前にも再就職手当をもらった。もう一度会社を辞め、次の仕事が決まりそうなとき、「2回目は対象になるのか」で手が止まります。
前回から3年以上たっていればよいのか。3年は振込日、申請日、入社日のどこから数えるのか。もう一度、雇用保険へ1年加入し直す必要があるのか。ここを混ぜると、まだ対象外なのに申請できると思ったり、反対に受け取れる可能性を見落としたりします。
再就職手当は2回目でも支給される可能性があります。ただし、今回の基本手当について新たな受給資格があり、支給残日数を3分の1以上残して安定した仕事へ就くなどの要件に加え、今回の就職日前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当を受けていないことが必要です。
3年だけ見ても判定できません。まず「今回の失業で基本手当の受給資格があるか」、次に「前回の対象就職日が3年の範囲外か」、最後に「今回の就職が再就職手当の他の要件を満たすか」の順に確認します。
結論を図にすると、4つの関門がある
| 関門 | 確認すること | 通らない場合 |
|---|---|---|
| 1 今回の受給資格 | 原則、離職前2年間に被保険者期間12か月以上。倒産・解雇等や一定の特定理由離職は離職前1年間に6か月以上 | 今回の基本手当の受給資格がなく、再就職手当にも進まない |
| 2 受給手続き | 就職が決まる前に、離職票提出と求職申込みをして受給資格決定を受けたか | 受給手続き前に決まっていた就職は対象にならない |
| 3 過去3年 | 今回の就職日前3年以内の就職について、再就職手当・常用就職支度手当を受けていないか | 今回の再就職手当は対象外 |
| 4 今回の就職 | 待期後、支給残日数3分の1以上、1年超の雇用見込み、前職・密接関連事業主ではない等 | 3年を経過していても対象外 |
「前回から3年たった」は3番目の関門しか確認していません。雇用保険へ加入し直した期間が短ければ1番目で止まり、基本手当をほとんど受け取って支給残日数が少なければ4番目で止まります。
3年は今回の就職日から前へさかのぼって見る
厚生労働省の案内は、「就職日前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと」としています。判断の起点は、今回の申請日や振込日ではなく今回の就職日です。そこから前へ3年間を見て、その期間に前回の手当の対象となった就職が入っているかを確認します。
前回の振込日から3年ではない
前回の就職日が2023年7月15日で、再就職手当の振込日が同年9月20日だったとします。今回の就職日が2026年7月16日なら、比較の中心になるのは2023年7月15日の就職日です。「振込日からまだ3年たっていないから必ず対象外」とは判定しません。
| 日付 | 出来事 | 3年判定での扱い |
|---|---|---|
| 2023年7月15日 | 前回の再就職手当の対象となった就職 | 前回の基準になる就職日 |
| 2023年9月20日 | 前回の手当が振り込まれた | 振込日だけで3年を数えない |
| 2026年7月15日 | 今回の就職 | 前回就職日がちょうど3年前。3年以内に含まれる可能性があるため要確認 |
| 2026年7月16日 | 今回の就職 | 前回就職日から3年を超える日付の例。ほかの要件も含めて確認 |
日付の数え方は、就職日の認定や書類上の日付も関係します。境目の1日だけで入社日を自己判断して動かさず、前回の支給決定通知と今回の労働条件通知書をハローワークへ見せて確認してください。
公式確認:厚生労働省「基本手当、再就職手当等Q&A」Q39に、今回の就職日前3年以内という要件を含む8つの支給要件が掲載されています。
時系列で見る:2回目を受け取れる可能性がある例
次は制度の関係を理解するための例です。実際の離職理由、被保険者期間、賃金支払基礎日数、就職経路などで判定は変わります。
例A:前回の対象就職から3年超、再加入も12か月以上
- 2022年4月1日:前回の再就職。後日、再就職手当を受給
- 2022年4月1日~2025年12月31日:雇用保険へ加入して勤務
- 2025年12月31日:自己都合で離職
- 2026年1月:基本手当の受給手続き
- 2026年7月1日:支給残日数を3分の1以上残して新しい会社へ就職
今回の就職日前3年以内に前回の対象就職日がなく、今回の基本手当の受給資格も確認できる例です。待期、支給残日数、雇用見込み、就職経路、前職との関係など残りの要件を満たせば、2回目の対象になり得ます。
例B:前回から3年超でも、再加入が8か月だけ
- 2022年4月1日:前回の再就職手当の対象となった就職
- 2022年10月31日:その会社を離職
- 2022年11月1日~2025年2月28日:雇用保険へ加入していない
- 2025年3月1日:別の会社へ就職し、雇用保険へ加入
- 2025年10月31日:正当な理由のない自己都合で離職
前回の対象就職から3年を超えていても、今回の自己都合離職について、原則の「離職前2年間に被保険者期間12か月以上」を満たさない可能性があります。基本手当の受給資格がなければ、再就職手当の2回目にも進めません。
例C:再加入は十分でも、今回の就職が3年以内
- 2024年8月1日:前回の再就職手当の対象となった就職
- 2026年1月31日:離職。今回の基本手当の受給資格あり
- 2026年6月1日:新しい会社へ就職
今回の受給資格や支給残日数を満たしていても、2026年6月1日の就職から前3年以内に2024年8月1日の対象就職が入ります。この場合、過去3年要件で2回目の再就職手当は対象外になります。基本手当の受給資格まで否定されるという意味ではありません。
「加入期間をまた1年作る」と「3年待つ」は別の時計
2回目の相談では、次の2つの時計を分けてください。
| 時計 | 何を決めるか | 主な基準 |
|---|---|---|
| 被保険者期間の時計 | 今回の基本手当の受給資格があるか | 原則2年間に12か月。倒産・解雇等や一定の特定理由離職は1年間に6か月 |
| 前回手当の時計 | 今回の再就職手当について過去3年要件を満たすか | 今回の就職日前3年以内の就職について、前回手当等を受けていないこと |
3年以上働けば多くの場合は被保険者期間も12か月を超えますが、必ず同じとは限りません。前回の手当を受けた後に長い無職期間があり、最近8か月だけ働いたケースでは、3年要件を満たしても今回の受給資格がない可能性があります。
反対に、1年半働いて今回の基本手当の受給資格を得ても、前回の対象就職からまだ3年以内なら、2回目の再就職手当は対象外です。
前回は基本手当だけで、再就職手当を受けていない場合
過去3年要件が直接確認しているのは、再就職手当または常用就職支度手当を受けた対象就職です。前回、基本手当を受けたものの再就職手当・常用就職支度手当を受けていないなら、その事実だけで過去3年要件に当たるとは限りません。
ただし、基本手当を受けた前の被保険者期間は、新しい受給資格の算定に使い回せません。再就職後の被保険者期間で、今回の基本手当の資格を改めて満たす必要があります。基本手当そのものを2回目にもらえる条件は、別の記事で扱う範囲です。

