2026年4月から101人以上の会社は男女の賃金差と女性管理職比率を公表|転職前の見方

求人票の基本・募集背景・企業情報

求人票に「女性が活躍しています」と書かれていても、給与や昇進の実態までは分かりません。転職前に会社を調べる際、その言葉を具体的な数字で確かめる材料が増えました。

2026年4月1日から、常時雇用する労働者が101人以上の企業では、男女間賃金差異と女性管理職比率の公表が必須になりました。これまで男女間賃金差異の公表義務があった301人以上の企業に加え、101~300人の企業も対象となり、女性管理職比率も101人以上で必須化されています。

ただし、4月1日にすべての企業の新しいデータがそろうわけではありません。また、賃金差異の数字だけで「女性の給料が一律に低い会社」と判断するのも早計です。この記事では、2026年9月25日時点の公的資料をもとに、制度の変更点と、転職先を選ぶための読み方を解説します。

2026年4月の女性活躍推進法改正で何が変わった?

今回の変更は、会社が公表する情報の必須項目を増やすものです。企業規模ごとの違いは、次のようになります。

常時雇用する労働者数 男女間賃金差異 女性管理職比率
301人以上 2022年7月8日から公表義務あり 2026年4月1日から公表必須
101~300人 2026年4月1日から公表必須 2026年4月1日から公表必須
100人以下 女性活躍推進法に基づく情報公表は努力義務

101~300人の企業は、この2項目に加えて、採用や継続勤務、残業、休暇などに関する所定の項目から1項目以上を選び、計3項目以上を公表します。301人以上の企業は、機会の提供と仕事・家庭の両立に関する2つの区分からそれぞれ1項目以上を加え、計4項目以上を公表します。

つまり、必須になった2つの数字だけでなく、企業がほかに何を公開しているかも確認できます。ただし、残業時間や育休取得率など、すべての項目が全社で一律に掲載されるわけではありません。

「101人以上」は正社員の人数だけではない

常時雇用する労働者には、期間の定めなく雇用されている人のほか、有期契約でも過去1年以上継続して雇用されている人や、雇入れ時点で1年以上の継続雇用が見込まれる人などが含まれます。条件に当てはまるパート・アルバイトも対象です。

求人票の「正社員数」だけで公表義務の有無を判断しないようにしましょう。この記事では、転職先となる民間企業等の情報公表を扱います。

いつから見られる?初回公表は各社の事業年度で違う

新たに義務化された項目は、2026年4月1日以後に最初に終了する事業年度の実績を、次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表する扱いです。

事業年度の例 最初の対象となる年度 初回公表の目安
毎年5月~翌年4月 2025年5月~2026年4月 2026年7月末ごろまで
毎年1月~12月 2026年1月~12月 2027年3月末ごろまで
毎年4月~翌年3月 2026年4月~2027年3月 2027年6月末ごろまで

その後も、おおむね1年に1回以上、最新の数値を公表する必要があります。女性管理職比率は、公表時点で得られる最新の情報を使い、古くとも前事業年度時点の情報とする扱いです。

たとえば、101~300人で3月決算の会社について、2026年9月に新しい賃金差異が見つからなくても、それだけで公表義務違反とはいえません。一方、301人以上の会社が従来から負っている男女間賃金差異の公表義務まで、2027年に先送りされたわけではありません。

転職前に「女性の活躍推進企業データベース」で調べる手順

厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」では、企業が公表する女性の活躍状況や行動計画を確認できます。求職者が企業研究に使うことも想定されたサイトです。

女性の活躍推進企業データベースを開く

  1. 求人票の雇用主名を確認する。店舗名・サービス名だけでなく、採用する会社の正式名称を控える。
  2. 企業名で検索する。候補を広げたい場合は、詳細検索の業種・企業規模・都道府県などを使う。
  3. 応募先と同じ会社か確認する。同名企業や親会社と取り違えないよう、所在地なども照合する。
  4. 公表日と対象期間を先に見る。どの年度、どの範囲の労働者の数字なのかを確認する。
  5. 賃金差異・女性管理職比率・説明欄・行動計画を読む。気になる点を、面接で確認する質問に変える。

特に男女間賃金差異は、原則として事業主ごとの公表です。グループの有名な親会社の数字が、応募する子会社の待遇を示しているとは限りません。また、全社の数字だけでは、配属予定の部署や職種の実態までは分かりません。

検索して出ないときは、会社のホームページも確認する

情報公表は、企業自身のホームページへの掲載でも差し支えありません。データベースに掲載がないことと、どこにも公表していないことは別です。

見つからなければ、会社の採用情報、サステナビリティ、人材・人的資本、女性活躍推進などのページを確認します。それでも不明なら、「女性活躍推進法に基づく公表データの掲載先を教えていただけますか」と採用担当者へ尋ねる方法があります。100人以下の企業や、初回公表時期を迎えていない企業もあるため、未掲載だけで評価を決めないことが大切です。

男女間賃金差異が80%なら、どう読む?

