林業の学校で基礎から学びたいけれど、仕事を辞めたあとの生活費が心配。そんなときに確認したい制度が、緑の青年就業準備給付金です。
林業への就業を目指して、都道府県が認めた林業大学校などで長期研修を受ける人を支援する給付金です。原則として就業予定時に45歳未満であること、常用雇用の契約を結んでいないことなどの条件があります。
国の2026年度の案内では年間最大155万円または125万円、最長2年間ですが、実際の給付額は学校・予算・研修期間によって異なります。また、卒業後の就業や報告の条件を守らないと返還が必要です。金額だけで決めず、「自分が対象か」「生活費が足りるか」「卒業後の進路が合うか」を順番に確認しましょう。
2026年9月13日確認。国の2026年4月7日改正実施要領と各学校・自治体の案内に基づきます。次年度の募集案内に載る金額は、給付決定額を保証するものではありません。
緑の青年就業準備給付金とは?林業を学ぶ間の生活を支える制度
対象となるのは、林業に必要な知識や技術を学び、将来は林業の担い手として働く意思がある人です。林野庁は、林業大学校などで研修に専念できるよう給付する制度として案内しています。
「緑の雇用」とは利用する段階が違います。緑の青年就業準備給付金は就業前の学びを支え、緑の雇用は林業事業体が新しく雇った人などに行う研修を支援します。会社へ就職したら全員にこの給付金が出るわけではありません。出典:林野庁「『緑の雇用』事業と林業労働力の確保・育成について」
また、数日間の体験会やチェーンソーの資格講習に参加するだけで、年間の給付金が出る制度でもありません。対象は認められた長期の研修計画です。まだ林業を仕事にするか迷っている段階なら、短い体験・就業支援講習で現場を知る方法もあります。

対象条件は?社会人も年齢・雇用・研修先を確認する
社会人経験があること自体は、対象外になる理由ではありません。例えば兵庫県立森林大学校は、入学者に社会人・大学卒業者がいることを案内しています。ただし、学校へ入学できる条件と、給付金を受けられる条件は別です。出典:兵庫県立森林大学校「FAQ」
年齢は「林業に就業する予定の時点」で見る
国の要領では、原則として林業への就業予定時に45歳未満であることが条件です。今44歳だから必ず対象になるとはいえず、課程の長さと卒業・就業予定を合わせて確認します。
一方、就職氷河期世代には例外があります。1993~2004年に学校卒業期を迎えた世代のうち、研修開始の前年度に、正規雇用を希望しながら不本意に非正規雇用で働いていた人、または就業を希望しながら事情があって求職活動をしていなかった長期無業者は、就業予定時の年齢を問わない扱いです。その年代なら全員が対象になる、という例外ではありません。
45歳以上の人も、年齢だけで諦めず、これまでの就業状況と希望する課程を窓口へ伝えましょう。県独自に年齢の対象を広げている例も、後半で紹介します。出典:林野庁「緑の青年就業準備給付金事業実施要領」第3
対象の長期課程か、働き方や他の給付が条件に合うか
- 研修先・時間:都道府県が認めた研修機関等で、概ね1年・年間1,200時間以上などの基準に合う研修計画が必要です。学校名だけでなく課程まで確認します。
- 雇用契約:常用雇用の契約を結んでいないことが必要です。在職したまま学ぶ予定なら、入学の可否と給付の可否を分けて相談します。
- 他の給付:生活費の確保を目的とする国の他の給付等は、原則として併給できません。
- 過去の受給:本事業の給付金を過去に受けていないことなどが求められます。
これらは主な確認項目です。受給希望を伝え、研修計画の審査を受ける必要があります。申請すれば自動的に給付されるわけではありません。出典:兵庫県立森林大学校「就学支援」
アルバイトを考えている人は、契約期間・勤務時間と授業の予定を伝えて確認してください。「正社員という名称ではないから問題ない」とは判断しないようにします。
