給料日を会社都合で変更された|支給日が後ろ倒し・翌月払いになるときの確認点

給料の振込・未払い・退職時精算

会社から突然、

「来月から給料日を15日から末日に変更します」

「給与計算の都合で今月から翌月払いになります」

と言われたら、気になるのは「会社が一方的に給料日を変更していいの?」という点でしょう。

特に困るのが、変更そのものより切り替え月の給料がなかなか入ってこないケースです。

毎月15日だった給料日が翌月末になれば、前回の給料から次の給料まで40日以上空くこともあります。

結論からいうと、会社が給料日を変更すること自体が直ちに違法になるわけではありません。

ただし会社が自由に変更できるわけでもありません。

確認したいのは次の4点です。

  • 変更後も毎月1回以上給料が支払われるか
  • 新しい給料日が明確に決められているか
  • 就業規則や労働条件通知書ではどうなっているか
  • 後ろ倒しが労働条件の不利益変更に当たる場合、適切な変更手続きが取られているか

また、恒久的な給料日の変更と、会社の資金繰りを理由に今月だけ支払いを遅らせることは別です。

まずは自分がどのケースなのか整理しましょう。

ケース確認ポイント
毎月15日→毎月末日に変更就業規則の変更や不利益変更の合理性を確認
当月払い→翌月払い切り替え月に給与が1回もない状態にならないか確認
「今月だけ15日→末日」とされた単なる給与遅延の可能性あり
15日→翌月末で40日以上空く日数だけでなく「各月に支払いがあるか」と変更手続きを確認
給料日になっても振り込まれない給料日変更ではなく未払い・遅延として確認

給料日は会社が勝手に変更できる?

「給料日は法律で25日と決まっている」のようなルールはありません。

会社ごとに、

  • 毎月10日
  • 毎月15日
  • 毎月25日
  • 毎月末日

など支給日を決めることができます。

ただし労働基準法24条では、賃金について原則として、

  • 通貨で支払う
  • 労働者本人へ直接支払う
  • 全額を支払う
  • 毎月1回以上支払う
  • 一定の期日に支払う

という「賃金支払の5原則」が定められています。

給料日の変更で特に関係するのが、

「毎月1回以上」

「一定の期日」

の2つです。

会社が新しい給料日を設定する場合も、このルールを守る必要があります。

毎月15日から末日に変更すること自体は違法?

たとえば会社から、

「これまで毎月15日払いだった給与を、来月から毎月末日払いに変更します」

と言われたとします。

変更後も毎月末日という明確な支給日があり、毎月少なくとも1回は給与が支払われる仕組みであれば、支給日を15日から末日に変更したという事実だけで直ちに労働基準法24条違反になるとは限りません。

ただし問題はもう一つあります。

これまで15日に受け取れていた給与が末日になるなら、労働者にとっては使えるお金が入ってくる時期が遅くなります。

そのため、

「労働基準法24条を守っているから会社が自由に変更していい」

ともいえません。

就業規則や労働契約の変更として適切かどうかも確認する必要があります。

給料日は就業規則に記載する項目

常時10人以上の労働者を使用する会社では、就業規則を作成して労働基準監督署へ届け出る必要があります。

就業規則に必ず記載しなければならない事項の一つが、

「賃金の締切り及び支払の時期」

です。

つまり、通常は就業規則を見ると、

「毎月末日締め、翌月25日払い」

などの記載があります。

給料日を変更する場合、会社は就業規則についても変更が必要になることがあります。

会社から給料日変更を告げられたら、まず現在の就業規則を確認してみましょう。

労働条件通知書にも給料日が書かれている

入社時にもらった労働条件通知書や雇用契約書も確認してください。

厚生労働省のモデル労働条件通知書にも、

  • 賃金締切日
  • 賃金支払日

を記載する欄があります。

たとえば、

賃金締切日:毎月末日

賃金支払日:翌月15日

などです。

入社時に「毎月15日払い」と明示されていたのに突然「これからは翌月末払い」と変更されたなら、単に給与計算上の日付が変わっただけではなく、労働条件が変更されたことになります。

給料日の変更に従業員の同意は必要?

