結婚や離婚などで姓が変わったとき、給与口座の名義変更はいつすればいいのでしょうか。
「銀行を先に変えて、会社は後でいい?」
「給料日の直前に口座を新姓へ変えてしまった」
「会社には新姓を届けたけど、銀行はまだ旧姓のまま」
このような状態になると、次の給料がきちんと振り込まれるのか不安になります。
結論からいうと、「給料日の○日前までに変更すれば大丈夫」という全国共通の期限はありません。
確認したいのは変更した日ではなく、
次回の給与振込データが旧姓・新姓のどちらで作られているか
です。
会社へ氏名変更を届けても、すでに今月分の給与計算が終わっていれば、給与振込データだけ旧姓のまま残っていることがあります。
反対に銀行だけ新姓へ変更し、会社が旧姓名義で振り込むケースもあります。
給料日が近いなら、まず給与担当へ次のように確認してください。
「次回給与の振込口座名義は、旧姓と新姓のどちらで登録されていますか?」
現在の状況別に整理すると、確認先は次のとおりです。
| 現在の状態 | 最初に確認すること |
|---|---|
| 会社も銀行もまだ旧姓 | 給与担当へ次回の振込データ確定時期を聞く |
| 銀行だけ新姓へ変更済み | 会社が今月どちらの名義で振り込むか確認 |
| 会社だけ新姓へ変更済み | 銀行の現在名義と今月の振込名義を確認 |
| 両方とも新姓へ変更済み | 今月の給与振込データまで新姓になっているか確認 |
| 給料日なのに入金されない | 会社へ振込結果と振込名義を確認 |
この記事では、給与口座の名義変更をいつするのがよいのか、変更が給料日に間に合わない場合や旧姓・新姓がずれてしまった場合に何を確認すればよいのかを順番に解説します。
給与口座の名義変更は「給料日の何日前」より振込データの確定時期を見る
給与口座の名義変更で最初に知っておきたいのは、給料日と会社が給与振込データを作る日は同じではないことです。
例えば給料日が25日でも、会社が24日に振込処理をしているとは限りません。
給与計算を締めたあと、事前に銀行へ送るデータを作成します。
そのため20日に会社へ氏名変更を届けたとしても、今月分の給与処理がすでに終わっていれば、
- 社員情報は新姓
- 今月の給与振込データは旧姓
という状態になることがあります。
実際に給与計算ソフト「給料王」の公式FAQでも、給与計算後に社員情報の振込口座名義を変更すると、変更後の名義が当月の給与銀行振込データへ反映されないケースが案内されています。
もちろん、すべての会社が同じ給与ソフトや同じ処理方法を使っているわけではありません。
ただ、ここから分かるのは、
「会社へ変更届を出した=今月の振込データも変更された」とは限らない
ということです。
そのため給与口座の名義を変える予定があるなら、給与担当へ、
「今月分の給与振込データはもう確定していますか?」
と先に聞いておくと判断しやすくなります。
※参考:ソリマチ株式会社「振込口座名義が振込データに反映されない時の対処方法」
これから名義変更するなら会社と銀行のどちらが先?
「会社と銀行、どちらを先に新姓へ変えればいいの?」
と迷う人も多いと思います。
ただ、どちらかを機械的に先にすれば必ず安全というものではありません。
おすすめなのは、最初に会社の給与担当へ連絡することです。
手続きの順番は次のように考えると分かりやすくなります。
- 会社へ氏名が変わったことを伝える
- 次回給与の振込データが確定しているか確認する
- 今月は旧姓・新姓のどちらで振り込まれるか確認する
- 銀行で氏名変更の手続きをする
- 会社へ新しい口座名義を届ける
- 給料日が近ければ今月の振込名義をもう一度確認する
例えば会社から、
「今月分はすでに旧姓名義で振込データを作成しています」
と言われたとします。
この場合、銀行を新姓へ変更したあとは、
「旧姓名義で来る今月の給与を受け取れるか」
を利用している銀行へ確認すればよくなります。
逆に給与データがまだ確定していないなら、新姓名義へ更新できるか給与担当へ確認できます。
つまり大切なのは、
銀行か会社のどちらを先にするかではなく、名義が切り替わる月の給与をどう処理するか
です。
銀行だけ新姓へ変更した場合は旧姓の給与を受け取れる?
