有給休暇の条件にある「出勤率8割」を見て、欠勤が何日までなら有給が付くのか、自分で計算しようとして手が止まる人は少なくありません。
有給で休んだ日は欠勤になるのか。遅刻や早退も1日欠勤として数えるのか。入社後6か月と、その後の1年間では何日まで休めるのか。ここを分けないと、単に勤務予定日へ20%を掛けただけでは誤ることがあります。
先に結論をいうと、通常の欠勤だけを考える場合、欠勤扱いにできる最大日数は全労働日×20%の小数点以下を切り捨てた日数です。その翌日から出勤率8割を下回ります。全労働日が120日なら24日欠勤まではちょうど80%で、25日欠勤すると約79.2%です。
| 全労働日 | 8割以上を保てる最大欠勤日数 | 8割を下回る欠勤日数 |
|---|---|---|
| 60日 | 12日 | 13日 |
| 78日 | 15日 | 16日 |
| 120日 | 24日 | 25日 |
| 156日 | 31日 | 32日 |
| 240日 | 48日 | 49日 |
ただし、有給休暇を取った日、業務上の傷病による休業、産前産後休業、育児・介護休業などは出勤扱いです。会社都合の休業日や所定休日など、全労働日から外す日もあります。2026年8月30日時点の制度を基に、最初の6か月と以後1年間の計算、欠勤・遅刻・休職の扱い、8割未満になった後まで順に確認します。
有給の出勤率8割を計算する式
出勤した日÷全労働日×100で計算する
厚生労働省の年次有給休暇Q&Aが示す計算式は次のとおりです。
出勤率(%)=出勤した日÷全労働日×100
労働基準法39条は「全労働日の八割以上」と定めています。80%ちょうどは条件を満たし、79.99%なら満たしません。
何日まで休めるかは全労働日から逆算する
通常の欠勤だけを仮定する場合は、次の2つの式で逆算できます。
- 最低限必要な出勤日数=全労働日×0.8を切り上げた整数
- 最大欠勤扱い日数=全労働日-最低限必要な出勤日数
最大欠勤扱い日数は、全労働日×0.2の小数点以下を切り捨てた日数と同じです。ただし、これは後で説明する「出勤扱いの日」と「全労働日から除外する日」を正しく分類した後に使う式です。
割合を四捨五入して80%にしてはいけない
たとえば全労働日が101日で、欠勤が20日なら、出勤は81日です。81÷101=約80.2%なので条件を満たします。欠勤が21日になると80÷101=約79.2%となり、8割未満です。
79.6%を小数点以下で丸めて「80%」と判定する仕組みではありません。出勤日数と全労働日の日数を整数のまま使い、出勤日数×5が全労働日×4以上になるか確認すると、表示上の丸めに左右されません。
出勤率を数える期間は最初の6か月と以後1年間
初回の算定期間は入社日から6か月間
厚生労働省の年次有給休暇FAQによると、初回の法定有給休暇は、雇入れ日から6か月継続勤務し、その6か月間の全労働日の8割以上出勤した場合に発生します。
4月1日入社で法定どおり10月1日に初回付与する会社なら、原則として4月1日から9月30日までが最初の算定期間です。給与を締める月や暦年ではなく、入社日と有給の基準日を起点にします。
2回目以降は直前の1年間を見る
同じ例で次回の基準日が翌年10月1日なら、前年10月1日から当年9月30日までの1年間で判定します。入社からの累計出勤率ではありません。前回まで欠勤が少なくても、直近1年が8割未満なら次回の新規付与に影響します。
| 基準日 | 出勤率を調べる期間 | 判定するもの |
|---|---|---|
| 入社6か月後 | 入社日から6か月間 | 初回の新規付与 |
| 入社1年6か月後 | 直前の1年間 | 2回目の新規付与 |
| 入社2年6か月後以降 | 各基準日の直前1年間 | その回の新規付与 |
入社後6か月は何日欠勤すると8割を下回る?
