AI面接の案内を受けると、「何を見られているのか」「表情が硬いと落ちるのか」「回答は何秒くらいが正解なのか」と不安になります。
AI面接で重視されるのは、回答から分かる経験・行動・考え方と、募集する仕事との関係です。ただし、分析するデータや採点項目はサービス・応募企業によって異なり、表情や回答時間まで一律に評価されるわけではありません。
この記事では、2026年9月時点のサービス提供会社の公式情報をもとに、AI面接が何を見ているのかを整理します。転職理由の伝え方、質問への答え方、受検前の準備も具体例で紹介します。
AI面接では何を見てる?最初に知りたい評価の違い
「AI面接」は一つの共通試験の名前ではありません。AIが質問し、回答内容に応じて追加質問をするものもあれば、録画した回答を分析するものもあります。また、質問や記録にAIを使い、採用担当者が内容を確認して評価する運用もあります。
まずは、応募先の案内でサービス名・面接の形式・評価結果の使われ方を確認しましょう。「AIが面接する」と「AIだけで合否が決まる」は同じ意味ではありません。
| 気になる項目 | 確認できること・注意点 | 準備すること |
|---|---|---|
| 回答内容 | 仕事に関係する能力や行動、経験を回答から評価するサービスがある | 自分が担当したこと、判断、行動、結果を整理する |
| 転職理由・志望動機 | 質問されるか、どのように評価されるかは企業や設定による | 今の状況、転職で変えたいこと、応募先との接点を説明する |
| 表情・視線 | 画像をAIの採点に使わないサービスもある。録画を人が確認する運用とは分けて考える | 表情の演出より、顔が見える環境と回答内容を整える |
| 声・話し方 | 音声を分析に使うものと、文字起こしした内容を評価するものがある | 音声テストを行い、聞き取れる声で自然に話す |
| 回答時間 | 制限時間があることと、長さ自体を加点・減点することは別 | 画面の時間制限を守り、質問への答えを先に伝える |
この表は各社の仕組みを共通の採点表にしたものではありません。自分が受ける面接で何が使われるかを確認するための整理です。
公式情報でも「表情・声の扱い」は異なる
HireVueは、AIが採点する動画アセスメントについて、回答を文字起こしした内容を分析し、表情・身ぶり・外見・背景・声の調子は採点に使わないと説明しています。
一方、SHaiNの提供会社は2026年3月の発表で、テキストと音声を組み合わせて性格特性を評価する仕組みを説明しています。同じ発表では、研究およびSHaiNで顔認識などの画像認識技術を使用していないことも明記しています。
この違いからも、「AI面接は笑顔や声の高さで採点される」「AIは話した文章しか見ない」と全サービスに当てはめることはできません。公表されていない細かい配点や合格点まで、外部の記事から断定することもできません。
AIの評価と企業の合否判断も分けて考える
採点結果、回答の文字起こし、録画を企業がどのように使うかも重要です。例えば、harutakaが紹介する西松屋チェーンの新卒採用事例では、AI面接の録画や文字起こしなどを採用担当者が確認し、評価する運用が示されています。
これは一社の事例であり、すべてのAI面接で同じ確認が行われる保証ではありません。ただ、AI面接で不合格になっても、機械が単独で落としたとは限らないことは押さえておきましょう。
AI面接の質問には、何を準備すればいい?
