売上や契約件数で給料が決まる仕事で、今月の売上がゼロだった。給与明細も0円に近い。そんなとき、「完全歩合だから仕方ないのか」「働いた時間にも最低賃金はあるのか」「固定給が少しあれば問題ないのか」で判断が止まりやすくなります。
結論からいうと、会社に雇用される労働者なら、完全歩合給・出来高給にも最低賃金は適用されます。実際に働いたのに売上がゼロだった場合、完全歩合給部分の時間換算額は0円です。固定給や保障給など、最低賃金へ算入できる別の賃金で不足を埋められなければ、会社は差額を支払う必要があります。
ただし、業務委託として本当に独立して働く人、会社から休むよう言われて実際には働かなかった時間、固定給と歩合給が併給される人では計算が変わります。この記事では、2026年8月30日時点の厚生労働省・労働局の情報に基づき、完全歩合、固定給あり、売上ゼロ、残業ありの順に計算方法と確認手順を整理します。
結論|雇用されていれば完全歩合でも最低賃金はある
歩合給制は一律禁止ではないが、保障給なしの運用は認められない
売上高や契約件数などの成果に応じて賃金を決める歩合給制は、「出来高払制」「請負給制」とも呼ばれます。成果連動の制度自体が一律に禁止されているわけではありません。
ただし、労働基準法27条の対象となる労働者については、使用者が労働時間に応じた保障給を就業規則や労働契約などで定める必要があります。そのため、雇用労働者を「完全歩合」として保障給をまったく定めない運用は、実際の歩合給が最低賃金を超えた月でも労働基準法27条違反となる可能性があります。さらに、実際の時間換算額が最低賃金を下回れば、最低賃金法上の差額も必要です。
厚生労働省の歩合給制Q&Aでも、歩合給制に最低賃金法が適用され、時間額へ換算した賃金が最低賃金を下回らないようにする必要があると示されています。
最初に自分のケースを早見表で確認する
| 働き方・状況 | まず行う判定 | 主な確認点 |
|---|---|---|
| 雇用契約で完全歩合 | 歩合給÷総労働時間 | 最低賃金との差額、保障給 |
| 固定給+歩合給 | 固定給と歩合給を別々に時間換算して合算 | 二つの分母を混同しない |
| 働いたが売上ゼロ | 歩合給部分は0円÷総労働時間 | 固定給等で不足を満たすか |
| 会社から休むよう指示された | 最低賃金ではなく休業手当も確認 | 実際に働いた時間と休業時間を分ける |
| 契約書は業務委託 | 実態上の労働者かを確認 | 指揮命令、拘束、仕事を断る自由など |
次の求人を見る場合も、「月収例」だけでなく、固定給、歩合率、手当、所定労働時間を分けて確認する必要があります。職業訓練後の求人票で賃金を比較する方法は、次の記事で整理しています。

自分に適用される最低賃金を先に確認する
全国平均ではなく実際に働く場所の金額を使う
計算に使うのは全国加重平均やニュースで見た目安額ではありません。原則として、実際に働く事業場がある都道府県の地域別最低賃金を使います。特定の産業に適用される特定最低賃金にも該当する場合は、高い方が基準です。
厚生労働省の地域別最低賃金全国一覧で、時間額だけでなく発効年月日まで確認してください。改定額が公表されても、各都道府県の発効日前から新しい額を使うわけではありません。
賃金計算期間が発効日をまたぐときは新旧の適用日を分けて確認する
最低賃金の発効日が給与締切期間の途中にある場合、発効日以降の労働には新しい最低賃金が必要です。厚生労働省の使用者向けFAQでも、翌月からまとめて引き上げるのではなく、発効日以降は改定後の額以上を支払う必要があると案内されています。
対象日や勤務地を入力できる最低賃金の公式比較チェックも使えます。給与締切期間の途中で金額が変わる場合は、発効日前後の労働時間と歩合給の扱いを会社または労働局へ確認してください。
完全歩合給を最低賃金へ換算する方法
歩合給は総労働時間で割る
最低賃金法施行規則第2条と厚生労働省の公式計算例が示す完全歩合給の基本式は、次のとおりです。
最低賃金と比較する時間額
=その賃金計算期間の歩合給総額
÷歩合給を得るために働いた総労働時間
分母は所定労働時間だけではありません。所定労働時間、所定外・法定時間外労働、休日労働など、その歩合給を得るために実際に働いた総労働時間です。休憩時間は含めません。深夜労働が時間外・休日労働と重なる場合、同じ時間をさらに足して二重計上しないでください。
