退職金をもらうと翌年の国保は高くなる?一時金と年金受取りの違い

退職金で翌年の国保は高くなる?一時金・年金受取り・前年給与を確認 健康保険・国保の切替・保険料・受診

退職金を一時金で受け取り、税務上「退職所得」に当たる場合、その退職所得は国民健康保険料の計算に含めません。退職金をもらったという理由だけで、翌年の国保が高くなるわけではありません。

一方、企業年金などの年金形式で受け取る分は、公的年金等に係る雑所得として算定対象になります。また、一時金が対象外でも、前年に働いて得た給与所得があれば保険料はかかります。

確認する順番は「一時金か年金か」「何年の所得で計算しているか」「収入からどの控除を引くか」です。この記事では、国保の通知が高い理由を切り分け、自治体の試算に必要な数字を整理します。

退職金は受取り方で国保の扱いが変わる

まず、会社や年金の支払元から届いた書類で、受け取ったお金の種類を確認してください。

受け取ったお金 主な所得区分 国保の算定での扱い
退職一時金 退職所得 退職所得は含めない
企業年金など、年金形式の退職給付 公的年金等に係る雑所得 年金収入を合算し、公的年金等控除後の所得を含める
退職するまでの給料・賞与 給与所得 給与所得控除後の所得を含める

「退職時にまとめて振り込まれたお金」が、すべて退職所得になるとは限りません。最後の給料と退職一時金がある人は、それぞれの書類を分けて見ます。一部を一時金、残りを年金で受け取る場合も、両方をまとめて退職所得として扱わないことが大切です。

国税庁は、退職年金と退職一時金の所得区分を分けています。国保の計算でも、退職所得と年金の雑所得を区別します。国税庁「確定給付企業年金等に係る課税関係」、江東区「国民健康保険料の計算方法」

退職後に国保へ入るかを決める段階なら、健康保険・年金・住民税の手続きも一緒に整理しておくと、見積もった保険料を生活費へ反映しやすくなります。

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一時金1,000万円をもらっても、その金額は国保に足さない

たとえば、国保を計算する対象年の給与所得が200万円で、ほかの算定対象所得がない人を考えます。同じ条件のまま、退職所得に当たる一時金1,000万円を受け取った場合と、受け取らなかった場合を比べます。

比較する条件 一時金なし 退職一時金1,000万円あり
前年の給与所得 200万円 200万円
国保算定に加える退職所得 なし なし
基礎控除43万円を引いた額 157万円 157万円

200万円−43万円=157万円が、この例の所得割を計算するもとになる金額です。給与所得200万円に退職一時金1,000万円を足して、1,200万円から計算するわけではありません。

この200万円は、額面の年収ではなく給与所得控除後の所得です。また、157万円は保険料の年額ではありません。この金額に自治体の所得割率を掛けるなどして、ほかの保険料部分と合わせます。

比較例は、2026年度の算定方法をもとに、基礎控除43万円を適用できる合計所得金額2,400万円以下の人を想定しています。住所地、加入月数、世帯構成、ほかの所得、軽減等の条件は同じとしています。

退職金の税金を求める際に使う「退職所得控除」と、国保の所得割で使う「基礎控除」は別のものです。退職所得控除を超える退職金をもらって税金が発生しても、それだけで退職所得が国保の算定対象に変わるわけではありません。国税庁「退職金を受け取ったとき」、江東区の算定所得・基礎控除の説明

年金受取りは、ほかの公的年金と合算して計算する

企業年金などの年金受取りでは、老齢基礎年金・老齢厚生年金などと年間の公的年金等の収入を合計し、公的年金等控除を差し引いて雑所得を計算します。支払元ごとに、同じ控除を何度も引くことはできません。

ここでは、所得を計算する年の年末時点で67歳、給与など公的年金等以外の所得がない人を想定します。以下の収入帯では、公的年金等控除は110万円です。計算は2026年度の国保算定を想定した例です。

計算する項目 老齢年金だけ 企業年金も受け取る
老齢基礎・厚生年金の合計 年180万円 年180万円
企業年金 なし 年60万円
公的年金等の収入合計 180万円 240万円
公的年金等控除後の雑所得 180万円−110万円=70万円 240万円−110万円=130万円
国保の基礎控除後の額 70万円−43万円=27万円 130万円−43万円=87万円

この条件では、企業年金が年60万円加わると、所得割を計算する基礎額は27万円から87万円へ増えます。国保が年60万円高くなるという意味ではありません。実際の保険料の差は、自治体の料率、限度額、世帯の軽減判定などで変わります。

逆に、同じ年齢条件で、公的年金等の年間収入がすべて合わせて100万円、ほかの所得がない場合、公的年金等の雑所得は0円です。年金形式で受け取るからといって、必ず所得割が増えるわけではありません。ただし、所得割が0円でも均等割などがあり、国保そのものが無料になるとは限りません。

