教育訓練給付金は65歳以上でも使える?高年齢被保険者と退職後1年の条件

教育訓練給付金を65歳以上で使うための高年齢被保険者と退職後1年の条件 教育訓練給付金

教育訓練給付金は65歳以上でも利用できます。制度本体には「65歳未満まで」という上限はなく、65歳以上の高年齢被保険者と、高年齢被保険者であった離職者も対象です。

ただし、年齢だけで決まるわけではありません。受講開始日に高年齢被保険者であるか、離職後なら資格喪失から原則1年以内か、必要な雇用保険加入期間があるか、厚生労働大臣の指定講座かを確認します。

65歳以上の判定順

  • 在職中なら雇用保険の高年齢被保険者になっているか
  • 退職後なら離職日の翌日から受講開始日まで1年以内か
  • 初回利用か再利用かに応じた加入期間を満たすか
  • 申込むコースと受講開始日が指定期間内か

65歳以上でも教育訓練給付金を使える

高年齢被保険者も支給対象に含まれる

ハローワークは、一般・特定一般・専門実践の支給対象者に「一般被保険者・高年齢被保険者等」と明記しています。65歳以上で働き続ける人も、65歳以降に新しく働き始めた人も、雇用保険の加入要件を満たせば高年齢被保険者です。

65歳になっただけで給付率は下がらない

65歳以上だから一般教育訓練の20%だけになるわけではありません。申込む講座が特定一般なら40%・最大50%、専門実践なら50%・最大80%です。給付区分、資格取得、就職・雇用継続、賃金上昇など、それぞれの条件で決まります。

年齢制限があるのは教育訓練支援給付金

混同しやすいのが、専門実践教育訓練中の生活費を支える教育訓練支援給付金です。こちらは受講開始時に45歳未満であることが条件なので、65歳以上は対象になりません。受講費用の一部を支給する教育訓練給付金本体とは別制度です。

制度 65歳以上 主な年齢・加入条件
一般教育訓練給付金 利用可能 年齢上限なし・初回は加入1年以上
特定一般教育訓練給付金 利用可能 年齢上限なし・初回は加入1年以上
専門実践教育訓練給付金 利用可能 年齢上限なし・初回は加入2年以上
教育訓練支援給付金 利用不可 受講開始時45歳未満など

対象者:ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」で、3区分の対象者に高年齢被保険者等が含まれることを確認できます。

65歳以上で在職中の人は雇用保険加入を確認する

65歳前から働き続ける人は高年齢被保険者へ切り替わる

一般被保険者として働いている人が同じ職場で65歳を迎え、加入要件を満たしたまま勤務を続けると、高年齢被保険者になります。65歳を境に雇用保険期間がゼロへ戻るわけではなく、受講開始日までの加入期間として連続して判定されます。

65歳以降に就職した人も加入できる

2017年1月1日以降、65歳以上で新しく雇用された人も雇用保険の適用対象です。原則として週所定労働時間20時間以上、31日以上の雇用見込みがあれば、高年齢被保険者になります。会社が手続きをしているかは雇用保険被保険者証やハローワークで確認できます。

65歳以上の加入:厚生労働省「65歳以上の方への雇用保険の適用について」北海道ハローワーク「雇用保険の被保険者の種類と要件」で確認できます。

週20時間未満なら現在の被保険者とは限らない

65歳以上でパートをしていても、1社で週所定労働時間が20時間未満なら、原則としてその会社では高年齢被保険者になりません。ただし、直前の会社で雇用保険に入っていて、資格喪失から受講開始まで1年以内なら「被保険者であった人」として対象になる可能性があります。

受講開始時の状況 雇用保険上の位置 教育訓練給付金の見込み
65歳・同じ会社で週30時間勤務を継続 高年齢被保険者 加入期間を満たせば対象
67歳・新しい会社で週20時間勤務 31日以上の見込みがあれば高年齢被保険者 加入期間を満たせば対象
68歳・1社で週18時間勤務 原則としてその会社では被保険者でない 過去の資格喪失日と加入期間を確認
受講中に64歳から65歳になる 一般から高年齢へ移行 年齢到達だけで打ち切られない

