高等職業訓練促進給付金は、ひとり親が看護師や保育士など、就職に有利な資格を取るために6か月以上学ぶ間の生活費を支える制度です。ハローワークの職業訓練ではなく、住んでいる都道府県・市区町村のひとり親支援窓口へ申請します。
全国向けの案内では、住民税非課税世帯は月10万円、課税世帯は月7万500円が基本で、課程修了までの最後の12か月は月4万円が加算されます。ただし、対象課程、申請時期、必要書類、自治体独自の加算は地域で異なります。
この記事では、2026年7月14日時点の対象条件、支給額、申請の流れ、子が20歳になった後の新しい継続給付を整理します。他の職業訓練給付や教育訓練給付と比較したい場合は、先に制度一覧を確認してください。

先に結論:ひとり親が資格取得中の生活費を受ける自治体制度
高等職業訓練促進給付金は、専門学校などの授業料を全額負担する制度ではありません。長期間の修業と子育てを両立する間の生活負担を軽くし、資格を生かした就職につなげる制度です。
| 確認項目 | 全国向け案内の内容 | 申請前の注意 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 20歳未満の子を扶養する母子家庭の母・父子家庭の父 | 2026年度から、受給中に子が20歳になった場合の継続給付が新設 |
| 所得 | 児童扶養手当を受給しているか、同等の所得水準 | 手当を実際に受けていなくても候補。自治体が所得を判定 |
| 課程 | 養成機関で6か月以上学び、対象資格の取得が見込まれる | 学校・資格名だけでなく、課程単位で事前確認 |
| 修業状況 | 仕事または育児と修業の両立が困難と認められる | 在職中でも一律対象外ではないが、就業状況を申告 |
| 基本月額 | 非課税世帯10万円、課税世帯7万500円 | 最後の12か月は4万円加算 |
| 窓口 | 居住する都道府県・市区町村 | 自治体が実施していない場合は利用できない |
申請先をハローワークだと思って準備すると、窓口も書類も合いません。入学を決める前に、自治体サイトで「ひとり親」「高等職業訓練促進給付金」を検索し、担当課へ事前相談を予約してください。
公式情報:全国制度の対象者、金額、対象資格の例、2026年度の継続給付は、こども家庭庁「高等職業訓練促進給付金のご案内」で確認できます。
高等職業訓練促進給付金の対象者|主な条件を確認
こども家庭庁の案内では、訓練開始日以降、次の条件を満たすひとり親が対象です。自治体によって、過去の受給歴や類似給付の有無なども確認されます。
- 母子家庭の母または父子家庭の父として、20歳未満の子を扶養している
- 児童扶養手当を受給しているか、同等の所得水準にある
- 養成機関で6か月以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれる
- 仕事または育児と修業の両立が困難であると認められる
- 自治体が定める過去受給・類似給付・履修状況などの要件を満たす
児童扶養手当を受けていなくても対象になり得る
必要なのは「児童扶養手当を実際に受給中」であることだけではありません。所得が同等の水準なら、手当を受けていない人も対象になる可能性があります。
こども家庭庁は、子が1人の場合の例として、所得246万円未満、給与所得者なら年間収入385万円未満を目安に示しています。385万円は全員共通の単純な年収上限ではありません。扶養人数、所得控除、養育費の8割算入などで判定が変わるため、源泉徴収票の支払金額だけで決めないでください。
受給を始めた後に所得水準を超えた場合は、その後1年間に限って対象が続く取扱いがあります。申請時点ですでに基準を超える人へ一律に1年分を支給する特例ではありません。所得の変化は決められた時期に届け出ます。
公式情報:所得の例と受給開始後の経過措置は、こども家庭庁の現行案内に掲載されています。実際の判定は居住自治体へ確認してください。
無職でなければ使えない制度ではない
働いているひとり親でも、直ちに対象外とは限りません。一方で、制度には「仕事または育児と修業の両立が困難」と認められる要件があります。勤務時間、収入、通学日数、実習、子の保育状況を伝え、自治体の判断を受けます。