前月の高い歩合給で今月の不足を埋めない
歩合給は、その歩合給を計算する賃金算定期間の金額と労働時間で換算します。先月の成績がよく高額だったからといって、今月の最低賃金不足を平均して消す計算にはしません。給与が月末締めなら、まず月ごとの歩合給、総労働時間、除外する割増賃金をそろえます。
割増賃金や通勤手当を分子へ足さない
最低賃金の比較対象は、毎月支払われる基本的な賃金です。厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」と最低賃金特設サイトの対象賃金では、次の賃金を除外しています。
| 原則として算入する | 最低賃金の計算から除外する |
|---|---|
| 歩合給・出来高給 | 歩合給とは別に支払う所定時間外・所定休日労働の賃金、深夜労働の割増部分 |
| 基本給 | 精皆勤手当 |
| 毎月の職務・営業手当など | 通勤手当・家族手当 |
| 出来高払制の保障給 | 賞与・臨時に支払われる賃金 |
ただし、歩合給本体は時間外労働中の成果分を含めたまま分子に置き、時間外労働を含む総労働時間で割ります。歩合給本体から時間外労働分を切り離して除外するわけではありません。
「営業手当」という名称でも、その中に残業代が含まれているなら内訳を分ける必要があります。手当名だけで判断せず、労働条件通知書、賃金規程、給与明細で何に対する支払いかを確認します。
売上ゼロ月はいくら支払われる?3つのケースで確認する
以下のケース1・2は、160時間すべてが通常の労働時間で、時間外・休日・深夜労働がないものとして計算します。これらがある場合、表の最低賃金差額に加えて割増賃金も確認してください。
ケース1|160時間働き、完全歩合給が0円
説明用に、適用される最低賃金を1,200円と仮定します。これは全国一律の金額ではありません。
| 項目 | 金額・時間 |
|---|---|
| 歩合給 | 0円 |
| 総労働時間 | 160時間 |
| 時間換算額 | 0円÷160時間=0円 |
| 最低賃金との差 | 1時間当たり1,200円不足 |
| この例の不足額 | 1,200円×160時間=192,000円 |
固定給、保障給、算入できる月額手当がほかにない前提なら、この条件における最低賃金上の不足額は192,000円です。160時間実際に働いたのであれば、「契約を取れなかったから給料0円」にはできません。時間外・休日・深夜労働があれば、割増賃金は別途加算します。
ケース2|歩合給16万円で160時間働いた
160,000円÷160時間=1,000円
1,200円-1,000円=1時間当たり200円不足
200円×160時間=32,000円不足
売上や歩合給がゼロでなくても、時間換算額が最低賃金を下回れば差額が必要です。総支給額だけでなく、最低賃金へ算入できる賃金を分子にして計算します。
ケース3|売上がなく会社から休むよう言われた
会社から休むよう指示され、実際には働いていない時間へ「最低賃金×時間」をそのまま請求する計算にはなりません。会社側の事情による休業なら、労働基準法26条の休業手当を検討します。厚生労働省の休業手当Q&Aでは、使用者の責に帰すべき事由による休業について、平均賃金の60%以上の手当が必要と案内されています。60%は同条の最低基準であり、労働契約や就業規則により、それを上回る休業中の賃金を請求できる場合もあります。
一方、会社の指示で店舗や車内に待機し、客が来たらすぐ対応する必要があり、自由にその場を離れられない時間は労働時間になり得ます。厚生労働省の待機時間Q&Aを参考に、実際に働いた時間、手待ち時間、会社が休ませた時間を分けて記録してください。
歩合が不安定なのに最低額や計算根拠が見えない求人は、入社後も給与を予測しにくくなります。条件の危険信号を応募前に確認したい人は、次の記事も参考にしてください。

固定給+歩合給は二つの時間額を足す
固定給と歩合給では分母が違う
固定給と歩合給が併給される場合は、一つの総支給額を一つの時間数で割りません。次の二つを別々に計算して合算します。
固定給部分の時間額