全労働日60日なら12日まで、13日で下回る
6か月間の全労働日が60日だった場合、最低限必要な出勤日数は60日×0.8=48日です。12日欠勤なら48÷60=80%なので条件を満たします。13日欠勤では47÷60=約78.3%となり、8割未満です。
全労働日78日なら15日まで、16日で下回る
全労働日が78日なら、78日×0.8=62.4日のため、最低でも63日の出勤が必要です。15日欠勤なら63÷78=約80.8%、16日欠勤なら62÷78=約79.5%です。
「週3日勤務だから半年で必ず15日まで欠勤できる」という意味ではありません。祝日、会社休日、確定シフト、途中の契約変更、全労働日から除外する日によって分母が変わるため、自分の勤怠記録にある全労働日を使います。
6か月間の早見表
| 6か月間の全労働日 | 必要な出勤日数 | 最大欠勤扱い日数 | 8割を下回る最初の欠勤日数 |
|---|---|---|---|
| 50日 | 40日 | 10日 | 11日 |
| 60日 | 48日 | 12日 | 13日 |
| 61日 | 49日 | 12日 | 13日 |
| 65日 | 52日 | 13日 | 14日 |
| 78日 | 63日 | 15日 | 16日 |
| 101日 | 81日 | 20日 | 21日 |
| 120日 | 96日 | 24日 | 25日 |
| 130日 | 104日 | 26日 | 27日 |
なお、会社の年次有給休暇で使う「出勤率」と、職業訓練で給付金や修了要件を判断する「出席率」は別制度です。退職後に訓練を考えている人は、欠席や遅刻が訓練の給付へどう影響するかを別に確認してください。

その後の1年間は何日まで欠勤できる?
全労働日240日なら48日まで、49日で下回る
1年間の全労働日が240日なら、最低限必要な出勤日数は192日です。48日欠勤なら192÷240=80%で条件を満たします。49日欠勤では191÷240=約79.6%となり、8割未満です。
全労働日156日なら31日まで、32日で下回る
全労働日が156日なら、156日×0.8=124.8日のため、最低125日の出勤が必要です。31日欠勤なら125÷156=約80.1%、32日欠勤なら124÷156=約79.5%です。
| 1年間の全労働日 | 必要な出勤日数 | 最大欠勤扱い日数 | 8割を下回る最初の欠勤日数 |
|---|---|---|---|
| 104日 | 84日 | 20日 | 21日 |
| 125日 | 100日 | 25日 | 26日 |
| 130日 | 104日 | 26日 | 27日 |
| 156日 | 125日 | 31日 | 32日 |
| 208日 | 167日 | 41日 | 42日 |
| 240日 | 192日 | 48日 | 49日 |
| 245日 | 196日 | 49日 | 50日 |
| 260日 | 208日 | 52日 | 53日 |
全労働日に入れる日・除外する日
全労働日は365日や契約上の年間日数そのものではない
厚生労働省の全労働日に関する通達は、全労働日を、就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日としています。つまり、カレンダーの365日を分母にするのではなく、対象となる6か月または1年間に労働義務があった日を基礎にします。
契約書に書かれた「年間所定労働日数」は付与日数の区分を判断する場面でも使われますが、出勤率では対象期間中の全労働日と実際の勤怠を確認します。似た言葉でも同じ数字とは限りません。
所定休日や会社都合休業日は分母から外す
香川労働局の年次有給休暇解説などの公式資料を整理すると、次の日は全労働日から除外します。
- 就業規則や契約で決めた所定休日
- 不可抗力による休業日
- 使用者側に起因する経営・管理上の障害による休業日
- 正当な争議行為により労務提供が全くなかった日
- 争議行為としてのロックアウト期間
- 所定休日に休日出勤した日
休日出勤した日を出勤日数へ足し、出勤率を上げる計算はしません。もともと労働義務のない日なので、分母にも分子にも入れない扱いです。
月60時間超の残業に関する代替休暇も区別する
厚生労働省の代替休暇資料にある労働基準法37条3項の代替休暇を終日取得した日も、全労働日から除外されます。ここでいう代替休暇は、通常の代休や振替休日と同じ言葉ではありません。会社の勤怠名称だけで判断せず、何の制度で休んだ日か確認してください。
欠勤にしない日・出勤扱いにする日
有給休暇を取った日は出勤扱い
有給休暇を取った日は、出勤率の計算では出勤したものとして扱います。「有給を使うと実際に出社していないため出勤率が下がる」という計算は誤りです。
遅刻・早退した日も、法定の出勤率では1日の出勤として数えます。遅刻3回を欠勤1日に換算するといった会社独自のルールが、賞与や皆勤手当ではなく法定有給の付与判定に使われていないか分けて確認してください。
労災・産前産後・育児介護休業は出勤したものとみなす
鹿児島労働局のQ&Aは、次の期間を出勤したものとみなすと案内しています。
- 業務上の負傷・疾病により療養のため休業した期間
- 労働基準法に基づく産前産後休業
- 育児・介護休業法に基づく育児休業・介護休業
- 年次有給休暇を取得した日
