前年の収入が失業保険だけでも住民税申告は必要?国保の軽減・非課税証明との関係

住民税の申告・納付・減免

「去年は働いておらず、入ってきたお金は失業保険だけ。税金がかからないなら、申告もしなくてよいのでは?」と迷っていませんか。

雇用保険の基本手当は非課税なので、その給付について所得税の確定申告は不要です。ただし、国民健康保険の軽減判定や非課税証明書の発行のために、住民税の申告が必要になる場合があります。

確認したいのは、自治体に自分の所得情報があるか、税法上の扶養に入っているか、国保や証明書でその情報を使うかの3点です。全員に同じ申告義務があるわけではありませんが、「非課税だから何もしなくてよい」とは限りません。

この記事は、前年の1月1日から12月31日まで、課税対象の収入がなく、失業保険だけで生活した人や無収入だった人を対象にしています。ここでいう失業保険は、雇用保険の基本手当です。

失業保険のみなら確定申告は不要でも、住民税申告は別に確認する

所得税の確定申告は、税務署にその年の所得や税額などを申告する手続きです。一方、住民税申告は、市区町村に前年の所得状況などを届ける手続きで、「市民税・県民税申告」「特別区民税・都民税申告」などの名称が使われます。

厚生労働省は、雇用保険の基本手当について、非課税であり確定申告は必要ないと案内しています。ただ、自治体が税金を計算しない人にも、国保や証明書のための所得情報は必要になることがあります。

手続き 主な窓口 前年が失業保険のみの場合
所得税の確定申告 税務署 基本手当についての申告は不要
住民税申告 対象年度の1月1日に住所があった市区町村 国保・証明書などの利用と、自治体の申告不要条件を確認する
国保用の所得申告・収入申立て 加入先の市区町村の国保窓口 未申告者向けに別の書類を求める自治体がある

伊勢原市は、前年に収入がなかった人や失業給付を受けた人を、住民税申告が必要な人として案内しています。一方、日野市は、無収入なら申告義務はないとしたうえで、国保や非課税証明などのために申告が必要な場合を説明しています。

このため、税金を納めるための申告義務と、所得状況を確認してもらうための手続きを分けて確認すると、自治体の案内を読み違えにくくなります。

自分は住民税申告が必要?国保・扶養・証明書で確認する

まず、申告したい年の所得について、すでに確定申告や住民税申告を済ませているかを確認してください。正しい内容で提出済みなら、通常は同じ内容を重ねて申告する必要はありません。

未申告の場合は、次の表で自分の状況を整理します。複数に当てはまる人は、国保と証明書の両方を確認してください。

自分の状況 確認すること・次の行動
国保に加入し、前年の所得を申告していない 国保窓口で所得情報の登録状況と、住民税申告・国保用申告のどちらが必要かを確認する
国保の通知に所得不明・未申告などの記載がある 通知を手元に用意し、誰の何年分の申告が不足しているかを聞く
非課税証明書や所得証明書を提出する予定がある 必要な年度と所得額の記載の要否を提出先に聞き、自治体でその内容の証明書を発行できるか確認する
家族が自分を税法上の扶養として申告している 扶養者の住所や世帯の条件を含め、自治体の申告不要条件に当てはまるか確認する
健康保険の扶養に入っているだけ それだけで住民税申告を省略せず、税法上の扶養情報が自治体にあるか確認する
国保にも入っておらず、証明書の予定もない 自治体の「無収入・非課税収入のみ」の案内で、申告を求める対象か確認する

「家族の扶養だから不要」は、どの扶養かを確かめる

税法上の扶養と健康保険の扶養は別の仕組みです。家族の勤務先に健康保険の扶養届を出したことだけでは、住民税の所得情報がそろったとは判断できません。

例えば武蔵野市は、市内に住民登録がある人の税法上の扶養親族について、申告が必要な人から除く条件を設けています。自治体によって案内の条件が違うため、「誰の税法上の扶養か」「その人は同じ市区町村に住んでいるか」「同じ世帯か」まで伝えると確認が進みます。