=最低賃金へ算入できる固定給÷1か月平均所定労働時間歩合給部分の時間額
=歩合給÷その賃金計算期間の総労働時間固定給部分+歩合給部分≧適用される最低賃金
固定給の分母は1か月平均所定労働時間、歩合給の分母は残業を含む総労働時間です。同じ160時間や176時間で一括計算すると、結論を誤ることがあります。
具体例|固定給16万円・歩合給3万5,200円・残業16時間
適用最低賃金を1,200円、1か月平均所定労働時間を160時間、総労働時間を176時間と仮定します。
| 賃金部分 | 計算 | 時間額 |
|---|---|---|
| 固定給 | 160,000円÷160時間 | 1,000円 |
| 歩合給 | 35,200円÷176時間 | 200円 |
| 合計 | 1,000円+200円 | 1,200円 |
この例は最低賃金をちょうど満たします。ただし、表に入れた195,200円は通常賃金部分の判定です。残業16時間に対する割増賃金は別に計算して支払う必要があります。
固定給だけで最低賃金を満たせば売上ゼロでも不足しない
同じ最低賃金1,200円、1か月平均所定労働時間160時間で、最低賃金へ算入できる固定給が192,000円なら、固定給部分だけで「192,000円÷160時間=1,200円」です。この月の歩合給が0円でも最低賃金不足はありません。
ただし、契約どおりの歩合給が別に発生しているのに支払われない問題や、残業代不足までなくなるわけではありません。「最低賃金を満たすか」と「約束した歩合給・割増賃金が全額支払われたか」を分けて確認します。
最低賃金と出来高払制の保障給は別に確認する
保障給は成果が少ないときの賃金をあらかじめ支える制度
労働基準法27条は、出来高払制その他の請負制で使用する労働者について、使用者が労働時間に応じた一定額の賃金を保障するよう定めています。売上や成果だけに生活が左右されないよう、就業規則や労働契約で保障給を定める問題です。
| 制度 | 確認すること | 重要な違い |
|---|---|---|
| 最低賃金 | 支払われる対象賃金を時間換算して法定額以上か | 雇用労働者へ広く適用 |
| 出来高払制の保障給 | 出来高が少なくても労働時間に応じた一定額を保障しているか | 歩合給制の設計自体を確認 |
| 休業手当 | 会社都合で働けなかった時間・日があるか | 実労働時間の最低賃金とは別 |
「保障給は必ず最低賃金の60%」ではない
労働基準法27条の条文には保障率の数値は書かれていません。厚生労働省の解説では、通常の実収賃金と大きく離れないよう定め、少なくとも平均賃金の6割程度が妥当とされています。ただし、保障給を6割に設定すれば最低賃金を下回ってよい、という意味ではありません。実際に支払われる対象賃金が最低賃金を下回れば、その差額が必要です。
また、固定給が賃金総額の大半、おおむね6割程度以上を占める人は、厚生労働省の解説上、労働基準法27条の保障給規定の対象に該当しないとされています。それでも最低賃金法の判定は残ります。「60%」という数字だけを見ず、どの制度の何を計算しているかを分けてください。
いずれの「6割」も、すべての職種で機械的に適法性を決める一律の法定率ではありません。保障給の額や固定給の割合だけでなく、賃金制度全体と実際の支払いを確認する必要があります。
残業がある月は歩合給の分母と割増賃金に注意する
最低賃金の分母には残業時間を含める
歩合給は成果を得るために働いた総労働時間で割るため、残業が増えると、同じ歩合給額でも時間換算額は下がります。たとえば歩合給192,000円、総労働時間200時間なら「192,000円÷200時間=960円」です。時間外・深夜の割増賃金を受け取っていても、その割増部分を分子へ足して最低賃金不足を埋めることはできません。
宮崎労働局の歩合給計算例でも、所定170時間、時間外30時間の合計200時間で歩合給部分を換算し、割増賃金を除いて最低賃金と比較しています。
固定給部分と歩合給部分では残業代の計算も違う
前の例で、固定給部分の時間額が1,000円、歩合給部分が200円、法定時間外労働が16時間なら、単純化した割増賃金は次のようになります。
固定給部分:1,000円×1.25×16時間=20,000円
歩合給部分:200円×0.25×16時間=800円
