「予定を決めると、うまくいかなかったときが嫌だから」
ある日、小学生の甥っ子が夏休みの計画表を作るのを嫌がって言った言葉だ。おそらく、未来を見通して動くのが苦手なタイプなのだろう。それを聞いたとき、私はふと友人のA君を思い出した。
毎日違う仕事が向いている人もいる
A君は、長く同じ仕事を続けるのが苦手だ。彼は学生時代から「一つのことをコツコツ続けるのがしんどい」と言っていた。そんな彼にとって、決まった時間・決まった場所で働く正社員は窮屈なものだった。
「でも、働かないと生きていけない」
そんな彼が見つけたのが、日ごとに仕事内容が変わる単発の仕事だった。イベントスタッフ、倉庫作業、引越しの手伝い……。同じ作業が続かないので飽きることがないし、合わない職場でも「今日だけ」と思えば気楽に働ける。彼にとっては理想的な働き方だった。
「普通の働き方」にとらわれない選択肢
世の中には、同じ仕事を続けるのが得意な人もいれば、そうでない人もいる。学校では「計画的に動くことが大事」と教えられるが、それが苦手な人にとっては、それだけで大きなストレスになる。
もちろん、単発の仕事にはデメリットもある。収入が不安定だったり、将来の見通しが立ちにくかったりする。でも、「自分に合わない働き方を続けて、心をすり減らすくらいなら、違う方法を探したほうがいい」とA君は言う。
未来への備えも大事
短期の仕事を選ぶ人の中には、「将来のことはその時考えればいい」と思っている人もいる。しかし、病気やケガをしたとき、年を取ったときのことも考えておかなければならない。
A君も、ある日体調を崩して数週間働けなくなったとき、「貯金がないとキツいな」と実感した。そこで彼は、少しずつ貯金をするようになり、フリーランス向けの保険にも加入した。
「今の働き方が気に入っているけど、将来どうなるかわからないからね」
そう言いながら、彼は少しずつ備えを始めている。
それぞれに合った働き方がある
「正社員にならなきゃダメ」「計画的に動けないと社会ではやっていけない」——そんな言葉に苦しむ人もいるかもしれない。でも、A君のように、自分に合った働き方を見つけて生きていく人もいる。
どんな仕事の形でも、きちんと収入を得て、生活しているなら、それは立派な「働く」ということだ。
「未来のことは少しずつ考えながら、今の自分に合った働き方を選べばいいんじゃない?」