退職するとマイナ保険証も使えなくなるのか。会社には何を返せばよいのか。退職翌日に通院の予定があると、新しい保険の情報が間に合うかも気になります。
マイナンバーカードは退職しても会社へ返しません。ただし前職の健康保険の資格は退職日の翌日から使えなくなります。同じカードで受診を続けるためにも、退職後の健康保険への加入手続きは必要です。
この記事ではマイナンバーカード・資格確認書・資格情報のお知らせを分け、返却するものと翌日からの受診方法を整理します。返却の具体例は協会けんぽの案内を基準にしています。健康保険組合などに加入していた場合は加入先の案内も確認してください。
退職時に返すもの・返さないものを確認する
「保険証を返してください」と言われたら、書類の正式名称を確認しましょう。マイナ保険証とは健康保険証として利用登録したマイナンバーカードのことで、会社から借りたカードではありません。
| 手元にあるもの | 退職時の扱い | 注意点 |
|---|---|---|
| マイナンバーカード(マイナ保険証) | 会社へ返却しない | カードは引き続き保管する。新しい保険への加入手続きは別に必要 |
| 有効期限内の資格確認書 | 協会けんぽでは勤務先へ返却する | 扶養家族分も対象。期限が先でも前職の資格で使えるのは退職日まで |
| 有効期限が切れた資格確認書 | 協会けんぽでは返却不要 | 個人情報に注意して処分する |
| 資格情報のお知らせ | 協会けんぽでは返却不要 | 返さなくてよくても、前職の資格喪失後の受診には使えない |
| 従来の健康保険証 | 協会けんぽでは2025年12月2日以降の退職なら返却不要 | 従来の保険証はすでに有効期間が終了。資格確認書と混同しない |
2026年現在は昔の記事にある「健康保険証を会社へ返す」という説明を、そのままマイナンバーカードに当てはめないことが大切です。
資格確認書は本人分だけでなく扶養家族分も確認する
本人の退職に伴い、その健康保険の扶養に入っていた家族も前職の資格を使えなくなります。本人がマイナ保険証を使っていても、家族には資格確認書が交付されている場合があります。
返す資格確認書の人数と枚数を確認し、退職日後に勤務先の指定方法で返却しましょう。会社からの案内に書類名の区別がなければ、返却先・期限・家族分の扱いを人事へ確認します。
退職に伴い返却する書類について確認させてください。手元には資格確認書が本人分○枚・家族分○枚あります。返却先と期限をご案内いただけますでしょうか。資格情報のお知らせの扱いも併せて教えてください。
前職の資格が使えるのは退職日まで
9月30日退職なら10月1日から、9月15日退職なら9月16日から前職の健康保険の資格は使えません。月の途中で退職した場合に月末まで使えるわけではありません。
有給休暇の消化中に受診するときも、最終出勤日ではなく正式な退職日を確認します。9月15日が最終出勤日でも9月30日付の退職なら、退職に伴う資格喪失日は10月1日です。
マイナポータルに前職の情報が残っていても使えるとは限らない
届出や情報の反映には時間がかかることがあります。画面に前職の保険者が表示されることと、その日に前職の資格があることは別です。
カードリーダーで受付できたとしても、退職翌日以降に前職の資格で受診してよいわけではありません。受診前に退職したことを受付へ伝え、当日の加入先を確認してもらいましょう。通院先だけでなく薬局にも保険の変更を伝えます。
確認するのは保険者名・資格取得日などです。任意継続や転職で同じ協会けんぽに入る場合も、名称だけで「変更済み」と判断せず加入手続きの結果を確認してください。
利用登録はそのままでも新しい健康保険への手続きは必要
すでにマイナンバーカードの健康保険証利用登録を済ませている人は、退職や転職だけを理由に再登録する必要はありません。退職に伴って利用登録を解除する必要もありません。
ただし会社が前職の資格喪失を届け出ても、国民健康保険などへ自動加入するわけではありません。退職翌日からどの保険に入るかを決め、加入や扶養の手続きを進めます。
| 退職後の加入先 | 手続き・確認する相手 | 受診前に確認すること |
|---|---|---|
| 転職先の健康保険 | 転職先の人事・給与担当 | 資格取得日、届出状況、情報の反映状況 |
| 国民健康保険 | 住んでいる市区町村の国保窓口 | 加入日と必要書類。原則14日以内に届出 |
| 任意継続 | 加入していた保険者 | 加入条件と申請期限。協会けんぽは原則退職翌日から20日以内の申請 |
| 家族の健康保険の被扶養者 | 家族の勤務先・加入先の保険者 | 扶養の認定条件と認定日。申請しただけで認定済みとは判断しない |
任意継続には退職前の加入期間などの条件があります。協会けんぽでは郵送の場合も期限内の到着が必要です。希望する場合は書類がそろうのを待ち続けず加入先へ確認してください。
転職先への入社まで短い空白がある場合も、その期間に使う資格の確認が必要です。
国保の加入などで資格喪失証明書を求められたのに届いていない場合は、会社への照会と自治体への相談を進めます。
退職翌日に受診するときは資格の状態で分ける
受診日に新しい保険へ加入しているのか、加入手続き中なのかで対応が変わります。「マイナ保険証が読めない」とだけ伝えず、退職日と手続きの状況も説明してください。
