第一種電気工事士に合格したが実務経験がない|認定電気工事従事者を講習なしで申請できる?

第一種電気工事士試験に合格し、実務経験なしでも認定電気工事従事者を講習なしで申請できることを示すイラスト 電気工事・通信工事の仕事と資格

結論から言うと、第一種電気工事士試験に合格している人は、実務経験がなくても認定電気工事従事者の認定証を申請できます。
このルートでは、認定電気工事従事者認定講習を受ける必要もありません。

ここで間違えやすいのが、「第一種電気工事士の試験に合格したこと」と「第一種電気工事士免状を持っていること」は別だという点です。
第一種電気工事士免状は、試験合格だけでは交付されず、原則として3年以上の実務経験が必要です。

今回のケース

  • 第一種電気工事士試験:合格済み
  • 電気工事の実務経験:0年
  • 第一種電気工事士免状:まだ取得できない
  • 認定電気工事従事者:講習なしで申請できる

第一種電気工事士試験の合格者は、実務経験0年でも申請できる

経済産業省は、認定電気工事従事者の認定基準の一つとして「第一種電気工事士試験に合格した者」を挙げています。
この基準には、第一種電気工事士試験の合格者について「3年以上の実務経験」や「認定講習の修了」という条件は付いていません。

つまり、第一種電気工事士試験には合格したものの、まだ実務経験を積んでいない人でも、この合格資格を使って認定電気工事従事者を申請できます。

第二種電気工事士免状から認定電気工事従事者を目指す場合は、事情が違います。
第二種電気工事士免状の取得者は、原則として3年以上の所定の実務経験を積むか、認定電気工事従事者認定講習を修了するルートになります。

申請する人 実務経験 認定講習
第一種電気工事士試験の合格者 不要 不要
第二種電気工事士免状の取得者 3年以上あれば申請可 実務経験がない場合の別ルート
電気主任技術者免状の取得者 3年以上あれば申請可 実務経験がない場合の別ルート

したがって、「一種の試験には受かった。でも経験がないから認定講習を先に受けないといけないのでは?」と考えているなら、講習を申請要件として受ける必要はありません。

第一種電気工事士の「合格」と「免状」は分けて考える

この制度で最も混乱しやすいところです。
第一種電気工事士試験の合格者は認定電気工事従事者を申請できますが、それだけで第一種電気工事士としてすべての対象工事に従事できるわけではありません。

第一種電気工事士免状を試験合格ルートで取得する場合、2021年4月1日以降は学歴にかかわらず、原則3年以上の実務経験が必要です。
経済産業省のFAQでは、この実務経験は試験合格の前後を問わず通算できるとされています。

資格・状態 実務経験0年で取得・申請できる? 主な意味
第一種電気工事士試験の合格 試験合格済みなら該当 まだ第一種電気工事士免状ではない
認定電気工事従事者認定証 申請できる 一定範囲の簡易電気工事に従事できる
第一種電気工事士免状 原則できない 試験合格に加え原則3年以上の実務経験が必要

「一種に合格したから、認定電気工事従事者はいらないのでは」と思う人もいますが、実務経験が足りず一種免状をまだ取得できない期間には、認定証で従事できる工事範囲を持てる意味があります。

認定電気工事従事者になると、どこまで工事できる?

認定電気工事従事者は、自家用電気工作物のうち電圧600V以下で使用する設備で、最大電力500kW未満の需要設備に関する「簡易電気工事」に従事するための資格です。
工場、ビル、店舗などの自家用電気工作物であっても、対象はこの範囲に限られます。

第一種電気工事士免状と同じ資格ではなく、自家用電気工作物のあらゆる工事ができるわけでもありません。
そのため、求人を見るときは「認定電気工事従事者で従事できる作業なのか」「第一種電気工事士免状が必要な仕事なのか」を分けて見る必要があります。

これから電気工事の現場経験を積みたい人は、仕事内容と資格要件を求人票だけで判断しにくいことがあります。
未経験から現場へ入る場合の仕事内容や求人の見方は、次の記事で整理しています。

電気工事士の見習いはきつい?職業訓練後の仕事内容・求人の見方
電気工事士見習いの仕事を、訓練修了後の未経験者向けに、1日の流れ・きつさ・資格・求人票から整理します。

申請に必要なのは「第一種電気工事士免状」ではなく合格証書

第一種電気工事士試験の合格者ルートでは、第一種電気工事士免状をまだ持っていなくても申請できます。
関東東北産業保安監督部の案内では、資格要件を証明する書類として第一種電気工事士試験合格証書の写しを提出する扱いになっています。