失業保険との併給も先に確認が必要です。高知県立林業大学校のFAQでは、失業保険や生活保護などとの重複受給はできないと説明しています。給付金を見込んで失業保険の手続きを自己判断でやめず、学校と給付元に、受け取る期間・切替時期を確認しましょう。出典:高知県立林業大学校「FAQ・費用と支援制度」
いくらもらえる?国の上限額と学校の案内を分ける
林野庁の2026年度概要は、研修機関の取組に応じて年間最大155万円または125万円、実際の研修月数に応じて最長2年間としています。どちらの上限になるかを、本人の年収だけで決める仕組みではありません。
ただし、国の要領は予算の範囲内で給付する制度です。「最大155万円」を、どの学校でも受け取れる確定額として生活費に組み込まないでください。出典:林野庁「緑の青年就業準備給付金事業」2026年度概要
| 確認した案内 | 掲載されている金額 | 読むときの注意 |
|---|---|---|
| 国の2026年度概要 | 年最大155万円または125万円 | 研修機関の取組による上限。最長2年間 |
| 兵庫県立森林大学校 | 年最大142万円・最長2年間 | 2026年5月の手引き。予算により満額にならない場合あり |
| 京都府立林業大学校 | 年最大140万円程度・最長2年間 | 予算により変動。希望年度の額を確認 |
| くまもと林業大学校 | 年141万9,000円の案内 | 2027年度長期課程の募集ページ。別途支給要件あり |
各校の出典:兵庫県・2026年5月手引き、京都府・修学支援制度、熊本・新規就業者育成コース。確認時に掲載されていた額を比較したもので、差額が追加請求できるという意味ではありません。
年額を12で割った金額が、毎月振り込まれるとは限らない
例えば年142万円は、12か月で割ると月約11.8万円です。しかし、兵庫県の手引きでは半期ごとの振込みとしています。月額換算と実際の入金予定を分け、最初の振込みまでの家賃・食費を用意できるか確認します。
生活費が月15万円かかり、年142万円の給付を受けると仮定すると、年間生活費180万円との差は38万円です。これは家計を考えるための計算例で、生活費の相場や受給額を保証するものではありません。学費、教材、防具、引越し費用などは、この生活費に含めていなければ別に足します。
手元のメモでは、「入学前に払うお金」「毎月払うお金」「半年ごとの入金」を時期別に並べると、不足する月が分かります。給付額が減った場合も、同じ表でやり直せるようにしておきましょう。
県独自の拡充もあるが、年齢と就職地域をセットで見る
高知県立林業大学校は、就業予定時に原則65歳未満などを対象とし、就業時35歳未満は月最大17.5万円、35歳以上は月最大15万円と案内しています。掲載されている年間の支給例は、35歳未満が前期105万円+後期87.5万円の192.5万円です。月額を単純に12倍した210万円と混同しないでください。
これは高知県の制度例です。県外就職では一部または全額の返還となる場合があるため、金額だけで学校を選ばず、卒業後にどこで働くかも確認します。出典:高知県立林業大学校「給付金」
返還は必要?卒業後の就業期間と報告義務を確認する
通常の借入金と違い、要件を満たしていれば返済する制度ではありません。ただし、林業に就かない、必要な期間働かない、報告を出さないなどの場合には、全部または一部の返還が生じます。
国の基本ルールでは、研修終了後1年以内に対象となる林業分野へ就業し、給付期間の1.5倍または2年間の長い方の期間、就業を続ける必要があります。承認された継続研修を行う場合などは扱いが変わるため、進路変更前に相談します。
| 給付を受ける期間の例 | 必要な就業期間の考え方 |
|---|---|
| 1年間 | 1.5年と2年を比較し、長い方の2年間 |
| 2年間 | 3年と2年を比較し、長い方の3年間 |
