられるかは、次のように分かれます。ここでいう失業保険は、雇用保険の「基本手当」です。いずれも、働く意思と能力があり、求職活動をしていることなどが前提になります。

退職時の状況 確認すること
通常の自己都合退職 休暇開始前の期間を除いて、原則として離職前2年間に被保険者期間12か月以上があるか
倒産・解雇などで離職 通常の受給資格に加え、休暇後の離職に対する基本手当の特例に該当するか
更新を希望したのに契約が更新されず離職 離職理由の区分、休暇終了からの期間、特例の暫定措置の期限に該当するか
病気などですぐ働けない 加入期間だけでなく、基本手当を受ける状態か、受給期間延長などを相談する必要があるか

退職届を出したという形式だけで、給付上の離職理由が確定するわけではありません。会社から退職を勧められた、契約更新を希望したのに断られたなどの事情は、通知やメールを残しておきましょう。最終的な区分は、ハローワークが資料と双方の説明を確認して判断します。

出典:ハローワーク「基本手当について」、厚生労働省「教育訓練休暇給付金の業務取扱要領」(56731〜56735)

これから休暇給付金を使うか検討している場合は、休暇中の支給額や会社との手続きも含めて比較してください。

教育訓練休暇給付金はいくら?加入5年・30日以上の無給休暇と申請方法
教育訓練休暇給付金の金額、加入5年・直近12か月、30日以上の無給休暇、会社承認、90・120・150日の給付日数、申請方法と受給後の注意点を解説します。

「雇用保険の期間がリセット」の意味を2つに分ける

受給資格を決める被保険者期間は、休暇開始前を原則含めない

教育訓練休暇給付金を受けた場合、対象となる休暇を開始した日より前の被保険者であった期間は、基本手当などの受給資格に必要な被保険者期間に含まれません。入金日や申請日より前という意味ではなく、基準になるのは、その給付に係る休暇の開始日です。

新たな被保険者期間は休暇開始日から起算します。ただし、会社に在籍した月が、そのまま全て「1か月」と数えられるわけではありません。基本手当では、原則として離職日から1か月ずつ区切り、賃金支払基礎日数が11日以上、または賃金支払基礎時間数が80時間以上ある月を数えます。

そのため、丸1か月無給だった教育訓練休暇の月を、復職後に給与が出た月と同じように足すことはできません。給与明細と離職票の賃金・日数欄を見て、数えられる月がいくつあるかを確認します。

給付日数を決める算定基礎期間も、以前の勤続年数のままではない

「受けられる資格があるか」と「何日分受けられるか」は別の判定です。基本手当の所定給付日数を決める算定基礎期間でも、休暇開始前の被保険者であった期間や、休暇給付の支給に係る休暇の期間は除外されます。

例えば休暇前に12年加入していても、その12年をそのまま残して給付日数を決めるわけではありません。会社での勤続年数が消えるという意味でも、健康保険や年金の加入履歴が全てなくなるという意味でもありません。雇用保険のどの給付を、何の期間で判定するかを分けて考えます。

出典:厚生労働省「教育訓練休暇給付金の業務取扱要領」(56727)、静岡労働局「教育訓練休暇給付金」(スライド30・被保険者期間等の取扱い)

倒産・解雇後の特例は「離職理由」と「休暇終了からの期間」が条件

特定受給資格者に該当する倒産・解雇などが対象

休暇給付を受けた後、予見できなかった倒産・解雇などで離職し、特定受給資格者に該当する人には、基本手当の特例があります。休暇前の期間が使えなくなったことで、直後に生活費の給付を全く受けられなくなる事態に対応するものです。

通常の自己都合退職で、特定受給資格者などに該当しない場合は、この特例の対象になりません。また、特定理由離職者なら全員がこの特例を使えるわけではありません。

特定理由離職者のうち、有期契約の満了時に本人が更新を希望したものの合意に至らず離職した一定の人については、2027年3月31日までの暫定措置で対象になり得ます。病気や家庭事情による正当な理由のある自己都合退職などと、同じ範囲ではないため、離職理由の区分を確認してください。

6か月の判定は、給付金が振り込まれた日から数えない

この特例は、公式の概要で「休暇終了後6か月以内」などと説明されています。一方、業務取扱要領の具体的な判定では、教育訓練休暇を終了した日から離職日以前までの期間が6か月未満かを確認し、6か月以上の場合は通常の基本手当の手続きに進むとされています。

入金日から6か月、申請日から6か月、復職して給与を6回受け取るまで、と数えないでください。休暇の終了日と離職日を日付で伝える必要があります。境目に近い場合や休暇を分割・変更した場合は、自己判断で退職日を決めず、休暇取得確認票・変更確認票を持って確認しましょう。

