失業保険を一度もらうと、雇用保険の加入期間が全部リセットされ、もう二度ともらえないのか。再就職して何か月働けば、2回目を申請できるのか。前の会社で長く加入していた年数は残るのか。
「リセット」という言葉には、受給資格に使う被保険者期間、所定給付日数を決める算定基礎期間、再就職後すぐ辞めた場合に使える元の支給残日数が混ざっています。ここを分けると答えが変わります。
失業保険の基本手当は、条件を満たせば2回目も受給できます。ただし、一度、基本手当や再就職手当などの支給を受けた場合、その受給資格に使った離職前の被保険者期間を、次の新しい受給資格へもう一度使うことはできません。再就職後の被保険者期間で、原則として離職前2年間に12か月以上を作り直します。倒産・解雇等や一定の特定理由離職では、離職前1年間に6か月以上で受給資格を得る場合があります。
一方、給付を受けずに1年以内に雇用保険へ再加入した場合は、前後の被保険者期間が通算されることがあります。再就職後すぐ離職し、まだ新しい受給資格がない場合は、元の受給期間内に残っている基本手当を再開できるケースもあります。
再就職手当を2回目にもらえるかは、基本手当の再受給とは別に、今回の就職日前3年以内の受給歴を確認します。


まず「3種類のリセット」を分ける
| 確認するもの | 何を決めるか | 一度受給した後 |
|---|---|---|
| 被保険者期間 | 次の基本手当の受給資格があるか | 受給後に働いた期間で原則12か月以上を改めて確認 |
| 算定基礎期間 | 所定給付日数を決める加入年数 | 基本手当等を受けた前の期間は次回へ使い回さない |
| 元の支給残日数 | 短期再就職後に元の受給資格を再開できるか | 元の受給期間内で、新しい受給資格がなければ残りを受けられる場合がある |
「加入年数がゼロになる」というより、すでに給付の基礎に使った期間を、次の新しい給付に重ねて使わないと考える方が近いです。雇用保険の加入履歴そのものが記録から消えるわけではありません。
ケース早見表:通算される・されない・元の残りを使う
| 離職後の流れ | 前職の加入期間 | 次に起きること |
|---|---|---|
| 基本手当または再就職手当等を受給→再就職→再離職 | 次の新しい受給資格には原則使わない | 再就職後の期間で新しい資格を判定 |
| 給付を受けない→1年以内に再就職して雇用保険へ加入 | 前後を通算できる場合がある | 長い加入年数として所定給付日数に反映され得る |
| 給付を受けない→雇用保険の空白が1年を超える | 空白前の期間は算定基礎期間に含めない | 空白後の加入期間から数える |
| 受給中に再就職→短期離職→新しい受給資格なし | 新しい資格を作るのではない | 元の受給期間内・残日数内で基本手当を再開できる場合がある |
| 受給中に再就職→新しい受給資格を取得して再離職 | 新しい資格を優先 | 再就職後の離職に基づく新しい基本手当を申請 |
公式確認:厚生労働省「基本手当、再就職手当等Q&A」Q2、Q44、Q45では、受給後の期間だけで次回を算定すること、短期再離職時の再開、給付を受けず1年以内に再加入した場合の通算を確認できます。
一度受給した後は、再就職後の加入期間で2回目を判定する
前回の基本手当を1日分でも支給された場合や、再就職手当など基本手当に相当する給付を受けた場合は、その前の会社で被保険者だった期間を、次の新しい受給資格へ重ねて使いません。再就職後に雇用保険へ加入した期間から確認します。
自己都合退職なら原則12か月
正当な理由のない自己都合で次の会社を辞めた場合、基本手当の受給資格は、原則として離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要です。
ここでいう1か月は、単純な在籍月ではありません。離職日から1か月ごとに区切り、賃金支払基礎日数が11日以上ある期間を1か月として数えます。11日以上ない場合は、賃金支払の基礎となった時間が80時間以上ある期間を1か月と数える仕組みもあります。月途中の入退社、欠勤、短時間勤務がある人は離職票で確認してください。
