職業訓練でジョブ・カードが必要かどうかは、受ける訓練と利用する制度によって違います。
すべての職業訓練で、申込時に必須というわけではありません。一般の公共職業訓練では申込書だけで進むコースがある一方、日本版デュアルなど募集要項で指定されたコース、長期高度人材育成コース、専門実践・特定一般教育訓練給付の手続きでは、受講前のキャリアコンサルティングとジョブ・カードが必要になる場合があります。
この記事では、自分に必要かを判定する方法、書く様式、記入例、作成場所、面談、提出までを2026年7月時点の公式案内に沿って整理します。
特定一般教育訓練でジョブ・カードを使う方は、対象資格・指定講座の探し方と受講開始前の期限も合わせて確認してください。

先に結論|必要かどうかは制度・コースで確認する
| 利用する訓練・制度 | ジョブ・カードの扱い | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 一般的な公共職業訓練 | 全国一律で申込時必須ではない。受講前・受講中の相談で使う場合がある | 募集要項の必要書類、ハローワークの指示 |
| 日本版デュアルなど指定コース | 募集要項で受講前の作成・キャリアコンサルティングを必要とするコースがある | 必要な様式、面談期限、提出先 |
| 長期高度人材育成コース | 2026年度の東京都などでは、申込前のキャリアコンサルティングを応募要件としている | 予約方法、必要回数、ハローワーク提出期限 |
| 専門実践・特定一般教育訓練給付 | 給付を申請する人は、原則として受講前に必要 | 受講開始2週間前までの受給資格確認に間に合うか |
| 一般教育訓練給付 | 一般教育訓練給付の受給手続きとしては、訓練前ジョブ・カード面談の対象ではない | 給付区分を取り違えていないか |
| 求職者支援訓練 | 申込時必須とは限らないが、訓練中のキャリアコンサルティングで活用する | 申込書類と訓練期間中の作成・キャリアコンサルティング予定 |
同じ「職業訓練」でも、必要な時期と様式は同じではありません。上の表は2026年度の公的案内をもとにした整理であり、全国一律の必要書類ではありません。応募するコース名を伝えて、管轄ハローワークと募集要項の両方で確認してください。
長期高度人材育成コースの対象者・資格・費用まで確認したい場合は、次の記事で制度全体を整理しています。

ジョブ・カードとは?履歴書・申込書との違い
ジョブ・カードは、これまでの仕事、学習・訓練、資格、強み、今後の働き方を整理するための様式です。本人が記入し、必要に応じてキャリアコンサルティングで内容を深めます。
履歴書や職務経歴書、職業訓練の受講申込書とは目的が違います。
| 書類 | 主な目的 | 主な提出先 |
|---|---|---|
| ジョブ・カード | 経験・能力・キャリアプランを整理し、相談や訓練へつなげる | 制度に応じてハローワーク、訓練実施施設など |
| 履歴書・職務経歴書 | 応募企業へ経歴・能力・志望を伝える | 応募企業 |
| 職業訓練の受講申込書 | 希望コース、志望理由、職歴などを申告して選考を受ける | ハローワーク、都道府県、訓練施設など |
ジョブ・カードの内容を履歴書・職務経歴書へ転記することはできます。ただし、企業から指定の履歴書を求められた場合に、ジョブ・カードだけで置き換えられるとは限りません。
企業向けの応募書類については、次の記事で分けて確認してください。