公表される男女間賃金差異は、基本的に次の計算です。

女性の平均年間賃金 ÷ 男性の平均年間賃金 × 100

たとえば、男性の平均年間賃金が500万円、女性が400万円なら80%です。「男性の平均を100としたとき、女性の平均は80」という意味であり、「80%の差がある」という意味ではありません。100%なら平均が同じで、100%を超える場合もあります。

全労働者・正規・非正規の3区分をセットで見る

男女間賃金差異は、全労働者、正規雇用労働者、非正規雇用労働者の3区分で公表します。自分が正社員で応募するなら、全労働者の数字だけでなく、正規雇用労働者の数字を必ず確認しましょう。

たとえば、全労働者では70%、正規雇用労働者では90%という架空の会社があったとします。この2つの数値を見たら、雇用形態や勤務時間の構成に男女で違いがあるかを調べるきっかけになります。70%だけを見て、自分の採用時の給与も男性の7割になると考えることはできません。

非正規の区分に該当する人がいないなど、計算できない区分は「-」で公表される場合があります。「-」を賃金差ゼロや、必ず隠しているという意味に読み替えないようにしてください。

同じ仕事・同じ勤続年数の給与を直接比べた数字ではない

企業全体の平均には、役職、職種、勤続年数、労働時間、雇用形態などの違いが反映されます。採用を増やして若い女性社員が多くなった場合に、平均の差が一時的に広がることもあります。

ただし、「構成が違うから問題はない」とも言い切れません。管理職に進む機会や、長く働き続ける環境に男女差があるなら、それ自体が転職前に知りたい情報です。差の大きさ、差が生まれた理由、その理由に対する取組まで確認しましょう。

説明欄では、賃金から除いた手当、パートの労働時間を考慮した人数換算、対象者の範囲など、計算の前提も確認します。別の企業と比べるときは、同じ年度・同じ雇用区分をそろえると、読み違いを減らせます。

女性管理職比率は「女性社員のうち何人が管理職か」ではない

女性管理職比率は、管理職全体に占める女性の割合です。管理職が10人いて、そのうち女性が2人なら20%となります。女性社員全体の20%が管理職になっている、という意味ではありません。

この制度でいう管理職は、課長級とそれより上位の役職にある労働者で、役員は除きます。役職名だけでなく、実際の職務や責任も判断に関わります。会社が独自に紹介する「女性リーダーの割合」や「女性役員比率」と、そのまま同じ数字として比較しないでください。

読むときは、女性従業員の割合や係長級の割合など、公表されているほかの情報も確認します。たとえば女性従業員は多いのに管理職が少ないなら、登用の実績や育成の仕組みを聞く理由になります。ただし、比率だけで個人の昇進しやすさが確定するわけではありません。

管理職が少人数の会社では、1人の就任・退任でも割合が大きく動きます。人数が分かる場合は分母も確認し、過去の推移があれば一緒に見てください。

数字を見た後、面接で何を聞けばいい?

公表データは、企業を一発で採点するためだけのものではありません。自分の職種や働き方に関係する質問を準備するために使うと、転職先選びに役立ちます。以下は本記事で作成した質問例です。

公表データで気になった点 面接での質問例
正規雇用の男女間賃金差異が気になる 公表されている賃金差異の主な要因と、今回の募集職種における等級・給与の決め方を教えていただけますか。
女性管理職比率が低い 配属予定部門での管理職登用の実績や、中途入社者が昇進する際の評価基準を教えてください。
行動計画に登用目標がある この目標に向けて実施している取組と、現在までの進捗を伺えますか。
残業時間の全社平均は少ない 配属予定部門では、通常月と繁忙期の残業はどの程度ですか。
制度の紹介はあるが利用実態が分からない 同じ職種での制度利用例や、利用中の担当業務・評価の扱いを教えていただけますか。

聞き方は、「この数字は悪いのでは」と結論をぶつけるより、データを読んだうえで応募職種との関係を確認する形にすると、話を具体化しやすくなります。

回答を見る際も、印象のよい言葉だけでなく、「評価基準を説明できるか」「配属先の実績があるか」「今後の目標と実施内容が結びついているか」をメモしましょう。企業間の比較には、同じ質問を使うと整理しやすくなります。

働き続けやすさと、昇進・キャリアの機会を両方見る

残業や有給休暇、育児休業の実績は、生活と仕事を両立する際の判断材料になります。一方で、女性管理職比率や雇用形態の転換実績などは、その会社でどのようなキャリアを築けるかを考える材料です。

公開されている範囲で両方を確認し、「休みやすそうだが、自分の希望する仕事を続けられるか」「昇進の機会はあるが、必要な働き方と両立できるか」を考えましょう。女性活躍に関するデータは、男性にとっても評価制度や働き方を知る材料になります。

自分の給与・勤務地・業務は、個別の労働条件で確認する

企業の公表データが良好でも、自分に提示された年収や配属先の条件まで保証するものではありません。内定後は、基本給、手当、固定残業代、賞与の条件、業務内容、勤務地などを、労働条件通知書等で確認してください。

求人票や面接の説明と、提示された条件が違う場合の確認方法は、次の記事で整理しています。

求人票と実際の労働条件が違うときはどうする?入社前・入社後の対処法
求人票と面接・労働条件通知書・入社後の給料や仕事内容が違うときの対処法を解説。証拠の残し方、会社への確認、即時解除、相談先、退職後の失業手当まで整理します。

転職前は「対象年度・3区分・説明・配属先」を確認する

応募先のデータを見つけたら、次の4点を控えるだけでも、面接の準備が進みます。

  • 対象年度:いつの数字で、どの会社のデータか。
  • 賃金差異の3区分:全労働者だけでなく、自分が応募する雇用区分ではどうか。
  • 説明と目標:差異や管理職比率の背景、改善に向けた取組は何か。
  • 配属先:全社の数字と、自分が働く職種・部署の実態に違いはないか。

2026年4月の改正で、101~300人の企業についても比較材料が増えていきます。数値だけで候補を落としたり安心したりせず、公開情報から質問を作り、回答と個別の労働条件を合わせて判断しましょう。

参考資料

制度は2026年9月25日時点で確認しています。数値例は説明用の架空例、面接での質問例は本記事独自のものです。