40代で脱サラしたけど会社員に戻りたい|個人事業・廃業後の再就職で見られるポイント

年代別の転職・シニアの仕事探し

40代で脱サラしたものの「もう一度会社員として働きたい」と考えると、個人事業の経験をどう説明すればよいか迷うかもしれません。売上が伸びなかったことや廃業したことを話すと不利になるのでは、と気になる人もいるでしょう。

会社員に戻るために整理したいのは、事業を終える理由・自分が担当した仕事・入社後の働き方の3つです。個人事業を営んでいた期間まで空白期間として扱う必要はありません。どんな仕事をしていたかを具体的に書き出すところから始めましょう。

この記事では個人事業から再就職する人に向けて、求人の選び方と応募書類・面接の伝え方を整理します。法人の代表者だった場合は役職や退任の状況が異なるため、記入例をそのまま使わず実態に合わせてください。

40代で会社員に戻るときは「脱サラ前」と「個人事業中」の両方を見る

求人を探すときは独立前の会社員経験と個人事業での経験を分けて書き出します。以前の職種に戻る道もあれば、事業で担当した仕事に近い職種へ応募する道もあります。

たとえば営業職から独立してネットショップを運営していた人なら、法人営業の経験に加えて受注対応・在庫管理・仕入先との調整も説明できます。ただし一人で店を運営していたことと、部下を育成していたことは別です。経営者だったという肩書だけで管理職経験に置き換えないようにします。

振り返る期間 書き出す内容 応募先と見比べる点
脱サラ前の会社員時代 職種・担当顧客・使用ソフト・役割 経験年数だけでなく今も対応できる業務か
個人事業を営んでいた期間 商品やサービス・自分の担当・取引の規模 求人票にある仕事と重なる部分は何か
事業を終えた後 求職活動・手続き・学習などの実際の状況 現在の就業準備と入社可能時期を説明できるか

「独立して何年たったか」だけで応募先を絞らず、求人票の仕事内容を一つずつ確認してください。経験のある業務と、入社後に覚える必要がある業務を分けると応募理由も具体的になります。

個人事業・廃業後の再就職で説明を準備したい4つのこと

選考の基準は企業や職種によって異なります。ここでは採否を決めつけるのではなく、応募書類や面接で伝わりにくくなりやすい点を整理します。

1.なぜ事業を続けず会社員に戻るのか

収入の不安定さが理由なら隠す必要はありません。ただし「安定したいです」だけでは応募する仕事を選んだ理由が伝わりません。事業を終える判断と、次に取り組みたい仕事を続けて説明します。

売上不振を取引先や景気だけのせいにせず、自分が試したことと判断の経緯を短く添えると話がつながります。実際には行っていない改善策や、達成していない成果を足す必要はありません。

2.自分の手でどこまで仕事をしていたか

「経営全般」「営業から経理まで担当」では担当範囲が分かりません。新規開拓・見積作成・納期調整・請求管理などに分け、応募職種に関係する仕事を中心に伝えます。

外注していた作業は自分で制作・処理した仕事と分けます。税理士に申告を依頼していたなら「確定申告まで一人で担当」とせず、日々の記帳や資料の整理など自分の担当を説明してください。

3.周囲と相談しながら働けるか

会社では担当範囲や承認の手順が決まっていることがあります。独立中に顧客・仕入先・外注先と調整した経験があれば、その場面を使って説明できます。

「協調性があります」と言い切るより、納期変更を早めに相談した経験や相手の条件に合わせて提案を修正した経験を一つ準備しましょう。従業員を雇っていなかった場合も、人と調整して仕事を進めた事実は伝えられます。

4.いつから、どのような条件で働けるか

廃業済みか整理中かによって入社の準備は変わります。未納品の案件や顧客対応が残っているなら、完了予定を確認してから入社可能日を伝えます。

事業を一部続けたい場合は副業・兼業に関する応募先の規程や届出の要否を確認してください。「廃業します」と説明しながら継続する前提で話を進めると、入社後の勤務条件との食い違いが生じます。

履歴書・職務経歴書では個人事業を具体的な職歴にする

履歴書は開業・事業内容・終了時期を簡潔に書く

自分の個人事業については会社への「入社」「退職」とせず、開業と廃業など実態が分かる表現を使います。屋号がなければ無理に作る必要はありません。

以下は生活雑貨のネットショップを営んでいた人の架空の記入例です。応募先に指定の書式がある場合はその指示を優先してください。

2021年4月 個人事業として生活雑貨のインターネット販売業を開業
仕入れ、商品登録、受注・発送管理、顧客対応に従事
2026年8月 同事業を廃業

営業を続けているなら「現在に至る」とし、終了予定が決まっていれば「2026年10月末廃業予定」などと補足します。まだ終えていない事業を廃業済みとは書きません。事業終了後に求職活動だけをしていた期間も、営業していた期間と区別してください。

