退職して1か月たったのに源泉徴収票が届かない。
転職先から提出を求められているのに、前の会社へ連絡しても
「まだできていません」
「年末にまとめて送ります」
と言われて困っている人もいるでしょう。
年の途中で退職した人の給与所得の源泉徴収票は、原則として退職後1か月以内に会社から交付されます。
退職後1か月を過ぎても届かないなら、ただ待ち続ける必要はありません。
次の順番で対応します。
- Web給与明細などで電子交付されていないか確認する
- 前の会社へ源泉徴収票を請求する
- 請求した日時・担当者・回答を記録する
- それでも交付されなければ「源泉徴収票不交付の届出書」を税務署へ提出する
- 転職先の年末調整に間に合わなければ確定申告を検討する
特に重要なのが、会社へ源泉徴収票を請求した記録を残すことです。
国税庁も不交付の届出をする際、勤務先へ源泉徴収票の交付を求めたことが分かる資料を添付するよう案内しています。
まず自分がどの段階なのか確認してください。
| 状況 | まずやること |
|---|---|
| 退職から1か月以内 | 発行予定日を会社へ確認 |
| 1か月を過ぎても届かない | 会社へ催促 |
| 電話で頼んだが届かない | メールなど記録が残る方法でも催促 |
| 会社から返信がない | 不交付届を検討 |
| 「来年1月に出す」と言われた | 中途退職者は退職後1か月以内であることを確認 |
| すでにもらったが紛失した | 会社へ再発行依頼 |
| 転職先の年末調整期限が近い | 転職先へ事情を伝える |
| 会社が倒産して連絡できない | 給与明細などを持って税務署へ相談 |
- 中途退職者の源泉徴収票は退職後1か月以内
- 退職後1か月たったら最初に確認すること
- 源泉徴収票がないならまず会社へ催促する
- 電話だけで終わらせず催促した記録を残す
- 会社への催促メールはこれで十分
- 「来年1月に発行する」と言われた場合
- 「給与が少ないから源泉徴収票は出ない」と言われた場合
- それでも届かなければ「源泉徴収票不交付の届出書」
- 不交付届を出す前に会社へ請求する
- 不交付届に添付するもの
- 不交付届はどこへ出す?
- 不交付届を出せば税務署が源泉徴収票を発行してくれる?
- すでにもらった源泉徴収票をなくした場合は不交付届ではない
- 業務委託なら源泉徴収票が発行されない場合がある
- 転職した人は源泉徴収票が特に重要
- 前職の源泉徴収票がなければ年末調整できないことがある
- 年末調整に間に合わなかったら確定申告する
- 会社が倒産している場合
- 退職後1か月を過ぎた人が今日やること
- よくある質問
- まとめ|退職後1か月を過ぎたら待つだけではなく催促の記録を残す
- 参考資料
中途退職者の源泉徴収票は退職後1か月以内
給与所得の源泉徴収票には交付期限があります。
国税庁では、給与を受け取った人への源泉徴収票について、
- 通常は翌年1月31日まで
- 年の途中で退職した人は退職後1か月以内
に交付する必要があるとしています。
ここで間違えやすいのが、
「源泉徴収票は翌年1月にもらうもの」
という考え方です。
年末まで在籍している人なら翌年1月に受け取ることがあります。
しかし6月や8月など年の途中で退職した人まで翌年1月まで待つ必要はありません。
たとえば8月31日に退職した人なら、会社は原則として退職後1か月以内に源泉徴収票を交付します。
「年末に全員分まとめて作るから待ってください」
と言われた場合は、中途退職者の扱いを会社へ確認してみましょう。
退職後1か月たったら最初に確認すること
すぐ税務署へ行く前に、まず本当に源泉徴収票が交付されていないか確認します。
現在は紙ではなく電子交付する会社もあります。
確認したいのは次のような場所です。
- 給与明細を見ていたWebサービス
- 社員用ポータル
- 退職者用ページ
- 登録メールアドレス
- 会社から案内されたクラウドサービス
たとえば、
「郵送されると思って待っていたが、給与明細サイトにPDFがアップロードされていた」
ということもあります。
退職後に会社のシステムへログインできなくなっている場合は、人事や給与担当者へ問い合わせましょう。
源泉徴収票がないならまず会社へ催促する
電子交付もされておらず、退職後1か月を過ぎているなら前の会社へ連絡します。
連絡先は、
- 人事
- 総務
- 給与担当
- 経理
- 退職時の担当者
などです。
伝える内容は難しくありません。
「○月○日に退職しましたが、給与所得の源泉徴収票がまだ届いていません。発行状況をご確認ください」
で十分です。
引っ越している場合は、新しい住所も伝えましょう。
古い住所へ発送されていたというケースも考えられます。
電話だけで終わらせず催促した記録を残す
一度電話したものの、
「送ります」