3年を満たしても必要な残り7要件
この記事は過去3年と2回目の判定が中心なので、一般条件は確認用に絞ります。次のすべてを満たす必要があります。
- 就職日の前日までの失業認定後、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある
- 1年を超えて勤務することが確実と認められる
- 7日間の待期満了後に就職する
- 給付制限がある人の待期満了後1か月は、ハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者の紹介で就職する
- 離職前の事業主や、資本・人事・取引等で密接な事業主への再雇用ではない
- 受給資格決定前から内定していた事業主への就職ではない
- 原則として雇用保険の被保険者資格を取得する条件で雇用される
求人サイトのオンライン自主応募が職業紹介に当たらない場合もあります。給付制限がある時期の応募経路は、応募前または内定を受けた時点で確認してください。
公式資料:ハローワーク「再就職手当のご案内」では、8要件、給付制限中の紹介要件、60%・70%の支給率、申請時期を図で確認できます。
判定フロー:どこで対象外になったかを確認する
- 今回の離職票で基本手当の受給資格決定を受ける
資格がなければ再就職手当の確認は終了します。 - 雇用保険受給資格者証で所定給付日数と受給期間満了日を確認する
就職日前日の認定後に3分の1以上残るかを見ます。 - 前回の支給決定通知から、対象就職日を確認する
振込日ではなく、前回の対象となった就職日を探します。 - 今回の就職予定日から3年前の日付を出す
境目にかかる場合は書類を窓口へ持参します。 - 雇用条件と応募経路を確認する
1年超の見込み、雇用保険加入、前職との関係、給付制限中の紹介要件を見ます。 - 就職の申告と支給申請を行う
公式案内では、申請書は就職日の翌日から1か月以内に提出します。
前回の通知をなくした場合は、「前回の再就職手当の対象となった就職日を確認したい」とハローワークへ相談してください。記憶だけで「だいたい3年前」と処理しない方が安全です。
職業訓練中に2回目の再就職が決まった場合
職業訓練中に内定が出た場合も、過去3年要件は同じです。ただし、訓練をいつ退校するか、基本手当や受講手当がいつまで支給されるか、就職日前日にどの手続きをするかは、訓練校とハローワークの確認が必要です。
「2回目の再就職手当が出ないなら訓練を最後まで続ける」と自己判断せず、入社日と訓練の最終出席日を先に相談してください。

今の再就職手当を申請するか迷っている場合は、過去3年だけでなく、給与と残日数、早期離職時の扱いを分けて確認します。

よくある質問
再就職手当は人生で1回しかもらえませんか?
回数を生涯1回に制限する制度ではありません。今回の就職日前3年以内の就職について再就職手当等を受けていないことを含め、毎回すべての要件を満たせば、2回目以降も対象になり得ます。
3年は前回の支給日から数えますか?
厚生労働省の要件は「就職日前3年以内の就職について」と書かれています。今回の就職日からさかのぼり、前回の手当の対象となった就職日が範囲に入るかを確認します。振込日だけで判定しません。
前回の再就職手当を返せば、3年以内でも申請できますか?
自己都合で返金すれば今回の要件を回避できる、という制度ではありません。不正受給や返還命令など別の事情がある場合を除き、任意の返金で受給歴を消せると考えず、ハローワークへ確認してください。
前回の会社を1年未満で辞めたら、受給歴は消えますか?
消えません。前回の再就職先を短期退職しても、前回の再就職手当を受けた事実と対象就職日は残ります。今回の就職日前3年以内かを確認します。
2回目は金額が少なくなりますか?
「2回目だから」という減額率はありません。今回の基本手当日額、支給残日数、60%・70%の給付率で計算します。基本手当日額には毎年改定され得る上限があります。
まとめ:前回の就職日と今回の受給資格を別々に確認する
再就職手当は2回目でも受け取れる可能性があります。確認する順番は、今回の基本手当の受給資格、今回の就職日前3年以内に前回の対象就職があるか、今回の支給残日数と雇用条件です。
3年は前回の振込日だけで数えません。前回の支給決定通知、今回の雇用保険受給資格者証、内定先の労働条件通知書をそろえ、「前回の対象就職日」「今回の就職予定日」「支給残日数」を窓口で確認してください。3年の境目を越えていても、今回の加入期間や他の要件が不足すれば対象にはなりません。