同案内で示されている主な提出物は次のとおりです。

  • 電気工事士法第4条の2第4項の認定申請書(様式1の5)
  • 第一種電気工事士試験合格証書の写し
  • 認定電気工事従事者認定証交付申請書(様式5の2)
  • 収入印紙4,700円分
  • 住民票等(案内上の条件を満たすもの)
  • 縦4cm×横3cmの写真1枚
  • 返信用封筒

第一種電気工事士試験合格者の欄には、実務経験証明書も認定講習修了証も求められていません。
これが「実務経験なし・講習なしで申請できる」ことを、申請書類側からも確認できるポイントです。

なお、提出先や書類の細かな扱いは管轄する産業保安監督部によって案内ページが分かれています。
実際に送る前に、住所地を管轄する産業保安監督部の最新様式と送付方法を確認してください。

申請先は都道府県ではなく、最寄りの産業保安監督部

第一種電気工事士免状の交付申請は都道府県が窓口になるため、その感覚で認定電気工事従事者も県庁へ出すと思いやすいところです。
認定電気工事従事者の受付は、経済産業省が案内する最寄りの産業保安監督部電力安全課です。

申請前は、経済産業省の「認定電気工事従事者」ページから、自分の地域を担当する監督部を確認するのが確実です。

「講習を受けないと不利?」と心配する必要はない

第一種電気工事士試験合格者にとって、認定講習は認定証を申請するための必須条件ではありません。
講習を受けていないことを理由に、第一種試験合格者の申請ルートが使えなくなるわけではありません。

認定講習は、第二種電気工事士免状を取得したものの3年以上の実務経験がない人などにとって、実務経験ルートの代わりになる制度です。
自分が「第一種電気工事士試験合格者」として申請するなら、別ルートの条件を自分にも当てはめないことが大切です。

認定証を取れば、第一種免状の3年要件が消えるわけではない

認定電気工事従事者認定証を取得しても、第一種電気工事士免状の交付に必要な実務経験要件そのものが免除されるわけではありません。
将来、第一種電気工事士免状を申請するなら、別途、対象になる実務経験を積み、その内容を証明できるようにしておく必要があります。

これから経験を積む目的で就職先を探すなら、「電気工事に関われる会社」というだけでなく、一種免状申請時に実務経験として扱える仕事か、会社が実務経験証明書を出せるかまで意識しておくと後で困りにくくなります。

まだ電気工事の仕事自体が未経験で、職業訓練から就職するルートも比較したい場合はこちらです。

電気工事士は職業訓練で目指せる?第二種の取得・期間・就職先
第二種電気工事士を職業訓練で目指す場合の実習・資格・費用・就職先を整理します。

申請前に確認する順番

  1. 第一種電気工事士試験の合格証書を確認する
    一種免状ではなく、試験合格者であることを証明する書類を用意します。
  2. 住所地を管轄する産業保安監督部を確認する
    経済産業省の一覧から担当窓口を探します。
  3. 最新の申請様式と必要書類をそろえる
    認定申請書と認定証交付申請書の両方が必要になる点に注意します。
  4. 認定講習や実務経験証明書を余計に用意しない
    第一種試験合格者ルートでは、これらは申請要件ではありません。
  5. 将来の一種免状取得に向けて実務経験は別管理する
    認定証取得と一種免状の3年以上の要件を混同しないようにします。

よくある疑問

第一種電気工事士試験に合格した直後でも申請できますか?

認定基準は「第一種電気工事士試験に合格した者」であり、このルートに実務経験年数の条件はありません。
合格を証明する書類を用意し、管轄の産業保安監督部の最新案内に沿って申請します。

第二種電気工事士の免状を持っていなくても申請できますか?

第一種電気工事士試験合格者として申請する場合、第二種電気工事士免状を使うルートとは別です。
第一種試験の合格が認定基準そのものなので、第二種免状の取得後3年という条件をこのルートに当てはめる必要はありません。

認定電気工事従事者を取れば第一種電気工事士を名乗れますか?

いいえ。認定電気工事従事者認定証と第一種電気工事士免状は別の資格・証明です。
第一種電気工事士免状を取得していない段階で、認定証を一種免状の代わりとして扱うことはできません。

認定講習を先に申し込んでしまった場合は?

第一種電気工事士試験合格者であれば、認定証の申請要件としてその講習を修了する必要はありません。
すでに申し込んだ講習のキャンセルや返金の扱いは講習実施機関の規定によるため、申込先へ確認してください。

まとめ

第一種電気工事士試験に合格しているなら、実務経験がなくても、認定電気工事従事者は認定講習なしで申請できます。
申請時は第一種電気工事士免状ではなく、試験合格証書の写しを資格要件の証明として使うルートがあります。

ただし、認定電気工事従事者と第一種電気工事士免状は別です。
第一種電気工事士免状を取得するには、試験合格に加えて原則3年以上の実務経験が必要なので、「認定証を取ったから一種免状も取れる」とは考えないようにしてください。

参考にした公的資料