と言われたまま届かない場合があります。
その場合は、次からメールなど記録が残る方法で連絡するのがおすすめです。
これは税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出するときにも役立ちます。
国税庁は会社へ源泉徴収票を求める方法について、
- 面接
- 電話
- 文書
など、方法自体は問いません。
ただし次の内容をメモなどに残すよう案内しています。
源泉徴収票を催促したら残しておく5項目
1.いつ連絡したか
例:10月5日14時
2.どこで連絡したか
電話なら勤務先へ電話したことなどを記録します。
3.誰と話したか
人事部の○○さんなど、担当者名を記録します。
4.どのような方法で連絡したか
電話、メール、書面などです。
5.会社から何と言われたか
たとえば、
「来週発送しますと言われた」
「確認して折り返すと言われた」
「源泉徴収票は発行しないと言われた」
などです。
メールなら、この情報の多くが自動的に記録として残ります。
そのため電話で何度も催促するより、メールを1通送っておくと後の手続きが分かりやすくなります。
会社への催促メールはこれで十分
前の会社へ送るなら、強い文章にする必要はありません。
件名:給与所得の源泉徴収票の発行について
お世話になっております。
○月○日付で退職した○○です。退職後の給与所得の源泉徴収票が現在まで届いていないため、発行状況をご確認いただけますでしょうか。
年の途中で退職した場合、源泉徴収票は退職後1か月以内に交付されるものと認識しております。
転職先での年末調整に必要なため、発行予定日をご連絡いただけますと幸いです。
送付先住所
〒000-0000
○○県○○市○○よろしくお願いいたします。
すでに何度か電話している場合は、
○月○日にもお電話で発行をお願いしておりますが、現在まで届いておりません。
と一文追加してもよいでしょう。
「来年1月に発行する」と言われた場合
会社から、
「源泉徴収票は来年1月に発行します」
と言われることがあります。
在職者の源泉徴収票なら翌年1月31日までが原則です。
しかし年の途中で退職した人については、退職後1か月以内が交付期限です。
そのため、
「中途退職者については退職後1か月以内と国税庁に記載されていますので、もう一度ご確認いただけますか」
と伝えて構いません。
担当者が在職者と退職者の期限を混同している可能性があります。
「給与が少ないから源泉徴収票は出ない」と言われた場合
これも注意したいケースです。
たとえば短期間しか働いておらず、
「給与が30万円以下だったので源泉徴収票はありません」
と言われることがあります。
しかし、
税務署へ会社が提出する必要がある源泉徴収票の範囲
と、
本人へ源泉徴収票を交付する義務
は別です。
国税庁は、税務署への提出範囲にかかわらず、給与所得の源泉徴収票をすべての受給者へ交付する必要があると案内しています。
パートやアルバイトだから源泉徴収票をもらえないということでもありません。
それでも届かなければ「源泉徴収票不交付の届出書」
退職後1か月を過ぎ、
会社へ源泉徴収票を請求しても交付されない場合は、
源泉徴収票不交付の届出書
を税務署へ提出できます。
名前のとおり、
「勤務先から源泉徴収票を交付してもらえない」
ことを税務署へ届け出る手続きです。
不交付届を出せるのは交付期限を過ぎてから
中途退職者の場合、源泉徴収票の交付期限は退職後1か月です。
そのため退職して数日しかたっていない段階で不交付届を出す手続きではありません。
退職後1か月を過ぎ、
さらに会社へ源泉徴収票を求めても交付されない場合に利用します。
不交付届を出す前に会社へ請求する
不交付届で特に重要なのがここです。
国税庁は届出前の確認事項として、まず勤務先へ源泉徴収票の交付を求めるよう案内しています。
つまり、
退職後1か月経過
↓
会社には何も連絡していない
↓
いきなり税務署へ不交付届
というより、
退職後1か月経過
↓
会社へ請求
↓
それでも交付されない
↓
不交付届
という順番です。
会社へ請求した記録は残しておきましょう。
不交付届に添付するもの
国税庁は主な添付資料として次のものを挙げています。
給与明細の写し
給与支払明細書を保存している場合はコピーを用意します。
電子給与明細ならPDFを保存しておきましょう。
退職すると給与システムへログインできなくなる会社もあります。
まだアクセスできるなら、源泉徴収票だけでなく過去の給与明細も保存しておくとよいでしょう。
会社へ交付を求めたことが分かる資料
たとえば、
- 催促メール
- 会社からの返信メール
- 郵送した請求書の控え
などです。
電話しかしていない場合は、
- 日時
- 相手
- 電話番号や連絡先
- 会社からの回答
をメモしておきます。
不交付届はどこへ出す?