歩合給本体は時間外労働中に生じた成果も含めて総労働時間で計算されるため、原則として追加するのは割増部分です。厚生労働省の割増賃金解説も確認してください。法定休日、深夜、月60時間を超える時間外労働では割増率が変わるため、実際の勤怠区分ごとに計算します。
給与明細・契約書・勤怠ではここを見る
計算に必要な6種類の資料をそろえる
- 雇用契約書・労働条件通知書
- 就業規則・賃金規程・歩合率表
- 給与明細
- タイムカード・シフト・勤怠記録
- 売上、契約件数、製作数などの実績明細
- 歩合給と時間外・休日・深夜割増賃金の内訳
「売上の○%」とだけ書かれていても、保障給、締切日、返品・キャンセル時の扱い、割増賃金の内訳が分からなければ正しい計算ができません。給与明細と勤怠を同じ賃金計算期間でそろえ、売上明細とも照合します。
業務委託と書かれていても実態を確認する
本当に独立した事業者・フリーランスなら、原則として最低賃金法の対象ではありません。しかし、契約書の名称だけで決まるものでもありません。厚生労働省の労働者性判断では、会社の指揮監督下で働いているか、報酬が労働の対価かを中心に、仕事を断る自由、勤務時間・場所の拘束、代わりの人へ任せられるか、事業者性などを総合判断するとしています。
毎日決められた時間に出勤し、上司の指示で営業し、欠勤や遅刻を管理されているのに、契約名だけ「業務委託」とされている場合は、労働基準監督署に設けられた労働者性に疑義がある人向けの相談窓口も利用できます。
研修・試用期間の歩合給にも最低賃金は適用される
「研修中」「見習い」「完全歩合」という名称だけで最低賃金を下げることはできません。最低賃金を減額するには、会社が都道府県労働局長の個別許可を受ける必要があります。厚生労働省の減額特例許可制度で対象と手続きを確認できます。
次の仕事を探すときは、高い月収例だけでなく、最低固定給、歩合率、ノルマ、残業時間、教育期間を並べて比較してください。
最低賃金を下回っていたときの確認・請求手順
ステップ1|賃金計算期間ごとの表を作る
給与締切日ごとに、歩合給、算入できる固定給、除外手当、所定労働時間、総労働時間、適用最低賃金、発効日を並べます。最低賃金額が変わった期間は労働時間を発効日前後に分け、歩合給の配分方法は会社または労働局へ確認してください。
ステップ2|会社へ書面で計算根拠を確認する
「違法だから払ってください」と結論だけを送るより、「歩合給の対象期間」「総労働時間」「最低賃金へ算入した固定給・手当」「割増賃金との区分」「不足額」を表にして、会社の計算根拠と差額の支払予定をメールで確認します。口頭回答しか得られない場合は、回答内容をまとめた確認メールを残してください。
ステップ3|解決しなければ労働基準監督署へ相談する
厚生労働省の労働者向け最低賃金FAQでは、使用者と話しても解決しない場合は最寄りの労働基準監督署へ相談するよう案内しています。事業場を管轄する監督署へ、契約書、給与明細、勤怠記録、歩合実績、自分の計算表を持参すると説明しやすくなります。
夜間・休日に相談したい場合は、無料・匿名の労働条件相談「ほっとライン」も使えます。個別の紛争解決制度や相談窓口は、厚生労働省の総合労働相談コーナー案内で確認できます。
差額請求の期間と罰則を混同しない
厚生労働省「最低賃金制度」によると、最低賃金未満の合意はその部分が無効となり、最低賃金額と同じ定めをしたものとみなされます。地域別最低賃金を支払わない場合は50万円以下の罰金、労働基準法27条の保障給規定に違反した場合は30万円以下の罰金の対象です。罰金は労働者へ支払われる差額ではないため、自分の未払い賃金請求とは分けます。
賃金請求権は法律上5年へ延長されていますが、2026年8月30日時点では当分の間、支払期日から原則3年です。厚生労働省の賃金請求権Q&Aを確認し、古い給与明細から放置しないでください。
退職を考える場合も資料を捨てない
会社が説明や是正をせず退職を考える場合も、給与明細、契約書、勤怠、売上実績、自分の計算表を保存します。在職中でもハローワークで職業訓練の相談はできるため、収入が途切れてから慌てるより、募集時期と利用できる制度を先に確認しておく方が現実的です。

よくある質問
Q1.完全歩合制で雇うこと自体が違法ですか?
