職業訓練の選考に筆記試験があると分かっても、「国語と数学は何年生くらいの内容なのか」「SPIまで勉強すべきか」「適性検査とは性格検査なのか」が募集案内だけでは見えにくいことがあります。
結論からいうと、職業訓練の筆記試験は全国共通ではありません。ポリテクセンターでは言語・文章力、計算力、形状把握力、安全に関する注意力を確認する例があり、都道府県の委託訓練では国語・数学を短時間で行う例もあります。面接だけ、書類と面接だけのコースもあります。
最初にやることは、市販のSPI問題集を一冊やり込むことではありません。自分が受けるコースの募集要項で、試験科目、所要時間、持ち物、公式の参考問題を確認し、出題される範囲から復習します。
このページには、公式資料に見られる出題分野をもとに作った16問の練習問題があります。まず時間を測って解き、間違えた分野だけをやり直してください。
先に募集案内で確認する4項目
- 選考方法が「筆記・面接・書類」のどれか
- 国語・数学・適性検査などの記載があるか
- 試験時間と電卓使用の可否
- 実施校が公開している参考問題があるか
職業訓練の筆記試験はコースごとに違う
「職業訓練の筆記試験は中学レベル」と一言で説明されることがありますが、すべてのコースに同じ問題が出るわけではありません。実施主体、訓練期間、分野によって、科目も時間も変わります。
| 公式案内の例 | 筆記で確認する内容 | 所要時間の例 |
|---|---|---|
| ポリテクセンター | 言語・文章力、計算力、形状把握力、安全に関する注意力 | 全体で30分程度の案内例がある |
| 都道府県の長期訓練 | 国語・数学 | 2科目で20分という募集例がある |
| 民間委託の訓練 | 国語・数学、適性検査、一般常識など実施校による | 募集案内で個別確認 |
| 面接中心のコース | 筆記を実施しないこともある | 面接時間のみ記載される場合がある |
公式情報:ポリテクセンター富山の2026年度募集案内では、言語・文章力、計算力、形状把握力、安全に関する注意力を含む筆記試験を全体30分程度、個別面接を15分程度と案内しています。別の静岡労働局の長期訓練募集例では、国語・数学を合わせて20分としています。自分の募集要項を優先してください。
申込先、見学、選考日、合格後の手続きまでを確認したい場合は、筆記試験だけで判断せず、申込み全体の順番も合わせて確認してください。

国語・数学・適性検査では何を見られる?
筆記試験は、難関資格の知識を競うための試験ではなく、訓練内容を理解するための基礎学力や、実習を安全に進めるための注意力を確認する目的で行われる例があります。ただし、「簡単だから対策不要」とは限りません。学校を離れて長い人は、分数や割合で時間を使いすぎることがあります。
国語は漢字だけでなく、語句と短い文章も確認する
- 漢字の読み書き
- 反対語や似た意味の語
- 文中に入る適切な言葉
- 短い文章の要点
- 文の並べ替え
専門用語の暗記より、求人票や授業の指示を読み取れるかに近い内容です。分からない漢字を飛ばして、解ける問題から進める練習もしておきます。
数学は四則計算・分数・割合・文章題を優先する
- 足し算、引き算、掛け算、割り算の順序
- 小数と分数
- 割合、百分率、値引き
- 時間、距離、単位換算
- 一次方程式を使う買い物の文章題
公開されている受講記録では、一次方程式を使う買い物問題が出た人もいれば、分数と小数ができれば対応しやすかったと振り返る人もいます。出題範囲の差が大きいため、受験校から例題をもらえるなら、その例題を最優先にしてください。
適性検査は性格診断だけとは限らない
募集案内の「適性検査」は、図形の見え方、同じ記号の照合、規則性、安全上の注意力などを指す場合があります。就職試験のSPIと同じものだと決めつけないでください。図形問題が公開されている実施校もあれば、問題内容を公開していない実施校もあります。