「源泉徴収票不交付の届出書」は、納税地等を所轄する税務署へ提出します。
提出方法は、
- e-Tax
- 税務署へ持参
- 郵送
があります。
2026年8月には書面提出用の様式が変更されています。
インターネット上で古いPDFを探して使うのではなく、提出時点で国税庁の「源泉徴収票不交付の届出手続」ページから最新様式を確認してください。
不交付届を出せば税務署が源泉徴収票を発行してくれる?
ここは誤解しないようにしてください。
税務署が前の会社の代わりに源泉徴収票を作って送ってくれる制度ではありません。
不交付届を受けた税務署は、勤務先に対して源泉徴収票を交付するよう行政指導を行います。
ただし国税庁は、この行政指導には法律上の拘束力がなく、勤務先の自主的な協力を前提としていると案内しています。
そのため、
「不交付届を出したから数日後には必ず源泉徴収票が届く」
とは限りません。
国税庁も、不交付届を提出した後も本人から勤務先へ継続して交付を求めるよう案内しています。
不交付届は「源泉徴収票の代わり」でもない
もう一つ重要です。
不交付届そのものを転職先へ提出すれば、源泉徴収票の代わりとして年末調整できるという制度でもありません。
不交付届は、
源泉徴収票が交付されないことを税務署へ知らせるための手続き
です。
源泉徴収票そのものとは役割が違います。
すでにもらった源泉徴収票をなくした場合は不交付届ではない
一度会社から源泉徴収票を受け取ったものの、
「なくしてしまった」
という場合は不交付ではありません。
国税庁も、不交付届は源泉徴収票の再発行を求める手続きではないと明記しています。
この場合は前の会社へ、
源泉徴収票を再発行してください
と依頼します。
整理すると次のようになります。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 一度も源泉徴収票をもらっていない | 不交付届の対象になり得る |
| 会社へ請求しても発行されない | 不交付届を検討 |
| 一度受け取ったがなくした | 会社へ再発行依頼 |
| PDFを削除した | 会社へ再交付を相談 |
| 金額が間違っている | 会社へ訂正依頼 |
業務委託なら源泉徴収票が発行されない場合がある
「働いてお金をもらったら必ず給与所得の源泉徴収票が発行される」
とは限りません。
国税庁も不交付届の確認事項として、勤務先から受け取ったお金が雇用契約に基づく給与なのかを確認しています。
たとえば業務委託契約で報酬を受け取っていた場合、給与所得の源泉徴収票ではなく別の取扱いになることがあります。
会社から、
「あなたは業務委託だったので給与所得の源泉徴収票は発行しません」
と言われた場合は、自分の契約書を確認してください。
雇用契約だったのか、業務委託契約だったのか分からなければ税務署へ相談しましょう。
転職した人は源泉徴収票が特に重要
年の途中で別の会社へ転職すると、転職先で前職分も含めて年末調整するケースがあります。
そのため転職先は前職の、
- 給与額
- 源泉徴収税額
- 社会保険料など
を確認する必要があります。
確認には前職から交付された源泉徴収票などを使用します。
そのため、
「源泉徴収票は確定申告までに届けばいい」
とは限りません。
11月や12月なら転職先の年末調整期限が先に来る可能性があります。
前職の源泉徴収票がなければ年末調整できないことがある
国税庁は、中途就職者について前職の給与額や源泉徴収税額などを源泉徴収票などで確認できない場合、その前職分を含めた年末調整を行うことができないとしています。
そのため転職先から源泉徴収票を求められているなら、前の会社だけでなく現在の会社にも、
「前職へ請求していますが、まだ源泉徴収票が交付されていません」
と早めに伝えておきましょう。
年末調整書類の提出期限当日に突然、
「ありません」
と伝えるより対応しやすくなります。
年末調整に間に合わなかったら確定申告する
前職から源泉徴収票が届かず、転職先で前職分を含めた年末調整ができなかった場合でも税金の精算ができなくなるわけではありません。
必要に応じて翌年に自分で確定申告します。
特に前職で所得税が多めに源泉徴収されていた場合などは、確定申告によって還付になる可能性があります。
ただし、
「源泉徴収票がないから給与明細の数字を適当に足して申告すればいい」
とは考えないでください。
源泉徴収票が交付されない状態で確定申告の時期を迎えた場合は、給与明細など手元の資料を持って税務署へ相談するとよいでしょう。
会社が倒産している場合
退職した会社が倒産し、
- 電話がつながらない
- メールも届かない
- 担当者がいない
ということもあります。
この場合も源泉徴収票を何か月も待ち続ける必要はありません。
手元に残っている、
- 給与明細
- 雇用契約書
- 給与の振込記録
- 会社へ連絡しようとした記録
などを整理して税務署へ相談してください。
「会社がなくなったから何もできない」と自己判断する必要はありません。
退職後1か月を過ぎた人が今日やること
ここまで読むと手続きが複雑に見えるかもしれません。
しかし、やることはそれほど多くありません。
まだ会社へ連絡していない人
今日、会社へ源泉徴収票の発行を依頼します。
できればメールなど記録が残る方法を使います。
電話で一度催促している人
メールでもう一度請求し、
「○月○日にも電話でお願いしています」
と記載します。
メールを送っても対応されない人
退職から1か月以上経過しているなら、源泉徴収票不交付の届出書を確認します。
給与明細と会社へ請求した記録を準備しましょう。
転職先の年末調整が近い人
前の会社への催促と同時に、現在の会社へ源泉徴収票がまだ届いていないことを伝えます。
間に合わなければ確定申告による精算を検討します。
よくある質問
退職後1か月たっても源泉徴収票が届きません。違法ですか?