「仕事を続ければ必ず不支給」「退職すれば必ず支給」とは言えません。給付だけを前提に退職せず、在職中に相談してください。
過去の受給と同じ目的の給付も確認される
自治体では、原則として過去に高等職業訓練促進給付金を受けていないことや、同じ修業期間について生活費を支える類似給付を受けていないことを確認する場合があります。
| 利用中の制度 | 考え方 | 確認先 |
|---|---|---|
| 教育訓練給付金・自立支援教育訓練給付金 | 受講料を支える制度のため、併用できる場合がある | 自治体とハローワーク |
| 児童扶養手当 | 受給または同等の所得水準が対象条件になる | 自治体 |
| 教育訓練支援給付金・職業訓練受講給付金・雇用保険の訓練延長給付 | 同じ期間の生活費を支えるため、原則として重ねて受けられない | 自治体とハローワーク |
| JASSOの給付奨学金・生活保護・貸付・自治体独自給付 | 一律に判断できず、各制度の調整規定を確認する | 自治体・学校・実施団体 |
名称が似ていますが、「教育訓練給付金」は受講料の一部を支える制度、「教育訓練支援給付金」は受講中の生活費を支える制度です。利用している制度名と支給期間を通知書どおりに伝えてください。
教育訓練給付金との違いは、次の記事で対象者・支援内容を比較しています。

いくらもらえる?月10万円・7万500円と最後の1年の加算
こども家庭庁の全国向け案内にある支給額は次のとおりです。住民税の課税・非課税区分は、自治体が対象年度と世帯状況を確認して決めます。
| 世帯区分 | 通常の月額 | 課程修了までの最後の12か月 | 修了後の給付 |
|---|---|---|---|
| 住民税非課税世帯 | 10万円 | 14万円 | 5万円 |
| 住民税課税世帯 | 7万500円 | 11万500円 | 2万5,000円 |
最後の12か月は、通常額へ月4万円を加えます。修了後の5万円または2万5,000円は、毎月の給付とは別の高等職業訓練修了支援給付金です。修業開始時と修了時の双方で要件を満たすことなどを確認されます。
ここでいう最後の12か月は「4年目」やカレンダー上の「最後の1年」とは限らず、対象課程が終わる直前の12か月です。修了支援給付金は自動振込ではないため、修了後の申請期限も事前に確認してください。
2年課程・非課税世帯の支給額を計算
2年間ずっと非課税世帯で、24か月すべてが支給対象になった例では、最初の12か月が10万円、最後の12か月が14万円です。
| 期間 | 計算例 | 小計 |
|---|---|---|
| 最初の12か月 | 10万円×12か月 | 120万円 |
| 最後の12か月 | 14万円×12か月 | 168万円 |
| 修了後 | 修了支援給付金 | 5万円 |
| 合計例 | 全期間対象・区分変更なしの場合 | 293万円 |
これは金額の仕組みを示す例です。途中申請、休学、課税区分の変更、所得超過、退学、自治体独自の加算などがあれば変わります。学校の授業料、実習費、教材費、交通費、保育料がこの金額にすべて含まれて賄われるわけでもありません。
支給期間は原則修業期間、通常は上限4年
支給期間は、対象資格を取るために必要な修業期間が基本で、通常は通算4年が上限です。2026年度からは、准看護師養成機関を修了後、引き続き看護師養成機関へ進学する場合について、自治体の要件を満たせば通常給付と継続給付を合わせて通算5年が上限となる取扱いがあります。
長期課程だから自動で4年または5年分が確定するわけではありません。毎年度・定期的に在籍、履修、所得、ひとり親の状態などを確認されます。
対象資格は6か月以上の課程|学校名だけで決めない
対象になるのは、就職に有利な資格で、養成機関において6か月以上修業する課程です。中央の案内では、看護師、准看護師、保育士、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、調理師、製菓衛生師、デジタル分野の民間資格などが例示されています。
