情報の基準日:2026年8月31日時点の制度内容をもとに解説しています。
教育訓練給付金は在職中でも使えます。受講開始日に雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者で、必要な加入期間などを満たし、厚生労働大臣指定講座を修了すれば対象です。正社員だけでなく、雇用保険へ加入しているパート・契約社員も条件を満たせます。
自費で勤務時間外に受講し、通常の基本給付を申請するだけなら、会社の許可書や上司の承認は制度上の必要書類ではありません。本人が住所を管轄するハローワークへ申請する標準手続きにも、勤務先へ一律に通知する工程は示されていません。
ただし、会社補助を使う、勤務時間中に通学する、無給の教育訓練休暇を取る、専門実践の賃金上昇による80%追加給付を申請する場合は会社が関与します。「在職中に使えるか」と「会社へ知らせずに全手続きできるか」は分けて判断してください。
会社への確認が必要になりやすい場面
- 勤務時間中に通学・受験する
- 会社の受講料補助や資格取得支援を使う
- 会社名義で講座を申し込む・支払う
- 専門実践の賃金5%上昇による追加給付を申請する
- 30日以上の無給休暇で教育訓練休暇給付金を使う
在職中の教育訓練給付金と会社の関与を一覧で確認
自費・勤務時間外なら会社の許可は原則不要
本人が指定講座を選び、自分で受講料を払い、休日・夜間など勤務時間外に学ぶ場合、教育訓練給付金を使うために会社の受講許可を取る制度ではありません。申請者とハローワーク、学校の書類で基本手続きを進めます。
通常申請に会社への一律通知はない
一般教育訓練給付金の標準的な必要書類は、支給申請書、修了証明書、領収書、本人・住所・マイナンバー確認、本人名義口座、教育訓練経費等確認書などです。会社の同意書は含まれず、勤務先へ支給申請を通知する標準工程も示されていません。
会社制度を使うなら会社へ申請する
会社の資格取得支援、受講料補助、勤務扱いの研修、特別休暇などを使う場合は、就業規則と社内手続きに従います。教育訓練給付金の条件とは別に、会社が講座内容や受講日程を審査することがあります。
追加給付や休暇給付では会社の証明が必要になる
専門実践の80%追加給付は、訓練前後の賃金を比較するため申請者と事業主の記載が必要です。また、教育訓練休暇給付金は会社の制度に基づく30日以上の無給休暇を前提とするため、会社との合意なしに利用できません。
| 利用場面 | 会社の許可・証明 | 会社へ分かる可能性 |
|---|---|---|
| 自費・勤務時間外で基本給付 | 原則不要 | 標準手続きに一律通知なし |
| 会社の受講料補助を利用 | 社内申請が必要 | 会社が把握する |
| 勤務時間中に通学 | 勤務・休暇の承認が必要 | 会社が把握する |
| 専門実践の80%追加給付 | 事業主の記載・賃金証明が必要 | 会社が把握する |
| 教育訓練休暇給付金 | 会社制度と合意が必要 | 会社が把握する |
| 給与の特定支出控除 | 勤務先等の証明が必要 | 証明依頼で会社が把握する |
在職者の受給資格:厚生労働省「Q&A~一般教育訓練給付金~」では、受講開始日に雇用保険の被保険者である在職者を支給対象として明記しています。
在職中でも対象になる条件
受講開始日に雇用保険へ加入している
在職者の受給資格は、指定講座の受講開始日に雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者であるかを基に判定します。会社員という呼び方ではなく、雇用保険の被保険者資格を確認します。
必要な支給要件期間を満たす
一般教育訓練と特定一般教育訓練は、初回受給なら原則1年以上、2回目以降は原則3年以上の支給要件期間が必要です。専門実践は初回なら原則2年以上、2回目以降は原則3年以上です。過去の受給歴がある場合は再受給間隔も確認します。
パート・契約社員でも雇用保険加入者なら対象
正社員限定の制度ではありません。パート、アルバイト、契約社員、派遣社員でも、受講開始日に雇用保険へ加入し、必要な加入期間を満たしていれば対象になり得ます。派遣社員の場合も、派遣先ではなく雇用契約を結ぶ派遣元での加入状況を確認します。
役員・公務員・個人事業主は被保険者資格を確認
会社役員、個人事業主、公務員などは、雇用保険の一般被保険者ではないことがあります。給与を受け取っている、社会保険に入っているというだけでは教育訓練給付金の加入条件を満たしたことになりません。
| 働き方 | 受給可能性 | 確認する場所 |
|---|---|---|
| 正社員 | 雇用保険期間を満たせば対象 | 雇用保険被保険者番号・ハローワーク |
