雇用保険を受けられなくても、求職者支援訓練へ原則無料で通いながら月10万円を受け取れるのか。結論から言うと、求職者支援制度には、原則受講料無料の訓練と、一定の条件を満たす人向けの職業訓練受講給付金があります。
ただし、訓練へ通う人全員が月10万円をもらえるわけではありません。受講できる条件と、現金給付を受ける8つの条件は別です。訓練の選考に合格しても、給付金の審査で対象外になる場合があります。
この記事では、求職者支援訓練と制度の対象、無料になる範囲、月10万円の8要件、申込みと毎月の申請を、2026年7月14日時点の厚生労働省の案内に沿って整理します。
雇用保険、教育訓練給付、ひとり親向け給付などを含めて自分の制度を見分けたい場合は、先に次の記事を確認してください。

求職者支援訓練とは?月10万円は8要件をすべて満たす人が対象
求職者支援制度の支援は、大きく3つに分かれます。訓練、就職支援、条件付きの給付金です。
| 支援 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 職業訓練 | 再就職に必要な知識・技能を学ぶ。受講料は原則無料 | テキスト代、資格試験代などの自己負担がある |
| 就職支援 | ハローワークと訓練実施機関が職業相談・求人紹介などを行う | 就職支援計画に沿った活動と指定来所が必要 |
| 職業訓練受講給付金 | 月10万円の職業訓練受講手当、通所手当、寄宿手当 | 収入・資産・出席など8要件を支給単位期間ごとに確認 |
「給付金を受けられない=訓練にも通えない」ではありません。月10万円の条件から外れても、ハローワークが必要と認め、選考に合格すれば、給付金を受けずに訓練だけ利用できる場合があります。
求職者支援制度と職業訓練受講給付金は別に判定される
求職者支援制度は、主に雇用保険の基本手当を受けられない求職者が、職業訓練と就職支援を利用して早期就職を目指す制度です。
対象になるのは、たとえば雇用保険の加入期間が足りない人、雇用保険へ加入できなかった人、基本手当を受給し終えた人、自営業を廃業した人などです。このほか、雇用保険の被保険者ではなく、一定額以下の収入で働きながら正社員への転職を目指す人も対象になり得ます。いずれも、働く意思と能力があり、ハローワークへ求職申込みをし、再就職のために訓練などの支援が必要と認められることが前提です。
| 判定 | 主な確認内容 | 結果 |
|---|---|---|
| 制度の支援対象か | 求職申込み、雇用保険の状況、働く意思・能力、支援の必要性 | ハローワークが支援指示の対象になるか判断 |
| 訓練を受講できるか | 訓練実施機関の面接・筆記など | 選考に合格する必要がある |
| 給付金を受けられるか | 本人・世帯収入、資産、不動産、出席、過去の受給など | 8要件を満たす支給単位期間が対象 |
雇用保険の受給資格がある人でも求職者支援訓練を受けられる場合はありますが、基本手当の受給資格がある間は職業訓練受講給付金を受給できません。雇用保険を受けながら通う条件は、職業訓練中の失業保険へ分けています。
公式情報:求職者支援制度の対象、訓練選考、支援指示は、厚生労働省「求職者支援制度に関するよくあるご質問」で確認できます。個別の支援対象と訓練の必要性はハローワークが判断します。
求職者支援訓練は原則無料|教材・試験代は自己負担
求職者支援訓練は、厚生労働大臣の認定を受けた民間教育訓練機関などが実施します。受講料は原則無料ですが、テキスト代、資格試験の受験料などは自己負担です。コースごとの費用は募集案内で確認してください。
