35歳以上のIT就職支援|実務経験を積める国の制度と応募条件

35歳以上のIT就職支援。学んだスキルを実務経験へ。対象条件・給与・応募方法を示した図 IT・プログラミングの仕事と学習

ITを学んだのに、求人を見ると実務経験を求められる。そんな35歳以上の方が利用を検討できるのが、厚生労働省のデジタル人材育成のための「実践の場」開拓モデル事業です。

対象の訓練・講習を修了した求職者が、給与を受け取りながら3~6か月の派遣就業で経験を積み、デジタル分野への就職を目指す仕組みです。参加費は無料で、就職相談も受けられます。

ただし、年齢だけで参加できるわけではありません。おおむね過去1年以内にデジタル分野の職業訓練や対象となる民間講習を修了していることが必要です。まず受けた講座と修了日を確認し、現在の事業窓口に相談しましょう。

2026年9月11日確認。2026~2027年度の事業と、確認時点の募集・求人情報をもとにしています。求人の受付状況や勤務条件は応募時に確認してください。

35歳以上のIT就職を支援する「実践の場」とは

この事業が支えるのは、講座で身につけた知識を仕事で使う段階です。企業でデジタル関連の業務を担当し、実務経験をつくりながら次の就職を目指します。35歳以上の求職者向けの区分は「エントリー~ミドルモデル」と呼ばれています。

項目 内容
主な対象 35歳以上で、デジタル分野の訓練・講習を修了した求職者
働き方 派遣社員として企業で実務を経験
派遣期間 3~6か月
収入 就業先の条件に応じた給与。全国一律の支給額ではない
相談支援 キャリアコンサルティング、就業中の相談、就職に向けた支援
就業後 双方の合意による直接雇用などを目指す。採用の保証はない

国の委託事業なので、応募窓口は厚生労働省そのものではなく、運営する事業者です。現行の求職者向け窓口として、厚生労働省はアデコとパーソルクロステクノロジーの2社を案内しています。

出典:厚生労働省「デジタル人材育成のための『実践の場』開拓モデル事業」、アデコの参加の流れ

応募条件|年齢に加えて、講座の内容と修了時期を確認する

基本となるのは、35歳以上で、申し込み日からさかのぼっておおむね1年以内に、対象の訓練・講習を修了していることです。40代・50代の方も、まずこの条件と学んだ内容を照合してください。

パーソルクロステクノロジーの募集要項では、公的職業訓練に加えて、民間講習について次のいずれかを示しています。

  • ITSSレベル2以上の資格取得を目指す講習
  • 受講時間が200時間程度のデジタル分野の講習
  • そのほか、デジタル分野への就職につながる可能性が高いと評価される講習

これらをすべて満たす必要はありません。また、「資格取得を目指す講習」と「すでに資格に合格していること」は別です。公式FAQでは、資格や実務経験がなくても、訓練・講習の修了条件を満たせば応募できると案内されています。

現在の状況 確認すること
半年前にIT系の公共職業訓練を修了した 講座名・修了日・学習内容を伝えて参加を相談する
民間スクールを修了したが、資格は取っていない 資格の有無だけで諦めず、講座の時間数や内容が対象に当たるか確認する
独学で勉強しただけで、講習の修了歴はない 現在の募集要項の修了条件には、そのままでは当てはまらない。独学歴と受講歴を区別して相談する
修了から1年を少し過ぎた・まだ受講中 「おおむね1年」の扱いや相談可能な時期を、修了日・修了予定日を示して確認する

表は申し込み前の確認方法を示したもので、参加可否の確約ではありません。講座名だけでは内容が伝わらない場合に備え、カリキュラムや受講時間が分かる案内を用意しておくと相談しやすくなります。

出典:パーソルクロステクノロジーの募集要項・FAQ

これから学び始める40代の方は、受講後にどの仕事を目指すかも含めてコースを選びましょう。プログラミング以外のIT職種も含めた選び方は、こちらで整理しています。

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どんな仕事がある?給与と仕事内容の具体例

募集はプログラマーやシステムエンジニアだけではありません。社内のITサポート、ヘルプデスク、運用保守、Web制作などもあります。前職での問い合わせ対応や業務改善の経験と、講座で学んだスキルを組み合わせて探せます。

以下は、2026年9月11日にパーソルクロステクノロジーの事業サイトで確認できた求人例です。掲載中の給与例であり、参加者全員に適用される金額ではありません。

勤務地・仕事 主な業務 掲載時給
札幌市・社内SE PCやサーバーの運用、アカウント管理、社内の問い合わせ対応 1,450~1,550円
東京都豊島区・IT活用支援 RPAの活用補助、PC設定、業務改善の聞き取り、社員への説明 1,700~2,200円
埼玉県朝霞市・Webサイト改修 企業サイトやネットショップの更新、コーディングなど 1,960円

出典:公式求人の札幌市・社内SE、豊島区・IT活用支援、朝霞市・Webサイト改修

月収は時給・勤務時間・日数で計算する

たとえば、1日8時間・月20日働くと仮定すると、時給1,450円なら23万2,000円、時給1,960円なら31万3,600円です。計算は「時給×8時間×20日」で、税金・社会保険料を引く前の金額です。残業代や交通費は含めていません。

実際の月収は勤務日数や契約時間で変わります。給与の締め日・支払日も確認し、最初の給与が入るまでの生活費を見込んでおきましょう。

「事業に参加できる」と「その求人に応募できる」は分けて考える

個別求人には、必要なスキルや担当業務が記載されています。たとえば札幌市の求人にはサーバー運用・保守、Webサイト改修の求人にはコーディングなどが示されています。未経験者向けの支援事業でも、すべての求人を基礎知識なしで担当できるわけではありません。

