情報の基準日:2026年8月31日時点の制度内容をもとに解説しています。
教育訓練給付金に所得税・住民税はかかりません。一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練の給付金は、雇用保険法上の「失業等給付」に含まれるため非課税です。給付金を雑所得として確定申告する必要もありません。
ただし、ここで注意したいのが扶養です。所得税・住民税で使う税法上の扶養では非課税の給付金を合計所得金額へ入れませんが、健康保険の被扶養者認定では非課税収入も確認されます。「非課税だから、どの扶養にも影響しない」と一括りにしないことが大切です。
最初に分ける5つの判定
- 給付金そのものに所得税がかかるか
- 確定申告書へ収入として記載するか
- 税法上の扶養判定に含めるか
- 健康保険の被扶養者認定で申告が必要か
- 支払った受講料を税金から控除できるか
教育訓練給付金の税金・確定申告・扶養を一覧で確認
所得税と住民税は非課税
ハローワークから受け取る教育訓練給付金は、所得税と住民税の課税対象ではありません。10万円を受け取った場合も、専門実践で複数回に分けて給付を受けた場合も、受給額そのものを給与所得や雑所得へ足しません。
給付金だけを理由に確定申告はしない
教育訓練給付金を受け取ったという理由だけで、確定申告が必要になることはありません。給与の年末調整が済んでいる人や、ほかに申告理由がない人は、給付金のための申告欄を探す必要はありません。
税扶養と健康保険扶養は別に判定する
税法上の扶養は合計所得金額で判定するため、非課税の教育訓練給付金を含めません。健康保険の被扶養者認定は税法と基準が違い、非課税収入についても届出先が確認します。
| 確認する制度 | 教育訓練給付金の扱い | 次に見るもの |
|---|---|---|
| 所得税 | 非課税 | 給与・年金・副業などほかの所得 |
| 住民税 | 非課税 | 前年の課税所得や自治体の申告要否 |
| 確定申告 | 給付金を所得として記載しない | 医療費控除、副業、退職年など別の申告理由 |
| 税法上の扶養 | 合計所得金額に含めない | 給与・公的年金など課税対象の所得 |
| 健康保険の扶養 | 非課税だけで判断しない | 加入先の健康保険による収入確認 |
| 国民健康保険料 | 給付金自体は所得割の課税所得へ入れない | 世帯の所得、均等割、自治体の軽減判定 |
教育訓練給付金が非課税になる法的な理由
教育訓練給付金は「失業等給付」の一つ
雇用保険法第10条は、失業等給付を「求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付」と定めています。同条第5項では教育訓練給付の一つとして教育訓練給付金を挙げています。
雇用保険法第12条が公課を禁止している
同法第12条は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として、租税その他の公課を課すことができないと定めています。教育訓練給付金は第10条の失業等給付に含まれるため、受給額を課税所得へ加える扱いにはなりません。
3種類とも同じ非課税の扱い
一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金は給付率や上限、申請時期が異なります。ただし、いずれも雇用保険法の教育訓練給付金であるため、税金の扱いは同じです。
| 給付区分 | 主な給付の考え方 | 税金 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 対象経費の20% | 非課税 |
| 特定一般教育訓練 | 修了時40%、追加条件で合計50% | 非課税 |
| 専門実践教育訓練 | 50%、追加条件で合計70%・80% | 非課税 |
非課税の根拠:厚生労働省「雇用保険法」の第10条と第12条で、教育訓練給付金が失業等給付に含まれることと、公課の禁止を確認できます。
教育訓練給付金を受け取ったときの確定申告
雑所得や一時所得へ入力しない
確定申告書の雑所得、一時所得、その他の収入欄へ教育訓練給付金を入力しません。銀行口座へ振り込まれた金額をすべて申告するのではなく、課税対象となる所得だけを所得区分に従って申告します。
ほかの理由で申告しても給付金は所得へ足さない