訓練の種類、期間、受講条件は、職業訓練を受ける条件へ分けています。
もらえる金額は月10万円+通所手当+寄宿手当
職業訓練受講給付金は、次の3つで構成されます。「月10万円」だけが制度の全額ではありません。
| 手当 | 2026年7月時点の金額 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 職業訓練受講手当 | 月10万円 | 8つの支給要件をすべて満たす |
| 通所手当 | 認められた通所経路の額。月上限4万2,500円 | 最も経済的・合理的な通常の経路と方法で算定 |
| 寄宿手当 | 月1万700円 | 訓練のため同居の配偶者・子・父母と別居して寄宿し、その必要性をハローワークが認める |
月10万円は、支給単位期間が通常どおり1か月ある場合の金額です。支給単位期間が28日未満の場合などは別に算定されるため、毎回必ず10万円ちょうどとは限りません。
通所手当は交通費の領収額がそのまま全額支給されるとは限りません。寄宿手当も一般的な一人暮らしの家賃補助ではありません。経路や寄宿の詳しい判定は、事前審査や支給申請でハローワークが確認します。
公式情報:3つの手当と現在の支給額は、厚生労働省「求職者支援制度のご案内」で確認できます。
職業訓練受講給付金の8つの支給要件
月10万円などを受けるには、支給単位期間ごとに次の8要件をすべて満たす必要があります。最初の審査で通っても、訓練期間中ずっと無条件に支給が確定するわけではありません。
| 要件 | 基準 | 確認時の注意 |
|---|---|---|
| 1. 本人収入 | 月8万円以下 | 手取りではなく、税引前の給与などを確認 |
| 2. 世帯収入 | 月30万円以下 | 本人だけでなく、制度上の世帯全体で判定 |
| 3. 金融資産 | 世帯全体で300万円以下 | 現金、預貯金、債券、株式、投資信託など |
| 4. 土地・建物 | 現在住んでいるところ以外に所有していない | 相続した不動産なども自己判断せず申告 |
| 5. 出席 | 原則すべての訓練実施日・時間に出席 | やむを得ない欠席でも支給単位期間ごとに8割以上が必要 |
| 6. 世帯内の重複 | 同じ世帯に、同時にこの手当を受けて訓練する人がいない | 制度上の世帯範囲で確認 |
| 7. 不正受給歴 | 過去3年以内に不正行為で特定の給付金を受けていない | 虚偽申告や書類偽造をしない |
| 8. 過去の受給歴 | 原則、過去6年以内に職業訓練受講給付金を受けていない | やむを得ない理由による途中退校などは例外があるため確認 |
8万円、30万円、300万円のどれか一つだけを満たせばよい制度ではありません。出席、土地・建物、同一世帯の重複、過去の受給歴まで含め、すべてを確認します。
公式情報:8つの要件は、厚生労働省「職業支援・給付金などについて知る」で一覧確認できます。詳しい取扱いは「求職者支援制度・訓練受講のしおり」に掲載されています。
収入は手取りではなく、税引前の金額を確認する
収入には、給与や賞与のほか、事業収入、役員報酬、不動産賃貸収入、各種年金、仕送りなどが含まれます。一部に算定対象外の収入もあるため、「これは収入に入らないだろう」と除外せず、収入の名称と金額を伝えてください。
制度上の世帯は、本人のほか、同居または生計を一つにする別居の配偶者、子、父母が基本です。同居家族が全員そのまま同じ判定になるとは限らないため、家族構成別の確認は次の記事へ分けています。

