雇用保険9年11か月で退職すると失業保険は何日?10年・20年の境目と給付日数

雇用保険9年11か月は失業保険90日、10年は120日、20年は150日となる境目を示す図解 待遇/評価

「雇用保険があと1か月で10年になるけれど、今辞めたら失業保険は90日なのか、120日なのか」と迷う人は多いです。

会社には9年11か月在籍している。前の会社でも雇用保険に入っていた。育児休業を取った期間もある。このような事情が重なると、単純に勤続年数を見るだけでは判断できません。

先に結論をいうと、正当な理由のない自己都合退職など一般の離職者で、失業保険の給付日数に使う算定基礎期間が本当に9年11か月なら、所定給付日数は原則90日です。10年以上になれば120日、20年以上になれば150日です。9年11か月を10年へ切り上げる扱いはありません。

算定基礎期間 一般の離職者の所定給付日数
9年11か月 90日
10年以上20年未満 120日
19年11か月 120日
20年以上 150日

ただし、倒産・解雇などの特定受給資格者、一部の特定理由離職者、就職困難者は別の表を使います。65歳以上で離職する人も、原則として90日・120日・150日の基本手当ではなく、一時金の高年齢求職者給付金です。

この記事では2026年8月30日時点の制度を基に、9年11か月と10年、19年11か月と20年の差、会社都合等の年齢別日数、算定基礎期間の数え方、前職・空白期間・育児休業・過去受給の影響、30日増えた場合の金額例、退職日を決める前の確認手順まで解説します。

雇用保険9年11か月で一般の離職者なら失業保険は90日

10年未満は90日・10年以上は120日

ハローワークの所定給付日数表では、一般の離職者の給付日数を次の3段階に分けています。

  • 算定基礎期間10年未満:90日
  • 算定基礎期間10年以上20年未満:120日
  • 算定基礎期間20年以上:150日

「10年くらい」ではなく10年以上が条件です。9年11か月29日であっても10年未満なら90日、10年に達して初めて120日になります。19年11か月も20年未満なので120日です。

増えるのは1回の振込額ではなく受け取れる上限日数

所定給付日数とは、受給期間内に失業の認定を受けて基本手当を受けられる上限日数です。10年になった日に120日分が一括で振り込まれるわけではありません。

実際の支給には、受給資格、7日間の待期、給付制限、失業認定、就職日などが関係します。ハローワークの基本手当案内にも、働く意思と能力があり、求職活動をしている失業状態であることが受給要件として示されています。

30日分の差だけで退職日を決める前に、職業訓練も考えている人は、希望コースの申込期限・開講日・失業保険の見込みを在職中に確認しておくと安全です。

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会社都合等は9年11か月と10年で給付日数が大きく変わる

倒産・解雇などの特定受給資格者と、更新を希望した有期契約が更新されなかった一部の特定理由離職者は、離職時の年齢と算定基礎期間を組み合わせた別表で決まります。

離職時の年齢 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 90日 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 90日 150日 180日 240日 270日
45歳以上60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日

9年11か月から10年になると30日または60日増える

離職時の年齢 9年11か月 10年
30歳未満 120日 180日 60日
30歳以上35歳未満 180日 210日 30日
35歳以上45歳未満 180日 240日 60日
45歳以上60歳未満 240日 270日 30日
60歳以上65歳未満 180日 210日 30日

19年11か月から20年になったときは、45歳以上60歳未満なら270日から330日へ60日増えます。ほかの対象年齢では原則30日増えます。

特定受給資格者・特定理由離職者の公式範囲には、倒産・解雇だけでなく、一定の雇い止め、退職勧奨、著しい労働条件の相違、長時間労働なども掲載されています。会社が離職票へ書いた名称だけで確定するのではなく、資料と双方の主張を基にハローワークが離職理由を判断します。

なお、更新を希望した有期契約が更新されなかった特定理由離職者の一部を特定受給資格者と同じ日数にする暫定措置は、2026年8月時点では2027年3月31日までの離職が対象です。2027年4月以降に離職する場合は、その時点の公式表を確認してください。

10年の基準は勤続年数ではなく「算定基礎期間」

資格取得日から資格喪失日までを基に確認する

厚生労働省の2026年版・雇用保険業務取扱要領では、所定給付日数を決める期間を「算定基礎期間」と呼び、雇用保険の被保険者であった期間から一定の除外期間を引いて計算します。

たとえば、雇用保険の資格取得日が2016年10月1日の人を単純化して考えると、次のようになります。

最後に被保険者だった日 資格喪失日 単純化した算定基礎期間 一般の離職者
2026年8月31日 2026年9月1日 9年11か月 90日
2026年9月30日 2026年10月1日 10年 120日

