林業に興味はあるけれど、未経験で応募できるのか、資格を取るにはお金がかかるのか分からない。そんな人が利用できるのが「林業就業支援講習」です。
受講料は原則無料で、実践コースではチェーンソーや刈払機を使う仕事に必要な教育を受け、修了証を取得できます。現場の体験・見学や就業相談もあり、実際に林業へ進むかを考える機会になります。
ただし、体験だけのコースもあり、取得できる資格や宿泊補助は開催ごとに異なります。この記事では、コースの選び方から、自己負担、日程の探し方、申し込み・就職までの流れを整理します。
2026年9月11日確認。掲載の日程・受付状況は確認日時点のものです。募集終了や日程変更があるため、応募時にはリンク先の最新案内をご確認ください。
林業就業支援講習とは?まずは3つのコースから選ぶ
林業就業支援講習は、全国森林組合連合会が厚生労働省から委託を受け、各都道府県で実施する就職支援の講習です。林業の基礎知識、作業体験、資格講習、施設見学、個別相談などを通じて、林業への就職を支援します。参照:林業就業支援講習の公式案内
| コース | 主な内容 | 選ぶ目安 |
|---|---|---|
| 実践コース | 資格講習、現場での実地講習、見学、就業相談 | 林業への就職を考え、資格取得と仕事の体験をまとめて進めたい |
| 体験コース | 短期間の作業体験・現場見学、基礎知識、就業相談 | 屋外で働くイメージや、自分との相性を確かめたい |
| 林業就業相談会・1日コース | 仕事内容の説明、就業・生活の相談など | まず話を聞きたい、長い講習に参加する前に疑問を解消したい |
公式サイトには「旧20日間コース」「旧5日間コース」という表記も残っていますが、現在の講習が必ず20日間・5日間という意味ではありません。例えば2026年度の実践コースは東京が12日間、北海道が14日間です。実際に出席する日数と、土日などの休講日を個別の案内で確認してください。
体験コースでは鎌・ノコギリなどを使った作業や現場見学を行う例があり、1日コースは仕事内容・就職後の生活を知る入口です。どのコースでも同じ資格が取れるとは考えず、目的に合う内容を選びましょう。参照:体験コース、1日コース
無料で取れる資格は?チェーンソー・刈払機の教育が中心
資格取得を目指す場合は、実践コースのカリキュラムを確認します。公式案内では、主に次の教育が挙げられています。
| 募集案内で見かける呼び方 | 確認したい教育・修了証 |
|---|---|
| チェーンソーの資格・講習 | 伐木等の業務に係る特別教育。チェーンソーを使う作業の安全について学ぶ |
| 刈払機の資格・講習 | 刈払機取扱作業者に対する安全衛生教育。草刈り等で使用する機械の安全について学ぶ |
| 普通救命講習 | 組み込まれている開催では、救命講習の修了証を取得できる場合がある |
ここでいう「資格」は、主に特別教育・安全衛生教育などの修了を示すものです。「林業の仕事をすべて行える免許」や、講習を受けるだけであらゆる林業機械を操作できる資格ではありません。参照:実践コースの資格・安全衛生講習
例えば東京の2026年度カリキュラムでは、刈払機とチェーンソーの教育修了証、普通救命講習の修了証について案内しています。一方、別の地域では追加の講習があったり、実習・見学に割く時間が違ったりします。
比較するときは、「チェーンソー体験」という言葉だけで判断せず、教育の正式名称、修了証の交付、全課程への出席条件まで確認してください。機械の操作体験・見学と、教育課程を修了することは別です。
また、資格講習の日だけ参加して、残りの実習を自由に休めるとは限りません。既に持っている資格がある人は、申込時に修了証の名称・取得時期を伝え、受講免除や参加日の扱いを実施機関に確認しましょう。
本当に無料?交通費・食費と宿泊補助の差額は確認が必要
全国の案内では受講料は原則無料ですが、食費や講習実施地までの交通費などは自己負担です。実践・体験コースには宿泊費補助があるものの、対象者・上限額・対象泊数・申請方法を確認する必要があります。
| 費用 | 申し込む前に見ること |
|---|---|
| 受講料・資格講習 | 募集要項の無料範囲。教材や修了証の費用も含むか |
| 交通費・食費 | 自宅から集合場所への往復、毎日の移動、昼食などの自己負担 |
| 宿泊費 | 補助の対象となる人・宿泊施設・日数、1泊の上限、事前申請の要否 |
| 服装・装備 | 作業着、雨具などの持参品と、ヘルメット・手袋・靴等の貸出範囲 |
宿泊費は「補助がある=全額無料」ではない
北海道の2026年度実践コースでは、修了者に対し、1泊4,400円を上限に、講習日数を限度として宿泊費を補助します。札幌市内・近郊などの人は対象外とされています。
例えば、補助対象となる宿泊を1泊7,000円で10泊し、1泊4,400円の補助を10泊分受けられる場合、宿泊費7万円に対して補助は4万4,000円。差額の2万6,000円に、食費や交通費を加えた額が自己負担になります。これは比較のための計算例で、宿泊料金の相場や受給額を保証するものではありません。
宿泊の予約前に、補助対象の確認と申請を済ませ、支払い・精算の時期も聞いておきましょう。途中で受講をやめたり、修了条件を満たさなかったりすると、補助を受けられない場合もあります。
地域独自の交通費助成と、現地での移動は別に確認する
大分の2026年度実践コースには、公共交通機関の利用に対して、実費で最大3万3,000円を事後助成する独自の取り組みがあります。ただし、タクシー代や高速道路料金などは対象外です。
この助成を全国共通の制度とは考えないでください。また、現地実習への移動は別途必要です。車を使えない人は、集合場所から実習地までの送迎・移動方法も申し込み前に相談しましょう。
参加条件は?未経験・県外からでも申し込める?