倒産・解雇等や一定の特定理由離職なら6か月のことがある
倒産・解雇等で離職した特定受給資格者や、雇止め・正当な理由のある自己都合など一定の特定理由離職者は、離職前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば受給資格を得る場合があります。
「会社から辞めてほしいと言われた」「体調が理由だった」だけで自動的に6か月基準になるわけではありません。離職票の記載、本人と会社の説明、証拠資料などを確認して、ハローワークが離職理由を判定します。
| 2回目の離職 | 被保険者期間の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 正当な理由のない自己都合 | 原則、離職前2年間に12か月以上 | 7日待期後に給付制限が付く場合もある |
| 倒産・解雇等 | 離職前1年間に6か月以上 | 特定受給資格者に当たるか個別判定 |
| 雇止め・正当な理由のある離職等 | 離職前1年間に6か月以上となる場合あり | 特定理由離職者の範囲と離職理由を確認 |
時系列1:5年加入して受給後、8か月で自己都合退職
- A社で5年間、雇用保険に加入
- A社を辞め、基本手当を受給
- B社へ再就職し、8か月加入
- B社を正当な理由なく自己都合退職
A社の5年間は、前回の給付の基礎に使われています。B社の8か月と合わせて「5年8か月あるから2回目も受給できる」とは考えません。今回の自己都合離職では、原則12か月の被保険者期間に届かず、新しい受給資格を得られない可能性が高いケースです。
ただし、B社の離職が倒産・解雇等や一定の特定理由離職に当たれば、6か月基準で判断される場合があります。離職理由を自己判断せず、離職票を提出してください。
時系列2:給付を受けず、8か月後に再加入した
- A社で7年間、雇用保険に加入
- A社を退職したが、基本手当・再就職手当などを受けない
- 退職から8か月後、B社へ就職して雇用保険に加入
- B社で3年間働いて離職
給付を受けず、前の資格喪失から1年以内に次の雇用保険へ加入した場合は、A社とB社の被保険者期間が通算される可能性があります。所定給付日数を決める算定基礎期間では、10年の加入として扱われる可能性がある例です。
「失業保険を申請しなかったから7年分が無駄になった」とは限りません。前職の退職日、次職の資格取得日、給付の有無を確認します。
時系列3:給付を受けなくても、空白が1年を超えた
- A社で7年間、雇用保険に加入
- A社を退職し、給付を受けない
- 1年2か月後にB社へ就職して雇用保険に加入
- B社で3年間働いて離職
給付を受けていなくても、雇用保険の被保険者でない空白が1年を超えると、その前のA社の期間は算定基礎期間に含めません。この例ではB社の3年間を基礎に考えます。
「受給しなければ加入年数は永久に残る」わけではありません。前職と次職の雇用保険資格の空白が1年以内かが境目です。
通算の公式確認:厚生労働省「失業給付の所定給付日数の基礎となる被保険者であった期間」では、1年を超える空白がある場合と、基本手当・再就職手当等を受けた場合に、前の期間を含めないことが図示されています。
短期離職は「2回目の新規受給」ではなく、元の残りを再開する場合がある
基本手当の受給中に再就職して短期間で離職した場合、新しい受給資格がなく、元の受給期間内に支給残日数があれば、元の基本手当を再開できることがあります。
再就職手当を受けていた場合の残日数、返還の有無、新しい受給資格との分岐、再求職申込みの手順は次の記事で詳しく整理しています。

受給手続きだけして1円も受け取っていない場合
厚生労働省のQ&Aは、基本手当や再就職手当等の「支給を受けた」後は、その後の被保険者期間だけを算定すると案内しています。また、前職退職後に給付を受けず、1年以内に再加入した場合は通算されるとしています。
