総務の仕事でも、実際に担当した業務が「労働衛生の実務」に当てはまれば、衛生管理者試験の実務経験として使えます。
ただし、総務部に在籍していた期間がそのまま実務経験になるわけではありません。
安全衛生技術試験協会は、労働衛生の実務を「事業主が労働者に命じて、労働者の健康保持につながる措置を行う業務」と説明しています。
健康診断結果の取りまとめ、疾病統計の作成、衛生管理者の補助業務などは具体例として示されています。
一方、デスク周りの清掃や電球交換だけでは該当しません。
| 総務で担当していた仕事 | 考え方 |
|---|---|
| 健康診断の実施準備・結果の取りまとめ | 労働衛生の実務に当たり得る |
| 疾病統計の作成 | 公式FAQの具体例 |
| 衛生管理者の補助業務 | 公式FAQの具体例 |
| 衛生教育や作業条件・設備の衛生上の改善 | 現行の事業者証明書に示される範囲 |
| 給与計算・採用・社会保険手続きだけ | その仕事だけでは労働衛生の実務と確認できない |
| デスク周りの清掃・電球交換だけ | 公式FAQで対象外と明記 |
まず自分の担当業務を確認し、次に必要な実務年数を確認します。
最後に、会社へ事業者証明書の作成を依頼する流れで考えると分かりやすいです。
総務かどうかではなく、実際に担当した仕事で判断する
衛生管理者試験の受験資格では、「総務」「人事」「安全衛生担当」といった部署名そのものは判定基準ではありません。
見るべきなのは、実際にどの業務を担当していたかです。
たとえば同じ総務担当でも、健康診断の結果取りまとめや衛生管理者の補助を継続して担当していた人と、採用・給与計算・備品発注だけを担当していた人では状況が違います。
もう一つ混同しやすいのが、「総務部長が事業者証明をできる」というルールです。
これは証明者になれる人の話であって、総務の仕事すべてが実務経験になるという意味ではありません。
現行の事業者証明書では労働衛生の実務を3つの大枠で示している
2026年9月17日に安全衛生技術試験協会の衛生管理者用「労働衛生実務経験証明書」を確認したところ、労働衛生の実務は次の3つの大枠で示されています。
- 労働環境衛生に関する調査または研究
- 作業条件、設備などの衛生上の改善
- 衛生教育、健康診断その他労働者の健康保持のために必要な措置など
さらに公式FAQでは、健康診断結果の取りまとめ、疾病統計の作成、衛生管理者の補助業務などが具体例として挙げられています。
総務で安全衛生も兼務していた人は、自分の仕事内容がこの範囲に入るかを確認します。
健康診断の事務を担当していた場合
ポイントは「自分が健康診断を受けたか」ではなく、会社側で労働者の健康管理に関する業務を担当していたかです。
健康診断の実施準備や結果の取りまとめなどを担当していたなら、実務経験として証明できる可能性があります。
総務と安全衛生を兼務していた場合
兼務でも受験資格の対象になり得ます。
ただし、単純な勤続年数ではなく、会社が「労働衛生の実務に従事した期間」として証明できる期間を確認します。
「総務に3年いたから3年分」と決めるのではなく、いつからどの労働衛生業務を担当していたかを整理して会社へ伝えるのが先です。
必要な実務経験は代表的には1年・3年・10年
第一種・第二種衛生管理者の代表的な受験資格は次のとおりです。
| 学歴など | 必要な労働衛生の実務経験 | 主な添付書類 |
|---|---|---|
| 大学・短期大学・高等専門学校を卒業 | 卒業後1年以上 | 卒業証明書等+事業者証明書 |
| 高校・中等教育学校を卒業 | 卒業後3年以上 | 卒業証明書等+事業者証明書 |
| 学歴を使わず実務経験で受験資格を満たす | 10年以上 | 事業者証明書 |
受験資格にはほかのルートもあります。
専門課程や職業訓練の修了などに該当する場合は、安全衛生技術試験協会の受験資格一覧で自分のコードを確認してください。
大卒で5年間勤務していても、会社が労働衛生の実務として証明できる期間が1年未満なら、代表的な「大卒後1年以上」の条件は満たしません。
反対に、部署名が総務でなくても、対象業務を必要期間担当していれば受験資格につながります。
転職していても複数社の実務経験は合算できる
前職と現職など、複数の会社で労働衛生の実務に従事していた場合は、その期間を合算できます。
ただし、現在の会社が過去の会社の分までまとめて証明することはできません。
合算に使う会社ごとに事業者証明書を作成してもらいます。
たとえば大卒の人が前職で8か月、現職で6か月の労働衛生実務を証明できるなら、期間としては1年以上になります。
申請時は前職分と現職分の証明書をそれぞれ用意します。
派遣社員は派遣元に証明を依頼する
公式FAQでは、派遣社員が受験する場合の事業者証明書は派遣元が作成すると案内されています。
