結論からいうと、再就職手当の申請書を会社が書いてくれないときは「何の理由で止まっているのか」を先に確認し、それでも進まないなら管轄のハローワークへ早めに相談します。
会社へ渡した日、担当部署、返却予定日、書けないと言われた項目と理由を記録しておくと相談しやすくなります。
再就職手当の支給申請書や採用証明書には事業主が証明する欄があります。
本人が会社欄を勝手に埋めて提出する書類ではありません。
また「就職日の翌日から1か月」という通常の申請期間を過ぎたら即座に申請できなくなるわけでもありません。
厚生労働省は再就職手当について2年の時効の範囲内なら申請期間を過ぎても申請できると案内しています。
ただし2年あるから待ってよいという意味ではないため、会社の証明が止まっている時点でハローワークへ相談するのが安全です。
| 今の状況 | まずすること |
|---|---|
| 会社へ渡したが返事がない | 担当部署と受領日、返却予定日を確認する |
| 誰が書く書類か分からないと言われた | 人事・総務など雇用保険手続の担当へ回してもらう |
| 特定の項目を書けないと言われた | どの項目を、なぜ証明できないのか確認する |
| 会社が証明自体を拒否している | 依頼記録と雇用条件の資料を持ってハローワークへ相談する |
| 1か月の申請期間が近い・過ぎた | 会社の返却を待ち続けずハローワークへ連絡する |
公式:厚生労働省「雇用保険の給付金は、2年の時効の範囲内であれば、支給申請が可能です」
会社は何を書くのかを先に知っておく
会社へ「再就職手当の書類を書いてください」とだけ頼むと、担当者が制度を知らず処理が止まることがあります。
まず本人側でも事業主証明の内容を把握しておくと話が早くなります。
ハローワーク墨田の記入案内では再就職手当支給申請書について、本人記入欄と事業主証明欄を明確に分けています。
事業主側で確認する主な内容は次のような項目です。
- 就職先の事業所名・所在地
- 雇用保険の事業所番号
- 雇入年月日
- 採用内定年月日
- 職種
- 1週間の所定労働時間
- 賃金月額
- 雇用期間
- 有期契約なら1年を超えて雇用する見込みがあるか
つまり会社へお願いしているのは「この人に再就職手当を支給してください」という推薦ではありません。
実際の雇用条件や採用日を事業主として証明してもらう手続きです。
再就職手当を支給するかどうかは会社が最終決定するものではありません。
厚生労働省のQ&Aでも支給申請書を受理した後にハローワークが審査して支給可否を判断すると案内しています。
公式:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」
最初は「書いてくれない理由」を4つに分ける
会社から書類が戻らないときはいきなり「拒否された」と決めず理由を分けます。
対応が変わるからです。
1. 担当部署まで届いていない
上司へ渡したまま人事や総務へ回っていないことがあります。
この場合は書類を渡した日と現在の担当部署を確認します。
「○日に上司へ渡した再就職手当の申請書は現在どの部署で処理されていますか」と聞けば十分です。
担当が分かれば返却予定日も合わせて確認します。
2. 会社側が誰の証明で出せばよいか分からない
本社一括で雇用保険手続きをしている会社もあれば、支店ごとに適用事業所となっている会社もあります。
現場の上司が書くのではなく、人事・総務・給与・雇用保険手続の担当へ回す必要があるケースがあります。
会社内で止まっているなら「雇用保険の適用事業所として証明できる担当部署へ回してほしい」と伝えると整理しやすくなります。
3. 雇用条件の一部を証明できない
ここは単なる事務遅延ではありません。
たとえば有期契約で会社が「1年を超えて雇用する見込み」を証明できない場合は再就職手当の支給要件そのものに関係します。
厚生労働省は再就職手当の要件の1つとして1年を超えて勤務することが確実であると認められることを挙げています。
短期契約なら契約更新条項や会社の雇用見込みがどうなっているかを確認する必要があります。
6か月契約など有期契約で「1年超の見込み」をどう判断するか迷っている人は次の記事で詳しく確認できます。

4. 会社が制度を誤解して証明を拒否している
「うちは再就職手当の対象会社ではない」「あなたは対象外だと思うから書かない」のように言われることも考えられます。
この場合は会社へ支給可否の判断を求めるのではなく、事実として証明できない項目が何かを聞きます。
再就職手当の支給要件には支給残日数、待期、内定時期、雇用見込み、応募経路など複数の条件があります。
会社が把握している情報だけで最終的な支給可否を決められるとは限りません。
たとえば「Indeedから直接応募したから対象外」と言われた場合も直接応募なら常に対象外という制度ではありません。
給付制限の有無や就職した時期によって紹介要件が変わります。

会社への再依頼は「書けない項目と理由」を聞く
一度依頼して返事がないときは「早く書いてください」とだけ催促するより処理状況と止まっている理由を聞いた方が進みやすくなります。
メールや社内チャットを使えるなら依頼した記録が残る方法が便利です。
長い説明は必要ありません。
再就職手当の申請に必要な事業主証明について確認をお願いいたします。
○月○日に申請書をお渡ししています。
現在の担当部署と返却予定日をご教示ください。
記載できない項目がある場合はその項目と理由も教えていただけますでしょうか。
申請手続きの確認が必要なため○月○日までに一度ご回答いただけると助かります。
会社が書けない理由を回答したらその内容をそのままハローワークへ伝えられます。
逆に「理由は分からないがとにかく書いてもらえない」状態ならそこで会社とのやり取りだけを続けずハローワークへ相談します。
試用期間が終わるまで待てと言われたら?