対策の中心は、質問文の暗記よりも、聞かれ方が変わっても説明できる経験の整理です。以下は転職活動で練習するための質問例で、特定サービスの実際の出題一覧ではありません。
| 練習する質問 | 整理しておく材料 | 追加で考えたいこと |
|---|---|---|
| これまでどのような仕事をしてきましたか | 担当業務、役割、期間、関わった相手 | チーム全体の仕事と、自分の担当はどう違うか |
| なぜ転職を考えていますか | 現在の状況、変えたい点、今後の希望 | なぜ今なのか。応募先で何を確かめたいか |
| 仕事で困難に対応した経験を教えてください | 課題、自分の判断、具体的な行動、結果 | なぜその方法を選んだか |
| 周囲と協力した経験を教えてください | 意見の違い、役割分担、調整した内容 | 相手の事情をどう確認したか |
| 失敗から学んだことはありますか | 起きたこと、対応、その後の改善 | 同じ状況なら次はどうするか |
| このような場面ならどう対応しますか | 状況の確認、優先順位、相談先、行動案 | 判断するために不足している情報は何か |
HireVueの受検者向けFAQでも、過去の経験を尋ねる質問や、仮定の場面への対応を尋ねる質問などが紹介されています。実際に出る内容は、応募する職種や企業の案内を優先してください。
答えは「状況→自分の行動→結果」で具体化する
例えば「チームワークを大切にしています」だけでは、どのように仕事を進める人なのかが伝わりません。次のように、自分がしたことを説明できる形にします。
繁忙期に、同じ問い合わせへ担当者ごとに違う回答をしてしまうことがありました。私はよくある質問をまとめ、判断に迷う内容を上司に確認したうえで、共有用の回答集を作りました。その後は変更点を朝礼で確認するようにし、担当者間で案内をそろえました。
これは説明の組み立てを示す架空の例です。自分がしていない行動や成果を付け足さず、チームの実績をすべて自分の成果として話さないようにしましょう。数字が分からない場合も、何が変わったかを事実の範囲で説明できます。
「協調性」「主体性」などを仕事中の行動に置き換える方法は、次の記事にも回答例があります。
追加質問が続いても、不合格のサインとは限らない
回答に応じて質問を深めること自体が、対話型AI面接の機能です。「なぜですか」「具体的には何をしましたか」と聞かれた回数だけで、評価が低いとは判断できません。
同じ説明を最初から繰り返すより、質問された部分を補います。理由を聞かれたら判断の根拠、自分の役割を聞かれたら担当範囲、結果を聞かれたら変化を答えましょう。追加質問が少ない場合も、それだけで高評価と決めつけないことが大切です。
転職理由はどう評価される?AI向けの「正解」を作らない
転職理由に共通の加点ワードがあると考えるより、今の状況と、次の仕事に求めるものが伝わる説明を用意しましょう。具体的な配点は公表されていないことも多く、「成長と言えば通る」「残業に触れたら落ちる」とは言えません。
次の3点を整理すると、応募先との関係を説明しやすくなります。
- 現在の仕事や働き方はどうなっているか
- 何を変えたい、または続けたいと考えているか
- 応募先の仕事内容や条件のどこに接点があるか
担当できる仕事を広げたい場合の回答例
現職では営業事務として、受発注入力と納期調整を担当しています。仕事を続ける中で、業務の手順を見直すことにも関わりたいと考えるようになりました。現在の部署では担当範囲が入力と調整に限られているため、運用改善まで関われる環境を希望しています。御社の求人にある業務フローの改善に、これまでの実務経験を生かしたいと考えています。
上の例を使うなら、応募先で本当に改善業務を担当できるか確認が必要です。「成長したい」という言葉だけで終わらず、何をできるようになりたいかまで具体化します。
残業や働き方が転職理由の場合
働き方を変えたいという事実を、無理に別の志望動機へ置き換える必要はありません。現状を短く説明し、継続して働くために必要な条件を伝えます。
現職では直前に決まる時間外対応が多く、今後は予定を立てやすい働き方へ変えたいと考えています。担当してきた経理業務は続けたいので、経験を生かせる職場を探しています。御社の繁忙期の働き方や、残業が発生する時期についても確認したいと考えています。
これも架空の例です。実際の状況に合わせて話し、応募先の残業が少ないと未確認のまま決めつけないようにしてください。職務経歴書に書いた担当業務や在籍期間との食い違いも見直しておきましょう。
表情・視線・声はどうすればいい?
表情をAIの採点に使わないサービスでも、録画を採用担当者が確認する場合があります。「AIが画像を採点しない」と「誰も映像を見ない」は別の話です。
ただし、笑顔を何秒続ける、瞬きを減らす、といった共通の攻略法は、今回確認した公式情報からは裏付けられません。カメラを目線に近い高さに置き、顔が暗くならない場所で、質問を読んだら自然に話せる状態を整えるほうが実用的です。
視線が一度外れたり、緊張して表情が硬くなったりしただけで、不合格だと決めつける必要はありません。画面上の質問や残り時間を確認する動作もあります。
声についても、無理に大きくしたり極端にゆっくりにしたりするより、音声テストで聞き取れるかを確かめましょう。SHaiNの受検者向けFAQでは、録音が有効になってから話すことや、普段どおり落ち着いて話すことが案内されています。
回答時間は長いほど有利?制限時間と採点を分ける
回答できる時間が表示されていても、使い切れば高評価になるとは限りません。逆に、短い回答だから自動的に低評価になるとも断定できません。確認した公式資料には、全サービスに共通する「何秒なら合格」という基準はありません。
時間については、次の3つを分けて確認してください。
- 準備時間:質問を読んでから回答を始めるまでの時間
- 回答時間:1問に対して話せる時間。途中で自動終了するかも確認する
- 面接全体の目安:すべての質問に答えるために確保する時間
例えば、1問の上限が2分なら、2分の原稿を一字一句読み切る練習より、「質問への答え→具体例→結果・学び」を上限内で話す練習にします。時間が余ったからといって、同じ説明を繰り返して埋める必要はありません。
練習では一度録音し、前置きが長すぎないか、自分の行動が抜けていないかを聞き直すと改善点が分かります。短くする場合は事実や理由を削りすぎず、重複した説明を減らしてください。
考える間や言い直しがあったら落ちる?