職務経歴書は事業概要より担当業務を厚くする

同じネットショップ経験でも、受発注事務へ応募するなら注文管理や問い合わせ対応を詳しくします。売上の大きさだけでなく、仕事を進めた方法が分かる内容にしましょう。

個人事業:生活雑貨のインターネット販売
期間:2021年4月~2026年8月
体制:本人1名。税務申告は税理士へ依頼。

担当業務
国内仕入先3社への発注、約120商品の登録・在庫管理、月平均80件の受注・発送手配、メールでの問い合わせ対応を担当。売上と仕入れのデータを表計算ソフトで管理した。

業務上の工夫
受注情報と発送期限を一つの管理表にまとめ、毎朝未発送分を確認。欠品時は入荷見込みと代替品の有無を調べてから顧客へ連絡した。

応募先で生かしたい経験
受注から発送までの進行管理と仕入先への確認業務を経験している。受発注事務でも処理期限を把握し、判断が必要な案件を早めに報告する。

数字や業務内容はすべて架空です。自分の帳簿・受注履歴などで確かめられる内容に置き換えてください。顧客名や非公開の取引条件は載せず、公開できる範囲で説明します。

会社員に戻りたい理由の面接例

売上が安定せず廃業した場合

個人で生活雑貨のネット販売を行っていました。商品の見直しや仕入れ量の調整を進めましたが、必要な利益を継続して確保することが難しく、8月末で事業を終了しました。

運営する中で受注管理や仕入先との納期調整を経験しました。今後はこの経験を生かして受発注の実務に継続して取り組みたいと考えています。御社の求人にある注文処理と納期確認は経験が重なるため応募しました。

この例は「廃業の理由→経験した仕事→応募理由」の順です。実際の求人にない業務まで結び付けず、応募先ごとに最後の部分を見直します。

個人での受託からチームで働く形へ変えたい場合

個人でWebサイト制作を請け負い、要件の確認から公開まで担当してきました。今後は納品後の運用や改善にも継続して関わりたいと考え、企業のWeb担当職を希望しています。

独立中はデザイナーへ一部を外注し、仕様と修正内容を文書で共有して進行していました。入社後も部署内の役割と承認手順を確認し、関係者へ相談しながら進めたいと考えています。

「会社の指示に従えますか」と聞かれたときも、無理に自分を小さく見せる必要はありません。業務の進め方を確認する姿勢と、他者と調整した具体的な経験を伝えます。

廃業と入社の予定を分けて整理する

事業を続けている段階から求人探しや応募の準備はできます。大切なのは事業の状況を正確に伝え、合意した入社日に勤務を始められる見通しを立てることです。

現在の状況 応募先へ伝えること 自分で確認すること
すでに廃業している 事業終了時期と入社可能日 残っている顧客対応や手続きが勤務に影響しないか
廃業に向けて整理中 終了予定と勤務開始の見込み 納品・引き継ぎ・契約終了の予定
一部を副業として続けたい 継続する仕事の内容と時間 副業規程・届出・本業との競合や勤務時間への影響

「10月末に最終納品を終えるため11月1日から勤務可能です」のように日付と根拠をそろえると調整しやすくなります。完了日が未確定なら確約せず、いつ見通しが立つかを伝えましょう。

税務上の廃業届や申告などの手続きは別に確認します。必要な届出は青色申告や消費税の状況などによって異なります。国税庁の案内を確認し、不明点は税務署や税理士へ相談してください。届出を出すことと、契約上の仕事がすべて終わることは同じではありません。

収入の比較では個人事業の売上を給与年収と比べない

希望年収を考えるときは事業の売上高をそのまま会社員の給与年収と比べないようにします。売上からは仕入れや外注費などの経費が出ており、給与の額面とも手取りとも意味が異なります。

面接で以前の収入を聞かれたら「個人事業の年間売上は○円、必要経費を引いた事業所得は○円です」と区別して説明します。記録で確認できる金額を使い、過去の実績と希望する給与額は別に伝えてください。

求人を比較するときは基本給に加えて賞与の条件・固定残業代・勤務時間・社会保険の加入条件も確認します。生活に必要な収入と仕事の負担を見比べ、受け入れられる条件を決めておきましょう。

職業全体の平均年収をそのまま自分の採用条件と考えないために、統計と求人賃金の違いも確認しておくと役立ちます。

応募前にそろえておくもの

  • 会社員時代と個人事業の期間をつなげた職歴
  • 応募する仕事に近い担当業務と具体例
  • 事業を終える理由と、その会社を選んだ理由
  • 事業の整理状況と入社可能日
  • 希望給与・勤務時間などの条件

一人で整理しにくい場合はハローワークで応募書類や面接の相談ができます。求人票と職歴のメモを持参し、個人事業で担当した仕事が伝わる内容になっているか確認してもらいましょう。

40代で会社員に戻るための準備は、独立経験を消すことではありません。実際にしてきた仕事を整理し、次の職場で担当できることと働き始める条件を具体的に伝えることから始めてください。

参考資料

資料確認日:2026年9月25日。記入例と面接例は説明のために作成した架空の事例です。