| パート・アルバイト | 雇用保険加入者なら対象になり得る | 給与明細・雇用契約・ハローワーク |
| 契約・派遣社員 | 雇用保険加入者なら対象になり得る | 雇用主である会社の加入状況 |
| 会社役員 | 原則加入外だが兼務役員等は個別確認 | 雇用保険被保険者資格 |
| 個人事業主 | 本人は通常加入外 | 過去の離職者資格が使えるか |
| 公務員 | 通常の雇用保険加入者でないことが多い | 勤務先制度・被保険者資格 |
前職との通算、空白期間、被保険者番号が分からない場合は、加入期間の記事で確認してください。

会社にバレるのかを手続き別に確認
支給要件照会は本人からハローワークへ行う
受講前に加入期間や受給資格を確認したい場合は、本人が教育訓練給付金支給要件照会票を住居所管轄のハローワークへ提出します。本人来所、代理人、郵送、電子申請を利用でき、回答書も本人側へ交付されます。
基本給付の申請書類に会社の承認書はない
一般教育訓練の基本給付では、学校が出す修了証明書と領収書、本人確認、振込口座などを提出します。会社が「受講を認めます」と署名する承認書は標準の必要書類に含まれていません。
勤務先へ絶対に分からないとは断言できない
ハローワークの標準手続きに会社への一律通知はありませんが、別の経路で会社が知る可能性はあります。会社メールで学校へ申し込む、会社のパソコンで手続きする、勤務時間中に通学する、年末調整や社内補助で資料を出す場合などです。
学習内容が競業・副業規程へ触れる場合は別問題
教育訓練給付金の申請に会社の許可が不要でも、競合会社での実習、秘密情報の利用、副業を伴う講座などが就業規則へ触れることはあります。給付制度と労務上の義務を同じものと考えないでください。
| 経路 | 通常の扱い | 会社に伝わる要因 |
|---|---|---|
| 支給要件照会 | 本人とハローワークで手続き | 会社書類を自分から依頼した場合 |
| 一般の基本給付 | 会社承認書なし | 会社補助・勤務時間利用 |
| 特定一般・専門実践の基本給付 | 本人が受給資格確認・支給申請 | 社内制度を併用した場合 |
| 賃金上昇の80%追加給付 | 事業主の記載が必要 | 証明依頼で会社が把握 |
| 教育訓練休暇給付金 | 会社との合意・会社制度が前提 | 必ず会社が関与 |
通常申請の書類:厚生労働省の一般教育訓練Q&A・Q11で、基本給付の必要書類に会社の許可書・承認書が含まれていないことを確認できます。
会社の許可が必要になるケース
勤務時間中に通学・オンライン受講する
平日昼間の講義、スクーリング、実習などが所定労働時間と重なる場合は、年次有給休暇、欠勤、勤務変更、研修扱いなど会社との調整が必要です。給付金の受給資格があっても、無断で仕事を離れてよいことにはなりません。
会社の施設・端末・情報を使う
会社の会議室、パソコン、ソフトウェア、顧客データなどを講座で使う場合は、情報セキュリティと資産利用の規程に従います。自費受講だから会社資産を自由に使えるわけではありません。
会社が研修として費用を負担する
会社主催の研修や会社名義の申込みでは、個人が自ら支払った教育訓練経費にならない場合があります。会社の研修費と個人の教育訓練給付金を重ねて受け取る前に、契約者、支払者、領収書名義を確認します。
就業規則で資格取得の届出を求められる
業務独占資格、社内資格手当の対象資格、競業に関係する講座などでは、合格後の届出や事前承認を会社規程が求めることがあります。給付金の申請とは別に、人事・労務上の届出を確認します。
会社補助と教育訓練給付金を併用する場合
会社負担分は本人負担へ含めない
受講料30万円のうち会社が10万円を負担し、本人が20万円を払った場合、教育訓練経費は原則20万円です。30万円全額へ給付率を掛けることはできません。
本人が立て替えても後日の補助を差し引く
最初に本人が30万円を払い、修了後に会社から10万円の補助を受ける場合も、実質本人負担は20万円です。申請後に補助が決まったときは、支給申請をしたハローワークへ速やかに伝えます。
交通費補助と受講料補助を分ける
会社から通学交通費だけが支給される場合、交通費はもともと教育訓練経費の対象外です。受講料補助と交通費補助が一括支給される場合は、社内規程や支給明細で内訳を示せるようにします。
会社名義の領収書では本人負担を証明しにくい
教育訓練給付金は、申請者本人が指定教育訓練実施者へ支払った入学料・受講料が基本です。会社名義で契約・支払い・領収書発行をした後に、給与から天引きしただけでは本人負担として認められるか確認が必要です。
| 受講料の例 | 金額 | 教育訓練経費 |
|---|---|---|
| 講座の受講料 | 300,000円 | +300,000円 |
