ひとり親の家賃支援|住宅支援資金の貸付額・返済免除・申請方法

ひとり親の家賃支援について、貸付額・返済免除・申請方法を確認する案内 住居確保給付金・家賃支援

家賃の負担を減らしながら、就職や収入アップを目指したい。そんなひとり親が利用を検討できるのが、「ひとり親家庭住宅支援資金」の貸付制度です。

国の現在の制度では、住んでいる住宅の家賃実費を月上限7万円、原則12か月まで無利子で借りられます。就職や収入増などの条件を満たして1年間働き続け、免除申請が認められれば、借りたお金の返済が免除されます。

ただし、最初からもらえる給付金ではありません。所得、自立支援プログラム、就職・転職の時期などの条件があります。仕事が決まってから申し込めばよいとは限らないため、まずは住んでいる自治体のひとり親相談窓口で、仕事の予定と家賃の状況を伝えるところから始めてください。

以下は2026年9月12日時点の国・自治体・社会福祉協議会の案内をもとにした説明です。全国的な制度の枠組みと、地域ごとに異なる申し込み・保証人などの条件を分けて確認していきます。

制度の案内:こども家庭庁「就職活動中のお住まいでお悩みの方」

住宅支援資金を利用できるのはどんなひとり親?

中心となるのは、児童扶養手当を受けている人などが、「母子・父子自立支援プログラム」を作り、就職や収入増に向けて取り組む場合です。母子家庭だけでなく、父子家庭も対象に含まれます。

確認する条件 自分の状況で確認すること
所得 児童扶養手当を受給しているか、同等の所得水準か。所得水準を超えてから1年以内の人も国の対象範囲に含まれる
自立支援プログラム 自治体などの担当者と、就職・転職・資格取得等の目標や支援内容を決めているか
住まい 自分が家賃を負担する賃貸住宅か。契約内容や他の家賃支援を確認できるか
仕事と免除の見込み 未就業なら就職、就業中なら所得増など、プログラムの目標に沿って働く見込みがあるか
居住地の取り扱い 申し込みを受け付ける地域・窓口、保証人、他制度の利用状況などの条件に合うか

ここでいう手当は「児童扶養手当」です。子どものいる家庭に支給される「児童手当」とは異なります。また、児童扶養手当を受けていないという理由だけで対象外と決める必要はありません。同等の所得水準などに該当するか、担当窓口で確認できます。

所得の判定を給与の年収だけで一律に決めることもできません。扶養する人数や控除などが関係するため、児童扶養手当の証書・通知や所得を確認できる資料を用意して相談します。

国の対象範囲:こども家庭庁「ひとり親家庭等の支援について」29ページ(PDF)

自立支援プログラムは、どこで作る?

住んでいる自治体のひとり親支援担当、福祉事務所、ひとり親の就業相談窓口などに相談します。地域によっては、ひとり親支援団体などが担当しています。

制度を設けていない自治体に住んでいる場合は、プログラムを利用できません。最初に居住地での実施状況を確認してください。こども家庭庁のプログラム案内

プログラムは、仕事の経験、子育ての状況、希望する働き方などを担当者と話し合い、就職や自立に向けた目標と必要な支援を決めるものです。自分だけで申請書に「就職します」と書けば完成するものではありません。

仕事をしていない人だけでなく、パートから収入を増やしたい人や、資格取得を通じて働き方を変えたい人も相談対象になり得ます。住宅支援資金を借りるために、全員が職業訓練や資格学校へ通う必要があるわけではありません。

資格取得を目標にする場合は、家賃とは別に、修業中の生活費を支える「高等職業訓練促進給付金」も相談できます。住宅支援資金とは別の制度なので、それぞれの対象条件を確認してください。

高等職業訓練促進給付金とは?ひとり親の条件・金額・申請方法
高等職業訓練促進給付金は、ひとり親が看護師や保育士など、就職に有利な資格を取るために6か月以上学ぶ間の生活費を支える制度です。ハローワークの職業訓練ではなく、住んでいる都道府県・市区町村のひとり親支援窓口へ申請します。全国向けの案内では、住...

貸付額はいくら?月7万円は全員が借りられる金額ではない

貸付額の基本は、実際に負担する対象家賃と、月額上限を比べて決めることです。上限7万円を12か月借りた場合の合計は84万円ですが、家賃や貸付期間によって実際の額は少なくなります。

住居確保給付金や自治体の家賃補助を受けている場合は、同じ家賃に対して支援される額を差し引きます。別制度と併用できても、家賃全額を二重に受け取れるわけではありません。

対象家賃と他の家賃支援 月の貸付上限の計算例
家賃5万5,000円/他の支援なし 実費の5万5,000円。7万円との差額を上乗せして借りることはできない
家賃8万円/他の支援なし 上限の7万円。残り1万円は住宅支援資金では賄えない
家賃7万円/住居確保給付金5万円 7万円-5万円=2万円

