AIを使ってポートフォリオのアプリを作ったけれど、面接でどこまで自分の実装として説明してよいのか分からない。画面は動くものの、「なぜこのコードにしたのですか」と聞かれると答えに詰まりそうで、不安になっていませんか。
AIで作ったポートフォリオを説明するときは、AIに任せた作業と、自分が決めた仕様・採用した理由・修正・検証を分けます。コードをすべて手で書いたように見せるのではなく、実際の制作過程から、自分の担当と現在の理解を説明できる状態にすることが大切です。
この記事では、制作記録を見直すワークシート、質問ごとに確認する記録、面接で使える説明の型を紹介します。AI利用による合否の予想や、履歴書への個人開発の書き方ではなく、作ったアプリを技術面接で説明する準備に絞ります。
作品の説明に加え、相手が試せるデモや応募書類への案内も準備したい人は、IT・Web就職の全体ガイドからポートフォリオ・応募書類の解説へ進めます。
AIの利用方針を確認し、面接で説明する対象を決める
最初に、応募先の案内を確認してください。自主制作のポートフォリオと、企業から出されたコーディング課題では、適用される条件が異なります。課題ならAIの利用可否、報告する内容、提出書式などの指定を先に読みます。
例えば、ゆめみの公開フロントエンドコーディング試験には、AIを利用し成果があった場合の簡潔なレポートを、任意で提出する項目があります。これは一つの公開課題の例であり、すべての企業がAI利用を同じように扱うことや、AIを使えば評価が上がることを示すものではありません。
自主制作の場合も、面接で利用状況を尋ねられたら、使った範囲を事実に沿って説明します。「AIを使いました」の一言にとどめず、何を依頼し、その後に自分が何をしたかへつなげる準備をしましょう。
企業の課題で使用ルールが不明な人は、面接での説明を整える前に、今回の選考で認められる条件を確認してください。検索・公式資料・AIの許可を分ける確認方法は、次の記事で扱っています。
説明する対象は、まず一つの主要機能に絞ると整理しやすくなります。アプリ全体を大きな言葉で説明する前に、目的、入力、処理、結果を追える機能を選び、関係するコードと記録をそろえてください。
AIと自分の担当を分ける、5項目のワークシート
次の表を見ながら、自分の制作過程を書き出します。記録がない項目は、推測で埋めず「記録なし」「記憶のみ」「これから確認」と残しましょう。未実装と、動いていても理解できていない部分も区別します。
| 整理する項目 | 自分の事実を書き込む | 見直す記録 |
|---|---|---|
| AIに任せた作業 | 使ったツール、対象機能、依頼内容、受け取った提案。たたき台・説明・デバッグ・テスト案などを分ける | 保存した会話、生成されたコード、制作メモ |
| 自分が決めた仕様 | 誰の何を解決するか、入力・表示・制約。自分で決めたものと、AIの提案を採用したものを区別する | 要件メモ、画面案、Issue、設計メモ |
| 出力を修正した箇所 | どのファイル・処理を、何から何へ変えたか。修正理由、AIと自分の作業範囲 | 変更前後の差分、コミット、修正時の会話 |
| 確認した不具合・動作 | 再現条件、期待した結果、実際の結果、修正後の確認。制作時か、面接準備中かも記す | テストコード、実行結果、操作記録、画面画像 |
| まだ説明できない部分 | 分かる範囲と未理解の箇所。未実装・未検証・未理解を別々に記す | 現在のコード、公式資料、未解決のメモ |
「全部AI」「全部自分」という割合だけで表すより、対象機能と作業を分けた方が説明の中身を確認できます。コード量の割合を測っていないなら、適当な数字を付ける必要はありません。
一つの機能について、次の記入欄をコピーして使えます。括弧内は説明の見本ではなく、実際の情報を書き込む場所です。
対象機能:(機能名・関連ファイル)
解決したいこと:(想定利用者と困りごと)
AIへの依頼:(依頼した作業と範囲)
自分が決めたこと:(仕様・採用理由)
修正したこと:(変更前→変更後・理由・担当)
検証したこと:(条件・期待結果・実行結果・確認時期)
未確認・未理解:(現在の限界)
対応する記録:(メモ・差分・テストなど)
修正していない箇所は、無理に修正実績を作らず「提案をそのまま採用」と書きます。そのうえで、採用する判断をした理由と、どこまで動作や内容を確認したかを整理してください。
制作記録を見直す順番|依頼・差分・検証をつなげる
ワークシートを埋めるときは、完成したコードだけを見て過去の理由を推測するより、当時の記録と現在のコードを照合します。次の順番なら、AIの提案と自分の判断の関係を追いやすくなります。
- 要件メモや画面案から、作ろうとした機能と条件を確認する
- 保存したAIとの会話から、何を依頼し、どんな提案を受けたかを見る
