飲食店を退職代行で辞めた体験談|限界だった3つの瞬間

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※本記事は医療・法的助言を提供するものではありません。労働問題は労基署や弁護士へご相談ください。

「人手不足だから辞めるなんて言い出せない」「バイトで退職代行は大げさじゃないか」——飲食業界で限界を迎えた人のほとんどが、この2つで足踏みします。

結論から言うと、飲食業界は全業種で最も離職率が高い領域で、辞めたいと感じるのはあなたが弱いからではありません。法的にはバイトでも社員でも、人手不足を理由に会社が退職を拒むことはできません。

この記事では、飲食を退職代行で辞めた人のリアルな経過、雇用形態別に何が必要か、店長やオーナーから「損害賠償する」と言われたときの対処、そして辞めた後のキャリアまでを順番に整理します。

まずは「飲食で辞めたいのは異常ではない」ことから、データで確認します。

飲食業界の離職率|辞めたいのはあなただけじゃない

厚生労働省の雇用動向調査によると、宿泊業・飲食サービス業の離職率は全業種の中で最も高く、約26%前後で推移しています(出典:厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」(2026年4月時点で公表されている最新分))。全業種平均の約14%と比べて、ほぼ2倍の水準です。

業種 離職率の目安 特徴
宿泊業・飲食サービス業 約26% 全業種で最も高い水準
生活関連サービス業・娯楽業 約18% 美容・レジャー等
全業種平均 約14% 基準値
製造業 約10% 比較的低い水準

4人に1人以上が1年以内に辞めている計算です。これは個人の根性や弱さの問題ではなく、業界構造の問題が大きいことを示しています。あなたが「辞めたい」と感じているなら、それは少数派の感覚ではありません。

飲食店で「辞めにくい」と感じる理由4つ

飲食業界には、他業種と比べて辞めにくくする構造的な要因があります。あなたの足を止めているのは性格ではなく、これらの要因です。

① 慢性的な人手不足で「代わりがいない」と言われる

飲食店は常に人手不足で、「あなたが辞めたら店が回らない」「代わりが見つかるまで待って」と言われるのは定番です。ただし、人員確保は経営者の責任であり、労働者個人が背負う問題ではありません。法的にも、人手不足を理由に退職を拒否することはできません。

② 店長・オーナーとの距離が近く、辞めにくい空気がある

個人経営やオーナー店長の店では、距離の近さが辞めにくさに直結します。「裏切り者」扱い、「辞めるなら損害賠償する」という脅し——後述しますが、退職を理由に損害賠償が認められるケースは極めて限定的とされています。

③ シフト制で「今月は無理」が続く

シフトが組まれているから辞められないと感じている人が多いですが、シフト編成と退職は法的には別問題です。期間の定めのない雇用なら2週間前の申し入れで退職できる権利が民法627条で認められています。

④ 「バイトで退職代行は大げさ」という思い込み

「たかがバイトで」と感じる必要はありません。雇用形態に関係なく退職代行は利用でき、料金も同じです。精神的に限界の状態で出勤を続ける負荷のほうが、退職代行の費用より遥かに大きいケースがほとんどです。

半年ほど飲食店の店長をやっていました。残業代は一切なし、時給換算するとアルバイトとほぼ同じ。私が休みだった日に原因不明の-5,000円のレジ金が罰金として給与から天引きされる始末(明細に「罰金」項目があった)。1ヶ月前に「辞めます」と電話したら「2ヶ月前だろ」「なんで相談しなかったの」とグチグチ言われ続けました。電話の途中で半泣きで「もう無理なんです」と伝えても、それでもグチグチ続いた。心身を脅かす相手に「2ヶ月前に相談」なんて、できる訳ないんですよね。

— 30代女性/元・飲食店店長(独自に集めた相談談より、一部表現を整えています)

「個人の頑張り不足」ではなく「環境と業界構造のズレ」だと整理できると、次の一手が冷静に決められます。

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雇用形態別:バイトでも社員でも退職代行は使える

「バイトで本当に退職代行を使えるのか」「契約期間が残っているけど辞められるのか」——よくある不安を、雇用形態ごとに整理します。

雇用形態 退職代行の利用 主な法的根拠
正社員 利用可 民法627条(2週間前の申し入れで退職可能)
アルバイト・パート 利用可 無期は民法627条/有期は民法628条
契約社員(有期雇用) 利用可 民法628条(やむを得ない事由があれば期間中でも退職可能)
派遣社員 利用可 派遣元との契約に基づく(労働者派遣法)

