辞めた会社に戻る「アルムナイ採用」とは?出戻り転職で給与・選考・退職理由はどう見られる?

採用方式・選考の種類

一度辞めた会社に戻る「アルムナイ採用」は、以前働いていたから無条件で再入社できる制度ではありません。

企業によって「正社員として3年以上在籍」「退職後5年以内」など応募条件が違います。通常の中途採用と同じ選考を受ける会社もあります。

給与も以前の金額へそのまま戻るとは限りません。

退職時の給与を基準にする会社もあれば、退職後に身につけた経験や応募するポジションを含めて改めて決める会社もあります。

出戻り転職を考えるなら、まず次の4点を確認してください。

  • 自分がアルムナイ採用の対象になるか
  • 通常の中途採用と選考方法が違うか
  • 給与や等級をどう決めるか
  • 以前の退職理由が応募条件に関係するか

まず確認:アルムナイ採用は会社ごとに条件がかなり違う

アルムナイ採用は、一度退職した元社員を再び採用する仕組みです。

「キャリア・リターン制度」「ジョブリターン制度」など別の名称を使う会社もあります。

ただし「元社員なら応募できる」という共通ルールはありません。

実際の企業制度を比べると違いが分かります。

企業主な条件・特徴
EIZO正社員として3年以上勤務・退職後5年以内など
NGK正規社員の自己都合退職者が対象。勤務年数や退職後の年数は問わない
ライオン自己都合退職者が対象。勤続年数・退職後の経過期間は問わない
ヤギ正社員として3年以上在籍・離職後5年以内
矢崎グループ2026年9月現在はトライアル中で対象職種などを限定

たとえばEIZOは、EIZOグループの正社員として3年以上勤務し、退職後5年以内であることなどを条件にしています。

一方でNGKは勤務年数や退職後の経過年数を問いません。

2026年7月1日にはテクノプロ・R&D社がアルムナイ採用を案内しました。矢崎グループも2026年7月21日からアルムナイ制度の登録受付を開始しています。

同じアルムナイ採用でも対象者はかなり違います。

まず元勤務先の採用ページで、

以前の雇用形態
在籍年数
退職からの経過年数
退職理由
対象職種

を確認してください。

「退職後5年以内」を過ぎても戻れる場合がある

アルムナイ採用の条件を満たしていないからといって、再入社できないと決まったわけではありません。

たとえばEIZOでは、アルムナイ採用の条件に当てはまらない人も通常の経験者採用へ応募できます。

つまり、

「退職して6年たったから戻れない」

「在籍2年だったから応募できない」

とすぐに判断する必要はありません。

確認する順番は、

アルムナイ採用の対象になるか確認
↓
対象外なら通常のキャリア採用を確認

でいいでしょう。

そもそも「アルムナイ採用」という名前の制度を設けず、通常の中途採用で元社員を受け入れている会社もあります。

出戻りでも通常の中途採用と同じ選考を受けることがある

以前働いていた会社なら、

「書類選考は通るだろう」

「面接は顔合わせ程度だろう」

と思うかもしれません。

実際には通常の中途採用と同じ選考を行う会社があります。

EIZOは原則として通常の経験者採用と同じ選考プロセスです。ただし場合によって一部の選考を省略することがあります。

NGKも通常のキャリア採用と同様に、書類選考・適性検査・面接を行います。

矢崎グループもアルムナイ制度へ登録したあと、希望する求人へ応募してキャリア採用と同様の選考へ進む仕組みです。

つまり、

元社員であることと採用されることは別

です。

以前どんな仕事をしていたかだけでなく、今募集しているポジションで何ができるかを改めて見られます。

再入社すると給与は辞める前と同じに戻る?

アルムナイ採用で特に確認しておきたいのが給与です。

結論として、以前の給与へ自動的に戻るとは限りません。

会社によって給与の決め方が違います。

退職時の基本給を最低保証する会社もある

株式会社ヤギは、離職時の基本給を最低保証したうえで転職先で得た経験を考慮して給与を決めています。

たとえば退職時の基本給が30万円なら、その金額を一つの基準にしながら退職後の経験を評価する形です。

退職時の処遇と退職後の経験を両方見る会社もある

ライオンは在職時の処遇と退職後の経験を加味して個別に処遇を決めています。

さらに退職後3年以内にキャリア・リターン制度で再入社する場合は、原則として退職時と同等の処遇条件を適用するとしています。

同じアルムナイ採用でも、

  • 退職時の給与を基準にする
  • 社外で得た経験を上乗せして評価する
  • 現在募集しているポジションを基準に決める
  • 現在の人事制度で改めて等級を決める

など違いがあります。

「前に年収500万円だったから500万円には戻れる」

とは考えないほうがいいでしょう。

逆に退職後の経験によっては、以前より高いポジションや給与で戻れる可能性もあります。

外の会社で身につけた経験は再入社時の材料になる

アルムナイ採用では、会社を離れていた期間が単なるブランクになるとは限りません。

以前は担当者だった人が退職後に、

  • マネジメントを経験した
  • プロジェクトリーダーを経験した
  • 新しい技術を身につけた
  • 別業界の知識を得た
  • 資格を取得した

のであれば、以前よりできる仕事は増えています。

テクノプロ・R&D社も、以前の業務経験と社外で培ったスキルや知識を組み合わせられる点をアルムナイ採用の特徴として挙げています。

再入社の面接では、

「以前この会社で○年働いていました」

だけで終わらせず、退職後に何ができるようになったのかまで説明したほうがいいでしょう。

退職理由はアルムナイ採用でどう見られる?