| 受診時の状態 | 受付での対応 |
|---|---|
| 新しい資格がマイナ保険証に反映済み | マイナ保険証で資格確認を受ける。保険が変わったことも伝える |
| 新しい有効な資格確認書が届いている | その資格確認書を提示する |
| 新しい資格はあるがカードで確認できない | マイナンバーカードと最新の資格情報を提示する方法などを受付へ相談する |
| 加入手続き中で情報が未反映 | 退職日・加入先・手続き日を伝える。資格の確認方法と当日の支払いを相談する |
| 加入先が未定・まだ手続きしていない | 市区町村などへ至急相談する。前職の資格は使わず受付にも状況を伝える |
カードで資格確認できないときの補助資料
厚生労働省はマイナ保険証で資格確認できない場合に、マイナンバーカードとマイナポータルの資格情報画面を併せて示す方法を案内しています。資格情報をダウンロードしたPDFも使えます。
またマイナンバーカードと紙の「資格情報のお知らせ」を併せて提示する方法もあります。資格情報のお知らせは単体では受診用の証明書にならず、スマートフォンに撮った画像などでの提示もこの方法では認められません。
いずれも受診日に有効な資格を確認するための資料です。前職の古い画面やお知らせを、新しい資格の代わりに出してはいけません。
資料がない初診では被保険者資格申立書を案内される場合がある
有効な保険資格があるのにマイナ保険証で確認できず、資格情報画面なども示せない場合は「被保険者資格申立書」を記入する対応があります。医療機関・薬局の案内に従い、現在の加入先や連絡先などを記入します。
この申立書は新しい健康保険へ加入する手続きの代わりではありません。未手続きや扶養認定待ちで資格がはっきりしない場合まで、必ず通常の自己負担で受診できるとは限りません。
マイナ保険証の利用登録をしていない人などには新しい保険者から資格確認書が交付されます。届く前に受診する必要がある場合は、加入先へ交付状況と受診方法を確認してください。
一度10割払った場合は領収書を残して精算方法を確認する
加入情報の反映待ちなどの事情によっては、いったん医療費の全額を支払う場合があります。受診を先延ばしにせず、受付で当日の扱いと後日の精算方法を確認しましょう。
まず医療機関に新しい資格を示した後で精算できるかを聞きます。医療機関で精算できない場合は、受診日に加入していた保険者へ療養費の申請を相談します。
- 領収書を保管する
- 診療明細書など診療内容が分かる書類を保管する
- 精算や申請に必要な追加書類を医療機関・保険者へ確認する
- 医療機関で返金を受けた分を重ねて療養費申請しない
払い戻される額は保険診療の基準などに沿って審査されます。支払った額の7割が必ずそのまま戻るとは限らず、保険対象外の費用は分けて考える必要があります。
誤って前職の資格で受診してしまったら
気付いた時点で医療機関・薬局と前の保険者へ連絡し、受診日に加入していた保険も伝えます。協会けんぽは資格喪失後の受診について、協会が負担した医療費の返還が必要になると案内しています。
返還の通知が届いたら放置せず、必要な手続きとその後の申請先を確認してください。返還時の領収書や交付された診療報酬明細書などは、新しい保険者への申請で必要になる場合があります。
会社・加入先・病院に伝える内容を分ける
情報が更新されないときは、何の手続きが止まっているのかを確認します。前職への返却だけを済ませても、新しい資格が登録されるとは限りません。
- 前職の会社:資格喪失日、資格喪失の届出状況、資格確認書の返却先、資格喪失証明書の発行
- 新しい勤務先・保険者・自治体:資格取得日、加入手続きの処理状況、マイナ保険証への反映、資格確認書の交付状況
- 医療機関・薬局:退職日、受診日の加入先、手続き状況、持参できる資料、当日の支払いと後日の精算
受診前の問い合わせには次の文例を使えます。
○月○日に前の会社を退職し、○月○日から○○の健康保険に加入する手続きをしています。マイナポータルにはまだ新しい情報が表示されません。○月○日に受診予定ですが、持参する資料と当日の資格確認方法、いったん全額を支払う場合の精算方法を教えてください。
加入日がまだ確定していなければ「認定結果を確認中です」と事実どおりに伝えます。急な症状があるときは書類の到着を待たず、医療機関へ受診と支払いの相談をしてください。
退職時はカードは手元に残す→必要な資格確認書を返す→新しい保険へ加入する→受診日の資格を確認するの順に整理しましょう。返却の有無と、その日に使える保険資格を分けることが誤使用を防ぐポイントです。
参考資料
- 協会けんぽ「健康保険証等の返却について(令和7年12月2日より)」
- 協会けんぽ「《就職、退職》マイナ保険証や資格確認書の使用について」
- 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用についてよくある質問」
- 厚生労働省「資格確認方法について」
- 協会けんぽ「任意継続の加入手続きについて」
- 横浜市「会社を退職して国民健康保険に加入したいのですが。」
- 協会けんぽ「医療費の立替」
※2026年9月25日時点の公的資料をもとに作成しています。書類の交付・返却方法や受診時の確認方法は加入先と医療機関の案内も確認してください。