年の途中で退職した、医療費控除を受ける、副業所得があるなど、別の理由で確定申告する場合も同じです。教育訓練給付金を「念のため」と雑所得へ加えると、所得税・住民税や税扶養の判定を誤らせる原因になります。
支給決定通知書は手元に残す
確定申告書へ添付する書類ではありませんが、教育訓練給付金支給決定通知書は保管しておきます。振込額の出所を確認するときや、健康保険の扶養手続きで収入資料を求められたときに説明しやすくなります。
受給した給付区分や金額の仕組みを確認したい場合は、クラスターの親記事へ進んでください。

税法上の扶養では合計所得金額へ含めない
扶養控除・配偶者控除は課税所得を基に判定する
所得税の扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除などでは、その年の合計所得金額を確認します。国税庁は、所得税法やその他の法令で非課税とされる所得は、扶養親族や控除対象配偶者の合計所得金額に含めないと案内しています。
給付金を受け取っても合計所得金額は増えない
たとえば、本人に教育訓練給付金40万円と給与収入がある場合、扶養判定で見る合計所得金額は給与から計算した給与所得などが基礎です。給付金40万円をその金額へ足しません。
扶養に入れるかはほかの所得と要件で決まる
教育訓練給付金が非課税でも、給与、事業、公的年金、不動産などの課税対象所得があれば、その所得を合計します。また、生計を一にすることや親族関係など、金額以外の要件も確認が必要です。
| 受け取ったもの | 税扶養の合計所得金額 | 注意点 |
|---|---|---|
| 教育訓練給付金だけ | 給付金は含めない | 生計同一などほかの要件は別途確認 |
| 給与+教育訓練給付金 | 給与所得を基に判定 | 給付金を給与収入へ足さない |
| 年金+教育訓練給付金 | 課税対象の年金所得を基に判定 | 遺族年金など非課税所得も分ける |
| 副業+教育訓練給付金 | 副業の所得を含めて判定 | 収入ではなく所得計算を確認 |
税扶養の考え方:国税庁「No.1180 扶養控除」では、法令により非課税とされる所得を扶養判定の合計所得金額へ含めないことを確認できます。
健康保険の被扶養者認定は税扶養と別
非課税収入も確認対象になる
健康保険の扶養では、「税金がかかる所得だけ」を見るわけではありません。日本年金機構の被扶養者届の案内では、障害年金、遺族年金、失業給付など非課税対象の収入も収入に含めるとされています。
教育訓練給付金の扱いは加入先へ確認する
教育訓練給付金は受講料の一部を支給する給付で、給与のような毎月継続する収入とは性質が違います。そのため、受給額だけを年収へ機械的に足すとも、非課税だから申告不要とも決めつけず、加入している協会けんぽ・健康保険組合・共済組合へ確認してください。
支給決定通知書を示して具体的に聞く
問い合わせるときは「教育訓練給付金」という正式名称、支給日、支給額、単発か6か月ごとの受給かを伝えます。支給決定通知書の写しを求められたら提出し、届出が必要か、被扶養者の年間収入へどう扱うかを確認します。
| 比較 | 税法上の扶養 | 健康保険の扶養 |
|---|---|---|
| 主な判定軸 | 合計所得金額 | 今後の年間収入見込みなど |
| 非課税収入 | 合計所得金額に含めない | 確認対象になり得る |
| 教育訓練給付金 | 含めない | 加入先に扱いを確認 |
| 確認先 | 税務署・国税庁 | 協会けんぽ・健康保険組合等 |
| 用意する資料 | 給与や年金などの所得資料 | 支給決定通知書、ほかの収入資料 |
健康保険の収入確認:日本年金機構「健康保険被扶養者(異動)届の誤りの多い事例」で、非課税収入も含めることと、受取額が分かる通知書が必要になる場合を確認できます。
退職後に家族の健康保険へ入る予定がある場合は、給付金だけでなく雇用保険の受給状況や退職日も整理しておきましょう。

税金と扶養の判定を具体例で確認
給与収入と一般教育訓練給付金がある例
その年にパート給与と一般教育訓練給付金10万円を受け取った場合、所得税・住民税は給与から計算した所得を基に判定します。給付金10万円を給与収入や雑所得へ加えません。税扶養も給与所得などで判定します。
退職後に専門実践の給付金だけを受け取った例