| 会社の受講料補助 | 100,000円 | -100,000円 |
| 本人の実質負担 | 200,000円 | 200,000円 |
| 一般教育訓練20% | 40,000円 | 給付目安 |
会社補助の扱い:厚生労働省の一般教育訓練Q&A・Q9では、事業主が支給する手当のうち入学料・受講料に充てられる額を教育訓練経費から差し引くよう案内しています。
会社補助、割引、パソコン、教材、交通費を含む本人負担の計算は、対象経費の記事で詳しく確認できます。

在職中に受講を始めて途中で退職する場合
基本給付は受講開始日の資格で判定する
教育訓練給付金は、指定講座の受講開始日に在職者として雇用保険へ加入していたか、または離職者として資格喪失後1年以内かを確認します。在職中に要件を満たして開始し、受講途中で退職しても、途中退職だけで基本給付の受給資格が消えるわけではありません。
| 受講開始時とその後 | 基本給付 | 教育訓練支援給付金 |
|---|---|---|
| 在職中に開始し、そのまま在職 | 開始日に資格を満たせば対象 | 対象外 |
| 在職中に開始し、途中で退職 | 途中退職だけでは資格を失わない | 途中から対象にはならない |
| 離職後に開始 | 資格喪失後の期限と加入期間で判定 | 専門実践・年齢など別の要件で判定 |
退職しても講座の修了と申請が必要
受講開始時の資格を満たしていても、指定講座を修了し、期限内に支給申請する必要があります。住所が変わった場合は管轄ハローワークや受給資格者証の変更手続きを確認します。
在職開始なら教育訓練支援給付金へ切り替わらない
専門実践教育訓練を在職中に開始し、その後退職した場合、受講開始日に失業状態ではないため、教育訓練支援給付金の対象にはなりません。基本の専門実践教育訓練給付金と、失業中の生活を支える教育訓練支援給付金を分けてください。
退職前に住所・雇用保険・口座を整理する
転居を伴う退職では、申請先の管轄が変わることがあります。雇用保険被保険者番号、受給資格通知、講座指定番号、本人名義口座、学校への登録住所を確認し、変更があれば早めに届けます。
受講中に退職した場合:厚生労働省「Q&A~専門実践教育訓練給付金~」では、在職中に専門実践を開始した人が途中退職しても教育訓練支援給付金の対象にならないと明記しています。
専門実践の基本給付、追加給付、教育訓練支援給付金は、専門実践サブ親で整理しています。

専門実践の80%追加給付では会社が関与する
訓練前後の賃金を比較する
2024年10月1日以降に開始した専門実践教育訓練では、資格取得・就職等による70%の条件を満たし、さらに訓練修了後の賃金が受講開始前より5%以上上昇した場合、合計80%の追加給付を受けられます。
事業主の記載・賃金証明が必要
賃金上昇を確認する申請では、申請者だけでなく事業主の記載が必要です。勤務先へ賃金証明を依頼するため、80%追加給付まで会社に知られず手続きすることはできません。
基本50%・追加70%と80%を分ける
会社の証明が必要になるのは、主に賃金上昇を要件とする80%部分です。専門実践の基本50%や、資格取得・就職等による70%との差額申請と、必要書類を混同しないでください。
| 専門実践の段階 | 主な条件 | 会社の関与 |
|---|---|---|
| 受講中50% | 支給単位期間の受講・修了見込み | 会社補助等がなければ通常は不要 |
| 70%への追加 | 修了・資格取得等・就職等 | 雇用状況の確認が必要 |
| 80%への追加 | 70%条件+賃金5%以上上昇 | 事業主の記載・賃金証明が必要 |
80%追加給付:厚生労働省「教育訓練給付金の支給申請手続きについて」では、賃金5%上昇の申請に申請者と事業主の記載が必要と案内しています。
教育訓練休暇給付金は別制度
受講料を補助する給付金ではない
教育訓練休暇給付金は、労働者が会社の制度に基づいて30日以上連続する無給の教育訓練休暇を取得した場合に、休暇中の生活を支える雇用保険給付です。受講料の一部を返す教育訓練給付金とは別です。
会社との合意と社内制度が前提
教育訓練休暇給付金を使うには、労働協約、就業規則などに定められた休暇制度に基づき、事業主の承認を受ける必要があります。会社へ知らせずに個人だけで無給休暇を給付対象へ変えることはできません。
名称が似ていても手続きが違う
「教育訓練給付金」「教育訓練支援給付金」「教育訓練休暇給付金」は給付対象と会社の関与が異なります。勤務先へ相談するときも、使いたい制度の正式名称を伝えてください。
教育訓練休暇給付金:厚生労働省「教育訓練休暇給付金」で、会社制度に基づく30日以上の無給休暇と事業主の承認を確認できます。