- コードの変更前後から、採用・修正・削除した箇所を確認する
- テストや操作記録から、期待した動作と実際の結果を確認する
- 現在のコードに照らして、説明できる範囲と不足する理解を記す
GitHubでは、ファイルの行ごとの変更履歴や、コミット同士の比較で変更箇所を確認できます。履歴から修正対象を探したあと、当時のメモや会話と組み合わせて、なぜ変更したのかを整理しましょう。
コミットの作者が自分になっていることだけで、そのコードをすべて自力で考えたとは説明できません。AIの提案を取り込んだコミットもあり得るため、コードの履歴と作業の担当は別に確認します。
会話が残っていない場合は、無理に当時のプロンプトを再現したふりをしないでください。分かる利用範囲をメモし、細かな依頼は記録が残っていないと整理します。新しくAIへ同じような質問をして得た回答を、過去の制作記録として扱うことも避けます。
現在の理解を確かめるための再実行や追加確認は、これから行って構いません。ただし、「制作時に検証したこと」と「面接準備で初めて検証したこと」を分けて記録すると、制作経緯を変えずに話せます。
自分の判断・修正・検証を、コードに結び付けて説明する
仕様と処理の流れを、自分の言葉でつなげる
主要機能について、「誰が何を入力するか」「どの処理が実行されるか」「結果をどこへ保存・表示するか」を追ってください。ファイル名やライブラリ名を並べるだけでなく、各部分の役割を説明できるかを確認します。
例えば検索機能なら、入力を受ける部分、条件に合うデータを取得・抽出する部分、結果を表示する部分の関係を見ます。自分のアプリがどの構成かに合わせ、実際のコードを指しながら順番を説明しましょう。
AIにコードの説明を求めて理解の手掛かりにする場合も、説明文をそのまま暗記して終わらせないでください。コード、使っている技術の公式資料、実際の動作と照合し、その説明がアプリに当てはまるかを確認します。
「AIが勧めた」から、自分が採用した条件へ進める
AIから提案された方法を使った場合は、提案の出どころと採用理由を分けます。「AIが勧めた」は経緯の説明にはなりますが、今回の仕様に合うと判断した理由とは別です。
自分が確かめた条件を、要件メモやコードに結び付けて話します。例えば、必要な機能を満たすことを確認したのか、既存の構成に合わせたのか、実装を理解できる範囲に抑えたのか。実際に判断したことを選び、もっともらしい理由を後から足さないでください。
提案をそのまま採用した場合も、実際に確認した点があれば説明できます。逆に、画面が表示されたことしか確認していないなら、その範囲を超えて品質や安全性を検証したとは言わないようにします。
修正は、変更前・理由・変更後・確認結果で整理する
修正箇所は、「何を直したか」に加え、「何が問題だったか」「なぜその直し方にしたか」「直したあと何を確認したか」をつなげます。差分とテスト結果を一組にすると、具体的な説明を作れます。
不具合の発見、自分による原因調査、AIへの修正依頼、出力の調整、再確認は、担当が異なる場合があります。AIが修正案を出したなら、その点も残し、自分が行った作業を正確に説明してください。
GitHub Copilotの公式資料でも、生成された提案が正確とは限らず、利用者によるレビューと検証が必要と説明されています。面接準備では「AIが問題ないと言った」ではなく、実際に自分が確認した条件と結果を整理することが役立ちます。
テストコードを作ったことと、検証したことを区別する
AIがテストを生成した場合は、テストコードが存在するだけで確認済みにしないでください。どの要件を確かめるテストか、期待結果が正しいか、実際に実行したかを見直します。
「すべて確認済み」より、「どの入力・操作で何を確認し、何が未確認か」を記す方が、自分の理解の範囲を説明できます。正常な操作だけを試したなら、その事実を残し、要件にある例外や境界の扱いも必要に応じて確認しましょう。
面接の質問に備えて、どの記録を見直すか
次の表は、必ず出る面接質問の一覧ではありません。説明が曖昧になりやすい点を、記録から確認するための練習用です。質問ごとに、答えを裏付ける機能・コード・確認結果を選びます。
| 確認したい質問 | 見直す記録 | 説明に入れる内容 |
|---|---|---|
| AIはどこに使いましたか | 会話、生成コード、利用範囲のメモ | 対象作業、AIの出力、自分の採用・修正・確認 |
| なぜこの実装にしましたか | 要件、設計メモ、採用したコード | 満たしたい条件と、その方法を採用した判断 |
| 別の方法は検討しましたか | 当時の比較メモ、不採用にした案 | 実際に検討した案と理由。未比較なら、その事実 |
| どんな不具合を直しましたか | 再現メモ、修正差分、再実行の結果 | 条件、問題、担当、変更内容、確認結果 |
