同じ派遣会社で派遣先だけ変わると再就職手当はもらえない?派遣元・派遣先の判定

再就職手当の条件・申請

同じ派遣会社から別の派遣先へ移ることになったとき

「派遣先が変われば再就職手当をもらえる?」

「いったん契約が終了しているなら再就職になる?」

と疑問に思う人もいるでしょう。

結論からいうと、前職と再就職後の派遣元が同じなら、派遣先が変わっても原則として再就職手当はもらえません。

ハローワークでも

「派遣元が離職前後で同一のため、就業先が異なっても該当しない」

という扱いが示されています。

つまり

派遣元A社 → 派遣先B社

から

派遣元A社 → 派遣先C社

へ変わっても、再就職手当では「同じ事業主への再就職」と判断されます。

さらに、A社との雇用契約を続けたまま派遣先だけB社からC社へ変わったのであれば、そもそも退職・再就職自体が発生していません。

派遣社員の再就職手当では、**「どこで働くか」ではなく「どの会社に雇われるか」**を見ることが重要です。

結論|同じ派遣会社なら派遣先が違っても原則対象外

まず代表的なケースをまとめます。

前の仕事次の仕事再就職手当の考え方
派遣元A・派遣先B派遣元A・派遣先C原則対象外
派遣元Aとの雇用継続・派遣先B派遣元Aとの雇用継続・派遣先Cそもそも再就職ではない
派遣元A・派遣先B派遣元D・派遣先C対象になる可能性あり
派遣元A・派遣先B派遣元D・派遣先B対象になる可能性あり
派遣元A・派遣先BB社に直接雇用対象になる可能性あり
派遣元A東京支店派遣元A埼玉支店法人が同じなら原則対象外
派遣元AA社と密接な関係がある別会社対象外になる場合あり

重要なのは派遣先ではなく派遣元です。

ただし「対象になる可能性あり」のケースでも、支給残日数や待期、1年を超える雇用見込みなど、再就職手当のほかの要件を満たす必要があります。

なぜ派遣先ではなく派遣元で判断する?

派遣社員は実際には派遣先の会社へ出勤します。

そのため

「B社での仕事が終わってC社で働き始めるなら、別会社への転職では?」

と思うかもしれません。

しかし派遣では、実際に働く会社と雇用主が分かれています。

関係を簡単にすると次のとおりです。

派遣社員 ←雇用関係→ 派遣元

派遣社員 ←指揮命令関係→ 派遣先

派遣社員と雇用契約を結んでいるのは派遣元です。

給与の支払いや雇用保険の手続きを行うのも基本的には派遣元になります。

一方、派遣先は実際に仕事をする場所で、業務上の指示を受ける会社です。

再就職手当には

離職前の事業主に再び雇用されたものではないこと

という支給要件があります。

そのため派遣社員の場合は

「前の派遣先と同じか」

ではなく

「前の派遣元と同じか」

を見ることになります。

派遣元Aのまま派遣先BからCへ変わった場合

たとえば次のケースです。

前の仕事

派遣元:A派遣会社
派遣先:B株式会社

次の仕事

派遣元:A派遣会社
派遣先:C株式会社

B社とC社はまったく別の会社です。

仕事内容も勤務地も変わるかもしれません。

それでも再就職手当の判定で見ると

A派遣会社 → A派遣会社

です。

ハローワークのQ&Aでも

派遣元が同じ場合は、就業先である派遣先が異なっていても再就職手当の対象外

とされています。

つまり

「派遣先が変わった」

だけでは、別会社への再就職とは判断されません。

そもそも派遣元を退職していない場合もある

さらに注意したいのが

派遣先での仕事が終了した=派遣会社を退職した

とは限らないことです。

たとえば

4月30日:B社での派遣終了

↓

5月1日以降:A派遣会社に在籍

↓

5月15日:C社での派遣開始

というケースです。

A派遣会社との雇用契約が続いているのであれば、A社を退職したわけではありません。

単に

派遣先B社 → 派遣先C社

へ就業場所が変わっただけです。

この場合は

「同じ派遣会社へ再就職したから再就職手当がもらえない」

以前に、そもそも離職・再就職が発生していません。

特に無期雇用派遣や常用型派遣では、この形になることがあります。

派遣先との契約終了と、自分と派遣会社との雇用契約終了は別なので注意しましょう。

一度退職してから同じ派遣会社へ戻った場合は?