「1年間もらったから1年間働けばよい」「卒業さえすれば返還はない」とはなりません。国の要領では、就業後の報告に加え、研修終了後5年間の定期的な就業状況報告も必要です。就業必要期間と、報告を続ける期間を分けて管理してください。
出典:前掲の林野庁実施要領・第3、第4。病気や災害などのやむを得ない事情は、実施主体が認めれば返還免除となる場合があります。免除は自動ではなく申請・判断が必要です。
「森林に関わる仕事」なら、すべて対象とは限らない
卒業生の進路一覧と、給付金で求められる就業先は同じとは限りません。例えば兵庫県の手引きは、林業分野でも公務員などは返還の対象になるとしています。
公務員、製材・木材関連、独立自営などを目指す場合は、職種名だけで対象と判断せず、就職予定先の事業内容・契約形態・勤務地を給付窓口へ示して確認しましょう。高知県のように対象分野を独自に広げている制度もあるため、別の学校の説明をそのまま当てはめないことが大切です。
研修の休止や退職が必要になった場合も、何も報告せずに離れるのは避けてください。事情、予定日、再開・再就職の見込みを相談し、必要な届出と給付への影響を確認します。
申請方法は?学校へ相談して研修計画の承認を受ける
基本の申請窓口は、研修予定地の都道府県の事業実施主体です。まず希望する学校・研修機関に給付金の担当窓口を聞くと、対象課程と手続きを一緒に確認できます。学校の入学願書を出すだけで、給付申請も終わるわけではありません。
- 希望する課程と進路を伝える。就業予定時の年齢、現在の仕事、退職予定、受給中の給付、卒業後に働きたい地域を整理します。
- 今年度・入学予定年度の条件を確かめる。対象額、対象月数、支給時期、選考と予算、申請期限、卒業後の義務を聞きます。
- 研修計画を作り、承認を申請する。学校と研修内容・時間を相談し、指定された書類を提出します。
- 承認後に給付申請を行う。半期ごとなど、窓口の案内に沿って申請します。給付決定の内容と振込予定を保存します。
- 研修中・卒業後の報告を続ける。提出期限を予定表へ登録し、就業や住所変更の届出も忘れずに行います。
書類は実施主体で異なります。兵庫県の例では、研修計画、誓約書、履歴書、連帯保証人に関する資料などが必要で、離職票は必要な場合に提出します。成年の申請者にも連帯保証人1名を求めています。全国共通の必要人数とはせず、自分の申請先で確認してください。
問い合わせでは、例えば「来年度の長期課程を希望しています。現在は会社員で、卒業後は森林組合への就職を考えています。給付の対象になる退職時期、必要書類、支給額と初回入金日を教えてください」と伝えると、相談する内容が明確になります。
入学願書と給付金では期限が異なることにも注意しましょう。例えば熊本の2027年度長期課程は、一般選考の願書受付を2026年10月14~27日と案内しています。2026年9月13日時点では受付開始前で、これは学校の出願期間です。給付金の申請日程は別途学校へ確認します。
申し込む前に、給付額と卒業後の条件を書き出しておく
最後に、窓口へ確認した内容を次の5点で残しておくと、学校や働き方を比較しやすくなります。
- 自分が対象になる課程・年齢条件と、今の雇用契約の扱い
- 給付の見込額・対象月数・振込日と、自己資金が必要な額
- 他の給付や奨学金との併用、税金・扶養への影響
- 卒業後に対象となる仕事・地域・必要な就業期間
- 連帯保証人などの必要書類、研修中と卒業後の報告期限
なお、兵庫県の手引きでは給付金を雑所得として案内し、扶養や健康保険などの手続きが発生する場合があるとしています。給付金だから非課税、家族の扶養も変わらないとは限りません。自分の他の所得と合わせ、税務署・加入する健康保険などへ必要な確認を行ってください。
緑の青年就業準備給付金は、林業を学び直す間の支えになります。受給額だけでなく、研修中の家計と卒業後の進路まで確かめたうえで、希望する学校の窓口に相談してみてください。

