契約社員として働いていて、会社から突然「次回は更新しない」と言われたら、まず退職届や「更新を希望しない」という書類へその場で署名しないでください。契約期間が終われば雇用も終了するのが原則ですが、更新回数や勤続期間、会社の説明によっては30日前の予告が必要であり、雇い止めが認められない場合もあります。契約満了日が迫っていても、更新希望と資料を残してから相談へ進むことが大切です。
働き続けたい人は、契約満了前に「更新を希望する」「雇い止めには同意していない」とメールなどで伝え、具体的な雇い止め理由の証明書を請求しましょう。この記録は、雇い止めを争う場合だけでなく、失業保険の離職理由をハローワークが判断する際にも重要です。
なお、契約満了だから必ず会社都合になるわけではありません。雇用保険上は、契約内容、通算勤務期間、本人が更新を希望したかによって「特定受給資格者」「特定理由離職者」「通常の契約期間満了」などに分かれます。この記事では、言われた当日から離職票を受け取った後までの行動を、2026年8月27日時点の厚生労働省・ハローワークの情報に基づいて解説します。
- 結論|更新されないと言われた日にする5つのこと
- 「契約満了」「雇い止め」「契約途中の解雇」は別
- 雇い止めは30日前までの予告が必要?
- 30日前を切って通知されても自動で30日分の手当にはならない
- 働き続けたい人は更新希望をメールで残す
- 雇い止め理由証明書は「期間満了」以外の理由を書く
- 雇い止めが認められない可能性がある2つのケース
- 更新上限の後付けと5年直前の雇い止め
- 雇い止めを確認するときの証拠チェックリスト
- 雇い止めの失業保険は3つの区分で考える
- 受給条件・待期・給付日数はどう変わる?
- 離職票は「更新希望」と離職理由を確認する
- 離職票が届かないときは会社の返事を待ち続けない
- 国民健康保険料の軽減も確認する
- ケース別|更新されないと言われたときの判断例
- 相談先は問題ごとに使い分ける
- よくある質問
- まとめ|更新希望と離職理由を別々に記録する
結論|更新されないと言われた日にする5つのこと
1.契約満了日と通知日を確認する
最初に、現在の契約が終わる日と、会社から更新しないと言われた日を確認します。口頭で言われた場合は、日時、場所、発言者、実際の言葉をメモし、会社へメールで確認を送りましょう。30日前の予告が必要な人かどうかを判断するには、更新回数と雇入れからの通算期間も必要です。
2.働き続けたい意思を書面で伝える
更新を希望するなら、黙ったままにしないことが重要です。労働契約法第19条の雇い止め法理では、労働者による更新または新たな契約の申込みが要件になります。また、失業保険の特定理由離職者に当たるかを判断するときも、本人が更新を希望したかが確認されます。
3.雇い止め理由証明書を請求する
「契約期間が終わるから」だけでなく、担当業務の終了、事業縮小、能力不足など、会社が更新しないと判断した具体的な理由を書いた証明書を請求します。口頭説明だけで終わらせず、証明書を受け取ることが大切です。
4.退職届や合意書へ急いで署名しない
会社から「契約満了でも退職届が必要」と言われても、事実と違う自己都合退職の書類へ署名する必要はありません。署名すると、会社から「本人が更新を断った」「合意退職だった」と説明される材料になるおそれがあります。内容を持ち帰って確認し、納得できない項目は訂正を求めましょう。
5.契約書と更新の証拠を保存する
これまでの全契約書、労働条件通知書、求人票、更新時のメールやチャット、評価資料を保存します。会社の端末やアカウントへアクセスできなくなる可能性があるため、自分が適法に保管できる資料は退職前に整理してください。顧客情報など会社の機密を無断で持ち出してはいけません。
| 今日確認すること | 見る資料 | 確認する理由 |
|---|---|---|
| 契約満了日・通知日 | 契約書、通知メール | 30日前予告の有無を確認する |
| 更新回数・通算期間 | 過去の全契約書 | 予告義務や失業保険の区分に関係する |
| 更新に関する記載 | 労働条件通知書、求人票 | 「更新する」と「更新する場合がある」を分ける |