退職後、その年の収入が専門実践教育訓練給付金40万円だけなら、この40万円を課税所得として申告しません。給付金の受給だけで税扶養の合計所得金額が40万円増えることもありません。
給与と副業所得がある例
給与、ブログや業務委託などの副業所得、教育訓練給付金がある場合、給与所得と副業所得は通常どおり計算します。教育訓練給付金だけを除外します。「給付金が非課税だから、その年の確定申告が全部不要」になるわけではありません。
健康保険の扶養に入る例
税扶養で給付金を除外できても、その結果を健康保険の届出へそのまま流用しません。健康保険側へ支給決定通知書を示し、給与や失業給付などほかの収入と一緒に確認してもらいます。
| ケース | 確定申告での給付金 | 税扶養 | 健康保険扶養 |
|---|---|---|---|
| 給付金10万円+給与 | 記載しない | 給与所得で判定 | 加入先へ確認 |
| 給付金40万円だけ | 給付金だけなら申告不要 | 給付金は含めない | 加入先へ確認 |
| 給付金+給与+副業 | 給付金以外を申告判断 | 課税所得を合計 | 各収入を伝えて確認 |
| 給付金+失業給付 | どちらも雇用保険の非課税給付 | どちらも含めない | 失業給付を含め届出先へ確認 |
住民税と国民健康保険料への影響
住民税の所得へ給付金を加えない
教育訓練給付金は住民税でも非課税です。住民税申告をする場合も、給付金を給与所得や雑所得として加えません。給与や年金など前年のほかの所得があれば、その所得に基づいて翌年度の住民税が計算されます。
給付金だけで住民税が増えることはない
給付金を10万円、40万円、年間上限まで受け取っても、その受給額だけを理由に所得割が増えることはありません。ただし、退職前の給与や再就職後の給与があれば、そちらは住民税の計算へ反映されます。
国民健康保険料は世帯とほかの所得も見る
教育訓練給付金自体を所得割の課税所得へ入れるものではありません。一方、国民健康保険料は所得割だけでなく、均等割や自治体ごとの軽減判定、世帯の所得状況でも変わります。給付金が非課税という一点から、国民健康保険料がゼロになるとは判断できません。
支払った受講料は自動的に所得控除にならない
自己啓発の受講料をそのまま引く制度ではない
教育訓練給付金の対象講座へ30万円を支払ったからといって、30万円を所得税の所得控除として自動的に差し引けるわけではありません。給付金の申請と確定申告は別の制度です。
給与所得者の特定支出控除に該当する場合がある
給与所得者が、職務に直接必要な研修費や資格取得費を自己負担し、給与の支払者などの証明を受け、年間の特定支出合計が所定額を超える場合は、特定支出控除を使える可能性があります。単に転職へ役立つ、興味があるというだけで一律に対象になる制度ではありません。
教育訓練給付金で補われた部分は特定支出から除く
特定支出控除の要件を満たす講座でも、教育訓練給付金が支給される部分は特定支出へ含めません。受講料30万円に対して給付金6万円を受けたなら、少なくともその6万円を補填部分として除き、残額について職務との直接性、証明、年間合計額などを判定します。
| 支出・給付 | 税務上の基本的な扱い | 確認 |
|---|---|---|
| 自己啓発目的の受講料 | 自動的な所得控除ではない | 確定申告へそのまま入力しない |
| 職務に直接必要な研修費 | 特定支出の候補 | 証明と金額要件を確認 |
| 職務に直接必要な資格取得費 | 特定支出の候補 | 証明と金額要件を確認 |
| 教育訓練給付金で支給された部分 | 特定支出から除く | 自己負担残額と証明を確認 |
受講料の税控除:国税庁「No.1415 給与所得者の特定支出控除」で、研修費・資格取得費の要件と、教育訓練給付金が支給される部分を除く扱いを確認できます。
給付対象になる受講料、教材費、パソコン代、交通費の境界は、対象経費の記事で詳しく確認できます。

会社補助や似た名称の給付金は分けて考える
会社が負担する研修費は別の税務判断
勤務先が職務に必要な研修費や資格取得費を負担した場合は、ハローワークの教育訓練給付金とは別に、会社からの給付が給与課税されるかを判断します。「教育のためのお金はすべて非課税」ではありません。
正式名称と支給根拠を通知書で確認する
自治体、ひとり親支援、学校独自の給付、会社の奨励金などには似た名称があります。雇用保険法の教育訓練給付金でなければ、この記事の非課税根拠をそのまま当てはめられません。支給決定通知書の制度名と支給者を確認します。