基本的には、林業への就職を希望する人が対象です。未経験者を受け入れる講習があり、例えば東京の2026年度募集は林業経験不問・都外在住可としています。住んでいる地域の講習だけに絞る必要はありませんが、各開催の要項を確認します。
一方、東京では自分の山の整備や地域の保全活動など、就業以外の目的での参加は対象としていません。無料で資格だけを集める目的ではなく、林業を仕事にすることを検討する講習として選んでください。
- 全日程に参加できるか:在職中なら平日の休暇、家庭の予定、通える時間を確認する。
- 受講要件に合うか:年齢等の条件は個別募集を確認し、全国共通の上限があると決めつけない。
- 現場での活動に参加できるか:斜面での作業や屋外実習の内容、必要な服装・装備を確認する。
- 過去の受講・他地域への応募があるか:既に実践コースを受けた人や複数地域に応募する人は、必ず申告する。
例えば東京は、全日程への参加を求め、他地域の実践コースの受講状況も確認しています。これらを他県でも全く同じ条件とせず、自分の経歴と予定を申込先へ伝えて判断してもらいましょう。
欠席・遅刻・早退は修了証の取得に影響します。参加が難しい日が最初から分かっている場合は、申し込んでから調整するのではなく、応募前に実施機関へ相談してください。
2026年度の日程と募集状況は?開催日と締切を分けて見る
日程は公式の林業就業支援講習一覧から探せます。地域・コースを選び、個別ページで応募期限と最新のお知らせを確認してください。年間予定表から日程が変わっている場合もあります。
確認日時点の実践コースの例を挙げます。下のすべてが受付中という意味ではありません。
| 地域・案内 | 開催期間 | 応募締切・確認時の状況 |
|---|---|---|
| 宮城 | 2026年11月10日~26日 | 10月22日締切の募集案内あり。残席・受講可否は実施機関へ確認 |
| 大分 | 2026年11月26日~12月11日(12日間) | 11月11日17時締切。募集中の掲載あり、先着順のため空き状況を確認 |
| 東京 | 2026年10月2日~20日(12日間) | 8月7日に受付終了。開催前でも新規申込の受付は終了 |
| 北海道 | 2026年9月28日~10月16日(14日間) | 8月21日締切済み |
東京では、定員を上回る応募があり締切が前倒しされました。「開催日の直前に申し込めばよい」と考えず、参加したい講習を見つけたら、早めに応募期限と選考方法を確認しましょう。
近隣の実践コースが締め切られていた場合は、別地域の講習、体験コース、1日相談会、次回の予定を調べます。講習の募集がない時期も、地域の林業労働力確保支援センター等の窓口に就業相談ができます。
申し込みから就職までの流れ
申し込みは、開催する実施機関が指定するフォームや申込書で行います。全国一律の申込書をハローワークに提出する方式ではないため、希望する講習の「応募方法」を確認してください。
- 目的に合うコースを選ぶ。資格も必要なら実践、まず現場を見たいなら体験、話を聞きたいなら1日コースを検討します。
- 募集要項・日程・費用を確認する。資格名、出席日、集合場所、宿泊補助、選考、締切を照合します。
- 指定の方法で応募する。就業希望地域、参加動機、経験、保有資格、宿泊希望など、求められた情報を記入します。
- 受講決定後、持ち物と移動・宿泊を準備する。応募しただけで受講が確定するとは限りません。キャンセル条件も確認します。
- 講習・実習・就業相談に参加する。仕事の内容や必要な体力、働く地域での生活などを具体的に確かめます。
- 求人を探し、応募・面接へ進む。地域の支援窓口やハローワークで、希望する働き方に合う求人を相談します。
就業相談では「林業に就きたい」だけでなく、働きたい地域、転居できる時期、運転できる車、希望する収入や休日、興味のある作業を伝えると、求人を検討しやすくなります。
体験では、木を伐る作業だけでなく、植える・育てる仕事、作業現場への移動、チームでの安全確認などにも注目してください。求人を選ぶときには、給与の支払い方、年間の仕事量、休日、安全教育や資格取得の支援体制も確認しましょう。
「緑の雇用」との違いは、採用前の講習か採用後の研修か
林業就業支援講習は、就職を検討する段階で利用する講習です。一方、「緑の雇用」は、林業経営体に採用された人に講習・研修を行い、技術や技能の習得を支援する制度です。
公式の就業案内では、講習への参加、就職活動、採用後の「緑の雇用」研修という流れが紹介されています。ただし、すべての事業者がこの研修を実施しているわけではありません。希望する就職先が利用しているか、採用後にどのような研修を受けられるかを確認します。参照:初めて林業を検討する方への公式ガイド
林業就業支援講習を修了しても、就職が保証されるわけではありません。それでも、仕事を体験し、必要な教育を受け、地域の相談先を知ってから応募できる点は、未経験からの仕事選びに役立ちます。
最初の一歩は、希望する地域の募集案内を開き、「取れる修了証」「すべて参加できる日程」「自己負担」「現在の受付状況」の4点を確認することです。迷う場合は、その案内に載っている実施機関へ相談してみてください。