アルバイトの多くは無期雇用契約で、正社員と同じ2週間前ルールが適用されます。有期契約(3ヶ月単位など)でも、精神的限界やハラスメントは「やむを得ない事由」に該当しうるとされており、期間中でも退職できる余地があります。最終的な扱いは労働契約と就業規則によるので、不安があれば労働基準監督署に確認してください。

飲食店を退職代行で辞めた人の体験談3件

同じ業界から抜けた人の手順を見ておくと、自分の選択肢が見えやすくなります。3件を簡潔に紹介します。

Aさん(25歳・男性)/居酒屋社員・「損害賠償する」と脅された

毎日12時間以上労働、休みは月4日。退職を申し出たら店長から「辞めるなら代わりを見つけてこい。損害賠償する」と言われ、相談した労働組合運営の代行から「労働者の自己都合退職を理由とした損害賠償が裁判で認められるケースは極めて限定的」と説明を受けて精神的に楽になったという例。翌日に代行が連絡を入れ、有給消化までセットで退職完了しました。

Bさん(20歳・女性)/ファミレスバイト・3ヶ月言い出せず

人間関係が辛くても「シフトに穴をあけるのが申し訳ない」と3ヶ月我慢。最終的に労働組合運営の代行に依頼し、翌日から出勤しなくていい運用に。バイトでも料金や対応は変わらず、シフト穴あけ問題も代行が会社側と調整して終了しました。

Cさん(28歳・男性)/ラーメン店社員・未払い残業代も請求

タイムカードを切った後のサービス残業が常態化していたため、退職と同時に未払い残業代の請求も視野に入れる必要がありました。慰謝料・残業代請求は弁護士の業務範囲なので、弁護士運営の代行に依頼。退職と未払い分回収を一括で進めることができました。

退職代行を実際に使った先輩がいました。本人の意思で辞めたあと、当日になって私や周囲がそれを知らされる流れだったので、店として完全に機能不全。その波が私に押し寄せて、コロナ陽性+精神を病みかけたタイミングで「辞めたい」と伝えたら、店長からは「あなたが辞めたら店が閉まる」「仕込みできるのあなただけだから後釜が育つまで待って」と言われ続けました。それは経営側の仕事だろう、と心の中で思いました。

— 20代女性/元・調理スタッフ(独自に集めた相談談より、一部表現を整えています)

「もう無理」かを冷静に判定する3つの軸

感情だけで決めて後悔しないために、3つの軸で自分の状況を整理してみてください。2つ以上で赤信号が出ているなら、退職を含む環境変更を真剣に検討するタイミングです。

軸①:体と心に症状が出ているか(最重要)

以下の項目に当てはまる数が増えるほど、体は「ここから離れて」というサインを出している段階に近づいています。

  • 朝、吐き気・動悸・涙が出る
  • 日曜の夕方から月曜の朝にかけて体調が崩れる
  • 食欲がない、または逆に過食が止まらない
  • 眠れない、寝ても疲れが取れない
  • 飲食の現場で呂律が回らなくなった・視界がぼやけた経験がある
  • 「自分が悪い」「自分が弱い」が頭から離れない

2つ以上当てはまるなら、根性で乗り切るフェーズではなく、医療機関の受診や退職を含む選択肢を並べる段階です。

軸②:3ヶ月後に状況が改善する見込みがあるか

今のしんどさが「一時的」か「構造的」かを切り分けます。繁忙期や特定店舗の一時的な人手不足なら数ヶ月で抜けますが、店長・オーナーの人柄・会社の体質に起因するものは何年待っても変わらないことが多い。3ヶ月待っても改善する画が描けないなら、構造的な問題と考えていいでしょう。

軸③:相談できる人が社内にいるか

本部・人事・産業医・労働基準監督署——相談できる先が一つでもあるなら、まずそこに頼ってみる価値があります。一方で、相談しても変わらなかった、または個人経営で相談先そのものが上司しかない孤立状態にあるなら、外部の選択肢(退職代行・労基署・弁護士・医療機関)に頼るタイミングです。