| 本人の更新希望 | 送信メール、チャット | 雇い止め法理と離職理由の証拠になる |
| 会社が示した理由 | 雇止め通知、理由証明書 | 理由の合理性と離職理由を確認する |
失業保険の待期と給付制限を先に整理しておきたい人は、次の記事も参考にしてください。
「契約満了」「雇い止め」「契約途中の解雇」は別
契約満了は定めた期間が終わること
有期労働契約は、契約書に定めた期間が満了すると終了するのが原則です。たとえば、2026年4月1日から9月30日までの6か月契約なら、更新が成立しない限り9月30日で終わります。ただし、過去の更新状況や会社の言動から更新への合理的な期待が認められる場合は、単に契約書へ満了日があるだけで自由に終了させられるとは限りません。
雇い止めは会社が次の契約を結ばないこと
雇い止めとは、期間満了時に会社が契約を更新せず、雇用関係を終了させることです。契約期間の途中で一方的に終了させる解雇とは異なります。一定の更新回数や勤続期間がある人には、厚生労働省の有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準による30日前予告が問題になります。
契約途中の終了は「やむを得ない事由」が必要
満了日より前に「明日から来なくてよい」と会社が雇用を終了させる場合は、通常の雇い止めではなく契約途中の解雇が問題になります。厚生労働省の労働契約に関する案内では、有期契約の途中は、やむを得ない事由がなければ解雇できないとされています。解雇予告や解雇予告手当も別に確認が必要です。
| 会社の対応 | 主に確認するルール | 重要な点 |
|---|---|---|
| 予定どおり満了し、更新しない | 雇止め基準、労働契約法19条 | 30日前予告と更新期待を確認 |
| 満了日前に雇用を終了する | 労働契約法17条、労基法20条 | やむを得ない事由と解雇予告を確認 |
| 労働者へ退職届を求める | 退職勧奨・合意退職 | 応じるかは本人が判断する |
| 出勤停止だが雇用は続く | 休業・自宅待機 | 雇用継続と賃金の扱いを確認 |
雇い止めは30日前までの予告が必要?
3回以上更新した人は対象になる
現在の雇い止め基準では、有期労働契約を3回以上更新している人を更新しない場合、会社は原則として契約満了日の30日前までに予告しなければなりません。「契約書が3枚ある」ではなく、最初の契約後に更新を3回以上しているかを数えます。
雇入れから1年を超えて継続勤務する人も対象になる
更新回数が3回未満でも、雇入れの日から1年を超えて継続勤務している人は対象です。「1年以上」ではなく「1年を超えて」が告示の表現です。契約の間に空白がある場合などは、実際に継続勤務といえるかを個別に確認します。
あらかじめ更新しないと明示された契約は例外
最初から「今回限りで更新しない」と明確に示されていた契約は、告示上の30日前予告の対象から除かれます。ただし、最後の更新時に会社が一方的に不更新条項を加えたからといって、それ以前に生じていた更新への合理的な期待が必ず消えるわけではありません。30日前予告の対象かという問題と、雇い止め自体が有効かという問題は分けて考えます。
30日前を切って通知されても自動で30日分の手当にはならない
予告が遅いだけで雇い止めが自動無効にはならない
会社が予告対象者へ満了10日前に通知したとしても、その事実だけで契約が自動更新されたり、雇い止めが必ず無効になったりするわけではありません。予告基準への対応については労働基準監督署や労働局へ相談できますが、雇い止めの有効性は更新の実態や理由を含めて判断されます。
雇い止め予告と解雇予告手当は別制度
普通の契約満了型の雇い止めには、予告が30日に足りないという理由だけで、不足日数分の解雇予告手当が自動発生する規定はありません。労働基準法20条の解雇予告手当は「解雇」に関する制度です。雇い止め基準は30日前予告を求めていますが、同じ金銭補償を定めてはいません。
契約途中で切られた場合は解雇として確認する
会社が契約満了を待たずに終了させた場合は、解雇予告手当の対象になる可能性があります。会社が書類上だけ満了扱いにしていても、実際の終了日が契約書の満了日前なら、その違いを総合労働相談コーナーや労働基準監督署へ伝えてください。
