前職の雇用保険が抜けていないと言われた|転職先で加入できないときの確認順

雇用保険被保険者証・加入記録

転職先から、

「前の会社の雇用保険がまだ抜けていません」

「前職の資格が残っているので雇用保険の加入手続きができません」

と言われることがあります。

すでに退職しているのにこう言われると、

「今の会社で雇用保険に入れないの?」

「自分で前職の雇用保険を抜くの?」

「前の会社に連絡しないとダメ?」

と不安になるでしょう。

結論からいうと、まず確認するのは前職の雇用保険資格が本当に残っているのか、その原因が何なのかです。

前職の資格喪失届がまだ処理されていない場合、転職先が提出した資格取得届の処理に時間がかかることがあります。

ただし、

「今すぐ処理できない」=「転職先で雇用保険に加入できない」

という意味ではありません。

転職先で雇用保険の加入条件を満たしているなら、前職の記録を整理したうえで資格取得手続きを進めます。

確認する順番は次のとおりです。

  1. 転職先に何が原因で処理できないのか聞く
  2. 前職の正式な退職日を確認する
  3. 前職に資格喪失届の提出状況を確認する
  4. 解決しなければハローワークで加入記録を確認する
  5. 最後に転職先の資格取得日を確認する

いきなり前職へ「雇用保険を抜いてください」と連絡するより、この順番で確認したほうが原因を見つけやすくなります。

  1. 「前職の雇用保険が抜けていない」とは?
  2. 「加入できない」と言われても未加入が確定したわけではない
  3. 確認① まず転職先に「何が原因なのか」を聞く
  4. 確認② 前職の「最後に働いた日」ではなく正式な退職日を見る
  5. 前職の「離職日」と「資格喪失日」は同じ日ではない
  6. 前職の退職日と転職先の入社日が重なっていたら?
  7. 確認③ すでに退職しているなら前職へ資格喪失届を確認する
  8. 前職は資格喪失届をいつまでに出す?
  9. 前職が「もう提出した」と言っている場合
  10. 前職が手続きをしてくれない場合はハローワークへ相談する
  11. 自分で前職の「資格喪失届」を出せる?
  12. 確認④ ハローワークで自分の加入状況を確認できる
  13. 雇用保険被保険者証をなくしていても大丈夫?
  14. 被保険者番号は転職するたびに変わる?
  15. 前職と転職先で被保険者番号が違ったら?
  16. 確認⑤ 最後に転職先の「資格取得日」を確認する
  17. 手続きが1か月遅れたら、その1か月は雇用保険に入れない?
  18. 転職先が資格取得届を出すのを忘れていた場合は?
  19. 給与から雇用保険料が引かれていれば加入済み?
  20. 前職の加入期間は転職するとリセットされる?
  21. 前職が抜けていないと言われたときの確認順
  22. ケース別|結局どう動けばいい?
  23. まとめ|「前職が抜けていない」と言われたら、まず原因を確認する

「前職の雇用保険が抜けていない」とは?

雇用保険に加入している人が会社を退職すると、前職はハローワークへ「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出します。

その後、転職先では「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

通常は、

前職を退職
↓
前職で資格喪失
↓
転職先で資格取得

という流れになります。

ところが転職先が資格取得届を提出した時点で、前職の雇用保険資格がまだ残っていると、すぐに資格取得処理を完了できないことがあります。

一般的な転職では、前職と転職先の雇用保険加入期間がそのまま重複する処理にはなりません。

そのためハローワーク側で、

  • 前職の資格喪失処理が終わっているか
  • 前職の離職年月日はいつか
  • 転職先の資格取得日はいつか
  • 同じ被保険者番号を使っているか

などを確認します。

「加入できない」と言われても未加入が確定したわけではない

ここは特に重要です。

転職先から、

「前職が抜けていないので加入できません」

と言われても、転職先での雇用保険加入資格までなくなったとは限りません。

正確には、

前職の資格喪失処理が終わっていないため、転職先の資格取得届をまだ処理できない

という意味の場合があります。

たとえば、

4月1日 転職先へ入社
4月5日 転職先が資格取得届を提出
↓
ハローワークで前職の資格が残っていることが判明
↓
前職の資格喪失を確認
↓
転職先の資格取得手続きを処理