派遣先で健康診断や安全衛生に関わる仕事をしていた場合でも、証明書の依頼先を取り違えないようにしてください。
前の会社が倒産している場合も方法がある
前職が倒産していて通常の会社証明をもらえない場合、公式FAQでは、元上司による証明と本人確認書類を添付する方法、または元同僚2名の連名による証明と本人確認書類を添付する方法が案内されています。
前職がなくなっているからといって、その期間をすぐ諦める必要はありません。
該当する場合は、申請予定の安全衛生技術センターへ必要書類を確認してから準備すると確実です。
実務経験は会社の「事業者証明書」で証明する
衛生管理者試験では、労働衛生の実務経験を自己申告するだけでは足りません。
安全衛生技術試験協会の所定様式で、勤務先から事業者証明を受けます。
証明は、会社の代表者だけでなく、業務経歴を管理する部門の長でも受けられます。
協会は例として、人事部長や総務部長を挙げています。
証明書には、労働衛生の実務に従事した期間、合計年数・月数、事業場名、事業者の職名・氏名、担当者の職名・氏名などを記入します。
協会が証明内容について担当者へ問い合わせる場合もあります。
会社へ頼む前に「仕事内容」と「期間」をメモしておく
人事や総務へ「衛生管理者を受けるので証明してください」とだけ伝えるより、自分が担当した労働衛生業務と期間を整理してから依頼した方が確認しやすくなります。
第一種(または第二種)衛生管理者試験の受験申請で、事業者証明書が必要です。
○年○月から○年○月まで、健康診断の実施準備・結果の取りまとめ、衛生管理者の補助などを担当していました。
安全衛生技術試験協会の所定様式で、労働衛生の実務期間として証明可能か確認をお願いします。
会社側で担当内容や期間の確認が必要になるため、当時の所属、担当業務、異動時期も一緒に伝えられるようにしておくと進めやすくなります。
自分の仕事が当てはまるか微妙なら、業務内容を具体的に伝えて確認する
「総務ですが受験できますか」だけでは、個別の実務内容が分かりません。
判断に迷う場合は、受験予定の安全衛生技術センターへ、実際に担当した仕事を具体的に伝えて確認します。
たとえば「年1回の健康診断で対象者の連絡だけを担当した」「人事労務と安全衛生を兼務していて担当期間を切り分けにくい」など、迷っている点まで伝えると確認しやすくなります。
実務経験を多く見せるために、担当していない期間まで含めて証明を依頼するのは避けます。
受験資格は、会社が実際の業務経歴として証明できる内容でそろえる必要があります。
受験資格を確認してから試験対策へ進む
総務経験を使えそうでも、まずは事業者証明書を出してもらえるか確認するのが先です。
実務経験の目途が立ってから、第一種・第二種のどちらを受けるか決めて試験対策へ進めば、講座や教材を申し込んだ後に受験資格で止まるのを防げます。
よくある質問
総務部で1年以上働けば、大卒なら受験できますか?
総務部に在籍した期間だけでは判断できません。
大学・短期大学・高等専門学校を卒業した人の代表的な受験資格は、卒業後1年以上の「労働衛生の実務」です。
実際の担当業務と、その業務に従事した期間を確認してください。
給与計算や社会保険の手続きは実務経験になりますか?
給与計算や社会保険手続きだけで労働衛生の実務に該当すると判断することはできません。
健康診断結果の取りまとめや衛生管理者の補助など、労働者の健康保持につながる業務も担当していたかを分けて確認します。
前職と現職の経験を合算できますか?
できます。
ただし、合算に使うそれぞれの会社で事業者証明書を作成してもらう必要があります。
派遣社員は派遣先に証明を頼みますか?
公式FAQでは、派遣社員の事業者証明書は派遣元が作成するとされています。
まとめ
総務の仕事でも、健康診断結果の取りまとめ、疾病統計の作成、衛生管理者の補助など、実際に労働衛生の実務を担当していれば受験資格の実務経験に使えます。
一方、総務という部署名だけでは足りません。
自分の担当業務と期間を整理し、必要年数を確認したうえで、会社へ事業者証明書を依頼します。
転職で複数社の経験を合算する場合は会社ごとに証明書が必要で、派遣社員は派遣元が証明します。
業務が対象になるか迷う場合は、「総務です」とだけ聞くのではなく、実際に担当した仕事内容と期間を安全衛生技術センターへ伝えて確認してください。
参考資料
- 安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者の紹介」
- 安全衛生技術試験協会「免許試験についてよくあるご質問」
- 安全衛生技術試験協会「添付書類の作り方について」
- 安全衛生技術試験協会「事業者証明書等様式(ダウンロード)」
2026年9月17日確認。受験資格や様式は変更される場合があります。申請時は安全衛生技術試験協会の最新案内を確認してください。