確定申告で受講料を控除したい場合
受講料は自動的な所得控除ではない
教育訓練給付金の対象講座へ自費で通っても、受講料をそのまま確定申告の所得控除にできるわけではありません。給付金申請と税金の控除は別制度です。
特定支出控除では勤務先等の証明が必要
給与所得者が現在の職務に直接必要な研修費・資格取得費について特定支出控除を使う場合、給与の支払者または対象となるキャリアコンサルタントの証明が必要です。勤務先へ証明を依頼すれば受講の事実は会社に伝わります。
給付金で補われる部分は特定支出から除く
特定支出控除の要件を満たしても、教育訓練給付金が支給される部分は特定支出へ含めません。給付後の本人負担額、職務との直接性、証明、年間の金額要件を確認します。
特定支出控除:国税庁「No.1415 給与所得者の特定支出控除」で、給与支払者等の証明と教育訓練給付金で補われる部分の除外を確認できます。
会社へ知られずに進めたい場合の確認手順
手順1:雇用保険の受給資格を本人で照会する
雇用保険被保険者番号、受講開始予定日、講座情報を用意し、本人からハローワークへ支給要件照会を行います。電話照会はできませんが、本人来所、郵送、代理人、電子申請を利用できます。
手順2:本人名義で申し込み・支払う
学校との受講契約、領収書、振込口座を本人名義にそろえます。会社メール、会社住所、法人一括申込みを使うと、本人の自主的受講・本人負担を示しにくくなるだけでなく、会社が把握する経路にもなります。
手順3:勤務時間外で完結できる講座を選ぶ
夜間、土日、オンデマンドなど、勤務と重ならず修了基準を満たせる講座を選びます。スクーリングや実習だけ平日にある講座もあるため、申込み前に全日程を確認します。
手順4:会社関与が必要な給付を使うか決める
会社補助、80%追加給付、特定支出控除、教育訓練休暇給付金まで利用するなら、会社への証明・申請が必要になります。会社に伝えないことを優先するのか、使える支援を最大化するのかを比較してください。
| 確認項目 | 会社を通さず進める条件 | 会社関与が必要になる条件 |
|---|---|---|
| 受講契約 | 本人名義 | 法人契約・社内研修 |
| 受講料 | 本人が全額負担 | 会社補助・立替・給与天引き |
| 受講時間 | 休日・夜間・勤務時間外 | 勤務時間・会社休暇 |
| 給付申請 | 通常の基本給付 | 賃金上昇80%・休暇給付 |
| 税控除 | 利用しない | 特定支出控除で会社証明 |
給付区分、対象講座、給付率を一度に確認したい場合は、クラスターの親記事へ進んでください。

在職中の教育訓練給付金でよくある質問
上司や人事の承認印は必要ですか?
自費・勤務時間外で通常の教育訓練給付金を申請する場合、会社の承認印は標準の必要書類ではありません。会社補助、勤務時間利用、80%追加給付、教育訓練休暇給付金などを使う場合は会社の手続きが必要です。
雇用保険の加入期間を会社へ聞かず確認できますか?
本人からハローワークへ教育訓練給付金支給要件照会を行えます。給与明細や雇用保険被保険者証だけで不明な場合は、受講開始前に照会してください。
在職中に専門実践を始め、退職後も50%を受けられますか?
受講開始日に在職者として受給資格を満たしていれば、途中退職だけで基本給付50%の資格が消えるわけではありません。ただし、修了見込み、6か月ごとの申請など通常の要件は満たす必要があります。
退職したら教育訓練支援給付金も受けられますか?
在職中に専門実践教育訓練を開始した人は、受講途中で退職しても、受講開始日に失業状態という要件を満たさないため教育訓練支援給付金の対象になりません。
会社補助と給付金を両方もらえますか?
併用自体だけで一律不可とは限りませんが、会社が入学料・受講料へ補助した額は本人負担の教育訓練経費から差し引きます。補助を隠して支払総額へ給付率を掛けてはいけません。
転職活動のための資格でも会社の許可は不要ですか?
給付制度上は、講座の目的が現職の会社への貢献である必要はなく、会社の許可書も通常不要です。ただし、勤務時間、競業、副業、秘密保持など就業規則へ関係する行為は別に確認してください。
まとめ:通常申請と会社が関与する制度を分ける
在職中でも本人申請で利用できる
受講開始日に雇用保険へ加入し、必要期間と講座修了などの条件を満たせば、在職中でも教育訓練給付金を受けられます。自費・勤務時間外の通常申請では、会社の許可書は標準の必要書類ではありません。
補助・勤務時間・追加給付では会社へ確認する
会社補助、勤務時間中の受講、賃金上昇による80%追加給付、特定支出控除、教育訓練休暇給付金を使うなら会社が関与します。受講開始前に、本人だけで完結する範囲と会社へ依頼する範囲を決めておきましょう。