教育訓練支援給付金も制度名を分ける
専門実践教育訓練を受ける一定の離職者に支給される教育訓練支援給付金は、受講料の一部を返す教育訓練給付金とは役割も計算方法も違います。確定申告や扶養の相談では、どちらを受けたかを省略せず伝えてください。
迷わないための確認手順と必要書類
手順1:通知書で給付金の正式名称を確認
通帳の振込名だけではなく、ハローワークから届いた支給決定通知書を確認します。「教育訓練給付金」と記載されていれば、雇用保険法上の非課税給付として整理できます。
手順2:税金はほかの所得だけを集計
源泉徴収票、公的年金等の源泉徴収票、副業の収支などを集めます。確定申告や税扶養では教育訓練給付金を除き、課税対象となる所得を計算します。
手順3:健康保険へ別に問い合わせる
家族の健康保険へ入る、または被扶養者の確認を受ける場合は、勤務先の担当者か保険者へ連絡します。支給日、金額、支給回数、ほかの収入を伝え、必要な届出と資料を確認します。
手順4:受講料の控除は特定支出だけを検討
給与所得者で、講座が現在の職務に直接必要なら、会社またはキャリアコンサルタントへ証明可否を確認します。給付金で補われる額を除き、年間合計が要件を満たすか税務署または税理士へ相談します。
| 用意するもの | 使う場面 | 確認できること |
|---|---|---|
| 教育訓練給付金支給決定通知書 | 制度名・支給額・保険扶養の説明 | 給付の正式名称と金額 |
| 源泉徴収票 | 確定申告・税扶養 | 給与・年金などの課税所得 |
| 健康保険の被扶養者届案内 | 健康保険扶養 | 加入先が求める収入資料 |
| 受講料の領収書 | 特定支出控除の検討 | 自己負担額 |
| 勤務先等の証明書 | 特定支出控除 | 職務との直接的な必要性 |
専門実践の給付は6か月ごとの受給や追加給付があるため、支給決定通知書を受給回ごとにまとめておくと確認しやすくなります。

教育訓練給付金の税金でよくある質問
教育訓練給付金を年末調整で会社へ申告しますか?
教育訓練給付金を給与や雑所得として年末調整へ加える必要はありません。ただし、勤務先経由で健康保険の被扶養者手続きをする場合や、会社の受講料補助を併用した場合は、担当部署から資料の提出を求められることがあります。
給付金が振り込まれた年の所得になりますか?
そもそも教育訓練給付金は非課税なので、支給年の課税所得へ計上しません。受講料を前年に払い、給付金が翌年に振り込まれても、雑所得として翌年へ入力する扱いにはなりません。
専門実践で年間40万円以上受け取ると扶養から外れますか?
税法上の扶養では、教育訓練給付金を合計所得金額へ含めないため、受給額だけで外れるとは判定しません。健康保険の扶養は別基準なので、支給決定通知書を示して加入先へ確認してください。
住民税非課税世帯の判定に給付金は含まれますか?
教育訓練給付金自体は課税所得へ含めません。ただし、住民税非課税世帯の判定は世帯員ごとの給与・年金などほかの所得や自治体の基準で決まります。給付金が非課税でも、世帯全体が自動的に非課税になるわけではありません。
確定申告で受講料を医療費控除にできますか?
資格講座や職業訓練の受講料は、通常の医療費控除の対象ではありません。給与所得者の特定支出控除に該当する可能性はありますが、職務との直接性、証明、金額要件を満たす必要があります。
税務署と健康保険で回答が違うのはなぜですか?
所得税の課税・扶養と、健康保険の被扶養者認定は根拠と目的が違うからです。税務署の「非課税」という回答は健康保険の収入判定まで決めるものではなく、健康保険の回答も確定申告の所得区分を決めるものではありません。
まとめ:非課税でも扶養は2つに分けて確認する
確定申告と税扶養では給付金を所得へ入れない
教育訓練給付金は雇用保険法上の失業等給付で、所得税・住民税は非課税です。雑所得や一時所得として確定申告せず、税法上の扶養判定でも合計所得金額へ含めません。
健康保険扶養だけは加入先の確認を取る
健康保険の被扶養者認定では非課税収入も確認されます。教育訓練給付金の支給決定通知書を用意し、加入先へ具体的な扱いを確認してください。また、受講料は自動的な所得控除ではなく、給与所得者の特定支出控除に該当する場合だけ別途検討します。