会社から「試用期間が終わらないと証明できない」と言われることがあります。
この場合も自分だけで待つ期間を決めない方が安全です。
ハローワークの事業主向け記入案内では証明は就職日以降に行うよう案内されています。
一方で再就職手当の支給要件には1年を超える勤務見込みなどもあるため会社が何を理由に証明を保留しているかで扱いが変わります。
「試用期間だから」という言葉だけではなく雇入年月日が確定していないのか、雇用期間の見込みを証明できないのか、単に社内ルールで待たせているのかを確認してください。
申請期間が近いならその回答を持ってハローワークへ相談します。
試用期間終了まで何もせず待つことを前提にしない方がよいでしょう。
1か月を過ぎそうでも会社から戻るまで待たない
再就職手当の通常の申請期間は就職日の翌日から1か月以内です。
ハローワーク上野などの公式Q&Aでもこの期間が案内されています。
ただし1か月を過ぎたらその瞬間に申請できなくなるわけではありません。
同Q&Aは就職日の翌日から2年を経過する日までなら申請可能と案内しています。
| 時期 | 考え方 |
|---|---|
| 就職日の翌日から1か月以内 | 通常の申請期間。会社の証明が遅いなら早めに相談する |
| 1か月を過ぎた | 即座に諦めない。2年の時効範囲内か確認して申請方法を相談する |
| 2年が近い | 会社対応を待ち続けずすぐ管轄ハローワークへ相談する |
公式:ハローワーク上野「よくある質問Q&A(雇用保険を受給中の方へ)」
2年の時効があることと、2年間放置してよいことは別です。
会社の担当者が退職したり雇用条件の確認に時間がかかったりする可能性もあるため証明が止まった時点で動く方が手戻りを減らせます。
ハローワークへ相談するときに持っていくもの
会社が証明してくれない場合でも雇用条件を示す資料を本人が勝手に会社証明へ置き換えることはできません。
一方で相談時に何も持たず「会社が書いてくれません」とだけ伝えるより確認材料をそろえた方が状況を説明しやすくなります。
- 再就職手当支給申請書など手元の申請書類
- 雇用保険受給資格者証
- 労働条件通知書や雇用契約書
- 採用通知書など就職日が分かる書類
- 会社へ証明を依頼したメールや社内チャットの記録
- 会社から「書けない」と言われた場合はその理由が分かる記録
- 会社の担当部署・電話番号
ハローワーク府中では採用証明書を就職後に提出する場合は採用者から通知された就職日が分かる通知書等を窓口で示すよう案内しています。
これは採用通知書だけで再就職手当の最終申請が完了するという意味ではありません。
相談時に就職日や雇用条件を確認する資料として持っていくと考えてください。
ハローワークにはこう伝える
相談するときは事情を時系列で伝えると話が早くなります。
再就職手当の申請書を○月○日に勤務先へ渡しました。
まだ事業主証明が戻っておらず、会社には○月○日に再確認しています。
会社からは「○○の項目を証明できない」と言われています。
就職日は○月○日です。
現在の書類で何を先に確認すべきか、申請の進め方を教えてください。
会社から理由を聞けていない場合は「理由の説明がなく証明が戻らない」とそのまま伝えます。
ハローワークが必ず会社へ連絡して証明を完成させてくれると決めつけるのではなく、自分のケースで必要な書類と次の対応を確認するために相談します。
会社欄は自分で書かない
期限が迫ると「雇用契約書を見ながら自分で会社欄を書けばよいのでは」と考えたくなります。
しかし再就職手当支給申請書は本人記入欄と事業主証明欄が分かれています。
ハローワーク墨田の記入例でも本人が書く欄と事業主へ証明を依頼する欄を分けて示しています。
雇入年月日、採用内定年月日、雇用期間、1年を超えて雇用する見込みなどは支給要件の審査に関わる項目です。