働き続けたい人は更新希望をメールで残す
更新の申込みは決まった様式でなくてよい
厚生労働省の労働契約法第19条に関する通達では、更新または新たな契約の申込みは定型的な手続きに限られず、会社の雇い止めに反対する意思が伝わるものでもよいと説明されています。口頭でも成立し得ますが、後から確認できるメールや書面が安全です。
満了前に送る確認文例
件名:契約更新希望および雇止め理由証明書の請求
○年○月○日に、現在の契約を更新しない旨の通知を受けました。私は○年○月○日の契約満了後も契約更新を希望しており、雇い止めには同意していません。あわせて、契約期間満了とは別の具体的な雇い止め理由を記載した証明書の交付を請求します。今後の連絡は書面またはメールでお願いします。
この文例を送れば更新が必ず認められるわけではありません。本人の意思、通知日、証明書を請求した事実を残すための文例です。すでに満了した場合も、労働契約法第19条は満了後「遅滞なく」申込みをする場合を含みますが、事情によって判断が分かれるため早く相談してください。
退職届を求められたときの返答
更新を希望しているのに退職届を求められたら、「私は自己都合退職を申し出ていません。会社が更新しないという理解でよいですか」と書面で確認します。受領確認だけを求められる書類でも、本文に「雇い止めに同意する」「異議はない」と書かれていないかを読み、署名欄の意味が不明なら持ち帰りましょう。
雇い止め理由証明書は「期間満了」以外の理由を書く
請求された会社は遅滞なく交付する
雇い止め基準第3条は、対象となる雇い止めの予告後に労働者が理由証明書を請求した場合、会社は遅滞なく交付しなければならないと定めています。実際に更新されなかった後に請求した場合についても規定があります。口頭ではなく、請求日が残る方法で求めましょう。
認められる理由の書き方
労働局の有期労働契約の雇止め基準の案内では、明示する理由は単なる「契約期間満了」とは別の理由が必要とされ、担当業務の終了・中止、事業縮小、能力不足、勤務不良、当初から定めた更新上限への到達などが例示されています。
会社が交付を拒否した場合
請求メールと会社の返答を保存し、事業所所在地を管轄する労働基準監督署または労働局へ相談します。理由証明書がなくても、雇い止めを争えない、失業保険を申請できないと決まるわけではありません。通知書、契約書、メールなど手元の資料で相談を進めます。
雇い止めが認められない可能性がある2つのケース
無期契約と実質的に変わらないほど反復更新された
更新手続きが形式だけで当然のように繰り返され、実態として期間の定めがない雇用と変わらない場合があります。このような契約を雇い止めすることが解雇と社会通念上同視できる場合は、労働契約法第19条の対象になります。
更新されると期待する合理的な理由があった
更新回数が少なくても、採用時に「長く働いてほしい」と説明された、同じ立場の人がほぼ全員更新されている、過去の更新が形だけだった、次期の業務やシフトを指示されていたなど、更新を期待する合理的な理由が認められることがあります。
会社の拒否理由にも合理性と相当性が必要
上記のいずれかに該当し、本人が更新を申し込んだ場合、会社の拒否が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でないと認められると、従前と同じ労働条件で更新したものとみなされます。反対に、業務が実際に終了した、重大な勤務不良が繰り返されたなど、具体的な事情があれば雇い止めが認められる場合もあります。
更新上限の後付けと5年直前の雇い止め
2024年4月から更新上限の明示・説明が強化された
2024年4月からの労働条件明示ルールにより、有期契約の締結・更新時には通算契約期間または更新回数の上限を明示する必要があります。最初の契約後に上限を新設したり、以前の上限を短縮したりする場合、会社はあらかじめ理由を説明しなければなりません。
5年直前だから自動的に違法とは限らない