という流れです。

手続きに時間がかかったからといって、

「4月1日から加入条件を満たしていたのに、処理が終わった5月からしか加入できない」

と単純に決まるわけではありません。

まず資格取得日が最終的に何月何日になったのか確認してください。

確認① まず転職先に「何が原因なのか」を聞く

最初に現在の会社の人事・総務担当へ確認します。

単に、

「前職が抜けていません」

だけでは原因が分かりません。

次のように聞けば十分です。

「前職の資格喪失届が未処理なのでしょうか。それとも前職の離職日と今回の資格取得日が重複しているのでしょうか」

考えられるのは主に次のケースです。

状況考えられる原因
前職の資格が現在も残っている資格喪失届が未提出・未処理
日付が重複している前職の退職日と転職先の入社日が重なっている
被保険者番号が分からない前職の加入記録との照合に時間がかかっている
前職と現在で番号が違う被保険者番号が二つ作られている可能性
前職は提出済みと言っているハローワーク側で処理中の可能性

原因によって次にやることが違います。

確認② 前職の「最後に働いた日」ではなく正式な退職日を見る

次に確認するのが前職の退職日です。

ここで間違えやすいのが、

最終出勤日=退職日

とは限らないことです。

たとえば、

3月20日 最後に出勤
3月21日~31日 有給休暇
3月31日 退職

なら正式な離職日は3月31日です。

3月20日ではありません。

有給消化中も前職との雇用関係は続いています。

そのため、

前職 3月31日退職
転職先 3月25日入社

となっていれば、前職の離職日より前に転職先へ入社したことになります。

「前職が資格喪失届を忘れている」のではなく、そもそも在籍期間が重なっている可能性があります。

確認するときは、

  • 退職証明書
  • 離職票
  • 退職辞令
  • 前職から届いた退職手続きの書類
  • 有給消化期間が分かる資料

などを見て、正式な退職日を確認してください。

前職の「離職日」と「資格喪失日」は同じ日ではない

もう一つ分かりにくいのが日付です。

通常の退職では、

離職日の翌日に雇用保険の被保険者資格を喪失

します。

たとえば3月31日退職なら、

3月31日 離職日
4月1日 資格喪失日

という関係です。

そのため書類によって、

「離職年月日」

「資格喪失年月日」

の表記が異なります。

1日違っているから会社が間違えているとは限りません。

前職の退職日と転職先の入社日が重なっていたら?

たとえば、

前職の離職日 4月10日
転職先の入社日 4月1日

だったとします。

この場合、前職の雇用保険期間と転職先が届け出た資格取得日が重なります。

ハローワークでは、こうしたケースについて原則として前職の離職年月日を基準に転職先の資格取得年月日を調整する取扱いをしています。

ここで注意したいのは、雇用保険上の日付を調整するからといって、

転職先へ実際に入社した日まで変更されるわけではない

ことです。

あくまで雇用保険上の処理です。

前職の有給消化中に次の会社へ入社した人は、このケースに当てはまる可能性があります。

確認③ すでに退職しているなら前職へ資格喪失届を確認する

正式な退職日も過ぎていて在籍期間も重なっていない。

それでも前職の資格が残っていると言われた場合は、前職へ確認します。

人事・総務担当へ、

「転職先で雇用保険の資格取得手続きをしたところ、前職の資格が残っていると言われました。資格喪失届は提出済みでしょうか」

と伝えればよいでしょう。

確認したいのは、

  • 資格喪失届を提出したか
  • いつ提出したか

の2点です。

前職は資格喪失届をいつまでに出す?