ここは「給与支給日 変更 同意」で検索している人が特に知りたい部分でしょう。

原則として労働条件は会社と労働者の合意によって変更できます。

そのため、

「給料日を15日から末日に変更します」

「分かりました」

と双方が合意して変更することは可能です。

では従業員が同意しなければ絶対に変更できないのでしょうか。

必ずしもそうではありません。

就業規則の変更なら同意なしで有効になる場合もある

労働契約法では、使用者が労働者との合意なく就業規則を変更し、労働条件を不利益に変更することは原則としてできないとされています。

ただし例外があります。

変更後の就業規則を労働者へ周知し、その変更が合理的なものであれば、就業規則の変更によって労働条件が変更される場合があります。

合理性を判断するときには、

  • 労働者が受ける不利益の程度
  • 変更する必要性
  • 変更後の内容が相当か
  • 労働組合などとの交渉状況
  • その他の事情

などが考慮されます。

そのため、

「本人が同意していない=給料日の変更は必ず無効」

とは言い切れません。

反対に、

「会社が就業規則を書き換えれば何でも変更できる」

ということでもありません。

「過半数代表者に聞いたから変更できる」わけでもない

就業規則を変更するとき、会社は労働者の過半数で組織する労働組合があればその労働組合、それがなければ労働者の過半数代表者から意見を聴く必要があります。

ただし「意見を聴く」手続きを行ったことと、その労働条件変更が有効かどうかは別の問題です。

給料日を後ろ倒しにすることで大きな不利益が発生するなら、労働契約法上の合理性についても確認する必要があります。

「従業員代表がサインしたから、どんな変更でも有効」というわけではありません。

会社都合で今月だけ給料日を遅らせるのは別問題

ここが非常に重要です。

正式に給料日を変更するケースと、

「会社のお金が足りないから今月だけ遅らせる」

ケースを同じにしないでください。

たとえば就業規則に、

毎月20日払い

と書かれているのに、会社から突然、

「資金繰りが厳しいので今月だけ25日に払います」

と言われたとします。

これは将来に向けて支払日を変更しているというより、本来の給料日に賃金を支払わないという問題です。

労働基準法では一定期日払いが原則です。

会社側の資金繰りなどを理由に、その月だけ本来の支払日を後ろへずらせばよいわけではありません。

「給料日変更」と説明されていても、

  • 今月だけ遅れる
  • 来月になったら元の支給日に戻る
  • 給料日にお金を用意できなかった
  • 支払日直前に突然延期された

というケースなら、実態は給与支払いの遅延ではないか確認したほうがいいでしょう。

「15日から末日に変更されて40日以上空く」は違法?

給料日変更についてよく出てくるのが、

「次の給料まで40日以上空くのは違法では?」

という疑問です。

たとえば、

1月15日 従来の給料日
2月28日 変更後の給料日

となれば、次の入金まで40日以上空きます。

確かに生活への影響はかなり大きくなります。

ただし、40日を超えたら自動的に違法になるという「40日ルール」が労働基準法にあるわけではありません。

労働基準法24条が定めているのは「40日以内」ではなく、

毎月1回以上、一定の期日に支払うこと

です。

そのため単純に、

「前回から44日空いたから違法」

とは判断できません。

「40日空いた」と「1か月給与がない」は分けて考える

先ほどの例では、

1月15日に給与が支払われ、2月28日にも給与が支払われています。

1月にも2月にも給与支払日があります。

一方で、

1月31日 最後の給与
2月   給与なし
3月15日 次の給与

となれば話が変わります。

2月中に一度も賃金が支払われていません。

厚生労働省は「今月分は来月に2か月分まとめて払う」という扱いは、毎月1回以上払いの原則に反すると説明しています。

そのため給料日の変更で確認したいのは、

「前回から何日空いたか」だけではなく、変更によって給与が1回も支払われない月が発生していないか

です。

40日以上空くなら労働条件変更としての問題は残る

労働基準法24条の毎月払いに直ちに違反しないケースでも、それで問題がすべてなくなるわけではありません。

たとえば毎月15日から翌月末日に変更され、

  • 家賃
  • 住宅ローン
  • クレジットカード
  • 携帯料金
  • 光熱費

などの支払いに影響が出る人もいるでしょう。

給料日の後ろ倒しは、金額そのものを減らす変更ではありません。

それでも、労働者がお金を受け取れる時期が遅くなるという不利益があります。

変更幅が大きい場合は、

  • なぜ変更が必要なのか
  • いつから変更するのか
  • 変更月の生活への影響をどう扱うのか
  • 経過措置があるのか

なども確認しておきたいところです。

当月払いから翌月払いへの変更は特に注意

給料日の変更で最も影響が大きくなりやすいのが、

当月払い → 翌月払い

への変更です。

たとえば現在、

月末締め・当月25日払い

だった会社が、

月末締め・翌月25日払い

へ変更するとします。

給与計算の方法によって詳細は異なりますが、単純に移行すると変更月に給与支払いがなくなる可能性があります。

変更月に1回も給料がない状態にしていい?