退職理由についても会社ごとに扱いが違います。

EIZOでは、

  • 結婚
  • 出産
  • 育児
  • 介護
  • 配偶者の転勤
  • 学業
  • 転職

などで円満退職した人を対象としています。

NGKは正規社員として勤務して自己都合退職した人が対象ですが、退職理由そのものは問いません。

つまり、

転職するために辞めた人は出戻りできない

ということではありません。

外の会社で経験を積んだ社員に戻ってきてもらうこと自体を目的としているアルムナイ制度もあります。

ただし応募条件を満たしていることと、面接で退職理由を聞かれないことは別です。

面接では「なぜ辞めたか」より「なぜ今戻るのか」までつなげる

出戻り転職では退職理由だけ説明しても不十分です。

次の3つをつなげて考えると整理しやすくなります。

1.当時なぜ辞めたのか

まず当時の退職理由を整理します。

たとえば、

「別業界を経験したかった」

「より専門的な仕事へ挑戦したかった」

「家庭の事情で働き続けられなかった」

などです。

無理にきれいな理由へ変える必要はありません。

2.辞めてから何が変わったのか

次に退職後の変化を整理します。

以前と状況がまったく変わっていなければ、

「また同じ理由で辞めるのでは?」

と見られる可能性があります。

社外で経験を積んだ、家庭環境が変わった、自分のキャリアが明確になったなど、再入社を考えるようになった変化を説明します。

3.戻ったら何ができるのか

最後に再入社後へつなげます。

たとえば、

前職では開発担当として勤務していました。退職後は別会社で3年間プロジェクト管理を経験しました。以前の製品知識に加えて進捗管理やメンバー育成も経験しているため、その経験を活かしたいと考えています。

という形です。

退職理由 → 退職後の経験 → 戻って何ができるか

までつながれば、単に「外へ出てみたら前の会社のほうが良かった」という説明にはなりません。

給料や人間関係が理由で辞めたなら「今どうなっているか」を確認する

出戻りだからこそ確認したほうがいいことがあります。

以前の退職理由が、

  • 給料が低かった
  • 残業が多かった
  • 上司と合わなかった
  • 評価制度に不満があった
  • 希望する仕事ができなかった

という場合です。

アルムナイ制度ができても、以前辞めた原因まで解消されているとは限りません。

逆に数年たっていれば、

上司
組織
給与制度
評価制度
残業時間
在宅勤務制度

などが変わっている可能性もあります。

「知っている会社だから大丈夫」と考えず、今の会社を転職先としてもう一度調べ直すほうが安全です。

元の部署や職種に戻れるとも限らない

アルムナイ採用は「以前いた部署へ戻す制度」とも限りません。

NGKでは退職時の部署以外の求人にも応募できます。

つまり、

営業として勤務
↓
退職後にマーケティングを経験
↓
以前の会社へマーケティング職として再入社

というケースも考えられます。

逆に以前と同じ部署へ戻りたくても、その部署が現在採用していなければ希望どおりにならない可能性があります。

「出戻り=前と同じ仕事」と決めつけず、現在募集されている職種を確認してください。

今の会社を辞めるのは再入社の条件が決まってから

現在別の会社で働いている場合は、アルムナイ制度へ登録しただけで退職しないほうがいいでしょう。

元社員でも採用が約束されるわけではありません。

さらに内定しても、

  • 給与が想定より低い
  • 希望していた部署ではない
  • 以前とは役職が違う
  • 勤務地が変わる

といった可能性があります。

少なくとも給与や勤務地、職種などの条件が提示されてから現在の会社を辞めるか判断してください。

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再入社が決まったら昔の条件ではなく今回の条件を見る

出戻りだからこそ条件確認を省略しないことが重要です。

確認したいのは、

  • 基本給
  • 賞与
  • 等級・役職
  • 勤務地
  • 配属部署
  • 試用期間
  • 有給休暇
  • 勤続年数の扱い
  • 退職金
  • 福利厚生

などです。

特に見落としやすいのが勤続年数です。

以前5年間勤務していたからといって、再入社後に自動的に勤続6年目として扱われるとは限りません。

一方で株式会社ヤギは再入社前後の勤続年数を通算し、有給休暇を付与するとしています。

給与だけでなく、以前の勤務期間をどこまで引き継ぐのかも確認してください。

アルムナイ採用で戻る前に確認したい7項目

出戻り転職を考えているなら、最後に次の7項目を確認しておくと判断しやすくなります。

  1. 自分がアルムナイ採用の対象か
  2. 退職からの年数制限はあるか
  3. 応募できる職種・部署はどこか
  4. 通常の中途採用と選考方法が違うか
  5. 給与・等級をどう決めるか
  6. 以前の勤続年数や有給を引き継ぐか
  7. 自分が以前辞めた原因は現在どうなっているか

アルムナイ採用は一度辞めた会社へ戻る選択肢ですが、以前の雇用条件をそのまま復活させる制度とは限りません。

企業によって、

在籍3年以上が必要
退職後5年以内が対象
退職後の年数を問わない
通常の中途採用と同じ選考
退職時の基本給を最低保証する
退職後の経験を含めて給与を決め直す

など大きな違いがあります。

まず元勤務先のアルムナイ採用ページで対象条件を確認します。

対象外なら通常のキャリア採用も確認してください。

応募できる場合は選考方法と給与の決め方を確認し、内定後に今回提示された給与・職種・勤務地・勤続年数の扱いを見て戻るか判断する流れです。

参考資料