休暇の途中で離職した場合は、業務取扱要領上、その離職日を休暇期間の末日として扱います。まだ復職していないからという理由だけで、特例の相談を諦める必要はありません。

特例の所定給付日数は原則90日

この特例の対象になった場合、所定給付日数は通常90日です。法令上の就職困難者に該当する人は150日となります。休暇給付の残日数をそのまま基本手当へ移す仕組みではありません。

出典:厚生労働省「教育訓練休暇給付金の業務取扱要領」(56731〜56735、本文33〜35ページ)

同じ休暇を取っても結果が変わる3つの日付例

以下は制度の違いを見るための仮定です。実際の受給事例ではありません。休暇前に雇用保険へ12年間加入し、2025年10月1日〜12月31日に無給の教育訓練休暇を取得して、休暇給付金を受給した人を想定します。

復職日は2026年1月1日。復職後は雇用保険に加入したまま毎月働き、賃金支払基礎日数などの条件を満たす完全な月があるものとします。離職時は65歳未満、就職困難者には該当せず、離職後すぐ働ける状態です。例2は、2026年9月時点の制度に基づく今後の仮定です。

例 離職日・理由 復職後の期間 判断の方向
1 2026年3月31日・通常の自己都合 3か月 原則の12か月に不足。この前提では受給資格を満たさない
2 2026年12月31日・通常の自己都合 12か月 被保険者期間12か月を満たせば、通常の基本手当の対象になり得る
3 2026年3月31日・予期しなかった倒産による離職 3か月 特定受給資格者と認められれば、休暇後の特例を確認する

例1:復職後3か月で通常の自己都合退職

数えられる被保険者期間が復職後の3か月だけなら、原則12か月の条件に足りません。休暇前の12年間を足して受給資格を満たすこともできません。

この場合は「あと9か月たてば自動的にもらえる」という意味ではありません。退職後に無職で待っていても、被保険者期間は増えません。退職を検討中なら今後の勤務と家計を見直し、退職済みなら受けられる支援と求職活動をハローワークで相談します。

例2:復職後12か月働いて通常の自己都合退職

復職後の12か月が全て被保険者期間として数えられれば、原則の加入期間要件を満たします。休暇給付を受けた人が、将来ずっと基本手当を受けられなくなるわけではありません。

この前提では、給付日数の計算に使う期間も休暇前の12年ではなく、休暇後の期間で判断します。通常の自己都合で算定基礎期間が10年未満の人は、所定給付日数90日の区分です。受給資格を満たすことと、いつから支給されるかは別なので、待期や給付制限も確認してください。

出典:ハローワーク「基本手当の所定給付日数」

例3:復職後3か月で予期しなかった倒産により離職

復職後は3か月でも、特定受給資格者と認められ、休暇終了からの期間などの条件を満たせば、基本手当の特例の対象になります。この例の所定給付日数は90日です。

「期間がリセットされたので申請できない」と判断する前に、休暇給付の受給歴、休暇終了日、倒産による離職であることを窓口へ伝えましょう。特例では、賃金日額の算定に休暇開始前の完全な賃金月も含めて確認します。

学費を補助する教育訓練給付金の期間は、別に確認する

基本手当で休暇前の期間を使えなくなっても、受講料を補助する一般・特定一般・専門実践の教育訓練給付金の支給要件期間まで、同じようにリセットされるわけではありません。すでに講座を受けている人も、これから別の講座を受けたい人も、講座の指定、受講開始日、申請時期などを別に確認します。

出典:静岡労働局「教育訓練休暇給付金」(スライド30)

学費を支える給付の種類と条件はこちらで確認できます。

教育訓練給付金は誰がいくらもらえる?3種類の条件・対象講座・申請方法
教育訓練給付金は誰がいくらもらえる?一般・特定一般・専門実践の条件、対象講座、雇用保険の加入期間、30万円・120万円の支給例、受講前手続きと申請方法を2026年の制度で解説します。

特例の金額は、休暇前後の最後の6賃金月から計算する

特例の基本手当は、休暇給付と同じ金額がそのまま振り込まれるわけではありません。賃金日額を計算し、年齢やその時点の基準から基本手当日額を決めます。

例えば、例3の人について、最後の完全な6賃金月が「休暇前の3か月は各250,000円、復職後の3か月は各280,000円」だったとします。臨時の賃金や3か月を超える期間ごとの賃金はない前提です。

6賃金月の合計:250,000円×3+280,000円×3=1,590,000円
賃金日額:1,590,000円÷180=約8,833円

この約8,833円は、基本手当の1日当たりの受取額ではありません。ここから年齢別の給付率や上限などを使って支給日額を決めます。「無給だった直近6か月をそのまま平均する」「休暇給付の入金額を給与として使う」という計算もしません。