原則として認められません。

労働基準法24条では、毎月少なくとも1回賃金を支払う必要があります。

したがって制度変更を理由に、

「今月は給料がありません。来月にまとめて払います」

とすることには問題があります。

会社側では変更時に経過措置を設けることがあります。

たとえば、

  • 変更月だけ一部を先に支払う
  • 移行分を別日に支払う
  • 給与計算期間を分割する

などです。

具体的な移行方法は会社によって異なりますが、少なくとも変更月に一度も賃金が支払われない設計になっていないかは確認してください。

「締め日変更」と「支給日変更」は違う

会社から、

「給与の締め日と支給日を変更します」

と言われることもあります。

この2つは別です。

給与の締め日

「どこまで働いた分を今回の給与として計算するか」を決める日です。

たとえば、

毎月末締め

なら、原則として1日から末日までを一つの給与計算期間として扱います。

給料の支給日

実際に給与が支払われる日です。

たとえば、

毎月末締め・翌月25日払い

なら、5月1日から5月31日までの給与を6月25日に支払うといった形です。

締め日だけ変更される場合と支給日まで後ろ倒しになる場合では、労働者への影響が違います。

会社から通知が来たら、

「締め日が変わるのか、支給日が変わるのか、それとも両方なのか」

を確認しましょう。

給料日を変更されたら最初に確認する5つのこと

会社から給料日の変更を伝えられたときは、感覚的に「違法だ」と判断するより、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

1.現在の給料日はどこに書かれているか

まず、

  • 労働条件通知書
  • 雇用契約書
  • 就業規則
  • 賃金規程

を確認します。

現在の支給日がどのように定められているか見てください。

2.新しい給料日はいつか

「来月から遅くなります」では不十分です。

たとえば、

変更前:毎月15日

変更後:毎月末日

のように具体的な日付を確認します。

「月末頃」「20日から末日まで」といった不明確な決め方では、一定期日払いの原則との関係で問題になります。

3.変更月にはいつ、いくら支給されるか

ここが一番重要です。

通常月の給料日だけでなく、切り替える月の給与スケジュールを確認してください。

たとえば、

1月15日 旧制度の給与
2月28日 新制度最初の給与

なのか、

1月15日 旧制度の給与
2月   支給なし
3月31日 新制度最初の給与

なのかでは大きく違います。

会社へ、

「変更月について、何日に、どの期間分が、いくら支給されますか」

と確認すると分かりやすいでしょう。

4.就業規則は変更されているか

常時10人以上の労働者がいる事業場なら、給与の支払時期は就業規則の必要記載事項です。

給料日を変更するのであれば、就業規則や賃金規程がどのように変更されたのか確認してみましょう。

変更後の就業規則は労働者へ周知する必要があります。

5.変更理由と経過措置はあるか

支給日が後ろ倒しになる場合、理由も確認しておきたいところです。

たとえば、

  • 給与計算業務を外部委託する
  • グループ会社で給与制度を統一する
  • 給与計算期間を変更する

などの事情が考えられます。

ただ単に、

「会社の都合だから」

「資金が足りないから」

というだけでは話が違ってきます。

特に生活への影響が大きい変更なら、会社がどのような経過措置を設けているかも確認してください。

会社へ確認するときは口頭だけで終わらせない

給与の問題なので、できれば記録を残しておきましょう。

メールや社内チャットなどで、

「給与支給日の変更について確認です。従来は毎月15日払いでしたが、○月から毎月末日払いへ変更という理解で合っていますか。変更月の給与は何日に、どの期間分が支払われる予定でしょうか」

などと確認しておくと、

  • いつ変更を通知されたか
  • 変更後の支給日はいつか
  • 会社がどう説明したか

が残ります。

就業規則の変更通知や会社からのお知らせも保存しておきましょう。

給料日を過ぎても振り込まれない場合は「変更」とは別に考える

就業規則や雇用契約書に、

毎月25日払い

と書かれているとします。

25日になっても振り込まれず、会社へ聞いたところ、

「今月は30日にします」

と言われた場合です。

これは最初から制度として給料日を変更したケースとは異なります。

従来の支払日を過ぎた後で支払いを延期しているなら、賃金の支払いが遅れている可能性があります。

会社から「支給日変更です」と言われても、それだけで問題がなくなるわけではありません。

本来の支給日、会社から通知された日、実際に振り込まれた日を記録しておきましょう。

給料日の変更で困ったらどこに相談する?