例えば、
- 銀行口座:新姓
- 会社の給与登録:旧姓
となっているケースです。
銀行で名義変更を済ませたあとに、
「会社へ連絡するのを忘れていた」
と気づくこともあるでしょう。
この場合、まず会社へ、
「今月の給与は旧姓名義で振込処理されていますか?」
と確認してください。
旧姓のままなら、次に銀行へ確認します。
重要なのは、口座を新姓へ変更したあとに旧姓名義の振込を受け取れるかは銀行によって異なることです。
例えばGMOあおぞらネット銀行では、個人客の場合、口座名義変更後も「変更完了から6か月経過後の月末まで」は旧口座名義宛ての振込を受け取れると案内しています。
一方、みずほ銀行では、氏名変更時に「旧名義宛振込の入金依頼」を申し込めば旧氏名宛ての振込を受け取れますが、申し込みがなければ受け取れないと案内しています。
つまり、
「銀行で名義変更したばかりだから旧姓でも大丈夫」
とは一律に言えません。
会社が旧姓名義で振り込む予定なら、自分が利用している銀行へ、
「新姓へ名義変更済みですが、旧姓名義で給与が振り込まれた場合も入金できますか?」
と聞いてください。
これが一番確実です。
※参考:GMOあおぞらネット銀行「口座名義の変更後は、旧口座名義への振込でも受け取ることができますか」
会社だけ新姓へ変更して銀行口座が旧姓のままなら?
反対に、
- 会社:新姓
- 銀行:旧姓
となるケースもあります。
会社へ結婚後の新姓を届けたものの、銀行の名義変更がまだ終わっていない状態です。
この場合も確認するのは同じです。
まず給与担当へ、
「今月の給与振込データも新姓名義になっていますか?」
と聞きます。
新姓名義で振り込む予定なのに銀行口座がまだ旧姓なら、給料日前に銀行の変更手続きを進めるか、給与担当と対応を相談してください。
「口座番号は同じだから名前が違っていても大丈夫」と決めつけるのは避けたほうがよいでしょう。
一般の振込でも、受取人名などの情報が一致せず、受取側の金融機関で入金できない場合があります。
三菱UFJ銀行も、口座番号や受取人名の相違などによって振込先金融機関で入金できない場合、振込資金が返却されることがあると案内しています。
そのため、
会社が新姓・銀行が旧姓の状態をそのままにして給料日を迎えるより、事前に確認しておく
のが安全です。
※参考:三菱UFJ銀行「振り込みの際、受取人名の確認はできますか」
会社と銀行の両方を新姓に変えたなら大丈夫?
会社も銀行も新姓へ変更済みなら、多くの人は、
「これで終わり」
と思うでしょう。
ただし、給料日の直前に変更した場合だけは、もう1点確認しておく価値があります。
それが今月の給与振込データです。
例えば次の状態です。
| 登録場所 | 名義 |
|---|---|
| 会社の社員情報 | 新姓 |
| 銀行口座 | 新姓 |
| 今月作成済みの給与振込データ | 旧姓 |
会社へ氏名変更届を出したこと自体は間違っていません。
銀行の名義変更も終わっています。
それでも、給与計算が終わったあとに会社の社員情報だけ変更した場合、今月分の振込データには変更前の名義が残る可能性があります。
そのため、給料日の直前に両方変更したなら、給与担当へ、
「今月の給与振込データの口座名義も新姓へ変更されていますか?」
と聞いてください。
「社員情報は変更されていますか?」ではありません。
「今月の振込データ」まで確認するのがポイントです。
※参考:ソリマチ株式会社「振込口座名義が振込データに反映されない時の対処方法」
給料日の前日・直前に名義変更してしまったら?