3者分けで自分の位置を見る

  • 自分で言える人:店長や本部に直接「辞めます」を伝えられる体力・関係性が残っているなら、まず自力での退職を試す。
  • 外部サービスを使ったほうがいい人:体に症状が出ている/引き止めが怖い/有給を消化したい/損害賠償を匂わされた——このいずれかに当てはまるなら、退職代行が選択肢に入る。
  • 使わないほうがいい人:人間関係も健康も保てていて、店舗異動や配置調整で改善する余地があるなら、まず社内ルートを試したほうが早いケースもある。

退職代行は万能薬ではなく、「自分では言い出せない人のための松葉杖」です。最終判断はあなた自身と、必要に応じて医療機関・労働基準監督署など公的窓口に確認してください。

退職代行のタイプ別比較(労働組合・民間・弁護士)

退職代行は運営主体によって「できること」が大きく違います。料金だけで決めると、いざという時に交渉できない・対応してもらえないという落とし穴があるので、最初に違いを把握しておくと安全です。

タイプ 料金相場 交渉力 飲食で向いている人
労働組合運営
★標準的に推奨
1.8〜2.5万円 ○交渉可 人手不足を理由に引き止められそう/有給消化を交渉したい人。ガーディアン等。
民間業者 1.5〜3万円 ×交渉不可 伝言だけで足りる単純なケース。費用を抑えたい人。
弁護士 5〜10万円 ◎全対応 未払い残業代の請求/損害賠償の脅しへの対応。弁護士法人ガイア等。

※2026年4月時点の一般的な相場。料金・対応範囲は事業者により異なります。最新情報は各公式サイトをご確認ください。

多くの代行が「即日対応」と表現しているのは、申し入れ自体は当日に済ませて、その後の2週間(民法627条)を有給消化または欠勤扱いに振り替えることで「実質的に翌日から出勤しなくていい状態」にする運用です。法律上の退職成立日と「店に行かなくていい日」は別物だと理解しておくと、業者の説明に納得しやすくなります。

飲食特有の論点として、未払い残業代・サビ残・休憩時間カット・賃金からの不当な天引き(罰金等)が絡む場合は、慰謝料・未払い分の請求まで踏み込めるのは弁護士のみです。民間や労働組合運営は退職の伝達と労務交渉まで対応できますが、法的紛争は弁護士の業務範囲なので、ここは依頼前に切り分けておくと安全です。

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飲食店で退職代行を使うときの実務的な注意点

飲食業界ならではの退職時の論点を押さえておくと、トラブルを未然に防げます。

制服・名札・カギの返却

ユニフォーム・名札・店舗のカギなどの返却は郵送で対応できます。退職代行に依頼するときに「郵送での返却を希望する」と伝えてもらいましょう。クリーニング後に郵送が一般的です。

最後の給料・未払い賃金の確認

飲食はサービス残業や休憩時間カットが起きやすい業種です。退職前にタイムカードのコピー・シフト表・給与明細を保存しておくと、未払い分の請求材料になります。請求を伴う対応は弁護士の業務範囲です。

まかない代・罰金天引きのチェック

まかない代が不当に高額で天引きされている/レジ金不足を罰金として給与から控除されている、といった運用が見つかった場合、これは労働基準法上の問題になりうるとされています。最終判断は労働基準監督署が行うので、給与明細を持参して相談してください。

「損害賠償する」と言われたら

労働者の自己都合退職を理由とした損害賠償が裁判で認められるケースは極めて限定的とされています。脅しに屈する必要はありません。具体的な訴訟リスクが見える場合は、弁護士運営の代行または労働基準監督署に相談してください(民間運営の代行は法的紛争への対応はできません)。

飲食を辞めた後のキャリア|次の選び方と転職の進め方

飲食で培った接客力・体力・臨機応変な対応力は、他業種でも評価されやすいスキルです。次の方向性として現実的に多いのは次のようなルートです。

飲食以外への横移動

  • 接客系(ホテル・販売・コールセンター):人と関わる強みが直接活きる
  • 営業職(無形商材・法人営業):コミュニケーション力+数字耐性が評価される
  • 事務職:飲食の不規則な勤務から脱却したい人に人気のルート
  • IT業界(未経験可):研修・サポート体制があるエージェント経由の応募が無難

同じ飲食業界内での移動

「飲食の現場が嫌になった」のではなく「特定店舗の人間関係や運営が問題だった」場合、別チェーンや別業態(カフェ/ホテルレストラン/給食委託など)への移動だけで生活が大きく変わるケースもあります。