子の看護等休暇、介護休暇、会社独自の育児目的休暇まで、すべて自動的に同じ扱いになるわけではありません。厚生労働省の現行規定例も踏まえ、法律上の育児休業・介護休業と、1日単位などで取る看護・介護の休暇を区別して就業規則を確認します。
私傷病の欠勤・休職は労災と同じではない
厚生労働省の私傷病休職Q&Aは、私傷病による休職期間を含めて、基準日の直近1年間の出勤率を算定すると説明しています。業務上の傷病は法定のみなし出勤ですが、私生活上の病気やけがによる通常の欠勤・休職は同じ扱いではありません。
会社が法定基準より有利に、病気休暇や休職期間を出勤扱いにすることは可能です。慶弔休暇、生理休暇なども、賃金が出たかどうかだけで決めず、就業規則や労働協約にある出勤率上の扱いを確認してください。
病気や家庭事情で固定の通学が難しく、働き方そのものを見直す場合は、オンライン職業訓練も候補です。ただし、自宅受講でも出席確認や受講ログが必要なので、欠席時の扱いまで先に確認してください。

パート・シフト制も出勤率8割の条件は同じ
違うのは8割を満たした後の付与日数
正社員、パート、アルバイト、シフト制でも、出勤率8割以上という条件は共通です。パートだから出勤率を7割へ下げる、正社員だから9割へ上げるという法定区分ではありません。
働き方によって変わるのは、8割を満たした後に新しく付与される日数です。週所定労働時間や週・年間の所定労働日数によって比例付与になる人もいますが、出勤率の式は同じです。
シフト制は労働義務が設定された日を確認する
厚生労働省のシフト制雇用管理留意事項では、所定労働日を労働契約上労働義務が設定された日と説明し、使用者が一方的に所定日数を増減することは認められないとしています。
会社が後からシフトへ入れなかった日をすべて「欠勤」にしていないか、反対に、契約上働く予定だったのに欠勤した日を分母から消していないかを確認します。雇用契約書、確定シフト、変更履歴、勤怠記録を同じ期間で並べることが必要です。
出勤率8割未満になると有給は全部なくなる?
その基準日の新しい法定有給が付かない
出勤率が8割未満の場合、欠勤割合に応じて10日が8日へ減るのではありません。その基準日に新しく付与する法定有給休暇を、会社は付与しなくてよい扱いになります。会社が独自に上乗せまたは有利な条件で付与することは可能です。
すでに残っている有給はその場で消えない
8割未満になったのは、今回の新規付与を判断する条件です。前回までに法定どおり付与され、まだ時効を迎えていない残日数までゼロになるわけではありません。既存の残日数は、各付与日から2年の範囲で管理します。
翌年8割以上なら勤続年数に対応する日数へ戻る
厚生労働省の労働者向けQ&Aは、1年6か月時点で8割未満となり11日が付与されなかった人でも、2年6か月時点で直前1年が8割以上なら、12日の権利を取得できると説明しています。
勤続年数がゼロへ戻り、次回10日からやり直すわけではありません。また、付与されなかった前年分を後から追加する仕組みでもありません。各基準日ごとに直前期間を判定し、その時点の継続勤務年数に対応する新規付与日数を決めます。
厚生労働省の労働基準法施行通達でも、8割出勤はその年度に有給を付与する要件であり、勤続年数による加算そのものの要件ではないと整理されています。
会社の計算と合わないときの確認手順
1.基準日と算定期間を確定する
まず、雇入れ日、有給の基準日、今回の付与日を年次有給休暇管理簿で確認します。会社が全社員の基準日を4月1日などへ統一している場合もあります。
厚生労働省の基準日統一Q&Aのとおり、統一する場合は法定の付与日より前倒しする必要があり、後ろ倒しにはできません。前倒しによって算定期間が短縮された部分は全期間出勤したものとみなす扱いがあるため、自己計算では会社の基準日を先に確定してください。
2.分母・分子・除外日を一覧にする
雇用契約書、就業規則、確定シフト、勤怠記録、給与明細、休業・休職の通知をそろえます。対象期間の日を次の4種類へ分けると、会社との違いを見つけやすくなります。
- 全労働日に入り、実際に出勤した日
- 全労働日に入り、法律または会社規定で出勤扱いにする日
- 全労働日に入るが、出勤扱いにならない通常欠勤日
- 全労働日から除外する日
長野労働局の2026年版労働条件ハンドブックも、初回6か月・その後1年の区分と、全労働日から外す日・出勤とみなす日をまとめています。会社へ聞く前に、自分の表で分類根拠を残してください。
3.会社へ計算根拠を書面で確認する
今回の年次有給休暇について、付与基準日、出勤率の算定期間、全労働日数、出勤扱い日数、欠勤扱い日数、全労働日から除外した日数と根拠をご確認ください。遅刻・早退、有給取得日、休業・休職期間をどの区分で処理したかも教えてください。
口頭だけでなく、メールや社内チャットなど後から確認できる形で尋ねます。勤怠システムの表示率だけで判断せず、分母と分子の日数を確認することが重要です。
4.訂正されなければ労働局・労基署へ相談する
会社が法定の出勤扱い日を欠勤にしている、会社都合休業を通常欠勤へ入れている、8割以上なのに理由なく法定有給を付与しない場合は、資料を持って総合労働相談コーナーや労働基準監督署へ相談できます。夜間・休日は労働条件相談ほっとラインも利用できます。
欠勤が続き、今の仕事を続けるか迷っている場合も、退職届を出す前に職業訓練の相談だけ先にできます。申込期限、開講日、給付条件を確認してから退職時期を決めてください。

有給の出勤率8割でよくある質問
Q1.出勤率80%ちょうどなら有給は付きますか?