休暇前の給与明細も残し、窓口で「賃金日額の計算に使う6か月はどの月か」を確認してください。休暇後に賃金が変わった人は、特に確認する意味があります。

出典:厚生労働省「教育訓練休暇給付金の業務取扱要領」(56735)

離職票⑭欄と休暇の記録をそろえてハローワークへ

会社には、離職票に教育訓練休暇期間を記載してもらう

業務取扱要領では、離職理由にかかわらず、離職証明書の「⑭賃金に関する特記事項」欄に教育訓練休暇期間を記載することとされています。交付された離職票-2でも、その欄の日付を確認してください。

会社の人事・給与担当には、「教育訓練休暇給付金を受給しているため、離職票⑭欄の休暇期間も確認したい」と伝えれば、確認箇所を共有しやすくなります。休暇を延長・短縮した場合は、最初の予定日ではなく、変更後の記録と合っているかを確認しましょう。

本人が持参するものと、確認すること

持参・準備するもの 確認したいこと
離職票-1・2 離職日、離職理由、⑭欄の教育訓練休暇期間
休暇給付の受給資格決定通知、支給に関する通知 どの休暇について給付を受けたか
休暇取得確認票・変更確認票の控え、復職の記録 休暇開始日・終了日と復職日
休暇前後の給与明細・勤務の記録 数えられる被保険者期間と、賃金日額に使う月
解雇通知、雇止め通知、契約書、更新希望を伝えたメールなど 離職理由と特例の対象に当てはまるか

これは休暇後の判定を相談するための資料です。基本手当の正式な手続きには、本人確認・個人番号確認の書類、本人名義の口座情報なども必要になるため、住所を管轄するハローワークで案内を確認してください。

離職票が届かない、休暇期間が空欄、会社の記載と自分の認識が違う場合は、会社へ確認するとともに、手元の控えを持ってハローワークへ相談しましょう。自分で離職票を書き換えるのではなく、記載の誤りを伝えて確認してもらいます。

窓口では「通常の受給資格を満たすか」「教育訓練休暇後の特例に当てはまるか」「所定給付日数と支給開始はどうなるか」の3点を、別々に確認すると整理しやすくなります。

出典:厚生労働省「教育訓練休暇給付金の業務取扱要領」(56732・56733)、ハローワーク「雇用保険の具体的な手続き」

基本手当を受けられない場合の生活費も相談する

教育訓練休暇給付金は、在職したまま対象の休暇を取る人の制度です。退職後も学校に通うからといって、休暇給付がそのまま続いたり、別の生活費給付へ自動で切り替わったりするわけではありません。

基本手当を受けられない場合も、再就職のための訓練と生活費の制度を相談できます。利用できる支援は収入・資産・働ける状態などで変わるため、訓練へ申し込む前に確認してください。

職業訓練でもらえるお金・給付金一覧|使える制度の見分け方
職業訓練に通えば月10万円もらえるのか。失業保険を受けている人も同じ給付金を申請できるのか。制度名が似ているため、自分がどれを確認すべきか分かりにくいところです。結論から言うと、職業訓練でもらえるお金は一つではありません。雇用保険を受給でき...

退職前後によくある疑問

失業保険を受けるために、退職後6か月待てばよいですか?

いいえ。特例の6か月は、休暇終了から離職までの期間に関する判定です。退職後の待ち時間ではありません。被保険者期間が不足している場合も、無職のまま待つだけでは増えないため、早めに窓口へ相談してください。

病気で辞めた特定理由離職者も、休暇後の特例を使えますか?

特定理由離職者に対するこの特例の暫定措置は、一定の雇止めによる離職者が対象です。病気などの理由で特定理由離職者と認められることと、休暇後の特例の対象になることは別です。通常の基本手当では、特定理由離職者は原則として離職前1年間に被保険者期間6か月以上があれば対象になり得ますが、休暇前の期間の除外や、すぐ働けるかも確認が必要です。

休暇中に退職する場合、どこへ連絡しますか?

会社の人事担当と、休暇給付の手続きをしている住所地のハローワークへ連絡し、退職日、休暇の変更、最後の認定申告について確認してください。退職後に入金があっても、以前の認定期間分が後から振り込まれた場合もあるため、入金日だけで判断せず、どの期間の支給かを通知で確認します。

退職後の家計を立てるときは、休暇中にもらった金額をそのまま将来の生活費に当てはめないことが大切です。休暇の開始・終了、復職、退職の4つの日付を書き出し、離職票と給与明細を使って、受けられる給付と次の手続きを確認しましょう。