65歳以上で退職した人は「退職後1年」が重要

離職日の翌日から受講開始日まで原則1年以内

退職後に受講する場合は、一般被保険者または高年齢被保険者の資格を喪失した日、通常は離職日の翌日から受講開始日までが原則1年以内であることが必要です。65歳の誕生日から1年ではなく、最後に雇用保険を外れた日から数えます。

1年以内に受講を開始すれば修了が1年後でもよい

判定するのは講座の修了日ではなく受講開始日です。退職から11か月後に1年間の指定講座を始め、修了時には退職から1年を超えていても、受講開始時点の期限を満たしていれば「修了が遅い」という理由だけで対象外にはなりません。

病気や介護などは適用対象期間を延長できる場合がある

妊娠、出産、育児、疾病、負傷、親族の介護などで30日以上受講を始められない期間があると、ハローワークへ申請して適用対象期間を最大20年まで延長できる場合があります。単に受けたい講座が決まらなかった、仕事が忙しかったという理由だけでは延長されません。

離職から受講開始まで 判定
65歳6か月で退職し、66歳2か月で開始 8か月 加入期間を満たせば対象
65歳6か月で退職し、66歳5か月で開始 11か月 加入期間を満たせば対象
65歳6か月で退職し、66歳8か月で開始 1年2か月 延長がなければ原則対象外
病気で8か月受講できず延長申請 1年超 認められた延長期間内なら可能性あり

退職後の数え方と延長理由は、専用記事で詳しく確認できます。

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65歳前後の雇用保険加入期間を数える方法

65歳前と65歳後の期間はつながる

同じ会社で一般被保険者から高年齢被保険者へ移った場合、65歳前後の期間を分断して考える必要はありません。たとえば63歳から67歳まで4年間加入し続け、67歳で初めて一般教育訓練を受ける人は、4年間の加入期間を基に判定します。

転職の空白が1年以内なら前職期間を通算できる

前職の資格喪失から次の資格取得までの空白が1年以内なら、前職と現職の被保険者期間を通算できます。64歳で退職し、10か月後に65歳で再就職した場合も、一般被保険者だった期間と高年齢被保険者の期間をつなげて確認します。

過去に給付を受けた人は初回条件を使えない

一般・特定一般は初回利用なら加入1年以上、専門実践は初回利用なら2年以上ですが、過去に教育訓練給付金を受けた人は原則3年以上です。さらに、前回の給付に使った受講開始日より前の加入期間は、今回の支給要件期間へ使えません。

利用状況 一般・特定一般 専門実践
初めて利用 加入期間1年以上 加入期間2年以上
過去に利用 原則3年以上 原則3年以上
前回給付から今回開始まで 原則3年以上必要 原則3年以上必要
転職間の空白 1年以内なら前職期間を通算できる可能性あり

加入期間:厚生労働省「Q&A~一般教育訓練給付金~」で、高年齢被保険者を含む支給要件期間、空白1年、再利用の数え方を確認できます。

前職と現職の期間を通算できるかは、加入期間専用記事も参考にしてください。

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65歳以上が受けられる給付率と金額

一般教育訓練は20%・上限10万円

一般教育訓練は本人が支払った教育訓練経費の20%で、上限10万円です。受講料10万円なら2万円、30万円なら6万円、60万円でも上限10万円です。支給額が4,000円を超えない場合は支給されません。

特定一般は40%・資格取得と就職等で50%

特定一般教育訓練は修了時40%・上限20万円です。2024年10月1日以降に開始した講座では、目標資格を取得し、修了後1年以内に雇用保険の被保険者として就職するか、被保険者として働きながら資格を取得すると、合計50%・上限25万円になります。

専門実践は50%から最大80%

専門実践教育訓練は受講中6か月ごとに50%・年間上限40万円、資格取得等と就職・雇用継続で合計70%・年間上限56万円、さらに賃金が5%以上上昇すると合計80%・年間上限64万円です。65歳以上でも年齢だけを理由に低い給付率へ変更されません。