同じ会社との有期契約が更新されて通算5年を超えると、原則として労働者に無期転換申込権が発生します。しかし、5年直前の雇い止めがすべて自動的に無効になるわけではありません。一方、無期転換を避けるために更新上限を後付けした、長年更新を期待させてきたなどの事情は、雇い止め法理の判断材料になります。
通算5年を超えただけで自動的に無期契約へ変わるわけではなく、労働者からの申込みが必要です。ただし、申込権が発生した後、現在の有期契約が満了するまでに無期転換を申し込むと、会社は承諾したものとみなされ、現在の契約満了日の翌日から無期労働契約が成立します。適法な申込み後は、会社が単に「次回は更新しない」と伝えて無期契約の成立を拒むことはできません。詳しくは厚生労働省の無期転換ルールQ&Aで確認できます。
上限到来の失業保険には2027年3月末までの暫定取扱いがある
2026年時点の雇用保険業務取扱要領では、当初の契約後に更新上限・不更新条項を追加した場合や上限を引き下げた場合などについて、2027年3月31日までの離職を対象とする暫定取扱いがあります。該当しそうな人は、最初の契約書と上限が追加された契約書の両方をハローワークへ提出してください。
雇い止めを確認するときの証拠チェックリスト
| 証拠 | 確認できること | 保存のポイント |
|---|---|---|
| 全期間の契約書・労働条件通知書 | 期間、更新回数、更新基準、上限 | 最後の1枚だけでなく古いものも残す |
| 求人票・採用時の案内 | 長期雇用や更新予定の説明 | 掲載ページをPDFや画像で保存 |
| 更新時のメール・チャット | 更新が形式的だったか、継続発言 | 送受信日時と相手が分かる状態にする |
| 次期シフト・業務指示 | 満了後も働く前提があったか | 満了後の日付が分かる部分を残す |
| 評価・注意指導の記録 | 会社が示す能力不足等の根拠 | 良い評価も注意書も両方保存 |
| 雇止め通知・理由証明書 | 通知日と会社の具体的理由 | 封筒やメールヘッダーも残す |
| 更新希望を送った記録 | 本人が継続勤務を求めた事実 | 送信済み画面と返信を保存 |
雇い止めの失業保険は3つの区分で考える
日常会話では「会社都合か自己都合か」と二択で語られますが、契約満了はそれだけでは整理できません。ハローワークでは、契約内容と更新希望を確認し、主に次の区分を判断します。
特定受給資格者になる可能性がある人
ハローワークの特定受給資格者・特定理由離職者の範囲では、有期契約の更新により3年以上継続雇用された後に更新されなかった人や、契約締結時に「更新する」と明示されていたのに更新されなかった人が、特定受給資格者の範囲に挙げられています。ただし、本人が更新を希望しないと申し出ていた場合は除かれます。最終判断は個別事情を確認したハローワークが行います。
特定理由離職者になる可能性がある人
契約書が「更新する場合がある」など更新の可能性を示すだけで確約まではなく、本人が契約満了日までに更新を申し出たのに会社との合意が成立しなかった場合は、特定理由離職者に該当する可能性があります。だからこそ、満了前に更新希望を文字で残すことが重要です。
通常の契約期間満了になる可能性がある人
当初から更新しないことが明確だった、本人が更新を希望しないと申し出た、更新希望について事実上の裏付けがないといった場合は、特定受給資格者や雇い止め型の特定理由離職者に当たらず、通常の契約期間満了として扱われる可能性があります。契約満了という言葉だけで必ず会社都合になるわけではありません。
| 主な状況 | 雇用保険上の可能性 | 用意したい証拠 |
|---|---|---|
| 更新で3年以上継続し、会社が更新しない(本人の更新辞退なし) | 特定受給資格者 | 全契約書、通算期間、雇止め通知 |
| 「更新する」と明示されたのに更新されない(本人の更新辞退なし) | 特定受給資格者 | 更新確約のある契約書・採用通知 |
| 「更新する場合がある」で、満了日までに本人が更新を申出 | 特定理由離職者 | 契約書、更新希望メール |
| 当初から更新なし、または本人が更新を辞退 | 通常の契約満了等 | 契約書、本人と会社のやり取り |
会社が記載する離職理由と実際の経緯が違うときの訂正手順は、次の記事で詳しく整理しています。

受給条件・待期・給付日数はどう変わる?