一度言葉に詰まったことだけで合否は分かりません。言い間違いに気づいたら、回答中に「先ほどの数字を訂正します。正しくは〇〇です」と短く修正し、続けましょう。
一方、回答の録り直しや面接全体のやり直しができるかは別問題です。例えばSHaiNのFAQは、開始した面接のやり直しはできないと案内しています。別サービスや企業の運用まで同じとは限らないため、本番の開始前に確認してください。
AI面接で落ちるのが不安な人が、受検前に確認すること
不合格の理由を知らないまま「AIに嫌われた」と考えても、次の準備にはつながりません。評価対象になり得る経験や回答と、受検の技術的な問題を分けて点検しましょう。
- 募集職種の仕事内容を読み、関係する経験を用意したか
- 回答が質問から外れていないか。結論だけでなく具体例もあるか
- 追加質問に、自分の役割や判断の理由を説明できるか
- マイク・カメラ・通信が動作し、声が途中で途切れていないか
- 最後に受検完了・送信完了の表示を確認したか
これは不合格理由の一覧ではなく、自分で見直せる項目です。結果の通知だけでは、どの項目がどれだけ影響したかは分かりません。
メモや生成AIの利用は、受検ルールを確認する
事前練習で経験を整理することと、本番中に外部ツールから回答を得ることは分けて考えてください。メモの参照、別画面の利用、生成AIや第三者の補助が認められるかは、受検案内に従います。
VARIETASは「AI面接官」について、回答傾向や発話内容などから外部支援等の不自然なパターンを検知する仕組みを公表しています。ただし、これを「視線が外れれば必ず不正と判定される」という意味に広げることはできません。
暗記した模範解答を読むより、自分の経験を箇条書きにして、聞かれた内容に合わせて説明する練習をしましょう。本番にそのメモを持ち込めるかは、別途確認が必要です。
機器トラブルや受検上の困りごとは、応募先へ具体的に伝える
通信が切れた、音声が入らない、完了したか分からないときは、画面に出る案内と公式サポートを確認します。解消しなければ、発生時刻、端末・ブラウザ、エラー表示、どこまで進んだかを整理して連絡しましょう。
件名:AI面接の受検状況について(氏名)
本日〇時頃にAI面接を受検しましたが、回答中に〇〇というエラーが表示され、完了を確認できない状態です。使用端末は〇〇、ブラウザは〇〇です。受検状況と、再開または再受検の手続きについてご確認いただけますでしょうか。
発話や聞き取り、画面操作などに不安があり、通常の方法では受検しづらい場合も、本番前に応募先へ相談できます。希望する対応や代替の面接方法を具体的に伝え、対応可能か確認してください。
AI面接対策は、見えない採点ルールを推測し続けるより、利用サービスの案内を読み、自分の経験を具体的に説明し、回答が正しく届く環境を整えるところから始めましょう。
参考資料
- HireVue「Our Science」:AI採点で扱う回答内容、表情・声の調子等を使わない旨、採用判断の位置づけ。
- HireVue「Frequently Asked Questions for Candidates」:質問形式、職務に関係する評価、特定単語だけで判断しない仕組み。
- SHaiN提供会社「面接時の人物に対する評価AIの研究成果がIE賞を受賞」(2026年3月18日):テキストと音声を用いる評価と、画像認識技術を使用しない旨。
- harutaka「西松屋チェーンのAI面接導入事例」:回答に応じた深掘り質問と、録画・文字起こしを採用担当者が確認する運用例。
- SHaiN「FAQ 受検者様向け」:音声認識、事前の動作確認、やり直し、受検方法の相談先。
- HireVue受検者ヘルプ「Getting Started with Your On Demand Interview(Computer)」:面接時間の案内と回答時間のカウントダウン。
- VARIETAS「公正評価維持システムを正式発表」:外部支援等の不自然なパターンを検知する仕組みについての提供会社の説明。
※参考資料の確認日:2026年9月27日。評価方法・機能・受検ルールは変更されることがあるため、応募先から届いた最新の案内を優先してください。