会社の入社日と雇用保険の資格取得日が同じとは限りません。加入手続きが遅れていた、途中で週所定労働時間が加入基準を下回った、複数の被保険者番号があるといった場合は、会社の勤続証明だけで10年と決めないでください。

複数の期間は年・月・日に分けて足す

前職分など複数の被保険者期間を加えるときは、暦年・暦月・暦日をそれぞれ足し、30日を1か月、12か月を1年として換算します。9年11か月20日と10日を足せるなら10年ですが、9年11か月20日だけを端数処理で10年にはしません。

受給資格の「12か月」とは別の計算

何を判定する期間か 主な数え方
基本手当を受ける資格があるか 原則、離職前2年間に被保険者期間12か月。11日・80時間などで月を数える
何日分受けられるか 算定基礎期間が10年未満・10年以上・20年以上かを確認する

厚生労働省の2026年版・受給資格決定に関する業務取扱要領にも、受給資格へ使う被保険者期間を複数の離職票から確認する手順が示されています。「12か月あるから給付日数も1年として数える」「11日勤務した月を120回集めれば必ず10年になる」と単純に置き換えるのは危険です。受給資格と所定給付日数は、目的と除外ルールが異なります。

在籍10年でも算定基礎期間が10年未満になる4つの理由

前職との空白が1年を超えている

前職の資格喪失から次の資格取得までの空白が1年以内で、途中に失業給付等の受給がなければ、前職の被保険者期間を通算できるのが原則です。空白が1年を超える場合は、それより前の期間を算定基礎期間へ含められません。

反対に、今の会社で9年11か月でも、前職1か月以上を通算できれば10年以上になる可能性があります。

過去に基本手当や再就職手当などを受けている

厚生労働省の基本手当Q&Aでは、基本手当や再就職手当等を受けず、資格喪失後1年以内に再加入した場合は、前の被保険者期間を通算できると案内しています。反対に、過去に基本手当、特例一時金、再就職手当など基本手当に相当する給付を受けた場合、その受給に使った離職以前の被保険者期間は、原則として今回の算定基礎期間へ再利用できません。

「受給資格の手続きをしただけ」なのか、「実際に基本手当等の支給を受けた」のかで扱いが異なることがあります。過去の受給資格者証や支給記録を持って、ハローワークに確認してください。

育児休業給付を受けた期間がある

育児休業給付の支給を受けた休業期間は、算定基礎期間から除かれます。たとえば会社に10年在籍していても、その中に育児休業給付を受けた期間が1年あるなら、所定給付日数の計算では10年未満となる可能性があります。

休業期間の開始日・終了日、給付の支給対象期間で正確な日数が変わるため、「育休を取ったから必ず1年引く」と自己計算せず、支給決定通知などを用意します。

教育訓練休暇給付金や遡及加入の除外がある

教育訓練休暇給付金を受けた人は休暇開始前の被保険者期間と給付対象の休暇期間が除外されます。また、会社が加入手続きをしておらず後から資格確認された場合は、原則2年より前を算定できないことがあります。給与から雇用保険料が控除されていたことを資料で確認できる場合には例外があるため、給与明細を捨てないでください。

9年11か月・10年・20年の具体例

状況 算定基礎期間の考え方 一般の離職者の給付日数
今の会社だけで9年11か月 10年未満 90日
今の会社9年11か月+通算できる前職2か月 10年1か月 120日
在籍10年、うち育児休業給付の対象期間が約1年 除外後は10年未満の可能性 90日の可能性
今の会社だけで19年11か月 20年未満 120日
今の会社20年 20年以上 150日

これは制度を理解するための単純化した例です。実際には資格取得日・資格喪失日、前職との空白、過去の給付、除外期間、離職理由、離職時年齢をまとめて確認します。

30日増えると失業保険の総額はいくら変わる?