金融資産は預金だけではない
金融資産には、現金、預貯金、債券、株式、投資信託などが含まれます。複数の金融機関や証券口座がある場合も、審査で求められた資料をそろえます。
現在住んでいるところ以外の土地・建物も要件です。売れない、使っていない、共有名義だから対象外だろうと決めつけず、所有状況を申告してください。
出席の数え方と欠席時の扱いは専用記事で確認する
給付金の出席要件は、欠席理由や出席率によって扱いが変わります。遅刻・早退の数え方、例外、必要書類は次の記事で確認してください。

収入条件を超えても通所手当だけ受けられる場合がある
本人収入が月8万円を超える、または世帯収入が月30万円を超えると、月10万円の職業訓練受講手当は対象外になる可能性があります。それでも、次の収入条件と残りの要件を満たせば、通所手当だけ受けられる場合があります。
- 本人収入が月12万円以下
- 世帯全体の収入が月34万円以下
- 金融資産、土地・建物、出席、同一世帯の重複、過去の不正・受給歴の要件を満たす
これは月10万円の条件が一律に12万円・34万円へ緩和されるという意味ではありません。月10万円は受けられず、通所手当だけが対象になるルートです。実際の通所経路と支給額はハローワークが判断します。
申込みは訓練と給付金を分けて進める
求職者支援制度では、訓練の受講申込みと、職業訓練受講給付金の審査・申請を並行して進めます。「訓練に合格してから月10万円を申請すればよい」と考えると、必要資料の準備が遅れます。
受講前:求職申込み・相談・訓練選考・事前審査
- 原則として住所地を管轄するハローワークで求職申込みと職業相談を行う
- 給付金を希望すると伝え、訓練申込みと併せて事前審査を申し出る
- 訓練選考に合格した後、訓練開始日の前日までに支援指示と就職支援計画書の交付を受ける
給付金の事前審査は、最も早ければ訓練の受講申込みと同時に申請できます。遅くとも支給申請より前または同時に必要です。給付金を希望することを最初の相談で伝えてください。
| 資料の種類 | 例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 本人確認・世帯確認 | マイナンバー確認書類、本人確認書類、住民票関係 | 情報連携で一部省略できる場合がある |
| 収入確認 | 給与明細、年金関係書類、所得証明など | 本人と制度上の世帯について求められる |
| 資産確認 | 残高のある預貯金通帳、残高証明など | 保有する口座を漏らさない |
| 振込先 | 本人名義の通帳など | 公金受取口座を使う場合は案内に従う |
| ハローワーク交付書類 | 事前審査書類、支給申請書、就職支援計画書など | 個別に指定された最新版を使う |
必要書類は家族構成、収入の種類、マイナンバーによる情報連携の利用などで変わります。ネット上の一覧だけでそろったと判断せず、最初に渡された持ち物表を優先してください。
訓練コースの見つけ方、見学、志望動機、面接など一般的な申込み全体は、次の記事で確認できます。

受講中:支給単位期間ごとに来所・職業相談・給付申請
職業訓練受講給付金は、支給単位期間が一つ終わるごとに、指定来所日に本人がハローワークへ行き、職業相談と支給申請を行います。最初に審査を受ければ、後は自動振込になる制度ではありません。
初回の支給申請日は、原則として受講開始後2か月目の指定来所日です。申請内容を確認して支給決定された後、振込までは1週間から10日程度が目安ですが、確認事項があれば長くかかる場合があります。訓練開始直後に入金される前提で予定を組まないでください。
指定来所日に行けない事情があるときは、当日を過ぎてからではなく事前に連絡します。収入、世帯員、資産、住所、振込先、通所経路が変わった場合も、少しの変化だからと省略せず申告してください。
初回申請までの生活費を別に確認したい場合は、職業訓練中の生活費へ進んでください。
求職者支援制度を利用した本人の公開動画では、3か月のパソコン基礎コースで月10万円と交通費を受け、教材費を自己負担したと振り返っています。これは一人の受講例であり、支給の可否は本人と世帯の条件をもとに個別に判断されます。
求職者支援制度・月10万円でよくある質問
アルバイトをしながら給付金を受けられますか?
本人収入、雇用保険の加入状況、働く時間、訓練出席のすべてが関係します。月8万円以下なら無条件に可能という意味ではありません。仕事を始める前にハローワークへ相談し、働いた事実と税引前の収入を申告してください。
雇用保険が終わったら月10万円へ切り替えられますか?
基本手当の受給資格がなくなった後、職業訓練受講給付金の8要件を満たせば対象になる可能性があります。自動では切り替わらないため、終了前にハローワークへ相談してください。
給付金が不支給になったら訓練も退校ですか?
1回の不支給だけで必ず退校になるとは限りません。ただし、欠席や就職支援の拒否を繰り返すと支援指示の取消しや訓練継続へ影響する場合があります。給付金の支給要件と訓練の修了要件は別に確認してください。
職業訓練受講給付金の入金時期を確認する
給付金は全国共通の固定日に振り込まれる給与ではありません。支給単位期間、申請、遅いときの確認順を整理しました。

指定来所日の手続きを確認する
求職者支援訓練の受講中は、指定された日にハローワークで職業相談や給付金申請を行うことがあります。

コース区分と支援指示を詳しく確認する
求職者支援訓練の基礎・実践コースの違いと、受講指示・受講推薦・支援指示による給付・手続きの違いを整理しました。


まとめ:訓練合格と月10万円の審査を分けて確認する
求職者支援制度では、主に雇用保険を受けられない人が、原則無料の職業訓練と就職支援を利用できます。一定の要件を満たす人は、月10万円の職業訓練受講手当、通所手当、寄宿手当の対象になります。
月10万円を受けるには、本人収入月8万円以下、世帯収入月30万円以下、金融資産300万円以下、土地・建物、出席、世帯内の重複、過去の不正・受給歴という8要件を、支給単位期間ごとに満たす必要があります。
最初の相談で「訓練を受けたい」だけでなく「職業訓練受講給付金の事前審査も確認したい」と伝え、受講可否と給付可否を分けて進めてください。