以下の基本手当、6か月要件、90日から330日の所定給付日数は、原則として離職時65歳未満の一般被保険者を対象とした説明です。65歳以上で離職した高年齢被保険者は、基本手当ではなく、被保険者期間に応じて30日分または50日分の高年齢求職者給付金を一時金として受ける別制度です。年齢別の違いは、ハローワークの基本手当の案内で確認できます。
加入期間は6か月で足りる場合がある
厚生労働省の基本手当Q&Aでは、通常は離職前2年間に被保険者期間12か月以上が必要です。一方、特定受給資格者や、契約更新がなかったことなどによる特定理由離職者は、離職前1年間に通算6か月以上で受給資格を満たせる場合があります。
7日間の待期はあるが自己都合の給付制限とは別
受給資格決定後の7日間の待期は、会社都合・自己都合を問わずあります。正当な理由のない自己都合退職には、2025年4月1日以降の離職で原則1か月の給付制限がありますが、特定受給資格者や雇い止め型の特定理由離職者に正しく認定されれば、この自己都合向け給付制限は通常かかりません。
2026年の雇い止め型特定理由離職者には暫定措置がある
2027年3月31日までに離職した雇い止め型の特定理由離職者は、所定給付日数について暫定的に特定受給資格者と同様に扱われます。年齢と被保険者期間によって90日から330日の範囲となるため、全員が330日もらえるわけではありません。この措置は期限付きなので、2027年4月以降の離職は最新情報の確認が必要です。
| 区分 | 被保険者期間の目安 | 7日待期後の給付制限 | 所定給付日数 |
|---|---|---|---|
| 特定受給資格者 | 離職前1年に6か月以上 | 自己都合向け制限なし | 年齢・期間により90~330日 |
| 雇い止め型の特定理由離職者 | 離職前1年に6か月以上 | 自己都合向け制限なし | 2027年3月31日までの離職は暫定的に同じ表 |
| 通常の契約満了等 | 原則、離職前2年に12か月以上 | 離職理由によって確認 | 原則90~150日 |
雇い止め後、失業保険を受けながら再就職に必要な技能を身につけたい場合は、職業訓練中の給付の扱いも確認できます。

離職票は「更新希望」と離職理由を確認する
離職票には更新回数や本人の希望欄がある
現行の雇用保険被保険者離職票-2では、1回の契約期間、通算契約期間、更新回数、更新の確約・合意、直前の更新時の雇い止め通知、不更新条項の追加、労働者が更新を希望したかなどが確認項目になっています。
事実と違えば受給手続時に異議を伝える
「更新を希望しない旨の申出があった」「労働者の個人的事情」と書かれていて事実と違う場合は、離職票-2の本人判断欄で異議を示し、ハローワークの受給手続時にも担当者へ伝えます。会社の記載だけで最終決定するわけではありません。本人の主張、証拠、会社の説明を確認してハローワークが離職理由を決めます。
争いが続いていても失業保険の相談を止めない
雇い止めの有効性について会社と話し合っている場合でも、離職票や失業保険の相談を放置しないでください。基本手当の受給期間は原則として離職日の翌日から1年で、手続きが遅いと所定給付日数を受け切れないことがあります。復職を求めていることも含め、現在の状況をハローワークへ正確に説明します。
離職票が届かないときは会社の返事を待ち続けない
退職後10日を目安に処理状況を確認する
会社は、離職日の翌々日から10日以内に雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークへ提出する扱いです。離職票の交付を希望しているのに届かない場合は、まず会社へ処理状況と発送日を確認します。
会社が手続きしない場合はハローワークへ相談する
会社が手続きしない、連絡が取れない、督促しても届かない場合は、本人確認書類と退職したことが分かる書類、契約書などを持って住所地のハローワークへ早めに相談します。離職票が届くまで何か月も待つと、原則1年の受給期間が進んでしまいます。
国民健康保険料の軽減も確認する
離職理由コードで対象が決まる