付きます。法律は8割「以上」と定めているため、80%ちょうどは条件を満たします。79.99%は満たしません。
Q2.有給休暇を使った日は欠勤になりますか?
法定の出勤率計算では出勤したものとして扱います。有給取得日を欠勤へ入れて出勤率を下げる計算はできません。
Q3.遅刻や早退は欠勤1日になりますか?
遅刻・早退した日は出勤日として数えます。遅刻や早退を数回まとめて法定有給の計算上1日欠勤にする扱いはしません。賞与や皆勤手当の会社ルールとは分けて確認してください。
Q4.私傷病で休職した期間は全労働日から外れますか?
自動的には外れません。私傷病休職の期間を含めて直前6か月または1年の出勤率を算定します。ただし、会社が有利に出勤扱いと定めている場合は、その規定を確認します。
Q5.労災で休んだ日は欠勤になりますか?
業務上の負傷・疾病により療養のため休業した期間は、出勤したものとみなします。私傷病による欠勤とは扱いが異なります。
Q6.産休・育休・介護休業で出勤率は下がりますか?
法定の産前産後休業、育児休業、介護休業の期間は出勤したものとみなすため、それ自体を通常欠勤として出勤率を下げる計算にはしません。
Q7.会社都合で休業した日は欠勤ですか?
使用者側に起因する経営・管理上の障害による休業日は、全労働日から除外します。出勤日にも欠勤日にも入れません。
Q8.パートも出勤率8割が必要ですか?
必要です。正社員、パート、アルバイト、シフト制で8割の条件は共通です。8割を満たした後の付与日数は、所定労働時間・日数によって変わる場合があります。
Q9.シフトを会社に減らされた日は欠勤になりますか?
会社がシフトへ入れなかった日を自動的に本人欠勤にはできません。労働契約上の所定労働日、確定シフト、変更経緯を確認します。労働義務がない所定休日は分母へ入れません。
Q10.8割未満になると残っている有給も消えますか?
消えません。8割未満で影響するのは、その基準日の新規法定付与です。すでに付与済みで時効前の残日数は、その付与日に基づいて管理します。
Q11.翌年8割以上になったら10日からやり直しですか?
10日からのやり直しではありません。勤続年数は続いているため、次の基準日時点の継続勤務年数に対応する日数を新しく付与します。前年に付かなかった分の後払いではありません。
Q12.会社は8割より有利な条件を決められますか?
決められます。8割は法定有給を付与する最低基準です。会社が欠勤・休職の一部を出勤扱いにする、8割未満でも独自に休暇を与えるなど、労働者に有利な規定を設けることは可能です。
まとめ|何日休めるかは全労働日を確定してから計算する
通常欠勤だけを考える場合、8割以上を保てる最大欠勤日数は、全労働日×20%の小数点以下を切り捨てた日数です。全労働日120日なら24日まで、240日なら48日までが8割以上で、その翌日から8割未満になります。
ただし、有給取得日、労災による休業、産前産後休業、育児・介護休業は出勤扱いです。所定休日、会社都合休業、不可抗力による休業などは分母から外します。カレンダー日数へ20%を掛けず、基準日、算定期間、全労働日、出勤扱い、通常欠勤、除外日の順で確認してください。
出勤率の確認をきっかけに働き方そのものを変えたい場合は、すぐ転職するか、職業訓練を挟むかを、今の経験、不足しているスキル、生活費で比較して決めます。