区分 基本給付 追加条件を満たした最大 50万円を支払った例
一般教育訓練 20%・上限10万円 20% 10万円
特定一般教育訓練 40%・上限20万円 50%・上限25万円 20万円/最大25万円
専門実践教育訓練 50%・年間上限40万円 80%・年間上限64万円 25万円/最大40万円

給付率:厚生労働省「教育訓練給付金」で、一般20%、特定一般40%・50%、専門実践50%・70%・80%を確認できます。

専門実践の追加給付まで検討する人は、条件と申請時期を専門記事で確認してください。

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教育訓練支援給付金は65歳以上だと受けられない

受講開始時45歳未満が条件

教育訓練支援給付金は、初めて専門実践教育訓練を受ける離職者の生活費を支える制度です。受講開始時に45歳未満であることが明記されているため、65歳以上は対象外です。

受講費の50%・70%・80%とは別判定

支援給付金を受けられなくても、専門実践教育訓練給付金本体まで対象外になるわけではありません。65歳以上の人は、受講費への50%・70%・80%と、生活費への支援給付金を分けて考えます。

「最大80%」を生活費と誤解しない

専門実践の最大80%は、本人が支払った対象受講費に対する給付です。毎月の家賃や生活費の8割が支給される制度ではありません。65歳以上で長期講座を選ぶ場合は、受講料の先払いだけでなく、訓練中の生活費を別に準備します。

45歳未満条件:厚生労働省「Q&A~専門実践教育訓練給付金~」で、教育訓練支援給付金の年齢、離職、受講形態、受講開始期限を確認できます。

高年齢求職者給付金とは別の制度

65歳以上の失業給付は30日分または50日分

高年齢被保険者が離職して失業状態になった場合は、一般の基本手当ではなく、高年齢求職者給付金が一時金として支給されます。被保険者期間1年未満なら30日分、1年以上なら50日分です。

受講料への給付とは目的が違う

高年齢求職者給付金は失業中の求職活動に対する給付、教育訓練給付金は指定講座の受講費に対する給付です。名称に「給付金」が付いていても、対象費用、申請時期、必要書類が違います。

両方の受給資格を別々に確認する

高年齢求職者給付金の手続き中に講座を検討する場合は、失業認定で受講状況を申告し、教育訓練給付金についても受講開始前に支給要件照会を行います。「失業給付を受けるから教育訓練給付金は使えない」「自動的に両方もらえる」と決めつけず、両方の被保険者番号をそろえて確認してください。

65歳以上の失業給付:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」で、高年齢求職者給付金の30日分・50日分と受給手続きを確認できます。

65歳以上で公共職業訓練や求職者支援訓練を受けられるか、高年齢求職者給付金が訓練中にどう扱われるかは、次の記事で確認できます。

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65歳以上の申込みから支給までの手順

最初に支給要件照会を行う

ハローワークへ教育訓練給付金支給要件照会票を提出すると、受講開始予定日時点の加入期間と受給資格を確認できます。電話だけでは正式な照会になりません。雇用保険被保険者証または高年齢受給資格者証などで被保険者番号を確認しておきます。

指定講座のコース名と開始日を照合する

厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システムで、学校名だけでなく講座名、実施方法、指定番号、指定期間を確認します。通信講座の受講開始日は申込日ではなく、教材発送日など学校が証明する日になるため、退職後1年の直前は特に注意します。

特定一般・専門実践は受講前手続きを先にする

特定一般と専門実践は、訓練前キャリアコンサルティングと受給資格確認を受講開始日の2週間前までに行うのが原則です。一般教育訓練は修了後1か月以内に申請します。講座へ先に入金して開始日を迎えないよう、給付区分ごとの順番を確認してください。