給料日の前日になって、
「銀行を新姓に変えたけど、会社へ連絡していなかった」
と気づくこともあります。
この場合も、まず会社へ連絡してください。
確認することは多くありません。
次の2つで十分です。
- 今月の給与振込データは旧姓・新姓どちらか
- すでに銀行へ振込データを送信しているか
例えば、
「銀行口座を新姓へ変更しました。明日の給与振込は旧姓・新姓どちらの名義で処理されていますか?」
と聞けば状況を確認できます。
会社から、
「旧姓名義ですでに処理済みです」
と言われたら、次に銀行へ、
「昨日、新姓へ名義変更しました。明日、旧姓名義で勤務先から給与が振り込まれる予定ですが受け取れますか?」
と確認します。
銀行が旧姓名義の振込を受け付けるなら、そのまま入金される可能性があります。
旧名義では受け付けられないなら、会社側へ再度連絡し、今回の給与をどう処理するのか確認します。
ここで一番避けたいのは、
「たぶん入るだろう」と何も確認しないことです。
給料日の前日でも、振込名義が分かれば次に確認すべきことは整理できます。
「給与口座の名義変更が間に合わない」ときの確認順
給与口座の名義変更が給料日に間に合わなそうなら、次の順番で確認すると迷いません。
1.銀行の現在の口座名義を見る
まず自分の口座が、
- まだ旧姓
- すでに新姓
のどちらなのか確認します。
「変更手続きを申請した」ではなく、現在どちらの名義として扱われているのかが重要です。
2.会社へ今月の振込名義を聞く
次に給与担当へ、
「今月分は旧姓・新姓どちらの口座名義で振り込まれますか?」
と確認します。
ここで銀行と一致していれば、少なくとも姓名のズレについては整理できます。
3.一致していなければ銀行へ確認する
例えば、
- 銀行:新姓
- 会社:旧姓
なら、銀行へ旧姓名義の振込を受け取れるか確認します。
銀行によって取扱いが違うため、ネット上の別の銀行の回答をそのまま当てはめないでください。
4.受け取れない場合は会社へ戻る
銀行から、
「旧姓名義では受け取れません」
と言われたら、その回答を会社の給与担当へ伝えます。
そのうえで、振込名義を変更できるのか、すでに処理済みならどう対応するのかを確認します。
つまり、
銀行 → 会社 → 銀行 → 必要なら会社
と何度も問い合わせるのではなく、
現在の銀行名義 → 今月の会社側の振込名義 → 不一致なら銀行へ確認
という順番で進めるのが効率的です。
給料日になっても振り込まれていない場合は?
給料日になっても給与が入っていない場合は、名義変更だけが原因とは限りません。
ただ、直前に姓を変更しているなら、会社の給与担当へ、
「今回の給与振込は正常に処理されましたか?」
と確認してください。
その際、
- 銀行の現在名義
- 会社へ氏名変更届を出した日
- 今月の振込名義
- 振込処理が返却されていないか
を確認すると原因を絞りやすくなります。
受取人名などが一致せず入金できなければ、振込資金が振込元へ返却されることがあります。
そのため、
「銀行にお金が見当たらない」
だけでは、どこで止まっているのか分かりません。
まず振込を行った会社側で処理結果を確認するのが早いでしょう。
また、給与の銀行振込について厚生労働省は、労働者が指定する本人名義の預貯金口座へ振り込み、給与の全額を所定の給与支払日に引き出せることを要件として示しています。
給料日になっても入金されていないなら、何日も様子を見るのではなく会社へ確認してください。
給与担当には「名義変更できていますか?」ではなくこう聞く
給与口座の名義変更で意外と重要なのが、会社への聞き方です。
例えば、
「結婚して名字が変わりました。名義変更できていますか?」
と聞くと、人事上の氏名だけ確認される可能性があります。
今回知りたいのはそこではありません。
銀行へ送る給与振込データの名義です。
そのため、給与担当には次のように聞くと分かりやすくなります。
給与振込口座を旧姓から新姓へ変更しました。次回給与について、銀行へ送る振込データの口座名義は旧姓・新姓のどちらになっていますか。すでに今月分が確定している場合は、確定済みの名義を教えてください。
もっと短く聞くなら、
今月の給与振込データは旧姓と新姓のどちらになっていますか?