応募時は「講座でどこまで学んだか」「仕事ではまだ経験していない部分はどこか」を伝え、最初に任される業務と指導を受けられる範囲を確認してください。高い時給だけで選ぶより、自分ができることと伸ばしたいことを照合するほうが、経験を積む目的に合います。

現在の申し込み先と募集期間

2026年9月11日時点の窓口は次のとおりです。希望する勤務地・職種の求人があるかを確認したうえで相談できます。

運営事業者 募集期間 相談・申し込み先
アデコ 2026年4月8日~2027年11月30日 公式の募集・相談案内
050-4560-4812
パーソルクロステクノロジー 2026年6月30日~2027年11月30日 公式の募集・申し込み案内
03-6370-6850

電話受付はいずれも平日9時~18時です。土日祝日・年末年始は除きます。パーソルクロステクノロジーでは、事業での派遣期間の最終日を2028年2月末までとしています。募集締切近くの申し込みでも必ず6か月働ける、とは考えず、開始可能日と契約期間を確認してください。

検索結果には、2025年9月30日で申し込み受付を終了した旧事業のページも残っています。古い終了案内だけで現在も募集がないと判断せず、厚生労働省の現行の受託法人一覧から確認すると、窓口を取り違えにくくなります。

申し込みから就業・就職までの流れ

1.講座の修了歴と希望する仕事を整理する

相談前に、講座名、運営する学校・機関、修了日、受講時間、学んだ言語やツールをメモしておきます。制作物があれば、何を自分で作ったかも説明できるようにしましょう。これらは相談を具体化するための準備例です。必須の提出書類は窓口の案内に従ってください。

問い合わせる際は、たとえば「42歳で、今年3月にWeb制作の職業訓練を修了しました。HTML・CSSを学び、サイトを制作しましたが、実務経験はありません。参加対象になるか、通勤できる範囲に合う求人があるかを知りたいです」と伝えると、確認したい内容が明確になります。

2.運営事業者に登録・相談する

アデコはWebまたは電話で申し込み、登録面談へ進む流れです。対面で出向かずに登録を完了する方法も案内されています。

パーソルクロステクノロジーの派遣サービスに未登録の場合は、事業サイトの申し込みフォームから進みます。すでに登録済みの場合は、対象求人にマイページから応募するか、希望する求人が見つからなければ公式サイトの案内に沿って参加意向を連絡します。

3.求人と労働条件を照合する

紹介された仕事について、仕事内容、勤務地、勤務時間、給与、契約期間を確認します。生活に関わる条件と、実務経験の内容を分けて確認すると比較しやすくなります。

  • 生活の条件:通勤時間、週の勤務日数、残業、給与支払日、交通費、社会保険
  • 経験の内容:最初に担当する作業、教えてくれる人、使うツール、任される範囲
  • 就業後の見通し:直接雇用の可能性、判断する時期、切り替え後の雇用形態と給与

アデコのFAQでは、登録しただけで求人への応募を義務づけられるわけではなく、本人が応募するかを決めると案内しています。希望に合わない点は、契約前に担当者へ伝えましょう。

4.派遣社員として働き、相談支援を受ける

就業条件に合意したら、派遣社員として企業で働きます。アデコの案内では、派遣期間中の雇用契約はアデコと結び、給与・交通費が支給されます。就業中は担当者との面談などを通じて相談できます。

経験を次の応募に使えるよう、「どんな作業を、どのツールで、どこまで自分で担当したか」を記録しておくと、職務経歴書にまとめやすくなります。ただし、会社の顧客情報や非公開の資料・コードを持ち出す必要はありません。業務内容を公開できる範囲で整理します。

5.派遣先での直接雇用や、別の就職先を目指す

実務を経験した後は、派遣先との合意による直接雇用や、別のデジタル関連求人への応募を目指します。アデコは応募書類の添削など、パーソルクロステクノロジーは雇用契約終了後1か月間の就職支援も案内しています。

3~6か月働けば自動的に正社員になる制度ではありません。直接雇用と正社員も同じ意味ではないため、切り替えを提案されたら雇用期間の定め、勤務時間、賃金などを改めて確認してください。

出典:アデコの参加の流れ、アデコのFAQ、パーソルクロステクノロジーの就業・就職支援

無料の追加講習と、給与が出る派遣就業は区別する

アデコでは、すでに学んだ内容を補う無料の追加講習「OFF-JT」も用意しています。Web制作、インフラ系、開発系の3コースがあり、原則1コース、60時間程度を4週間ほどで受講する案内です。

ただし、この講習の受講に対して給与は支給されません。給与が出る派遣就業と、無料で受けられる追加学習は区別してください。また、この追加講習があることだけを理由に、申込時点の訓練・講習修了条件を満たさなくても参加できる、と判断しないようにしましょう。

出典:アデコの追加講習案内、受講時間・給与についての公式FAQ

まず確認するのは「修了日・学んだ内容・希望する仕事」

この支援は、ITを学んだ35歳以上の求職者が、仕事で使った経験を積むための選択肢です。資格がないことや正社員経験がないことだけで、対象外になるわけではありません。

講座の修了日と学習内容を確認できたら、希望勤務地・勤務時間と合わせて現行の事業窓口へ相談してください。紹介された求人では、給与だけでなく最初に任される業務と指導体制を確認し、次の就職につながる経験を積めるかを判断しましょう。