順番 すること 65歳以上での確認点
1 被保険者番号と資格取得・喪失日を確認 一般から高年齢への移行、退職日
2 支給要件照会 65歳前後を含む加入期間
3 指定講座検索 講座名、開始日、指定期間
4 受講前手続き 特定一般・専門実践は2週間前まで
5 本人名義で支払い・受講・修了 領収書と修了証明書を保管
6 期限内に支給申請 一般・特定一般は修了後1か月以内

申請手続き:厚生労働省「教育訓練給付の支給申請手続き」で、給付区分ごとの受講前手続きと申請書類を確認できます。

65歳前後で対象外になりやすい失敗

65歳になった日に雇用保険期間が消えると思う

同じ職場で加入要件を満たして働き続ける場合、65歳到達で一般被保険者から高年齢被保険者へ変わっても、加入期間はつながります。「65歳になったので加入0か月」と考える必要はありません。

退職から1年ではなく誕生日から1年を数える

離職者の期限は65歳の誕生日を起点にしません。雇用保険の資格喪失日から受講開始日までを数えます。定年日、退職日、資格喪失日、教材発送日を日付で並べてください。

教育訓練支援給付金も受けられると思う

65歳以上が使えるのは教育訓練給付金本体です。生活費を支える教育訓練支援給付金は45歳未満条件があるため、対象になりません。学校の「最大80%」表示と生活費給付を同じものとして計算しないでください。

受講申込みをしてからハローワークへ行く

特定一般・専門実践は受講開始日の2週間前までの手続きが原則です。退職後1年の期限が迫っていると、ハローワークの相談予約と講座開始日の両方が間に合わないことがあります。候補が決まった段階で支給要件照会を始めます。

65歳以上の教育訓練給付金でよくある質問

受講中に65歳になっても給付は止まりませんか?

65歳の誕生日だけを理由に打ち切られません。受講開始日時点の受給資格、指定期間、修了要件、申請期限を満たすことが必要です。専門実践の追加給付を受ける場合は、修了後の資格取得、雇用保険加入、賃金上昇も別に確認します。

65歳以上でも専門実践の最大80%を受けられますか?

年齢だけで対象外にはなりません。専門実践の受給資格を満たし、講座修了、資格取得等、就職・雇用継続、受講前後の賃金5%以上上昇という条件を満たせば、最大80%の対象になり得ます。教育訓練支援給付金は受けられない点を分けて考えます。

2社とも週20時間未満のダブルワークはどうなりますか?

1社ごとに週20時間未満なら自動加入ではありません。ただし65歳以上には、2社の週所定労働時間を合計して20時間以上などの条件を満たし、本人が申出を行うことで高年齢被保険者になるマルチジョブホルダー制度があります。選ぶ2社は各週5時間以上20時間未満などの条件があるため、ハローワークへ確認してください。

複数就業:厚生労働省「雇用保険マルチジョブホルダー制度」で、65歳以上、2社合計20時間以上、本人申出などの条件を確認できます。

年金を受け取りながら利用できますか?

老齢年金を受給していることだけで教育訓練給付金が対象外になるとはされていません。教育訓練給付金は、雇用保険の加入期間、受講開始日、指定講座、修了などで判定します。ただし、失業給付や在職中の年金調整とは別の制度なので、それぞれの窓口で確認してください。

まとめ|65歳ではなく加入状況と受講開始日で決まる

教育訓練給付金は65歳以上でも使えます。高年齢被保険者として在職中の人は、65歳前後の加入期間をつなげて判定します。退職した人は、雇用保険の資格喪失から受講開始まで原則1年以内かを確認します。

一般20%、特定一般40%・最大50%、専門実践50%・最大80%という給付率も、65歳を理由に引き下げられません。一方、専門実践の受講中に生活費を支える教育訓練支援給付金は受講開始時45歳未満が条件のため、65歳以上は対象外です。

最初にハローワークで支給要件照会を行い、被保険者番号、資格取得・喪失日、65歳前後の加入期間を確認します。その後、厚生労働省の検索結果と学校の教育訓練明示書で、講座名、指定番号、受講開始日、指定期間を一致させてください。

教育訓練給付金は誰がいくらもらえる?3種類の条件・対象講座・申請方法
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