申告書が届いていなくても、申告が不要と決まったわけではありません。初めて前年の所得がなくなった人は、その年度の自治体の案内を確認してください。

国保は所得未申告のままだと、軽減を判定できないことがある

国保では、前年の所得情報を使って保険料・保険税や低所得世帯の軽減を判定します。無職で実際の所得がゼロでも、自治体の記録が「所得不明」のままでは、軽減が適用されないことがあります。

中野区も、無収入や雇用保険などの非課税収入のみの人について申告を案内し、必要な申告がない場合は軽減が適用されないと説明しています。届いた保険料通知が想定より高いときは、金額だけでなく、所得の登録状況を確かめてください。

自分の所得がゼロでも、世帯全体では軽減対象にならない場合がある

低所得世帯の軽減は、本人だけで決まるものではありません。国保に入っていない世帯主を含め、世帯主や国保加入者などの所得で判定します。

例えば、本人は失業保険のみでも、同じ世帯の世帯主に給与所得があれば、その所得が軽減判定に関係します。反対に、判定対象の家族が無収入でも、申告が不足していれば所得を確認できないことがあります。

また、よく聞く「7割・5割・2割軽減」は、均等割などの対象部分を減らす制度です。住民税申告をすれば国保全額が7割引になる、所得ゼロなら保険料もゼロになる、という意味ではありません。具体的な軽減の対象部分と判定結果は、加入先の国保窓口で確認します。

国保用の申告書だけ出した人は、税証明の登録も確認する

国保窓口で出す「所得申告書」「収入申立書」が、住民税申告を兼ねるとは限りません。古賀市の国保税用所得申告は、国保の業務にのみ使用し、ほかの市のサービスには別途、市民税・県民税申告が必要と案内しています。

国保の申告を済ませていても、非課税証明書が必要なら、住民税担当へ「国保用の所得申告は提出済みですが、証明書を出すための住民税申告も必要ですか」と確認してください。

年金保険料の免除など、住民税申告以外の手続きも整理したい人は、退職後の健康保険・年金・住民税の窓口をまとめた記事を確認できます。

非課税証明書は「税額ゼロ」と「所得額ゼロ」の記載を確認する

「税金がかからないはずだから、非課税証明書はすぐ取れる」とは限りません。所得情報が不足していると、先に申告が必要になる場合があります。

一方、税法上の扶養情報により、申告せずに非課税証明書を発行できる自治体もあります。ただし、その証明書に所得金額まで載るとは限りません。武蔵野市は、扶養されている旨を記載した証明書では、所得等の項目は印字しないと案内しています。

練馬区も、扶養されている人が所得金額を記載した非課税証明書を必要とする場合は、所得がなくても住民税申告をするよう案内しています。

証明書の提出を求められたら、次の3点を提出先に確認してください。

  • 何年度の証明書が必要か
  • 税額が非課税と分かればよいか、所得額の記載も必要か
  • 提出期限はいつか

そのうえで、発行する市区町村へ確認します。申告してから証明書へ反映するまで時間がかかる場合があるため、証明書が必要な日も伝えると、提出の予定を立てやすくなります。

何年分を、どこに申告する?「前年」と「年度」を並べる

住民税申告で確認する所得の期間は、前年の1月1日から12月31日までです。証明書の年度と、所得が発生した年は1年ずれます。

確認する項目 2026年度の手続きをする例
所得を確認する期間 2025年1月1日〜12月31日
住民税申告・証明書の年度 2026年度(令和8年度)
住民税の申告先 2026年1月1日に住所があった市区町村
国保の所得情報・軽減の相談先 加入先の市区町村の国保窓口

例えば、2025年は失業保険だけで生活し、2026年4月にA市からB市へ引っ越した人なら、2026年度の住民税申告は、2026年1月1日の住所があったA市に確認します。B市の国保で所得の確認が必要と言われた場合は、B市にも申告先と提出日を伝え、追加書類の要否を確認してください。