ただし、資格名が一覧にあれば、どの学校・通信講座でも対象になるわけではありません。教育訓練給付の指定講座か、自治体が地域の実情に応じて認める課程か、修業期間と資格取得見込みを含めて審査されます。
資格別の修業年数、学校の確認項目、通信・オンライン課程の扱いは、次の子記事へ分けます。

申請方法|入学・受講開始前に自治体へ相談する
この制度は自治体が実施します。制度を設けていない地域では利用できず、同じ資格でも対象課程や手続きが異なる場合があります。学校へ入学金を払う前、遅くとも受講開始前に相談するのが安全です。
申請までの基本的な流れ
- 居住自治体のひとり親支援窓口を調べ、事前相談を予約する
- 希望資格、学校名、課程名、修業期間、通学方法、入学時期を伝える
- 児童扶養手当または所得水準、過去受給、類似給付、就業状況を確認する
- 自治体から対象見込みと必要書類の案内を受ける
- 入学・修業開始後、自治体が定める時期に支給申請する
- 支給決定後も、在籍・履修・所得・家族状況を定期的に報告する
- 課程修了後、期限内に修了支援給付金を申請する
支給開始月、決定までの期間、初回振込日は自治体で異なります。受講開始後に申請できる自治体でも、過去の月まで自動的にさかのぼって支給されるとは限りません。最初の振込までに必要な生活費も見積もり、事前相談で日程を確認してください。すでに入学している人は、対象外と決めつけず、すぐ自治体へ相談します。
必要書類は家族・所得・学校の3群で準備する
| 書類の種類 | 例 | 確認点 |
|---|---|---|
| 本人・ひとり親・子の確認 | 本人確認書類、戸籍、住民票、児童扶養手当関係書類 | 自治体が情報連携で省略できる場合がある |
| 所得・課税の確認 | 所得証明、課税・非課税証明、養育費の申告書など | 対象年度と同居世帯の範囲を確認 |
| 学校・課程の確認 | 在学証明、入学許可、カリキュラム、修業期間、取得資格が分かる資料 | 学校名だけでなく課程名を一致させる |
| 就業・他給付の確認 | 勤務状況、類似給付の決定通知、奨学金関係資料など | 受給中の制度を省略しない |
| 支給先 | 本人名義の口座情報 | 自治体指定の様式を優先 |
ネット上の別自治体の持ち物表をそのまま使わず、居住自治体が渡す最新版を優先してください。
2026年度新設|子が20歳になった後の継続給付
これまでは、資格課程の途中で子が20歳になると、ひとり親向け制度の年齢要件によって残り期間の支援を受けにくい問題がありました。2026年度から、高等職業訓練促進継続給付金が設けられています。
対象は、高等職業訓練促進給付金の受給中に子が20歳へ到達し、その後も同じ養成機関で修業を続け、引き続き子を扶養し、所得や両立困難などの要件を満たす人です。月額と最後の12か月の加算は、従来の高等職業訓練促進給付金と同等です。
| 確認点 | 2026年度の取扱い |
|---|---|
| 切替時期 | 通常給付が終了した月の翌月以後 |
| 申請 | 継続給付を別に申請。原則として申請月分から |
| 支給期間 | 通常給付と合算して通算48か月まで。准看護師課程から看護師課程へ連続進学する場合は通算60か月まで |
| 修了時 | 高等職業訓練修了支援特別給付金を修了日から30日以内に別申請 |
通常給付と継続給付を同じ月に重ねて受けたり、子が20歳になった時点から新たに4年分が始まったりする制度ではありません。修了時も、通常の修了支援給付金と修了支援特別給付金の両方を重ねて受ける仕組みではありません。
子が20歳になった後に初めて学校へ入り、継続給付だけを新規申請することもできません。通常給付の受給中に年齢へ到達した人が、別の申請をして残りの修業期間へ支援をつなぐ仕組みです。
2026年4月1日時点ですでに対象課程で学んでいる人に関する経過的な取扱いもあります。新制度のため、自治体サイトや申請様式が更新途中の場合があります。子が19歳で修了前に20歳になる予定の人、2025年度以前から在学している人は、継続給付の実施と切替時期をすぐ確認してください。