年の途中で退職した人への給与所得の源泉徴収票は、原則として退職後1か月以内に交付する必要があります。
まず会社へ発行状況を確認してください。
交付期限を過ぎており、請求しても交付されなければ不交付届を検討できます。
退職後1か月とは30日後ですか?
国税庁の案内では「退職後1月」とされています。
提出を考えている時点で交付期限を過ぎているか判断に迷う場合は、税務署へ確認してください。
会社に何回催促したら不交付届を出せますか?
「3回以上必要」など催促回数が決まっているわけではありません。
重要なのは、交付期限を過ぎており、会社へ源泉徴収票の交付を求めたことを説明できることです。
電話で催促しただけでもいい?
電話でも構いません。
ただし国税庁は、日時、場所、相手、連絡方法、会社からの回答などをメモに残すよう案内しています。
メールなら記録を残しやすくなります。
不交付届を出せば税務署が源泉徴収票を作ってくれる?
作ってくれるわけではありません。
税務署は勤務先に交付するよう行政指導を行いますが、その行政指導には法律上の拘束力はないと国税庁が案内しています。
源泉徴収票を紛失しました。不交付届を使える?
使いません。
一度交付を受けている場合は、前の会社へ再発行を依頼します。
アルバイトでも源泉徴収票をもらえる?
雇用契約に基づいて給与を受け取っていたのであれば、税務署への提出対象かどうかにかかわらず、本人への源泉徴収票の交付が必要です。
転職先の年末調整に間に合いません
まず転職先の給与担当者へ事情を伝えてください。
前職分を確認できず年末調整できなかった場合は、必要に応じて翌年に確定申告して税金を精算します。
まとめ|退職後1か月を過ぎたら待つだけではなく催促の記録を残す
年の途中で退職した人への給与所得の源泉徴収票は、原則として退職後1か月以内に交付されます。
1か月を過ぎても届かない場合は、
会社へ催促
↓
日時・担当者・回答を記録
↓
それでも交付されなければ源泉徴収票不交付の届出
という順番で対応します。
特に重要なのは、
「会社へ源泉徴収票を請求したことを残す」
ことです。
国税庁は不交付届を提出する際、給与明細の写しに加えて、勤務先へ源泉徴収票の交付を求めたことが分かる資料を添付するよう案内しています。
なお不交付届を提出しても、税務署が源泉徴収票を代わりに作成してくれるわけではありません。
税務署から勤務先へ行政指導が行われますが、国税庁は行政指導には法律上の拘束力がないとも案内しています。
そのため不交付届を出した後も、本人から会社へ交付を求める必要があります。
転職先の年末調整期限が近いなら、前の会社だけでなく現在の会社にも状況を伝えてください。
退職後1か月を過ぎたまま何もせず待ち続ける必要はありません。
まずは会社へメールを送り、源泉徴収票を請求した記録を残すところから始めましょう。
参考資料
- 国税庁「源泉徴収票不交付の届出手続」
- 国税庁「『源泉徴収票不交付の届出書』を提出される前に、ご確認ください」
- 国税庁「『給与所得の源泉徴収票』の提出範囲と提出枚数等」
- 国税庁「中途就職者の年末調整」
- 国税庁「年末調整の対象となる給与」