会社が書かないからといって本人が事業主になり代わって記入しないでください。
書類が戻らない場合は自己代筆ではなくハローワーク相談へ進みます。
公式:ハローワーク墨田「再就職手当関係書類の記入方法について」
会社が「対象外だから書かない」と言ったときの確認順
会社が支給対象外だと判断して証明を拒否した場合はまず何を理由に対象外と言っているのか確認します。
- 会社が証明できない具体的な項目を聞く
- 雇用契約書と実際の勤務条件を確認する
- 会社の回答を記録する
- その資料を持って管轄ハローワークへ相談する
たとえば「1年を超える雇用見込みがない」なら雇用期間の問題です。
「直接応募だったから対象外」なら応募経路と就職時期の問題です。
「前の会社と関係会社だから対象外」なら離職前事業主との関係の確認が必要です。
理由を分けずに「会社が書かない」という1つの問題として扱うと会社とハローワークで話がかみ合いにくくなります。
証明待ちの間に再就職先を辞めた場合
会社の証明が戻る前に再就職先を退職してしまったケースもあります。
この場合も「辞めたから申請できない」と自己判断しないでください。
ハローワーク上野は再就職手当を申請する前に離職していても申請できると案内しています。
ただし事業主証明は入社時点の契約内容に沿って記載する必要があります。
申請前に辞めた場合の再就職手当と失業給付の再開は次の記事で整理しています。

よくある質問
再就職手当の申請書を会社が1か月以内に返してくれません。もう申請できませんか?
1か月を過ぎたことだけで即座に申請できなくなるわけではありません。
厚生労働省は再就職手当について2年の時効範囲内なら申請期間を過ぎても申請可能と案内しています。
会社の証明が遅れている事情を管轄ハローワークへ早めに伝えてください。
会社が「試用期間が終わってから書く」と言っています。待つしかありませんか?
待つしかないと一律にはいえません。
まず会社がどの項目を証明できないと考えているのか確認します。
申請期間が近いなら試用期間終了まで何もせず待たず、会社の回答と雇用条件資料を持ってハローワークへ相談してください。
会社欄を雇用契約書を見ながら自分で書いてもいいですか?
会社欄を本人が事業主の代わりに記入する前提の書類ではありません。
本人記入欄と事業主証明欄は分かれているため証明されない場合は自己代筆せずハローワークへ相談します。
雇用契約書があれば会社の証明なしでも申請できますか?
雇用契約書があれば必ず事業主証明の代わりになるとは断定できません。
ただし雇入日、雇用期間、所定労働時間などを説明する相談資料にはなります。
契約書や労働条件通知書を持って管轄ハローワークに必要書類を確認してください。
会社が再就職手当の対象外だと言っています。会社の判断で決まりますか?
最終的な支給可否はハローワークが申請書類を審査して判断します。
ただし会社が実際の雇用条件を証明できない場合は支給要件に関わるため何の項目が問題なのかを確認する必要があります。
まとめ
再就職手当の申請書を会社が書いてくれないときはまず「担当に届いていない」「証明担当が分からない」「雇用条件を証明できない」「証明自体を拒否している」のどれかを確認します。
そのうえで会社へ返却予定日と書けない理由を再確認します。
通常の申請期間は就職日の翌日から1か月ですが1か月を過ぎただけで申請を諦める必要はありません。
再就職手当は2年の時効範囲内なら申請できるため会社の証明が止まっているなら早めに管轄ハローワークへ相談してください。
相談時は申請書、受給資格者証、雇用契約書、採用通知書、会社へ依頼した記録を持っていくと状況を説明しやすくなります。
会社欄を自分で埋めたり、契約書だけで必ず代用できると決めつけたりせず、実際の雇用条件と会社の回答をハローワークへ伝えるのが確実です。