では、A派遣会社をいったん完全に退職した場合はどうでしょうか。

たとえば

派遣元A・派遣先Bで勤務

↓

A社との雇用契約終了

↓

離職票を受け取る

↓

ハローワークで失業保険の手続き

↓

A社から新しい派遣先Cを紹介される

↓

再びA社と雇用契約を結ぶ

というケースです。

途中に失業期間があります。

新しい雇用契約も結び直しているため

「これは再就職だから再就職手当をもらえるのでは?」

と思うかもしれません。

しかし再就職後の雇用主もA社です。

再就職手当では、離職前の事業主に再び雇用された場合は対象になりません。

したがって

一度退職したかどうかではなく、次に雇われる会社がどこか

で考える必要があります。

数週間空いていても数か月空いていても、離職前と同じ派遣会社に再び雇用されるなら原則として対象外です。

失業保険の手続きをしていても同じ?

同じです。

たとえば

A派遣会社を退職

↓

ハローワークで受給資格決定

↓

待期7日終了

↓

失業認定

↓

A派遣会社から別の派遣先を紹介され再就職

となった場合でも、再就職先の事業主が離職前と同じA社なら再就職手当の要件を満たしません。

「失業保険の手続きを済ませたから、次は再就職扱いになる」わけではありません。

再就職手当では、再就職先と離職前の事業主との関係も確認されます。

派遣会社への「登録」が残っているだけなら?

登録型派遣では

「前の派遣会社にスタッフ登録が残っている」

という人もいるでしょう。

ここでは

派遣会社への登録

と

派遣会社との雇用契約

を分けて考える必要があります。

派遣会社のスタッフとして登録情報が残っているだけなら、必ずしも現在も雇用されているとは限りません。

派遣元との有期雇用契約が終了した後も、スタッフ登録だけ残っていることはあります。

問題になるのは、その後どこに雇われるかです。

A派遣会社との雇用契約が終了した後、再びA派遣会社から仕事を紹介されてA社と雇用契約を結べば

A社 → A社

への再就職になります。

つまり

「登録が残っているから再就職手当がもらえない」

のではありません。

逆に、一度登録を削除して再登録したとしても、同じ会社に雇用されるなら基本的な考え方は変わりません。

派遣会社が変われば再就職手当をもらえる?

次のケースなら状況が変わります。

前職

派遣元:A派遣会社
派遣先:B社

再就職

派遣元:D派遣会社
派遣先:C社

この場合は雇用主が

A社 → D社

へ変わっています。

そのため「離職前の事業主に再び雇用された」という理由だけで対象外にはなりません。

再就職手当のほかの支給要件も満たせば、対象になる可能性があります。

派遣社員の場合は

派遣先が変わったかではなく、派遣会社そのものが変わったか

を確認するのがポイントです。

派遣先は同じで派遣会社だけ変わった場合は?

反対に、次のようなケースも考えられます。

前職

派遣元:A派遣会社
派遣先:B株式会社

再就職

派遣元:D派遣会社
派遣先:B株式会社

働く場所は同じB社です。

しかし雇用主は

A社 → D社

へ変わっています。

そのため、派遣先が同じという理由だけで再就職手当の対象外になるわけではありません。

ほかの支給要件を満たせば、対象になる可能性があります。

ただしA社とD社がグループ会社などで、資本・人事・取引などについて密接な関係がある場合には別の問題が出てきます。

グループ会社の派遣会社へ移った場合は?

たとえば

前職:ABCスタッフ株式会社

↓

再就職:ABCキャリア株式会社

のように、会社名は違うものの同じ企業グループというケースです。

「法人が違うなら大丈夫」

とは限りません。

再就職手当では、離職前の事業主だけでなく

資本・資金・人事・取引などの状況から離職前の事業主と密接な関係にある事業主

への再就職も対象外になります。

そのため、同じグループの別会社へ就職する場合は個別確認が必要です。

会社名だけを見て自己判断しないほうがよいでしょう。

同じ派遣会社の別支店へ移った場合は?

たとえば

前職:Aスタッフ株式会社 東京支店

↓

再就職:Aスタッフ株式会社 大宮支店

というケースです。

支店が変わっていても、法人そのものが同じなら基本的には同じ事業主です。

つまり

Aスタッフ株式会社 → Aスタッフ株式会社

なので、原則として再就職手当の対象にはなりません。

見るべきなのは

「東京支店」

「大宮支店」

といった支店名ではなく雇用契約を結んでいる法人の正式名称です。

一方

Aスタッフ株式会社

と

Aキャリア株式会社

のように似た名称でも別法人の場合があります。

迷ったときは雇用契約書や労働条件通知書を確認してください。

前の派遣先に直接雇用されたら?

派遣社員から派遣先の直接雇用へ切り替わるケースもあります。

たとえば

派遣元:A派遣会社
派遣先:B株式会社

で働いていた人がA社を退職し、その後B社と直接雇用契約を結ぶケースです。

派遣社員だったときの雇用主はA社です。

直接雇用された後の雇用主はB社です。

つまり

A派遣会社 → B株式会社

へ雇用主が変わります。

そのため「離職前と同じ事業主への再就職」という理由だけで対象外になるケースではありません。

ほかの支給要件を満たしていれば、再就職手当を受けられる可能性があります。

ただし離職前の事業主との密接な関係などについて確認される場合もあるため、最終的な支給可否はハローワークが判断します。

3か月・6か月更新の派遣でも再就職手当はもらえる?