上の表は、月上限7万円で対象家賃が認められる場合の例です。金額の端数処理などは実施先の取り扱いに従います。他の家賃支援が終了・減額されたときも、自分で貸付額を変えるのではなく、変更の届け出をして確認します。

神戸市は、家賃7万円と住居確保給付金5万円の場合、住宅支援資金は差額の2万円が上限となる例を掲載しています。神戸市の貸付額・併用例

職業訓練の受講も検討している人は、訓練中の月10万円の給付と住居確保給付金の併用条件も確認できます。住宅支援資金とは別の制度なので、対象条件と申請先を分けて確認してください。

職業訓練の月10万円と家賃補助は両方もらえる?住居確保給付金との併用条件
職業訓練受講給付金の月10万円と住居確保給付金は併用可能。収入・貯金・世帯人数による条件の違い、家賃支援が全額・一部・対象外になる3つの試算例、ハローワークと自治体への申請手順を解説します。

共益費や駐車場代も対象になる?

家賃と一緒に払っている費用が、すべて貸付の対象になるとは限りません。たとえば東京都では管理費・共益費を含み、保険料・駐車料などは含まない扱いです。神戸市も管理費・共益費を含めますが、駐車場代、光熱水費、敷金・礼金・更新料などを対象外としています。

賃貸借契約書で家賃、管理費、駐車場代などの内訳を確認し、窓口に見せてください。引っ越しの初期費用や住宅ローンの返済を、そのまま家賃の貸付に置き換えることはできません。

「上限4万円」と書かれた案内との違い

古い案内には月上限4万円の記載があります。現行の国の案内は7万円ですが、以前に借りた人まで自動的に7万円へ変わるとは限りません。

愛知県は、2025年3月までに貸付決定された場合は月上限4万円と明記しています。すでに借りている人は、自分の貸付決定時期と通知書を確認してください。愛知県の現行案内

返済免除の条件|就職前と、すでに働いている場合で分かれる

仕事による返済免除では、決められた期間内に就職・所得増などの目標を達成し、その就労を1年間継続することが基本です。最後に免除申請を行い、確認・決定を受けます。

仕事の状況 免除に向けて確認する条件
就業していない人 貸付を受けた日から1年以内に就職し、1年間引き続き就業を継続する
すでに就業している人 同じく1年以内に、プログラム策定時より高い所得が見込まれる転職等を行い、1年間引き続き就業を継続する

「貸付を受けた日」の具体的な扱いは通知書と実施先の案内で確認します。東京都は初回交付日、神戸市は貸付決定日を起算日として案内しています。申し込んだ日から数えると、期限を取り違えるおそれがあります。

基本条件の確認先:沖縄県「返還免除について」

同じ会社で働き続ける場合や、パートでも使える?

転職だけが対象とは限りません。東京都は、資格取得などによる同じ職場での所得増も、自立を目指す取り組みの一つとして案内しています。

一方、今の仕事と収入を変えずに1年働けば、必ず免除されるという意味ではありません。どんな目標を達成する必要があるか、何の書類で増収や就労を確認するかを、プログラムを作る段階で決めておきます。

パート・アルバイトも、雇用形態の名前だけで判断しないでください。勤務時間や就労の安定性などの扱いを、勤務先・週の労働時間・収入見込みとともに確認します。「週に何時間でもよい」「正社員だけ」と全国一律には言えません。

借入から免除までの日付の例

次は、初回交付日を起算日とする東京都の説明に沿った、未就業者の架空例です。実際の日付や認められる就労は、貸付通知書と窓口で確認してください。

  1. 2026年10月:初回の貸付金を受け取る。
  2. 2027年1月:プログラムの目標に沿った仕事に就く。初回交付から1年以内の就職に当たる。
  3. 就職から1年が経過した後:必要な就労継続を証明し、免除を申請する。
  4. 免除決定:通知を受け、返済が免除されたことを確認する。

このように、貸付を受け始めてから1年たっただけでは、就労を1年間続けたことにはなりません。就職等をするまでの期限と、その後に働く期間を分けて数える必要があります。

東京都では、プログラムを作った自治体に就職・転職等の確認書を発行してもらい、雇用証明書、返済免除申請書などとともに東京都社会福祉協議会へ提出します。東京都社会福祉協議会「住宅支援資金のご案内」(PDF)

申請方法|先に相談とプログラム、次に借入申請

最初の相談先と、お金を貸し付ける窓口が別になっている地域があります。こども家庭庁は、詳しい内容を都道府県、指定都市に住んでいる人は市役所へ問い合わせるよう案内しています。市区町村のひとり親支援担当から、地域の窓口を教えてもらう方法でも構いません。

  1. ひとり親相談窓口へ連絡する。「住宅支援資金を使い、就職・収入増を目指したい」と伝え、家賃と仕事の予定を相談する。
  2. 自立支援プログラムを作る。担当者と目標・支援内容を決め、貸付の対象と免除条件を確認する。
  3. 期限内に借入申請する。指定された社会福祉協議会や支援団体などへ書類を提出する。
  4. 審査・貸付決定後、借用書などを提出する。初回入金日、貸付対象月、振込方法を確認する。
  5. 就職・転職、家賃などの変化を報告する。プログラム担当者や貸付先との連絡を続ける。
  6. 就労継続後に免除を申請する。就労の証明などをそろえ、免除決定を受ける。