所定給付日数が90日から120日、120日から150日へ増えると、基本手当日額30日分だけ受け取れる上限が増えます。

仮の基本手当日額 90日 120日 150日 30日分の差
5,000円 45万円 60万円 75万円 15万円
6,000円 54万円 72万円 90万円 18万円
7,000円 63万円 84万円 105万円 21万円

たとえば基本手当日額6,000円なら、90日と120日の上限差は18万円です。会社都合等で60日増える境目なら36万円差になります。

ただし、この表は全日数について失業認定を受けた場合の単純計算です。早く就職した、アルバイトで不支給日がある、受給期間を過ぎたなどの事情で、所定給付日数のすべてを基本手当として受け取るとは限りません。

90日・120日・150日の所定給付日数を確認したうえで、失業保険を受けながら職業訓練へ通う場合は、受給資格だけでなく、受講指示・手当・支給期間も別に確認します。

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再就職手当の残日数基準も変わる

再就職手当は、就職日前日までの失業認定後に所定給付日数の3分の1以上を残して就職することが要件の一つです。ハローワークの就職促進給付案内を基にすると、3分の1は90日なら30日、120日なら40日、150日なら50日です。70%の支給率に関係する3分の2は、それぞれ60日・80日・100日です。

所定給付日数が増えれば再就職手当が必ず増えるという意味ではありません。就職日までに何日支給されたか、残日数がいくつかで計算します。

あと1か月働いて10年にする方が得?

算定基礎期間が本当に9年11か月で、健康上・職場上の問題なく1か月働けるなら、一般の離職者では所定給付日数が30日増える可能性があります。しかし、会社の勤続年数だけを見て退職日を延ばすのは危険です。

退職日を変える前に、次を確認してください。

  1. 現在の資格取得日
    入社日ではなく、雇用保険上の取得日を確認します。
  2. 予定退職日に対応する資格喪失日
    原則として退職日の翌日ですが、週20時間未満への変更などが先にあれば別です。
  3. 前職分を通算できるか
    空白期間と過去の給付記録を確認します。
  4. 育児休業給付などの除外期間
    在籍10年と算定基礎期間10年が一致するかを見ます。
  5. 離職理由と離職時年齢
    一般の離職者の表か、会社都合等の年齢別表かを分けます。
  6. 退職日を延ばす別の影響
    給与、賞与、退職金、有給消化、社会保険料、心身の安全、次の入社日も一緒に比較します。

特に、解雇・退職勧奨・雇い止め・ハラスメント・健康上の事情がある人は、30日分だけを理由に無理をして働き続けないでください。離職理由の判定や安全面まで含めて相談する方が先です。

60歳・65歳の境目をまたぐなら、遅らせて減る場合がある

一般の離職者の90日・120日・150日表は65歳未満なら年齢で変わりません。しかし、会社都合等の年齢別表では、退職を延ばして60歳区分へ移ると日数が減る場合があります。

たとえば算定基礎期間が10年以上20年未満なら、45歳以上60歳未満は270日ですが、60歳以上65歳未満は210日です。20年以上なら330日から240日へ変わります。さらに65歳以上の離職は、原則として30日分または50日分の一時金へ制度自体が変わります。

沖縄労働局の雇用保険Q&Aにもあるとおり、雇用保険の年齢は誕生日の前日に到達したものとして扱います。「65歳の誕生日の前日に辞めれば64歳扱い」とは限りません。60歳・65歳の誕生日付近では、退職日を動かす前にハローワークへ日付を示して確認してください。

職業訓練に通えば90日が自動的に延長されるわけではない

ハローワークの受講指示を受けて公共職業訓練等へ入った場合、訓練期間中に所定給付日数が終わっても、訓練終了まで基本手当が支給されることがあります。ただし、希望する訓練へ申し込めば誰でも自動延長になる制度ではありません。

受講指示を受けられるか、訓練開始時に必要な支給残日数があるか、入校時期が受給期間内かなどをハローワークが判断します。だからこそ、9年11か月で90日か、10年で120日かは、訓練を始める時期にも関係します。

所定給付日数が90日か120日かだけで、訓練終了まで自動的に支給されるわけではありません。訓練延長給付は、受講指示と訓練開始時の支給残日数を別に判定します。

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自分の算定基礎期間を確認する方法

まず資格取得日・喪失日の記録をそろえる

厚生労働省の労働者向け雇用保険案内では、マイナンバーカードがあればマイナポータルで雇用保険の加入記録を確認できると案内しています。雇用保険被保険者証、資格取得等確認通知書、過去の離職票もそろえてください。

記録がない、会社から被保険者証を受け取っていない、取得日が事実と違う場合は、雇用保険被保険者資格取得届出確認照会を使い、本人からハローワークへ加入手続きの有無を照会できます。電話だけでは回答されないため、照会票と本人確認書類を準備します。

ハローワークでは「何年何月何日か」を聞く

窓口では「雇用保険に10年くらい入っています」とだけ伝えず、次のように具体的に確認します。

  • 現時点で所定給付日数に使う算定基礎期間は何年何月何日か
  • 予定退職日を○月○日にした場合、10年または20年へ達するか
  • 前職のどの期間を通算できるか
  • 過去受給・育児休業給付・教育訓練休暇給付金の除外はあるか
  • 想定する離職理由ならどの給付日数表を使うか