だけでも構いません。
銀行へ問い合わせる場合も同じです。
口座を新姓へ変更しましたが、勤務先から今月だけ旧姓名義で給与が振り込まれる可能性があります。旧姓名義でも入金できますか?
と具体的に伝えます。
これなら「会社へ聞いてください」「銀行へ聞いてください」とたらい回しになりにくくなります。
給与口座の名義変更についてよくある疑問
給料日の前日に銀行の名義を変更しても大丈夫?
前日だから必ず大丈夫、必ず間に合わないとは言えません。
重要なのは、会社が今月の給与を何という名義で振り込むのかです。
銀行を新姓へ変更済みで会社が旧姓名義なら、旧姓でも入金できるか銀行へ確認してください。
給与口座の名義変更は会社と銀行を同じ日にする必要がある?
必ず同じ日に変更しなければならないわけではありません。
ただし切り替え時期に旧姓と新姓がずれる可能性があるため、給料日が近ければ今月の振込名義を確認しておくとよいでしょう。
銀行口座の名義を変えたら会社へ連絡する必要がある?
給与振込先として会社に登録している口座なら、会社へ新しい名義を伝えてください。
銀行側が一定期間旧姓名義の振込を受け付けていたとしても、今後も旧姓名義のままでよいという意味ではありません。
GMOあおぞらネット銀行も、旧口座名義で受け取れる期間を設ける一方、名義変更後は新しい口座名義で振り込んでもらうよう振込元へ連絡するよう案内しています。
旧姓と新姓が違うだけなら銀行が本人だと判断してくれる?
銀行によって取扱いが異なるため、そう決めつけないほうがよいでしょう。
実際に旧名義でも一定期間受け取れる銀行がある一方、別途手続きをしなければ旧名義では受け取れない銀行もあります。
名義が違って振り込めなかったら給料は消える?
一般の振込では、受取人名や口座情報の相違により入金できなかった場合、振込元へ資金が返却されることがあります。
給料日に入金されていなければ、まず会社へ振込結果を確認してください。
※参考:三井住友銀行「振込・振替 受取人名の入力方法と入力例」
まとめ|給与口座の名義変更で見るのは「次の給料がどの名前で送られるか」
給与口座の名義変更で迷ったら、
「会社と銀行のどちらを先に変更すればいいのか」
だけを考える必要はありません。
もっと重要なのは、
「次の給料が旧姓・新姓のどちらで銀行へ送られるのか」
です。
会社へ新姓を届けても、すでに今月分の給与振込データが旧姓で作成されていることがあります。
銀行を新姓へ変更していても、旧姓名義の振込を受け取れるかどうかは銀行によって異なります。
そのため、給料日前に迷ったら次の順番で確認してください。
① 銀行の現在名義を確認する
② 会社へ今月の給与振込名義を聞く
③ 名義が違っていたら銀行へ受取可能か確認する
④ 受け取れない場合は給与担当へ対応を相談する
特に会社へ聞くときは、
「氏名変更は反映されていますか?」
ではなく、
「今月の給与振込データは旧姓と新姓のどちらですか?」
と聞くのがポイントです。
これなら、会社へ変更届を出したかどうかだけではなく、次の給料が実際にどの名義で振り込まれるのかまで確認できます。