別の派遣会社へ転職した場合でも、もう一つ確認したい条件があります。

再就職手当には

1年を超えて勤務することが確実と認められること

という要件があります。

派遣では

「3か月契約」

「6か月契約」

を更新しながら働くケースもあります。

契約期間が3か月や6か月だからという理由だけで、必ず再就職手当が対象外になるわけではありません。

契約更新によって1年を超えて働く見込みが認められるかがポイントになります。

一方

「6か月で契約終了・更新なし」

など、最初から1年を超えて勤務する見込みがない場合は要件を満たさない可能性があります。

別の派遣会社に転職した場合は

派遣元が変わっているか

だけでなく

1年を超えて働く見込みがあるか

も確認してください。

派遣社員が再就職手当を判断する5ステップ

自分が対象になるのか分からない場合は、次の順番で確認すると分かりやすくなります。

1.前の派遣元との雇用契約は終了した?

派遣先での仕事が終了しただけでは、派遣元を退職したとは限りません。

まず雇用契約そのものが終了しているか確認します。

2.次の雇用主はどこ?

次に働く派遣先ではなく、雇用契約を結ぶ会社を確認します。

労働条件通知書や雇用契約書を見ると分かります。

3.前と次の派遣元は同じ?

同じ法人なら、派遣先が違っていても原則として再就職手当は対象外です。

4.別法人なら前職の会社との関係を確認

グループ会社などの場合、離職前の会社と密接な関係がある事業主として扱われる場合があります。

5.そのほかの再就職手当の条件を確認

別の派遣会社へ就職しただけでは、再就職手当の支給が確定するわけではありません。

主に次の条件があります。

  • 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある
  • 1年を超えて勤務することが確実と認められる
  • 待期満了後の就職である
  • 離職前の事業主や密接な関係にある事業主への再就職ではない
  • 過去3年以内の就職について再就職手当や常用就職支度手当を受給していない
  • 受給資格決定前から採用が内定していた会社への就職ではない

給付制限がある場合は、就職した時期や職業紹介の方法について追加の条件が関係することもあります。

よくある質問

同じ派遣会社で派遣先だけ変わったら再就職手当はもらえませんか?

前職と再就職後の派遣元が同じなら、派遣先が違っても原則として対象外です。

ハローワークでも、派遣元が離職前後で同一なら就業先が異なっても再就職手当には該当しないと案内されています。

一度派遣会社を退職していればもらえますか?

一度退職していたとしても、再び同じ派遣会社に雇用されれば原則として対象外です。

「一度退職したか」ではなく「離職前と再就職後の事業主が同じか」で判断します。

1か月空いてから同じ派遣会社へ戻った場合は?

空白期間があるだけでは対象になりません。

離職前と再就職後の事業主が同じ派遣会社なら原則対象外です。

派遣会社への登録が残っているだけでもダメですか?

派遣登録と雇用契約は別です。

登録情報だけが残っていることだけで判断するのではなく、実際にどの会社と雇用契約を結ぶのかを確認します。

別の支店なら再就職手当をもらえますか?

支店が違っていても法人が同じなら、基本的には同じ事業主です。

会社の正式名称を確認してください。

派遣先は同じで派遣会社だけ変わった場合は?

雇用主である派遣元が別会社へ変わっているなら、派遣先が同じという理由だけで対象外にはなりません。

ほかの支給要件を満たせば対象になる可能性があります。

元の派遣先に直接雇用された場合は?

派遣社員として働いていたときの雇用主は派遣元です。

派遣先と直接雇用契約を結べば雇用主が変わるため、ほかの条件を満たせば再就職手当の対象になる可能性があります。

まとめ|派遣先ではなく「雇用主が変わったか」を確認する

派遣社員の再就職手当で最も重要なのは

派遣先ではなく派遣元を見ること

です。

たとえば

派遣元A → 派遣先B

から

派遣元A → 派遣先C

へ変わっても、雇用主はA社のままです。

A社との雇用契約が続いているのであれば、そもそも離職・再就職ではありません。

一度A社を退職して失業保険の手続きをしていた場合でも、その後再びA社に雇用されれば離職前と同じ事業主への再就職となるため、原則として再就職手当は対象外です。

一方

派遣元A → 派遣元D

のように派遣会社自体が変わる場合や、派遣先へ直接雇用される場合は対象になる可能性があります。

迷ったときは

「前はどの会社と雇用契約を結んでいたか」

「次はどの会社と雇用契約を結ぶのか」

を比べてください。

派遣先の会社名ではなく、雇用契約書や労働条件通知書に記載されている正式な法人名を確認するのがポイントです。

参考資料