会社には雇用保険の資格喪失届を提出する期限があります。

通常の退職では離職日の翌日に被保険者資格を失い、その後、会社が定められた期限までに資格喪失届をハローワークへ提出します。

そのため、

「退職からかなり時間がたっているのに前職の資格が残っている」

場合は、前職へ手続き状況を確認したほうがよいでしょう。

一方で、

前職が届出済み
↓
ハローワークで処理中
↓
その間に転職先が資格取得届を提出

ということもあります。

資格が残っていると言われたからといって、必ず前職が手続きを忘れたとは限りません。

前職が「もう提出した」と言っている場合

前職から、

「資格喪失届は提出済みです」

と言われたら、提出日を聞いておきましょう。

たとえば、

「○月○日に電子申請しました」

と分かれば、それを転職先へ伝えます。

前職の資格喪失届が処理されていない状態では、転職先の資格取得届の処理にも時間がかかることがあります。

この場合は前職に何度も同じ届出を求めるのではなく、

「前職から○月○日に提出済みと確認できました」

と転職先の担当者へ伝え、現在の処理状況を確認してもらいます。

前職が手続きをしてくれない場合はハローワークへ相談する

問題なのは、

  • 前職に電話しても対応してくれない
  • 退職でもめていて連絡しにくい
  • 会社が資格喪失届を出してくれない
  • 会社そのものと連絡が取れない

といったケースです。

この場合、本人が何か月も待つ必要はありません。

前職が必要な手続きを行わない場合は、退職したことが分かる資料などを持ってハローワークへ相談できます。

たとえば、

  • 本人確認書類
  • 退職証明書
  • 雇用契約書
  • 給与明細
  • 離職票があれば離職票
  • 退職日を確認できるメールや書面

などです。

手元にすべてそろっていなくても、まず相談して必要な資料を確認すればよいでしょう。

自分で前職の「資格喪失届」を出せる?

基本的に、雇用保険被保険者資格喪失届を提出するのは前職の事業主です。

退職者本人が、

「会社がやってくれないので、自分で資格喪失届を書いて出します」

という通常の手続きではありません。

本人が行うのは、

前職へ手続き状況を確認
↓
必要なら資格喪失届の提出を依頼
↓
対応してもらえなければハローワークへ相談

です。

転職先から、

「自分で前職の雇用保険を抜いてきてください」

と言われた場合も、まず何の処理が必要なのかハローワークへ確認してください。

確認④ ハローワークで自分の加入状況を確認できる

前職と転職先で説明が違う場合は、自分の雇用保険の加入記録を確認すると整理しやすくなります。

労働者本人は、

自分の雇用保険の資格取得手続きが適正に行われているか

をハローワークへ照会できます。

確認したいのは、

  • 前職の資格取得日
  • 前職の離職年月日
  • 前職の資格喪失状況
  • 現在の会社の資格取得状況
  • 被保険者番号

などです。

「前職では喪失済みと言われたのに、転職先では残っていると言われる」

といった場合は、ハローワークで記録そのものを確認するとよいでしょう。

雇用保険被保険者証をなくしていても大丈夫?

転職すると、

「雇用保険被保険者証を提出してください」

と言われることがあります。

なくしてしまった人もいるでしょう。

しかし、被保険者証が手元にないだけで雇用保険へ加入できなくなるわけではありません。

雇用保険被保険者番号が分からない場合でも、

  • 氏名
  • 生年月日
  • 前職の会社名

などからハローワークで被保険者番号の有無を確認できます。

転職先は前職の会社名などを記載して資格取得届を提出できます。

そのため、

「被保険者証がない=前職から再発行されるまで何もできない」

とは限りません。

被保険者番号は転職するたびに変わる?

原則として変わりません。

雇用保険被保険者番号は本人に付けられる番号なので、転職しても同じ番号を使います。

たとえば、

A社
↓
B社
↓
C社

と転職しても、基本的には同じ被保険者番号で加入記録をつないでいきます。

そのため以前の雇用保険被保険者証が手元にあるなら、転職先へ提出してください。

前職と転職先で被保険者番号が違ったら?

前職の被保険者証と転職先でもらった書類を見たら、

「番号が違う」

ということがあります。

この場合は確認したほうがよいでしょう。

本来1人の加入記録としてつながるべきところに、別の被保険者番号が作られている可能性があります。

ハローワークでは、前職と現在の被保険者番号が異なる場合、必要に応じて番号を統合する取扱いがあります。

加入期間は失業給付などにも関係するため、

「番号が二つあります」

と転職先の担当者またはハローワークへ伝えてください。

確認⑤ 最後に転職先の「資格取得日」を確認する

前職の問題が解決したら、それで終わりにしないほうがよいでしょう。

最後に転職先へ、

「雇用保険の資格取得日は何月何日になりましたか」

と確認します。

特に、

前職の資格喪失処理が遅れた
↓
転職先の処理も遅れた

というケースでは、書類上の日付を確認しておくことが大切です。

転職先から「雇用保険資格取得等確認通知書」などが渡されたら、資格取得年月日と被保険者番号を確認してください。

手続きが1か月遅れたら、その1か月は雇用保険に入れない?