最終的な所定給付日数は、離職後に離職票と被保険者記録を確認して受給資格を決定する際に確定します。在職中の相談は見込み確認として利用し、会社には退職日と資格喪失日の予定を書面で確認してください。

65歳以上で離職する場合は90日・120日・150日ではない

65歳以上の高年齢被保険者が離職する場合は、原則として基本手当ではなく高年齢求職者給付金を確認します。厚生労働省の高年齢求職者給付金Q&Aでは、被保険者期間が6か月以上1年未満なら30日分、1年以上なら50日分を一時金として受け取れると案内しています。

したがって、65歳以上で離職する人は、雇用保険が9年11か月か10年かで90日と120日が分かれるわけではありません。離職時点の年齢と制度区分を最初に確認してください。

よくある質問

Q1.雇用保険9年11か月で自己都合退職したら何日ですか?

正当な理由のない自己都合退職など一般の離職者で、算定基礎期間が本当に9年11か月なら原則90日です。10年以上になれば120日です。

Q2.9年11か月は10年へ切り上げられますか?

切り上げられません。複数の被保険者期間を足した結果、暦日30日で1か月、暦月12か月で1年になることはありますが、足せる期間がなければ10年未満です。

Q3.雇用保険10年ちょうどなら120日ですか?

一般の離職者で算定基礎期間が10年ちょうどなら「10年以上20年未満」に入り、原則120日です。

Q4.19年11か月で退職したら150日ですか?

一般の離職者では20年未満なので120日です。20年以上になって初めて150日になります。

Q5.前職の雇用保険期間を足して10年にできますか?

前職の資格喪失から次の資格取得までが原則1年以内で、過去の給付などによる除外がなければ通算できる可能性があります。前職の離職票や被保険者証を持って確認してください。

Q6.会社に10年勤めれば必ず120日ですか?

必ずではありません。入社日と資格取得日が違う、育児休業給付の支給期間がある、途中で資格を失った、過去の給付で前職分を使えないなどの事情により、算定基礎期間が10年未満になる場合があります。

Q7.会社都合なら9年11か月で何日ですか?

離職時年齢により120日、180日または240日です。30歳未満は120日、30歳以上45歳未満と60歳以上65歳未満は180日、45歳以上60歳未満は240日が目安です。

Q8.あと1か月働けば必ず30日増えますか?

一般の離職者で、除外後の算定基礎期間が9年11か月から10年以上になるなら30日増えます。会社都合等では年齢により30日または60日増えます。まず正確な資格取得日と除外期間を確認してください。

Q9.育児休業を取った期間も10年に含まれますか?

育児休業給付の支給を受けた休業期間は、所定給付日数に使う算定基礎期間から除外されます。単なる会社の在籍年数とは一致しないため、支給対象期間を確認してください。

Q10.65歳以上でも10年なら120日ですか?

原則として違います。65歳以上で離職する高年齢被保険者は高年齢求職者給付金の対象となり、被保険者期間6か月以上1年未満なら30日分、1年以上なら50日分の一時金です。

まとめ

  • 一般の離職者は算定基礎期間9年11か月なら90日、10年以上なら120日
  • 19年11か月は120日で、20年以上になれば150日
  • 会社都合等は離職時年齢も関係し、10年の境目で30日または60日増える
  • 判断に使うのは勤続年数ではなく、除外期間を反映した算定基礎期間
  • 前職分は通算できる場合があるが、1年を超える空白、過去受給、育児休業給付などで変わる
  • あと1か月働くか決める前に、資格取得日・喪失日と算定基礎期間をハローワークで確認する

9年11か月を感覚で10年とみなさず、「予定退職日なら算定基礎期間は何年何月何日になるか」を確認してから判断することが大切です。受け取れる日数を確認した後は、給付を待つこと自体を目的にせず、今の経験ですぐ応募するか、不足する技能を職業訓練で補うかを求人・生活費と一緒に決めます。

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草尾雄太

中卒・引きこもり8年を経て、ブラック企業勤務、職業訓練、ハローワーク、失業保険、退職代行を実際に経験。
現在はフリーランスエンジニアとして働きながら、「辞めたいのに辞められない」「制度が分からず動けない」と悩む人に向けて、厚労省などの公的データと自身の実体験をもとに、退職・職業訓練・失業保険に関する情報を発信しています。
詳しいプロフィールはこちら / 退職代行を使った体験談

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