一方、2026年に退職して現在は失業保険だけという人でも、2025年に給与があれば、2026年度の手続きで「前年は所得ゼロ」とは申告できません。まず前年1年分の源泉徴収票や入金内容を確認しましょう。

退職後の最終給与、短期のアルバイト代などが同じ年にある人は、その収入を含めて別に判断します。この記事の「前年は失業保険のみ」のケースに当てはめないでください。

失業保険のみの住民税申告はどう書く?準備から提出まで

1.自治体の該当年度の申告書を用意する

自治体の公式サイトで、対象年度の住民税申告書と「収入がなかった人」「非課税収入のみの人」の記入案内を確認します。提出方法は、窓口・郵送・電子申告など、その自治体の案内に従って選んでください。

国保から書類が届いた場合は、その書類の名前と提出先も確認します。住民税申告書と国保用の所得申告書を取り違えないことが大切です。

2.給付を課税対象の給与や雑所得に足さず、指定の欄に記入する

失業保険は、課税対象の給与や雑所得として加算しません。ただし、申告書に非課税収入や生活状況を記載する欄がある場合は、その欄の案内に沿って、雇用保険の給付で生活していたことを記入します。

例えば、前年に受け取ったお金が基本手当120万円だけだったとしても、給与収入120万円、雑所得120万円とは書きません。課税対象の所得はゼロですが、給付を受けた事実まで「なかった」とする必要はありません。

様式は自治体や年度で変わります。横浜市の令和8年度の案内では、無収入・非課税所得のみの人は所得金額の合計欄にゼロを記入し、以前の生活状況の記入は不要とされています。別の自治体の記入例を丸写しせず、使う申告書の指定に合わせてください。

3.本人確認書類と、必要とされる資料をそろえる

提出時は、次のものを確認しておくと手続きが進めやすくなります。給付の受給を示す資料の添付が必要かどうかは、自治体に確認してください。

  • 対象年度の住民税申告書
  • 本人確認書類・マイナンバー確認書類(提出方法に応じたもの)
  • 受給状況を説明できる雇用保険受給資格者証・受給資格通知など
  • 国保から届いた所得確認の通知や申告書
  • 証明書が必要なら、提出先が指定した年度・記載内容・期限のメモ

無収入でも、扶養親族の有無など別に記入する項目があります。氏名と所得ゼロだけで完成と決めず、その自治体の記入案内を最後まで確認しましょう。

4.期限を過ぎていたら、反映時期も一緒に聞く

申告期限は対象年度の自治体の案内で確認します。すでに過ぎていても、翌年まで待たずに住民税担当へ連絡し、必要な年度の申告方法を確認してください。

期限後の申告では、保険料の算定や証明書への反映が遅れる場合があります。国保の軽減が未反映なら、住民税申告の提出日を国保窓口に伝え、再計算の対象になるか、結果をいつ確認できるかを聞きます。届いている納付書の扱いも、その窓口で確認してください。

自治体への確認は、前年の収入・扶養・用途をまとめて伝える

「無職なら申告は必要ですか」だけでは、対象年や扶養の状況が伝わりません。次の例のように、自分に当てはまる部分を埋めて問い合わせると判断してもらいやすくなります。

2025年1月から12月の収入は、雇用保険の基本手当だけで、給与やほかの課税対象収入はありません。2026年1月1日は○○市に住んでいました。確定申告・住民税申告はしておらず、税法上の扶養は〔入っていない/○○市に住む家族が申告している〕状況です。現在は国保に加入しており、2026年度の所得額が分かる非課税証明書も必要です。住民税申告が必要か、使う書類と添付資料、国保と証明書への反映時期を教えてください。

前年の収入が失業保険だけだった人は、まず「対象年度」「1月1日の住所」「税法上の扶養」「国保・証明書の利用予定」をメモしましょう。必要な申告を確認できたら、控えや受付結果を残し、国保の軽減と必要な証明書に反映されたかまで確認すると手続きが完了します。

参考資料

制度・自治体案内の確認日:2026年10月3日。申告不要の条件、様式、必要書類は対象年度の提出先の案内で確認してください。