東京都の案内では、初回交付より前に就職・転職等の目標を達成した場合は貸付対象外です。予定していた就職日が変わった場合も連絡が必要になります。就職後の遡った申請を前提にせず、仕事の予定がある段階で早めに相談してください。

用意する書類と、窓口で伝えること

書類名や提出のタイミングは地域で違います。申込書を取り寄せるときに、次の資料が必要か確認すると準備を進めやすくなります。

書類の例 主に確認される内容
借入申込書、自立支援プログラムの証明書 目標、支援内容、プログラムの策定状況
児童扶養手当の証書・通知、所得関係書類 貸付対象となる所得等の条件
住民票 住所や世帯の状況。発行日・記載内容の指定も確認
賃貸借契約書 契約者、住所、家賃と共益費等の内訳、契約期間
他の家賃支援の決定通知 支援額、支援期間、実際に残る家賃負担
振込口座の資料、印鑑登録証明書など 送金や借用書の手続き。保証人を立てる場合は別途その書類

初回の相談では、たとえば「家賃は月6万円、共益費は3,000円です。今はパート勤務で、資格取得後の転職を考えています。他の家賃補助は受けていません」と伝えます。そのうえで、対象費用、借り始められる月、初回入金日、免除の起算日と必要な就労条件を確認しましょう。

必要書類の例:横浜市社会福祉協議会の案内・申し込みのしおり

自分が契約書の名義人でない場合も、家賃を負担している状況を伝えて相談してください。神奈川県社協は、本人名義でない場合の個別相談を案内しています。名義だけで自己判断せず、居住地の窓口で必要な証明を確認します。神奈川県社協の貸付対象者の案内(横浜市・川崎市・相模原市を除く)

保証人・申込期限・振込時期は地域によって違う

同じ住宅支援資金でも、受付窓口や期限は共通ではありません。次の表は全国の一例です。自分の地域に当てはまるルールとして読み替えず、確認項目の参考にしてください。

地域 申し込み・保証人などの例
東京都 プログラム策定の証明を受けてから3か月以内に、居住地の区市町村社協へ申請。保証人不要。書類不備がなければ、申請から初回交付まで概ね50日
愛知県(名古屋市を除く) プログラムは市役所等へ、貸付は愛知県母子寡婦福祉連合会へ相談。連帯保証人不要。名古屋市は別の窓口を確認
横浜市 ひとり親サポートよこはまでプログラムを作り、市社協へ申請。毎月末日締切。連帯保証人は原則1名だが、立てられない場合も申し込み可能
神戸市 プログラム策定日から半年以内に申請。事前相談・予約のうえ窓口へ持参。連帯保証人は原則1名。2026年度から実施主体が神戸市社会福祉協議会へ変更

東京都は3か月分ごとの交付、横浜市は原則として毎月22日の前払いという案内です。「月7万円まで」という制度でも、申し込んだ当日に現金を受け取れるとは限りません。今月の家賃の支払いが迫っている場合は、その期限も最初の相談で伝えてください。

表の確認先:東京都社協(PDF)/愛知県/横浜市社協/神戸市

返済免除にならないとき・途中で働けなくなったとき

免除条件を満たせなかった場合や、貸付契約が解除された場合などは返済が必要になります。東京都・横浜市では、返済期間を5年以内とする案内がありますが、全国共通の期限ではありません。自分の契約の返済開始時期と返済方法を確認します。

病気やけがで休職した、仕事を辞めて次の職場を探している、といった場合は、すぐに貸付窓口とプログラム担当者へ連絡してください。途中で働けなくなったら必ず即返済、とは限りません。雇用が続いているか、求職活動の状況、休業の理由などにより、就労継続としての扱いや返済の猶予を確認する必要があります。

猶予は返済そのものをなくす免除とは別です。支払いが難しいまま放置せず、必要な申請や証明書類を聞いてください。国の制度にも、災害・病気・けがなど、やむを得ない事情による返済猶予の枠組みがあります。

また、転居、再婚、家賃の変更、他の家賃支援の開始なども届け出が必要になる場合があります。すでに家賃を滞納している人を対象外とする地域もあるため、滞納がある場合はその状況も伝え、利用できる住まいの支援をまとめて相談してください。

生活保護を受給している人は、国の実施要綱上、この貸付に必要な母子・父子自立支援プログラムの対象外です。担当ケースワーカーに、住まいと就労の支援を相談してください。こども家庭庁「母子・父子自立支援プログラム策定事業実施要綱」第3(PDF)

最初にそろえるのは、家賃の内訳、受けている支援、現在の仕事、これから目指す働き方と時期です。この4点をひとり親相談窓口へ伝えると、住宅支援資金が合うか、どの手続きから進めるかを具体的に相談できます。