公式の参考問題:ポリテクセンター栃木の筆記問題出題例では、言語・文章力、計算力、形状把握力、安全に関する注意力のイメージを確認できます。実際の形式・水準と異なる場合があることも明記されています。
職業訓練の筆記試験ミニ問題16問
ここからは練習問題です。紙と筆記用具を用意し、まず15分で解いてみてください。実際の過去問ではなく、基礎の抜けを見つけるために作成した問題です。
国語:1〜5
- 「促進」の読みを、ひらがなで書いてください。
- 「ショクレキ」を漢字で書いてください。
- 「簡潔」と最も近い意味を、次から一つ選んでください。
ア:複雑 イ:手短 ウ:慎重 エ:強引 - 「拡大」と反対の意味に最も近い語を、次から一つ選んでください。
ア:縮小 イ:延長 ウ:増加 エ:移動 - 次の3文を自然な順番に並べてください。
A:そのため、募集締切より前に見学日を確認した。
B:気になる職業訓練のコースを見つけた。
C:見学への参加が申込みの判断材料になると知った。
数学:6〜12
- 36÷6+7×3 を計算してください。
- 4分の3から6分の1を引いてください。
- 1,200円の商品を15%引きで買うと、支払額はいくらですか。
- 1冊180円のノートと1本120円のペンを合わせて10個買い、合計は1,560円でした。ノートとペンはそれぞれ何個ですか。
- 8時48分に駅を出て、9時25分に着きました。移動時間は何分ですか。
- 2.4kmを30分で進みました。同じ速さなら1時間で何km進みますか。
- 定員24人のコースに30人が応募しました。応募者数は定員の何%ですか。
注意力・規則性:13〜16
- 次のうち、見本「A8B6D9K2」と異なるものを一つ選んでください。
ア:A8B6D9K2 イ:A8B6D9K2 ウ:A8B6D6K2 エ:A8B6D9K2 - 「▲ ● ● ▲ ● ●」の次に入る記号は何ですか。
- 北を向いています。右へ90度、さらに右へ90度、最後に左へ90度向きを変えました。最後はどちらを向いていますか。
- 実習室の通路に油のような液体がこぼれています。最初の行動として最も適切なものを選んでください。
ア:またいで作業を続ける イ:近くの人に知らせ、指示に従って通行を止める ウ:誰にも言わず紙で隠す エ:終業時まで待つ
解答と、間違えたときの復習ポイント
| 問題 | 答え | 復習すること |
|---|---|---|
| 1 | そくしん | 訓練・就職で使う基礎漢字の読み |
| 2 | 職歴 | 履歴書に出る語の書き |
| 3 | イ:手短 | 類義語 |
| 4 | ア:縮小 | 反対語 |
| 5 | B→C→A | 原因と結果をつなぐ接続関係 |
| 6 | 27 | 掛け算・割り算を先に計算 |
| 7 | 12分の7 | 通分。4分の3=12分の9、6分の1=12分の2 |
| 8 | 1,020円 | 1,200×0.85、または1,200−180 |
| 9 | ノート6冊、ペン4本 | 180x+120(10−x)=1,560 |
| 10 | 37分 | 時刻をまたぐ引き算 |
| 11 | 4.8km | 30分から60分への比例 |
| 12 | 125% | 30÷24×100 |
| 13 | ウ | 文字列を左から一文字ずつ照合 |
| 14 | ▲ | 3個単位の繰り返し |
| 15 | 東 | 北→東→南→東 |
| 16 | イ | 危険を共有し、二次事故を防ぐ |
点数だけで合否を予測しないでください。12問以上できても、本番と同じ出題範囲とは限りません。目安として、国語で間違えたら漢字と語句、数学で間違えたら計算手順、注意力で間違えたら急いで読み飛ばす癖を直します。
試験まで7日なら、広げずに弱点を一つずつ直す