離職時65歳未満で、特定受給資格者や特定理由離職者として認定された人は、国民健康保険料・税の軽減対象になる場合があります。厚生労働省の非自発的失業者の国民健康保険料(税)軽減の案内では、受給資格者証または受給資格通知の離職理由コードが11、12、21、22、23、31、32、33、34の人が対象とされています。65歳以上で離職し、高年齢求職者給付金を受ける人は、この非自発的失業者軽減の対象外です。
ハローワークの認定後に市区町村で申請する
軽減は自動とは限りません。受給資格者証または受給資格通知を受け取ったら、住所地の市区町村に必要書類と対象期間を確認してください。健康保険の任意継続と国民健康保険のどちらが安いかは、家族構成や前年所得でも変わります。
ケース別|更新されないと言われたときの判断例
初回6か月契約で「更新する場合がある」と書かれている
更新3回以上でも勤続1年超でもなければ、雇い止め基準の30日前予告対象には通常入りません。ただし、更新を明確に約束する言動があった、次期の仕事を既に割り当てられていたなどの事情があれば、合理的な更新期待が問題になることがあります。失業保険は、本人が契約満了日までに更新を申し出た事実を示せれば、特定理由離職者になる可能性があります。
半年契約を3回更新し、満了20日前に言われた
更新を3回しているため、あらかじめ不更新と明示された契約でない限り、原則として30日前予告の対象です。ただし、不足10日分の解雇予告手当が自動で発生するわけではありません。通知日を保存し、理由証明書を請求して、労働局・労基署へ予告基準を相談します。
4年間更新してきたが、経営不振で更新しないと言われた
反復更新と合理的期待が認められる可能性があり、会社の経営上の理由が客観的に合理的で社会通念上相当かが問題になります。失業保険では、更新により3年以上継続雇用された後の会社側の雇い止めとして、特定受給資格者に該当する可能性があります。
5年直前に更新上限を追加された
追加時期と説明内容を確認し、上限がなかった最初の契約書も保存します。後付けしただけで更新期待が直ちに消えるわけではありません。雇用保険でも2027年3月31日までの離職には暫定取扱いがあるため、新旧の契約書をハローワークへ提出します。
相談先は問題ごとに使い分ける
| 相談したいこと | 主な相談先 | 持参・準備するもの |
|---|---|---|
| 雇い止めの有効性、更新継続、あっせん | 総合労働相談コーナー | 契約書、通知、更新経緯、希望する解決 |
| 30日前予告、理由証明書 | 労働基準監督署・都道府県労働局 | 満了日、通知日、更新回数の資料 |
| 離職理由、受給資格、給付日数 | 住所地を管轄するハローワーク | 離職票、全契約書、更新希望の記録 |
| 妊娠・出産・育休等を理由とする雇い止め | 労働局 雇用環境・均等部(室) | 申出日と雇い止め通知日の記録 |
雇い止めの有効性は民事上の問題になる
労働契約法第19条は民事上のルールであり、労働基準監督署が雇い止めの有効・無効を最終確定する制度ではありません。厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、情報提供のほか、労働局長による助言・指導やあっせんの案内を受けられます。契約満了が迫っている場合は、労働組合や労働問題を扱う弁護士への相談も検討します。
妊娠・育休などを理由とする雇い止めは別の禁止規定がある
妊娠・出産、産前産後休業、育児休業・介護休業の申出や取得を理由に契約を更新しないことは、不利益取扱いとして禁止される場合があります。厚生労働省の均等法Q&Aも、妊娠を理由とする契約不更新は法違反になると示しています。該当する人は労働局の雇用環境・均等部(室)へ相談してください。
よくある質問
Q1.契約満了の2週間前に言われたら違法ですか?
更新3回以上または雇入れから1年を超えて継続勤務し、あらかじめ不更新と明示された契約でなければ、原則として30日前予告の対象です。ただし、予告が遅いだけで雇い止めが自動無効になるわけではありません。通知日を保存して労働局・労基署へ相談してください。
Q2.30日前予告がなければ30日分の給料を請求できますか?