ただし、受給資格決定後に就職した、給付制限中で1円も振り込まれていない、再就職手当を申請して不支給だったなど、記録の状態によって確認事項が変わります。「入金ゼロだから何も使っていない」と決めず、受給資格者証と支給履歴を窓口へ持参してください。
2回目の金額と日数は前回と同じとは限らない
2回目の基本手当日額は、原則として今回の離職前6か月の賃金を基礎に計算されます。前回の日額がそのまま引き継がれるわけではありません。所定給付日数も、今回の年齢、今回使える算定基礎期間、今回の離職理由で決まります。
| 変わる要素 | 2回目への影響 |
|---|---|
| 再就職後の賃金 | 基本手当日額の計算が変わる |
| 再就職後の加入年数 | 所定給付日数の区分が変わり得る |
| 2回目の離職時年齢 | 日額上限や所定給付日数の区分が変わり得る |
| 2回目の離職理由 | 受給資格に必要な月数、給付制限、所定給付日数が変わり得る |
金額と給付日数の一般的な計算は、失業保険の総合記事へ分けています。この記事では、前回の加入期間を再利用できるかと、2回目の資格を作れるかに絞っています。
ハローワークへ持っていく時系列メモ
会社名だけでなく、次の日付を一列に並べると確認が早くなります。
- 前回の離職日
- 前回の受給資格決定日
- 基本手当を実際に受けた最初と最後の日
- 再就職手当等を受けたか
- 再就職日と雇用保険資格取得日
- 今回の離職日と離職理由
- 元の受給期間満了日と支給残日数
前回は○年○月に離職し、基本手当を○日分受けました。○年○月に再就職し、今回は○年○月に離職しました。新しい受給資格があるか、なければ元の受給資格を再開できるか、前職と再就職先の加入期間が通算されるかを確認したいです。
離職票が届いていない場合の相談手順はこちらで確認できます。

よくある質問
失業保険は何回までもらえますか?
生涯の受給回数に一律の上限がある制度ではありません。離職ごとに、被保険者期間、失業状態、離職理由などの受給要件を満たすかで判断されます。
一度もらったら、次は必ず1年働く必要がありますか?
正当な理由のない自己都合離職なら原則12か月ですが、倒産・解雇等や一定の特定理由離職は6か月で受給資格を得る場合があります。また、短期再就職後に元の受給資格を再開するケースは、新しい12か月を作る話とは別です。
前回の失業保険を満額もらっていなければ、残りは次回に足せますか?
残日数を新しい受給資格へ足す仕組みではありません。元の受給期間内に再離職し、新しい受給資格がない場合は元の残りを再開できることがありますが、新しい受給資格を得た場合は新しい資格に基づいて支給されます。
会社を変えても雇用保険番号は同じですか?
原則として同じ被保険者番号を使います。番号が複数ある、前職の被保険者証が見つからない場合は、氏名・生年月日・前職情報を会社またはハローワークへ伝えて確認してください。番号が同じことと、前の加入期間を次回給付に使えることは別問題です。
再就職手当を受けた場合も加入期間は区切られますか?
はい。厚生労働省は、基本手当の受給要件で、過去に基本手当(再就職手当等を含む)を受けた場合は、その支給後の被保険者期間だけを算定すると案内しています。
まとめ:受給したか、空白が1年以内か、元の期間が残るかを見る
失業保険は一度受け取っても、条件を満たせば2回目を受給できます。前回の給付に使った被保険者期間をもう一度使うのではなく、再就職後の期間で新しい受給資格を作るのが原則です。
給付を受けず、1年以内に次の雇用保険へ加入した場合は前後の期間を通算できる可能性があります。給付を受けていなくても空白が1年を超えれば、その前の期間は算定基礎期間に含まれません。短期再就職後の離職は、新しい2回目ではなく、元の受給期間内の残日数を再開する場合があります。
前回の離職、受給、再就職、今回の離職を日付順に書き、2社分の離職票と受給資格者証を持ってハローワークへ確認してください。