職業訓練の受講申込書そのものの書き方は、次の記事で確認できます。

受講前に自分で書くのは通常4シート
ジョブ・カードの様式は、大きく様式1・2・3の3区分です。受講前に本人が作成する場合は、様式1-1または1-2のどちらか1枚と、様式2、様式3-1、様式3-2の通常4シートを使います。提出先から指定された様式がある場合は、その案内を優先してください。
| 様式 | 書く内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 様式1-1 キャリア・プランシート |
価値観、強み、将来の仕事、今後取り組むこと、相談したいこと | 就業経験がある人向け。制度によって新しく書くよう指定される場合がある |
| 様式1-2 キャリア・プランシート |
学校内外で取り組んだこと、アルバイト等、強み、将来像 | 就業経験がない人・学卒者等向け。1-1との選択は提出先の案内を確認 |
| 様式2 職務経歴シート |
勤務期間、会社・所属・職名、仕事内容、得た知識・技能、役割 | 雇用形態も記入。勤務先の確認欄が空いていても、作成自体を止めない |
| 様式3-1 免許・資格 |
資格名、取得時期、実施・認定機関、内容 | 取得していない資格を作らない |
| 様式3-2 学習歴・訓練歴 |
学校・訓練の期間、機関・コース、学んだ内容と得たこと | 中学校卒業後の学習・訓練を中心に整理する |
様式3-3の訓練成果・実務成果シートは、求職者支援訓練、離職者訓練、企業実習などに応じて訓練機関・企業側が評価する様式です。通常の受講前に、本人が最初からすべて作る中心書類ではありません。過去に交付されたものがあれば、持参を求められる場合があります。
どこでもらう?3つの作成方法
ジョブ・カードは、マイジョブ・カードの公式サイトから様式を確認できます。主な作成方法は次の3つです。
- マイジョブ・カードで入力する:画面の案内に沿って作成し、保存・再編集する
- Excel等の空様式をダウンロードする:パソコンで入力し、指定に応じて印刷する
- 紙へ手書きする:空様式を印刷し、消えない筆記具で記入する
マイジョブ・カードは、アカウント登録なしでもジョブ・カードを作成できます。ただし、マイページでの保存・管理、アップロード、再編集などを行うにはログインが必要です。アカウント登録には、メールアドレスとSMSを受信できる携帯電話番号を用意します。
登録しない場合は、作成したファイルを自分の端末へダウンロードして保存してください。スマートフォンだけで作りにくい人は、空様式をパソコンで入力する方法や紙での作成について、ハローワークへ相談できます。
手続きによっては、パソコンで作ったファイルを印刷して面談へ持参するよう案内されます。「データを保存したから提出済み」とは考えず、提出形式を確認します。
書く順番は「経歴→資格・学習→今後の計画」
最初から将来像を書こうとすると、抽象的な文章になりやすいです。次の順で進めると整理しやすくなります。
- 様式2で、仕事・アルバイト・担当業務を時系列に書く
- 様式3-1で、資格と取得時期を整理する
- 様式3-2で、学校・研修・職業訓練と学んだ内容を書く
- 様式1-1または1-2で、強み、希望職種、不足する力、今後の行動をまとめる
正社員歴が短い人も、アルバイト、派遣、契約社員、家業の手伝いなどを事実どおり整理します。立派に見せるために職名や成果を作る必要はありません。担当したこと、工夫したこと、身についたことを具体的にします。
書き方は「経験→不足→訓練→就職」でつなぐ
ジョブ・カードで重要なのは、単に「新しいことを勉強したい」と書くことではありません。これまでの経験と、希望する就職に必要な訓練をつなげます。
書き方の型は次のとおりです。
- 経験した事実
- 経験から得た技能・強み
- 希望職種に対して不足している技能
- その訓練で補う理由
- 訓練後に応募する職種と行動
営業事務から経理補助を目指す記入例
価値観・関心:正確さと期限を守ることを大切にしており、数字や手順を整理する仕事に関心があります。
これまでの経験・強み:営業事務として受発注、請求書発行、電話対応を担当しました。確認漏れを防ぐためにチェックリストを作り、締切ごとに処理状況を整理していました。Excelは入力、表作成、SUM関数まで使用できます。
将来の仕事:経理・OA訓練で簿記とExcel実務を身につけ、修了後は経理補助または一般事務として長期就業を目指します。
これから取り組むこと:日商簿記の取得を目指し、週1回は通勤可能な地域の求人を確認します。修了前から応募書類を整え、未経験可の経理補助・一般事務へ応募します。
相談したいこと:希望地域の経理求人で求められる実務レベルと、受講予定コースで不足を補えるか相談したいです。
「成長したい」「手に職をつけたい」だけで終わらず、どの仕事へ移るために何が足りないかを示します。
空欄があっても面談できる?
分からない項目があるだけで、直ちにキャリアコンサルティングを受けられなくなるとは限りません。相談で整理するための書類でもあるからです。
ただし、ほとんど書かずに行くと、経歴確認だけで時間がかかり、制度上必要な確認まで1回で終わらない場合があります。予約時に必要様式を聞き、書けるところまで記入して持参してください。
少なくとも、次の資料を手元にそろえると作成しやすくなります。
- 過去の履歴書・職務経歴書
- 雇用保険や給与明細など、勤務期間を確認できるもの
- 資格証、合格証、受講証明
- 卒業・修了年月を確認できる資料
- 応募する訓練の募集要項とカリキュラム
- 希望職種の求人票を2~3件
キャリアコンサルティングの予約から当日まで
- 応募する制度名・コース名を管轄ハローワークへ伝える
- 必要な様式、面談の予約先、期限、提出先を確認する
- ジョブ・カードを可能な範囲で記入する
- 指定された方法で訓練前キャリアコンサルティングを予約する
- 当日はジョブ・カード、募集要項、求人票、本人確認書類など指定物を持参する
- 経験、強み、希望職種、その訓練が必要な理由を相談する
- 面談後、職業訓練の申込みまたは給付の受給資格確認を別に行う
キャリアコンサルティングを受けただけで、職業訓練の申込みや給付手続きが完了するわけではありません。願書提出、受給資格確認、後日の支給申請など、利用する制度で次に必要な手続きを確認します。
職業訓練の申込み全体は、次の記事で分けて確認できます。