公式情報:継続給付の対象、支給期間、切替、修了時給付は、こども家庭庁の2026年度実施要綱で確認できます。
職業訓練受講給付金の月10万円とは別制度
高等職業訓練促進給付金と、求職者支援制度の職業訓練受講給付金は、どちらも月10万円という説明が出るため混同されやすい制度です。
| 比較 | 高等職業訓練促進給付金 | 職業訓練受講給付金 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 対象資格を目指すひとり親 | 主に雇用保険の基本手当を受けられない求職者 |
| 窓口 | 都道府県・市区町村のひとり親支援窓口 | ハローワーク |
| 課程 | 6か月以上の対象資格課程 | 支援指示を受けた求職者支援訓練など |
| 主な判定 | ひとり親、所得、資格課程、両立困難など | 本人・世帯収入、資産、出席、過去受給など8要件 |
どちらか好きな方を選ぶ制度ではなく、対象者と課程が違います。職業訓練受講給付金の8要件を確認する場合は、次の記事へ進んでください。

受給中に必ず届け出ること
支給決定後も、卒業まで無条件に同じ金額が続くわけではありません。自治体が定める現況確認、在籍・出席・単位取得の証明、所得確認へ対応します。
- 休学、退学、留年、転校、課程変更
- 就職、退職、勤務時間や収入の変更
- 住所、世帯、扶養する子、婚姻・事実婚など生活状況の変更
- 住民税の課税区分や所得水準の変更
- 他の給付、奨学金、貸付の開始・終了
- 子が20歳になる時期
変更を届けないまま受給すると、支給停止や返還につながる場合があります。判断がつかない変更も、先に担当窓口へ連絡してください。
高等職業訓練促進給付金でよくある質問
シングルファザーも対象ですか?
父子家庭の父も対象です。母子家庭の母と同じく、子の扶養、所得、対象課程、修業との両立困難などを確認されます。
児童扶養手当が全部停止でも申請できますか?
手当を受けていないことだけで対象外とは限りません。同等の所得水準にあるかを自治体が確認します。全部停止の理由、前年所得、扶養人数、養育費などが分かる資料を用意して相談してください。
働きながら学校へ通えますか?
在職中でも可能性はありますが、就業または育児と修業の両立が困難と認められることが要件です。学校の時間割、実習期間、勤務時間、保育の予定を伝えて個別に確認します。
すでに入学していても申請できますか?
自治体の申請時期と遡及の取扱いによります。入学済みだから必ず不可とも、入学月まで必ずさかのぼれるとも言えません。課程名、入学日、修了予定日を伝え、すぐ相談してください。
学校の授業料も無料になりますか?
高等職業訓練促進給付金は生活費支援で、授業料が自動的に全額無料になる制度ではありません。授業料は教育訓練給付、修学支援、奨学金、自治体の自立支援教育訓練給付金など、別制度の対象可否を確認します。
入学準備金や就職準備金もありますか?
高等職業訓練促進給付金の利用者向けに、入学準備金・就職準備金の貸付を案内する地域があります。これは月額給付とは別で、原則は返済が必要な貸付です。取得資格を生かして一定期間働くと返還が免除される制度もあるため、条件を自治体または実施団体へ確認してください。
保育、送迎、働き方、資格選びを含めてひとり親の通い方を考える記事は、別に用意します。

まとめ:学校へ申し込む前に自治体のひとり親窓口へ相談する
高等職業訓練促進給付金は、ひとり親が6か月以上の対象課程で就職に有利な資格を目指す間の生活費支援です。非課税世帯は月10万円、課税世帯は月7万500円が基本で、課程修了前の最後の12か月は月4万円が加算され、修了後にも別申請の給付があります。
児童扶養手当を実際に受けていなくても、同等の所得水準なら対象になる可能性があります。2026年度からは、受給中に子が20歳になった後も要件を満たせば同等額をつなぐ継続給付が始まりました。
最初に確認するのは、居住自治体が制度を実施しているか、希望する学校の課程が対象か、いつまでに事前相談・申請が必要かの3点です。資格名だけで対象と決めず、学校名、課程名、入学日、修了予定日をそろえて自治体のひとり親支援窓口へ相談してください。