試験直前に高校数学まで戻る必要はありません。募集要項に書かれた範囲と公式例題を中心に、次の順で復習します。
- 7日前:募集要項と受験票を読み、科目・時間・電卓・持ち物を確認する
- 6日前:漢字の読み書きと語句を20問解く
- 5日前:四則計算、小数、分数を時間を測って解く
- 4日前:割合、時間、買い物の文章題を解く
- 3日前:図形・照合・規則性の問題を解く
- 2日前:間違えた問題だけをもう一度解く
- 前日:新しい問題集を増やさず、会場・集合時刻・持ち物を確認する
アラサーで職種変更を考えた受講者の公開記録では、見学時にもらった例題とSPIの復習を使って準備し、実際の筆記はSPIより取り組みやすく、分数と小数ができれば対応しやすかったと振り返っています。一方、工場退職後に簿記・パソコンコースを受けた人は、小学生程度と聞いていても心配だったため、数学や漢字を自宅で復習しています。難度のうわさより、自分が止まる計算を一度解いておく方が役立ちます。
筆記試験当日は「全部解く」より失点を減らす
- 集合時刻の15分前を目安に会場へ着く
- 鉛筆またはシャープペンシル、消しゴム、黒ボールペンなど指定品を持つ
- 電卓は「使用可」と書かれている場合だけ使う
- 最初に全体を見て、すぐ解ける問題から進める
- 一問に止まりすぎず、印を付けて後で戻る
- 単位、符号、回答欄のずれを最後に確認する
筆記試験ができた感覚があっても、合否は面接や書類を含めて判断されるコースがあります。反対に、一問分からなかっただけで不合格と決まるわけでもありません。筆記の準備と面接の準備は分けて考えてください。

試験対策をどこまで行うか迷う場合は、応募先の定員と応募状況も確認します。倍率の計算、現在の応募状況の聞き方、定員内でも不合格がある理由は職業訓練の倍率と受かりやすさで整理しています。
職業訓練の筆記試験でよくある質問
筆記試験は小学生レベルですか、中学生レベルですか?
実施校によって異なります。義務教育修了程度と案内するポリテクセンターがある一方、国語・数学の分野だけを示すコースもあります。「小学生レベル」という体験談だけで決めず、募集要項と公式参考問題を見てください。
SPIの問題集を使えば対策できますか?
四則計算、割合、言語問題の復習には使えます。ただし、SPIと同じ試験とは限らず、形状把握や安全に関する注意力が出る場合もあります。公式例題があれば、SPIより先にそちらを解きます。
筆記試験なしの職業訓練もありますか?
あります。書類選考と面接だけのコースや、面接のみのコースもあります。申込み前に募集案内の「選考方法」を確認してください。
数学がほとんど解けなかったら不合格ですか?
その場で不合格と断定はできません。配点や合否基準は実施校ごとに異なり、筆記と面接の総合判定と明記する施設もあります。結果が出る前に自己採点だけで諦めず、通知方法と発表日を確認して待ってください。
過去問はどこでもらえますか?
過去問を公開せず、参考問題だけを掲載する施設もあります。募集案内、実施校の公式サイト、説明会資料を確認し、分からなければ「筆記の分野と参考問題はありますか」と実施校またはハローワークで聞いてください。
まとめ:募集要項を見てから、国語・計算・注意力を狭く復習する
職業訓練の筆記試験は全国共通ではありません。国語と数学だけのコースもあれば、言語・計算・形状把握・安全に関する注意力を確認するコースもあります。
まず募集要項で選考方法と試験時間を確認し、公式参考問題があれば一度解いてください。そのうえで、漢字、四則計算、分数、割合、短い文章題、照合問題のうち、止まった分野だけを復習します。
難しい問題まで広げるより、基礎問題を時間内に正確に解く方が準備になります。筆記の範囲が分かったら、面接は別の記事で「なぜ訓練が就職に必要か」を自分の言葉にしてください。