転職活動を1人で抱えない

飲食で削られた状態のまま転職活動を全部1人でやろうとすると、求人探し・職務経歴書・面接対策で再び消耗します。転職エージェントは担当者が代わりに求人を探し、企業との日程調整を肩代わりしてくれるので、こちらの負担が大きく下がる仕組みです。1社に絞らず2〜3社並行で登録すると、相性が合わなかったときに切り替えられる選択肢を最初から持てます。

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公的データが示す「あなたの感覚は正しい」

「自分が弱いだけ」と思い込まされている人ほど、客観的な数字を一度見ておくべきです。

離職は「特殊な失敗」ではない

厚生労働省の雇用動向調査によると、年間離職率は15%前後で推移しており、約1,000万人規模の労働者が1年間に職場を離れています(出典:厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」(2026年4月時点で公表されている最新分))。飲食業に至っては全業種で最も高い水準で、辞めることは例外的な失敗ではありません。

ストレスを強く感じる労働者は8割超

厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」の直近公表分では、現在の仕事や職業生活に関することで強い不安や悩み、ストレスを感じる労働者が8割を超える水準で推移しています(出典:厚生労働省「労働安全衛生調査」)。特に対人関係(セクハラ・パワハラを含む)と労働時間・労働量はストレス内容の上位に挙がっており、飲食現場の長時間労働×対人圧力は典型的なストレス源です。

過労死ラインは月80時間

厚生労働省は、月80時間を超える時間外労働を「過労死ライン」と定義しています(出典:厚生労働省「過労死等の防止のための対策」)。飲食現場の長時間労働は、この水準に達しているケースが少なくありません。

日本の年間離職率と関連データ
「辞める」は例外ではなく当たり前の選択

よくある質問

Q. アルバイトでも退職代行を使えますか?

使えます。雇用形態に関わらず利用可能で、料金も雇用形態による違いはありません。アルバイト・パート・正社員・契約社員・派遣社員すべてが対象です。

Q. 飲食のバイトを退職代行で辞めたら次のバイト先に知られますか?

原則として知られにくい仕組みになっています。前の勤務先から次のバイト先に直接連絡が行くことは通常ありません。退職証明書には退職事由のみ記載され、退職代行の利用有無は記載されません。ただし、就業規則や個別事情で例外が出る可能性はゼロではないので、不安なら依頼前に業者に対応範囲を確認してください。

Q. シフトが組まれている状態でも退職代行で辞められますか?

辞められます。シフト編成と退職は法的には別問題で、期間の定めのない雇用なら2週間前の申し入れで退職できる権利が民法627条で認められています。残期間は有給消化または欠勤扱いに振り替える運用が一般的です。

Q. 飲食の退職代行で「損害賠償する」と脅されたら?

労働者の自己都合退職を理由とした損害賠償が裁判で認められるケースは極めて限定的とされています。脅しに屈する必要はありません。具体的な訴訟リスクが見える場合は弁護士運営の代行を選び、慰謝料や未払い残業代の請求が必要な場合も弁護士の業務範囲です(民間・労働組合運営は法的紛争への対応はできません)。

Q. 飲食店の退職代行はいくらかかりますか?

2026年4月時点で、労働組合運営は2万円前後、民間運営は1.5〜3万円、弁護士運営は5〜10万円が一般的な目安です。料金・対応範囲は事業者により異なるので、依頼前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。

Q. 退職代行を使うのは「逃げ」ですか?

逃げと呼びたい人には呼ばせておけばいい、というのが筆者の立場です。そもそも辞めたくなる環境を作ったのは経営側で、あなたが我慢する義理はありません。代行を使うほど真面目だからこそ、自分では言い出せないほど追い詰められた、という見方もできます。

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最後に:今日できるのは「相談だけ」でいい

「人手不足だから言い出せない」と思いながら出勤する朝の絶望感を、明日もまた繰り返す必要はありません。あなたが置かれている状況は、客観的に見て十分に「もう無理」と判断していい状態です。

大事なのは、いきなり辞めることではなく、「相談する」と「実行する」を分けて考えることです。今日できるのは、LINEで相談だけしてみるところまでで構いません。話を聞いてもらうだけで、心がフッと軽くなることがあります。そこから先はあなたが決めればいい。今日の最後の一手は、「相談だけしてみる」の1つに絞ってください。

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