普通の契約満了型の雇い止めでは、予告不足だけを理由に解雇予告手当が自動発生するわけではありません。契約満了日前に雇用を終了させられた場合は解雇の可能性があるため、終了日を確認してください。
Q3.初回6か月契約でも30日前予告は必要ですか?
初回契約で勤続1年以下なら、雇い止め基準の30日前予告対象には通常入りません。ただし、更新の確約や合理的な期待、妊娠等を理由とする不利益取扱いなど、別の問題がないかは確認が必要です。
Q4.契約書の「更新する場合がある」は更新の約束ですか?
通常は更新の可能性を示すもので、必ず更新するという確約とは異なります。ただし、過去の更新実態や会社の発言などを合わせ、合理的な更新期待が認められる場合があります。失業保険では、本人が契約満了日までに更新を申し出たのに合意できなかった場合、特定理由離職者となる可能性があります。
Q5.退職届を出すよう言われました。提出すべきですか?
自分から退職する意思がなく、更新を希望しているなら、事実と異なる退職届へ署名しないでください。「会社が更新しないという通知か」「私は更新を希望している」と書面で確認します。
Q6.更新希望はメールだけでも有効ですか?
労働契約法第19条の申込みは決まった様式に限られません。メールでも会社へ届けば意思表示の証拠になります。送信日時、宛先、本文、会社の返信を保存してください。
Q7.会社が雇い止め理由証明書を出しません。
請求日が分かるメールや書面を保存し、労働基準監督署・労働局へ相談します。証明書がなくても、契約書、雇止め通知、会社とのやり取りを使って雇い止めや離職理由の相談はできます。
Q8.5年直前の雇い止めは必ず無効ですか?
必ず無効とは限りません。ただし、反復更新、会社の継続発言、上限の後付けなどから合理的な更新期待があり、拒否理由に合理性・相当性がなければ無効となる可能性があります。
Q9.雇い止めは必ず会社都合退職ですか?
必ずではありません。3年以上の更新後の不更新、更新確約後の不更新、更新可能性があり本人が希望した場合、本人が更新を辞退した場合などで区分が変わります。最終的な離職理由はハローワークが決定します。
Q10.6か月しか働いていなくても失業保険を受けられますか?
特定受給資格者または雇い止め型の特定理由離職者に該当し、離職前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば、受給資格を満たせる場合があります。通常の離職では原則として離職前2年間に12か月以上が必要です。
Q11.離職票に「自己都合」「更新希望なし」と書かれていたら?
事実と違う場合は、離職票の本人判断欄で異議を示し、受給手続時にハローワークへ更新希望メールや契約書を提出します。会社の記載だけで確定するわけではありません。
Q12.離職票が届かないままでも相談できますか?
できます。会社に処理状況を確認しても進まない場合は、本人確認書類、退職証明書、契約書などを持って住所地のハローワークへ早めに相談してください。基本手当の受給期間は原則として離職日の翌日から1年です。
まとめ|更新希望と離職理由を別々に記録する
契約社員の雇い止めは、期間満了だから常に有効でも、必ず会社都合退職でもありません。まず契約満了日、更新回数、通算勤務期間、更新条項を確認し、働き続けたいなら更新希望をメールで残します。あわせて、具体的な雇い止め理由の証明書を請求し、退職届へ安易に署名しないことが重要です。
30日前予告が必要な人に直前通知があっても、不足日数分の賃金が自動的に支払われるわけではありません。一方、反復更新や合理的な更新期待があり、会社の拒否に合理性・相当性がなければ、雇い止めが認められない可能性があります。
退職後は離職票の更新希望欄と離職理由を確認し、事実と違えばハローワークへ異議を伝えます。雇い止め型の特定理由離職者などは、加入期間、給付制限、給付日数で有利な扱いになる場合があります。離職票を待ち続けず、原則1年の受給期間が進む前に手続きを始めてください。
遡及しても被保険者期間が足りないなど、失業保険を受けられない場合は、求職者支援制度による職業訓練と給付金を利用できる可能性があります。