成果連動の歩合給制そのものは一律禁止ではありません。しかし、労働基準法27条の対象となる人について保障給を定めない、または最低賃金未満しか支払わない「完全歩合」の運用は認められません。固定給が賃金総額の大半を占める場合など、27条の対象外となるケースはありますが、最低賃金法の判定は別に残ります。
Q2.売上ゼロなら本当に給料0円にはなりませんか?
雇用労働者が実際に働いた時間について、固定給や保障給など他の算入対象賃金もないなら0円にはできません。歩合給0円を総労働時間で割ると時間換算額も0円となるため、適用最低賃金との差額が必要です。
Q3.アルバイトやパートの歩合給にも最低賃金はありますか?
あります。最低賃金は雇用形態や呼び名にかかわらず、原則として雇用される労働者へ適用されます。パートだから、短時間だから、試用期間だからという理由だけで除外されません。
Q4.固定給が最低賃金未満でも歩合給を足せばよいですか?
最低賃金へ算入できる固定給部分の時間額と歩合給部分の時間額を正しい分母で換算し、合計が最低賃金以上なら最低賃金は満たします。ただし、歩合給が少ない月は合計額も変わるため、賃金算定期間ごとに確認が必要です。
Q5.手取り額を労働時間で割れば分かりますか?
分かりません。税金や社会保険料を引く前の賃金から、時間外・休日・深夜の割増部分、通勤・家族・精皆勤手当、賞与などを除いて計算します。手取り額や銀行振込額では判定しません。
Q6.歩合給を割る時間に残業を含めますか?
含めます。歩合給を得るために働いた総労働時間には所定労働時間と時間外労働時間を含めます。深夜時間が時間外時間と重なる場合は、同じ時間を二重に足しません。
Q7.通勤手当や賞与で最低賃金不足を埋められますか?
通勤手当、家族手当、精皆勤手当、賞与、臨時賃金、時間外・休日・深夜の割増部分は最低賃金の計算から除外します。総支給額が高く見えても、除外後の対象賃金で確認してください。
Q8.業務委託なら最低賃金は一切関係ありませんか?
本当に独立した事業者なら原則として最低賃金法の対象外です。ただし、契約書の名称だけでは決まりません。会社の指揮命令、勤務時間・場所の拘束、仕事を断る自由、報酬の労務対償性などから実態上の労働者と判断されれば、労働関係法令の保護対象になり得ます。
Q9.保障給は必ず平均賃金の60%ですか?
労働基準法27条の条文には一律の保障率は書かれていません。厚生労働省解説は、少なくとも平均賃金の6割程度が妥当としていますが、保障給と最低賃金は別判定です。保障給を6割に設定しても最低賃金不足があれば差額が必要です。
Q10.最低賃金の差額はいつまで請求できますか?
賃金請求権は法律上5年ですが、2026年8月30日時点では経過措置により当分の間、各支払期日から原則3年です。月ごとに期間が進むため、早めに資料をそろえて会社または公的窓口へ相談してください。
まとめ|売上ではなく賃金計算期間の歩合給と総労働時間で確認する
雇用される労働者なら、完全歩合給・出来高給にも最低賃金は適用されます。完全歩合は「歩合給÷総労働時間」、固定給+歩合給は「固定給÷1か月平均所定労働時間」と「歩合給÷総労働時間」を足して判定します。
売上ゼロでも、実際に働いた時間がゼロとは限りません。実労働・手待ち時間、会社から休むよう指示された時間、業務委託として働いた時間を分け、給与明細、契約書、歩合率表、勤怠記録をそろえてください。計算後は会社へ書面で根拠を確認し、解決しなければ労働基準監督署へ相談します。
今の仕事を続けるか、別の求人へ移るか、職業訓練で応募できる仕事を増やすか迷う場合は、収入が止まる前に選択肢を比較しておきましょう。