110万円の控除をすべての人に当てはめないでください。年齢、公的年金等の収入額、ほかの所得額によって計算が変わります。上の例は、65歳以上・公的年金等以外の所得1,000万円以下の区分です。生命保険会社の個人年金保険など、公的年金等に該当しない年金には別の計算を使います。国税庁「高齢者と税(年金と税)」、国税庁「公的年金等の課税関係」

国保の見込み額が分かったら、毎月の年金・給付の入金と、税金・保険料の支払いを並べます。退職一時金を生活費に使う予定なら、年間の保険料を確保したうえで、当面使える金額を考えると整理しやすくなります。

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退職金を除いても国保が高いのは、前年の給与が残るため

国保は原則として、4月から翌年3月までの年度の保険料を、その前年1月から12月までの所得で計算します。退職して今の給料が0円になっても、すぐに所得割が0円になるとは限りません。

たとえば2026年9月に退職し、その後は給与収入がない人なら、対応関係は次のようになります。退職一時金が退職所得に当たる場合、その分は各年度の算定対象から除きます。

国保の年度 もとになる所得の年 給与との関係
2026年度
2026年4月〜2027年3月
2025年1〜12月 退職する前年の給与所得がもとになる
2027年度
2027年4月〜2028年3月
2026年1〜12月 退職した年の給与・賞与に係る所得が残る
2028年度
2028年4月〜2029年3月
2027年1〜12月 2027年に給与がなければ、その年の給与所得はなくなる。年金等の所得は別に確認

この例では「退職翌年の1月になれば、働いていたときの所得が計算から外れる」とは考えません。まず、通知書に書かれた対象年度を見て、その前年の源泉徴収票と照らし合わせます。

通知が届く月や納付回数は自治体で異なります。納付書1回分をそのまま「1か月の保険料」と思い込まず、年間保険料と加入月数も確認してください。年度と前年所得の関係は、船橋市の国保試算案内、退職後も前年所得が反映される点は名古屋市の国保FAQでも確認できます。

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源泉徴収票と国保の通知書を、この順番で確認する

自治体の試算サイトへ入力するときは、「収入」を入れる欄か「所得」を入れる欄かを先に確認します。給与や年金の額面を入れれば控除を自動計算するサイトに、控除後の所得を入力すると、見積もりがずれる原因になります。

  1. 試算する年度を決める。国保の通知書の対象年度、加入日・加入月数を確認し、前年1〜12月の収入資料をそろえます。
  2. 退職一時金と給与の書類を分ける。「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」と「給与所得の源泉徴収票」を区別します。どの支給が退職所得か不明なら、会社の給与・退職金担当へ確認します。
  3. 年金は支払元ごとに集める。公的年金等の源泉徴収票や企業年金の支払通知を用意し、その年に実際に支払われた年間額を確認します。年の途中から受け取った人は、満額の年金見込額と取り違えないようにします。
  4. 世帯の条件を添えて国保窓口へ依頼する。加入する家族の人数・生年月日・前年所得、国保に入らない世帯主の所得も確認できるようにします。軽減判定を含む世帯の試算に必要になるためです。

給与所得の源泉徴収票に「給与所得控除後の金額」の記載がない場合は、自分で推測して埋めず、給与の支払金額が分かる資料を窓口へ持参してください。年金の税金や保険料が天引きされている場合も、口座への振込額だけで計算しないようにします。

窓口では、次のように伝えると確認点がまとまります。

「退職一時金と、給与・企業年金の資料を持ってきました。○年度の国保について、退職所得を除き、年金は合算して試算したいです。通知書の算定所得と、軽減の対象になるかを確認してください。」

船橋市も、源泉徴収票や確定申告書の控えを使った聞き取りに対応しています。持参資料・予約の要否は住所地の国保窓口で確認してください。翌年度の料率がまだ決まっていない時期の試算は、確定額ではなく概算として扱います。船橋市「国民健康保険料がいくらになるのか知りたいのですが」

退職金と国保で間違えやすいこと

確定申告をすると、退職一時金も国保に入りますか?

退職所得を算定から除く扱いは、退職所得という所得区分に基づくものです。「確定申告書に書いた所得はすべて国保へ加算する」という意味ではありません。申告した給与・年金などの別の所得が変わった場合は、その影響を分けて確認してください。名古屋市FAQの算定所得に関する説明

退職金の税金が0円なら、国保も0円ですか?

税金と保険料は別に計算します。退職金に税金がかからなくても、前年の給与・年金に係る所得割や、加入者にかかる均等割などは残ることがあります。所得が少ない世帯向けの軽減や、支払いが難しい場合の減免は、自治体の国保窓口で確認します。

国保を考えると、一時金で受け取るほうが必ず得ですか?

国保の算定だけを見れば、退職所得に当たる一時金は対象外です。ただし、受取り方の比較には、退職金・年金の税額、年金として受け取る総額や期間、その後の生活費も関係します。国保の差だけで受取り方を決めず、会社の支給条件と自治体の試算を並べて確認してください。

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