いつ・どこへ提出する?
提出時期と提出先は制度・地域で異なります。
- 一般の公共職業訓練:募集要項にジョブ・カードの記載がなければ、申込時の全国一律必須とは限らない
- 日本版デュアルなど募集要項で指定されたコース:受講開始前までの面談や、ハローワーク・訓練施設への提出を求める場合がある
- 長期高度人材育成コース:ハローワーク申込前に面談を済ませ、受付時に提出する地域がある
- 専門実践・特定一般教育訓練給付:給付を受ける人は、原則として受講開始2週間前までの受給資格確認に必要。ジョブ・カード作成は必ず受講開始前に行う
教育訓練給付金は、講座を受ける人全員ではなく、給付を申請する人の手続きです。一般教育訓練、特定一般、専門実践を取り違えないでください。

よくある間違い
- 職業訓練を受ける人は全員、申込時に必須だと思う
- ハローワークでカードを受け取れば完成だと思う
- 履歴書・職務経歴書・受講申込書と同じ書類だと思う
- 昔作った内容を更新せず、そのまま提出する
- 別地域の案内を見て、必要様式と期限を決める
- 資格・職歴・成果を実際より大きく書く
- キャリアコンサルティング後は申込みも完了したと思う
特に、専門実践・特定一般教育訓練給付の古い解説には、現在と異なる期限が残っている場合があります。2026年7月時点では、厚生労働省の現行案内と管轄ハローワークの予約状況を確認し、余裕を持って進めてください。
職業訓練のジョブ・カードでよくある質問
一般の公共職業訓練でも必ず必要ですか?
全国一律で申込時必須ではありません。コースによって、申込前、入校まで、受講中のいずれかに作成する場合があります。募集要項とハローワークの指示を優先してください。
求職者支援訓練でも必要ですか?
申込前の提出が全国一律必須とは限りません。一方、受講開始後の訓練期間中は、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングや訓練成果の整理が行われます。公式FAQでは、訓練期間中に少なくとも3回以上、3か月未満の訓練では月1回以上でも可と案内しています。申込時と訓練期間中の扱いを分けて確認してください。
昔作ったジョブ・カードを使えますか?
過去の内容は参考にできますが、現在の職歴、資格、希望職種、受講したい訓練に合わせて更新します。制度・地域によって新しい様式の作成を求める場合があります。
企業へ必ず提出しますか?
本人が応募書類として活用することはできますが、すべての企業へ提出するものではありません。制度上、ハローワークや訓練施設へ提出する場合とは分けて考えます。
面談では訓練に反対されることがありますか?
希望職種、これまでの経験、求人状況、訓練内容が合っているかを確認します。別の訓練や先に求人応募する方法を提案される場合もあります。合格を約束する面談ではなく、就職に必要な選択かを整理する機会です。
まとめ|最初に「必要様式・予約先・期限・提出先」を聞く
ジョブ・カードは、すべての職業訓練で申込時に必須ではありません。一般訓練、企業実習付き、長期高度、求職者支援訓練、教育訓練給付では必要な時期と手続きが違います。
応募するコース名を伝え、ハローワークへ「必要な様式」「面談の予約先」「期限」「提出先」の4点を確認してください。書くときは、職歴や資格を並べるだけでなく、これまでの経験、不足する力、その訓練、修了後の就職を一続きにします。
面談後も、訓練申込みや給付の受給資格確認は別に必要です。控えを保存し、訓練中・修了後・転職後も内容を更新して使いましょう。
参考にした公的資料(2026年7月17日確認)