| 動作はどう確認しましたか | テスト、操作記録、実行環境 | 対象の要件、方法、結果、確認していない範囲 |
| 今後どこを改善しますか | 未解決のメモ、現在のコード | 現状の制約、改善案、まだ試していないこと |
「別の方法は検討したか」と聞かれても、当時比較していないなら「制作時はこの方法で実装し、代替案の比較まではしていませんでした」と説明します。面接準備で比較し直した場合は、「その後、準備として〇〇を確認しました」と時期を分けて話せます。
性能改善や作業時間の短縮などの成果も、測定した記録がある範囲で説明してください。測っていないのに「速度が倍になった」「開発時間を半分にした」と数字を付ける必要はありません。確認できる変更内容と動作を具体的に話しましょう。
面接での説明は、目的・AIの担当・自分の作業・結果の順に組み立てる
ワークシートが埋まったら、まず短い説明を作ります。細かなコードの話から入るより、何のために作り、AIと自分が何を担当したかを示すと、その後に詳しく説明する対象を選びやすくなります。
次は説明の型です。自分の記録に対応する内容だけを入れ、行っていない修正・検証の項目は削除するか、未実施と説明してください。完成した実績の例文ではありません。
このアプリは、(利用者)の(困りごと)を解決する目的で作りました。AIは(対象作業)に使いました。
私は(仕様・採用条件)を決め、(自分で行った作業)を担当しました。AIの提案については、(採用した理由・変更した箇所)を整理しています。
動作は(実際の確認方法・条件)で確認し、(確認できた結果)を得ました。一方、(未実装・未確認・未理解の範囲)は残っています。該当するコードと記録は(場所)です。
具体的な理由を聞かれたら、ワークシートで選んだ一つの機能へ進みます。目的と仕様、関連する処理、変更差分、確認結果を順に説明し、面接官が尋ねている範囲に合わせて話しましょう。
READMEやAI利用レポートの提出を求められている場合は、口頭の説明と資料の担当範囲・確認結果が食い違っていないかも確認します。会話の履歴を全部貼るより、指定書式に沿って対象作業と成果をまとめ、必要な記録へ対応させます。共有する資料には秘密情報や他人の個人情報を含めないようにしてください。
企業の課題をGitHubで提出する人は、説明資料を整えたあとに、公開範囲・README・第三者による起動も確認しましょう。提出物そのものの点検は、次の記事にまとめています。
説明できない部分は、理解と未確認を分けて準備する
AIの出力に、まだ説明できないコードがあるなら、理解していない箇所を具体的に書き出します。「全体が分からない」のままにせず、どの処理の入力・出力、どのライブラリの役割、どの条件分岐が分からないのかを分けてください。
そのうえで、面接前に次の確認をします。
- 主要機能の入力から結果までを、実際のコードで追えるか
- 使っている技術の役割を、公式資料とコードで確認したか
- 説明した動作を再実行し、結果と環境を記録できるか
- 分かる部分と、まだ理解・検証が不足する部分を分けて話せるか
「未理解」と言えば十分な評価になる、ということではありません。主要な処理を説明できないなら、そのまま回答文だけを整えるのではなく、コードの理解と必要な動作確認を優先しましょう。
面接練習では、最初の説明を声に出したあと、「なぜ採用したか」「変更した箇所はどこか」「結果を何で確認したか」を自分へ質問します。答えられない箇所は言い回しだけで埋めず、ワークシートと記録へ戻ります。
準備中に新しく修正した場合は、変更内容と確認時期を残し、提出済みの版と現在の版を区別します。企業の課題なら、提出後の変更を認めるかも案内に従ってください。
面接で説明する中心は、実際に作ったものと、自分が担当し確認したことです。AIへの依頼、判断、修正、検証、残っている課題を記録に結び付けると、利用の有無だけでは伝わらない制作過程を整理できます。
参考資料
- ゆめみ:フロントエンドコーディング試験 — AI利用時に成果があれば簡潔なレポートを任意提出する、公開採用課題の例。
- GitHub Docs:Application card: GitHub Copilot inline suggestions — 生成された提案の限界と、利用者によるレビュー・検証。
- GitHub Docs:Viewing and understanding files — ファイルの行ごとの変更履歴を確認する方法。
- GitHub Docs:Comparing commits — コミットやブランチ間の変更を比較する方法。
公式資料の確認日:2026年10月3日。AIの利用条件・報告事項・面接で提示する資料は、応募先の案内に従ってください。