確認しても会社から説明がない場合や、給与が実際に支払われていない場合は外部へ相談する方法があります。

労働基準監督署

労働基準法24条の、

  • 毎月1回以上払い
  • 一定期日払い

などに違反している疑いがある場合は、労働基準監督署が相談先になります。

特に、

  • 給料日を過ぎても支払われない
  • 1か月まるごと給与の支払いがない
  • 資金繰りを理由に何度も支給日を延期される

といった場合は相談を検討してもいいでしょう。

総合労働相談コーナー

「給料自体は払われるが、一方的な給料日変更に納得できない」

「就業規則の変更が有効なのか知りたい」

といった労働条件変更の問題なら、総合労働相談コーナーでも相談できます。

厚生労働省によると、総合労働相談コーナーでは賃金や労働条件など幅広い職場トラブルについて無料で相談できます。

よくある質問

給料日を会社が一方的に変更するのは違法?

一方的に変更されたという事実だけで直ちに違法とは断定できません。

労働条件の変更は合意が原則ですが、就業規則の変更が労働者へ周知され、その変更に合理性が認められる場合は、個別の同意がなくても変更が有効になる場合があります。

ただし労働基準法24条の賃金支払ルールを守る必要があります。

給料日を15日から末日に変更するのは違法?

15日から末日へ変更したことだけで違法になるわけではありません。

変更後も毎月1回以上、一定の日に給与が支払われることに加え、就業規則や労働契約の変更として適切か確認する必要があります。

給料日が40日以上空いたら違法?

「40日以上なら違法」という決まりはありません。

重要なのは毎月1回以上の支払いがあるか、新しい給料日が一定の期日として定められているか、労働条件の変更が適切に行われているかです。

ただし変更によって給与がまったく支払われない月が発生する場合は、毎月払いの原則との関係で問題になります。

当月払いから翌月払いへ変更されたら?

変更そのものが直ちに禁止されているわけではありません。

ただし切り替えの結果、ある月に一度も給与が支払われない状態にならないか確認してください。

また支給時期が大きく遅くなるため、労働条件変更としての合理性や経過措置も確認したいところです。

給料日の変更には全社員の同意が必要?

必ず全員の個別同意が必要とは限りません。

労働条件変更は合意が原則ですが、合理的な就業規則変更として有効になる場合があります。

一方で会社が自由に不利益変更できるわけではありません。

給料日を会社の資金繰りで遅らせてもいい?

会社の資金繰りが厳しいという理由だけで、本来の給料日に支払わなくてもよいことにはなりません。

制度として将来の支給日を変更する話と、本来の支給日に払えない給与遅延は分けて考える必要があります。

就業規則を見せてもらえない場合は?

就業規則は労働者へ周知する必要があります。

「給与支給日の変更を確認したいので、現在適用されている就業規則または賃金規程を確認したい」と会社へ伝えてみましょう。

まとめ|給料日の変更は「何日遅くなったか」だけで判断しない

会社から給料日を変更されたとき、

「15日から末日になった」

「次の給料まで40日以上ある」

という日数だけで違法かどうかを判断するのは難しいところです。

確認したいのは次の点です。

  • 変更後も毎月1回以上給与が支払われるか
  • 給料日が明確な一定期日に決められているか
  • 労働条件通知書や雇用契約書ではどうなっているか
  • 就業規則や賃金規程は変更されているか
  • 支給日の後ろ倒しが不利益変更になる場合、変更に合理性があるか
  • 変更月に給与が1回も支払われない状態になっていないか
  • 恒久的な制度変更ではなく、単なる給与遅延ではないか

特に注意したいのは、会社から「給料日を変更します」と言われたものの、実際には資金不足などを理由に今月の給料だけ後ろへずらしているケースです。

正式な給料日変更と、支払うべき給与の遅延は同じではありません。

会社から変更を告げられたら、まず労働条件通知書と就業規則を確認し、**「変更月に何日に、どの期間分の給与が支給されるのか」**を具体的に聞いてみましょう。

参考資料