必ずしもそうではありません。

たとえば4月1日から転職先で雇用保険の加入条件を満たして働いていたものの、前職の資格喪失処理の影響で資格取得の処理が5月になったとします。

処理が5月になったことと、資格取得日が5月になることは同じではありません。

雇用保険の資格取得日は原則として、事業主と本人との間で契約した「在籍となる初日」を基に判断します。

そのため処理に時間がかかった場合は、

「いつ処理が終わったか」

ではなく、

「資格取得年月日がいつになったか」

を確認してください。

ただし前職の離職日と転職先の入社日が重複している場合は、雇用保険上の資格取得日が調整されることがあります。

転職先が資格取得届を出すのを忘れていた場合は?

前職ではなく、転職先側の手続きが遅れているケースもあります。

事業主は雇用保険の加入条件を満たす労働者を雇った場合、資格取得届を提出する必要があります。

手続きが遅れていたからといって、すぐにその期間がすべて加入期間から消えるわけではありません。

一定の条件で過去にさかのぼって資格取得を確認できる制度があります。

特に雇用保険料が給与から控除されていた場合は、給与明細が重要な資料になります。

そのため給与明細は捨てずに残しておきましょう。

給与から雇用保険料が引かれていれば加入済み?

これも別問題です。

給与明細に、

「雇用保険 ○○円」

と書かれていても、それだけでハローワークの資格取得処理まで終わっているとは限りません。

会社の給与計算と、ハローワークへの資格取得届は別の手続きです。

そのため、

給与から雇用保険料が引かれている
↓
でも前職の資格が残っているため取得届の処理が止まっている

ということもあり得ます。

給与明細だけで判断せず、資格取得年月日を確認してください。

前職の加入期間は転職するとリセットされる?

前職の雇用保険を資格喪失して転職先で入り直しても、毎回加入期間がゼロになるわけではありません。

前職を退職したあと失業給付などを受給せず、一定期間内に再び雇用保険へ加入した場合は、以前の被保険者期間を通算できる場合があります。

そのため、

「前職を抜けたら、それまで払っていた雇用保険が全部無駄になる」

と考える必要はありません。

ただし加入記録を正しくつなぐためにも、同じ被保険者番号を使うことが重要です。

前職が抜けていないと言われたときの確認順

迷ったら次の順番だけ覚えておけばよいでしょう。

1.転職先へ確認

「前職の資格喪失が未処理なのか、離職日と資格取得日が重複しているのか」を聞きます。

2.前職の正式な退職日を確認

最終出勤日ではなく、正式な退職日を確認します。

有給消化中だった場合は特に注意してください。

3.前職へ確認

資格喪失届を提出したか、いつ提出したかを聞きます。

4.解決しなければハローワークへ確認

前職が対応しない場合や会社同士の説明が違う場合は、退職日が分かる資料を持って相談します。

5.転職先の資格取得日を確認

処理が終わったら、

「現在の会社では何月何日から加入したことになっていますか」

まで確認します。

ケース別|結局どう動けばいい?

状況やること
前職が資格喪失届を出していない前職へ提出を依頼
前職は提出済み提出日を転職先へ伝える
前職が連絡に応じないハローワークへ相談
前職の退職日と入社日が重複転職先・ハローワークで資格取得日を確認
前職の被保険者番号が分からない前職名などを転職先へ伝える
被保険者証を紛失した番号照会が可能
被保険者番号が2つある番号の統合を相談
雇用保険料は引かれている資格取得処理まで完了しているか確認
転職先の手続きも遅れている資格取得年月日を確認

まとめ|「前職が抜けていない」と言われたら、まず原因を確認する

転職先から、

「前職の雇用保険が抜けていません」

と言われても、すぐに前職へ怒って連絡する必要はありません。

最初に現在の会社へ、

「資格喪失が未処理なのか、前職の離職日と今回の資格取得日が重複しているのか」

を確認してください。

そのうえで、

転職先に原因を確認
↓
前職の正式な退職日を確認
↓
前職へ資格喪失届の提出状況を確認
↓
解決しなければハローワークへ相談
↓
転職先の資格取得日を確認

という順番で進めれば整理しやすくなります。

特に覚えておきたいのは、

「転職先で今すぐ処理できない」ことと「転職先で雇用保険に加入できない」ことは同じではない

という点です。

前職の資格喪失処理に時間がかかっていても、転職先で加入条件を満たしているなら、前職の記録を確認したうえで資格取得手続きを進めます。

また被保険者証をなくしていても、被保険者番号が分からなくても、それだけで加入できなくなるわけではありません。

何か月も放置せず、

最終的に「現在の会社の資格取得年月日」と「被保険者番号」が正しく登録されているか

まで確認しておきましょう。

参考資料